ニッコウキスゲの群落
ニッコウキスゲ・ユウスゲ(キスゲ)・ヤブカンゾウなどを含むキスゲ属は、花形もユリそっくりでユリ科の代表的な植物のひとつと思われています。 私も今まではユリ科の特徴をそなえている植物だと覚え込んでいました。
ユウスゲ(キスゲ)
しかし、キスゲ属は花に花筒が発達することや、葉が線形で2列互生をするなどユリとは異なる特徴があり、その系統的な位置は今までも問題になっていました。 これが近年のDNAによる分析でとうとうユリ科とは異なるグループであることが判明したことになります。
・シンテッポウユリ(ユリ科 ユリ属)の花冠(花筒はない)と葉
・コオニユリ(ユリ科 ユリ属)の葉 ・ユウスゲ(ワスレグサ科 ワスレグサ属)の葉
DNAによる分類ならば類縁関係は完璧だろうと思っていましたが、キスゲ属はマバリー分類体系では ワスレグサ科、APGⅢ分類体系では ススキノキ科と研究者によって分類が異なっています。
キスゲ属(Hemerocallis属)の分類
従来のエングラー体系・・・ ユリ科 (ユリ目)
APG Ⅰ分類体系 ・・・キスゲ科
APG II分類体系 (2003) ・・・ススキノキ科あるいはキスゲ科
APG III分類体系 (2009) ・・・・ススキノキ科 クサスギカズラ目 (Asparagales)
マバリー分類体系 (2008)・・・ワスレグサ科 キジカクシ目 (Asparagales)
系統分類学は急速に進歩していて、DNAによる新しい分類体系の波は、どんどん押し寄せてきていることはまちがいありません。 今後研究が進めばさらに変更があったり、新しい分類体系が次々と発表される可能性もあることでしょう。 全ての図鑑が書き変わるかもしれないほどの大きな混乱は、新しい学問の内容が分類学にとって大きな進歩でもあることを物語っていることなのでしょう。
写真でさえ息をのむ美しさです!
キスゲ属は分類学では微妙な位置にあるのですね。
でも次に、あんなに姿が異なるキジカクシとどうしてDNAが近いのかまだ不思議でなりません。
今年はキジカクシに最も近いといわれる食用アスパラを庭でしっかり見るつもりですが、花が小さいですね~。
ご推察のように今後はさらに分類体系も進化していくのでしょうね。
詳しく説明していただいてありがとうございました。
(このことはなるべく忘れないようにします。?)
馴染みのない植物名が科の代表となっていて海外のサイトで探してなんじゃ?というような植物だったり・・・面白い。
何かしらの要因で変異して、たまたま環境に適した物が残るのだから科は違えど同じ形になっても不思議はない・・・車などが専門化(適応)すると(競技 F1とか)形が似てくる?表現が悪いけど・・・・
凄く面白くてワクワク。
過去の体系では判りにくかった動物の系統樹に時間もプラスしたような植物版CG・・・見てみたいし理解してみたいと思う今日この頃。(笑)
1番目はずいぶん昔に写したものなんですが、そのとおり尾瀬の小渕沢湿原のニッコウキスゲとワタスゲです。
キスゲ属がキジカクシと近いのは、私も不思議でなりません。
夕菅さんと同じく今年はキジカクシの花をじっくり観察したいと思っています。
KLXさん
そうなんですよ、今まで聞いたことがない植物名が科名になっていて、いったいどんな花?と検索しています。 ある意味ワールドワイドな分類体系となっていますよね。
・・・車などが専門化(適応)すると(競技 F1とか)形が似てくる?・・・面白~い
KLXさんのたとえはいつも斬新で思わずなっとくしてしまいます。