Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

帰京の知らせ

2013-08-07 01:00:00 | 雪3年1部(二人の写メ~映画)
マンションの一室で、女は歌を歌っていた。

♪ごめんね まだ私を想ってくれてること知ってるよ♪



買ったばかりの靴はそのまま放置され、床には通販で届いた段ボールが片付けられないまま置かれている。

♪辛い思いをさせてごめんね いっそ憎んで忘れてほしい♪



テーブルの上には食べっぱなしのスナック菓子、開きっぱなしの雑誌、開けっ放しの調味料。

♪これ以上未練を見せないで 二度と私に会いに来ないで♪



女はソファに横たわりながら歌っていた。

長い爪が、空を彷徨うようにメロディに沿って動いている。



♪私のせいで傷つく姿はもう見たくない

「♪ひどぉぉい 女でごめ~んね!!」



女はそのフレーズに力を込めて歌うと、

喉を痛めたのか、ゴホゴホと咳き込みながらうずくまった。



咳はドアの外まで聞こえている。

扉の前に佇んだ男は、その咳を聞きながら呼び鈴を押した。



女は何回か呼び鈴が響いても、ダルさのあまり起き上がらなかった。

しかし頭の片隅に浮かんだ男の影に、咄嗟に身体を起こす。



急いで部屋を片付けなければならない。



ブラインドを締め、机の上に散らかった物は取り敢えず段ボールにぶち込んだ。

ピンポンピンポンと何度も響く呼び鈴に、返事をしながら女は見える所だけ早急に片付けを済ます。



急ぎ足で玄関まで行き、鏡を見て身なりを整え、



女はドアを開けた。

「連絡も無しに来るなんてどうしたの~?」



女はいつもよりオクターブ高い声を出したのだが、

ドアの前に現れた男を見て息を呑んだ。



「あーん?何だその裏声は。キモッ」



河村静香は、彼が最初誰か分からなかった。

しかしその声と口調で紛れもなくたった一人の弟だと分かった途端、

先ほどの笑顔は、跡形もなく吹っ飛んだ。

「ゲッ‥あんた‥亮?」



かくして姉弟は再会した。

河村亮が高校を中退して以来、実に八年ぶりの再会であった。













同じ頃、赤山雪は青田淳に連れて来られたカフェのメニュー表を前に、固まっていた。



ドリンク欄を見ているのだが、どれもこれも映画代と変わらない値段なのである。

雪は一番安いミルクティーを辛うじて頼むと、先輩に「今手持ちがあまりなくて‥」と小さな声で言った。



先輩は事も無げに、「俺のカードで払うから問題ないよ」と答え、二人はお茶を待つことにした。






二人は運ばれてきたミルクティーを飲みながら、映画についての感想を言い合った。



先輩は居眠りしていた雪をからかったりと、課題に関係ないことまで話して微笑む。

「けど今日は楽しかったよ。映画を観に来たってこと自体がさ」



そう言って笑顔を浮かべる先輩に、雪も週末外出するのは久しぶりだと言った。

楽しかった、と続けようとしたが、ある考えが最後までその言葉を口にするのを躊躇わせる。

「‥けど、彼女さんに悪いような?後輩と二人きりで映画なんて、怒られないんですか?」



その言葉に、青田淳は素っ頓狂な声を上げた。

「えっ?彼女?俺彼女なんて居ないよ?」



そんなこと誰から聞いたの?と言う先輩に、雪はしどろもどろに返答する。

「い、いや皆がそう言ってたんで‥私もてっきりそうなんだとばかり‥」



雪が「先輩には彼女が当たり前に居そうな感じなので、皆も誤解したんだと思います」と続けると

先輩は相槌を打ちながら、「まぁ想像するのは自由だからね」と言い、逆にこう尋ねて来た。

「で、そう言う雪ちゃんは?彼氏居るの?」



「はい?!」



雪はその質問の後、ダークな影を背負う。

「どっからどう見ても、彼氏居ないの丸わかりじゃないですか‥

学校に入り浸ってるし‥行くとこと言えば家と学校の無限ループ‥学校の地縛霊‥?




先輩はそんな雪を見て、「真面目で良いと思う」とフォローし、

自分も復学してからずっとそんな感じだと言った。

今は勉強が大事な時なんだからと。



しかし彼氏彼女が居ない二人がこんなにもフォローし合って、しかも二人は首席と次席‥。

その事実に雪と淳は笑いが堪えきれなかった。



クスクスと、長いこと二人はその自虐的会話に笑いが止まらない。



笑い合いながら、課題はなかなか進まなかったが、

二人の間には今までにないくらい、温かな空気が流れていた。




ミルクティーが無くなる頃、ようやく二人は課題に集中することが出来た。



資料調査の担当分担相談をしている時、

雪は遠くの席の男が被ったキャップを見て、あることを思い出す。



独特な雰囲気の、あの妙な男のことを。



雪は、”青田淳の友達”だと言った男のことを先輩に話した。

名前は分からないが、とりあえずうちの学科生ではなかったと。



先輩は、自分の友達が雪のことを知っているわけがないと、雪にその男の特徴を聞いた。

「喋り方がちょっと乱暴で背が高くて‥顔立ちが外国人みたいな‥」



雪がそこまで言った所で、先輩は押し黙った。



そのリアクションに、「え?心当たりがあるんですか?」と雪が聞くと、



先輩は、心当たりが無い訳ではないが、それっぽい男は今ここにはいないはずだと言う。


そんな折、先輩の携帯電話が鳴った。

着信画面を見て、一瞬先輩が躊躇する。



彼が電話に出ると、雪の辺りにまで聞こえる大音量で電話口の向こうの女の声が響いた。



どうやら女は興奮しているようで、先輩はその女の話す内容が聞き取れなかった。

淳がゆっくり話すよう言うと、ようやく落ち着いたらしい女は、今度は逆に言葉を区切りながらハッキリと言った。

その内容が、雪にも聞こえてきた。

「亮が帰って来たんだってば!亮が!」



亮?



聞いたことのない名前だった。

雪がそのまま成り行きを見守っていると、先輩は「あとでまた話そう」と言って電話を切った。



切り終わった携帯の画面を眺めながら、彼は深く溜息を吐いた。



その顔に、歪んだしかめっ面を表しながら。

雪はこんなにもあからさまに負の感情を出した彼を前に、目を見開いた。



しばし沈黙が二人を覆ったが、

先輩は何も言えない雪に対して「知り合いなんだけど、たまにこうなんだ」と下を向いたまま言った。



そして先ほど雪が話した、”青田淳の友達”だと言う男は、自分の友達じゃないと言う。



もしもまた近づいて来たら無視して、とも。

下手に関わるとろくなことがない、とも。



そうして彼は席を立った。

送って行くと言うので、雪も一緒にカフェを後にした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<帰京の知らせ>でした!


静香が家で歌っているのはコレです↓
「Tears」という題名です。静香も色々な色恋をしてきたんでしょうね‥。

[MV/Eng sub] So chan whee - Tears


次回<それぞれの帰宅>です。

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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
河村さん (ちょびこ)
2013-08-07 18:49:06
指(爪)きれ~(≧∇≦)!!
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えっ! (Yukkanen)
2013-08-07 19:05:59
そこですか!笑
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そりゃー (ちょびこ)
2013-08-07 20:00:12
ソコでしょー!!
胸板やお尻などは言わずもがな。
うなじ、足首、指、歯並び、わき毛の生え方、箸の持ち方。ソコ大事でしょー!
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Unknown (りんご)
2013-08-07 22:23:30
爪清潔感でてますね…^ ^
でも変わったチャイムの押し方ですね…!
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違うかもだけど (ちょびこ)
2013-08-07 22:45:05
このプロモ?、宇多田のオートマティックのプロモ思い出しました。
それにしてもコリは…なんかビミョーだすな。静香ちゃんの選曲だからかな。。
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Unknown (Yukkanen)
2013-08-08 10:05:44
>ちょびこさん

わき毛か‥わき毛‥。
うーんわき毛かぁ‥(考えすぎ)

なんかこの曲小室サウンドを彷彿とさせながらも、なんか合ってないですよね曲調と編曲が。
ってダメ出ししてもしょうがないですが‥(^^;)

>りんごさん

確かにチャイムの押し方変わってますね。普通指一本じゃ‥?

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