花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

オオシラガゴケ (シラガゴケ科)

2011年03月30日 | コケ植物



あっ オオシラガゴケ! ルーペで細かく確認しなくても見ただけでわかる、わかりやすいコケの1つです。
この時あいにくカメラを持っていなかったので、携帯で写しました。 マクロで写せないのでピンボケですが雰囲気だけでも・・・



水分を含んでいる時はやや青っぽい緑色をしていますが、乾燥してくると葉は巻かずにどんどん白っぽくなってきます。 まさにシラガゴケです。



大型であること、葉の上部に細かい刺状の細胞があることが特徴です。


シナチヂレゴケ 雄株

2011年03月29日 | コケ植物



雌株の苞葉中にかくれている雄植物をとりだしてみました。 大きさは1.5mmほどしかなく、数枚の葉をつけているだけで雌植物に比べると数百分の一にしかなりません。



ちゃんと葉緑素をもっていますので、雌植物に寄生しているのではありません。



数枚の雄苞葉をとるとバナナのような形をした造精器がみられます。 



雄植物は体のほとんどを造精器(生殖器官)がしめています。 栄養成長の段階を大幅に省略していち早く成熟するという、いわば生殖だけに特化した形態です。


シナチヂレゴケ (ギボウシゴケ科)

2011年03月27日 | コケ植物



葉は乾くとクルクルと巻き縮れるのでチヂレゴケ属なんてわかりやすい名前です。 水を吸うと巻いていた葉がしゃきっとした葉になります(下の画像:左側が水を吸ったようす)。



石灰岩の上に生えていて、柄が10mmと長く、葉の先が尖り基部が卵形なのでシナチヂレゴケで間違いないでしょう。



チヂレゴケ属は雌雄同株なのですが、雄花序はとても小さくて、柄の基部につき雌の苞葉内に隠れています。 



この場合、造卵器と造精器はきわめて接近した位置にあるのですが、成熟する時期が1シーズンずれているので自家受粉は起こらないそうです。 


ケギボウシゴケ (ギボウシゴケ科)

2011年03月24日 | コケ植物



公園の岩に着生しているひときわ黒っぽいコケ・・・ 水をスプレーでシュッと一吹きするとさっと鮮やかな緑になるこのコケ・・・
ずっと何というコケなのかわからなかったのですが、2カ月近くたってとうとうわかりました!



ができたらわかるだろうと思っていましたが、一向にができません。 気になっていたら違う場所でを着けているものを見つけました。
 


なるほど雌雄異株だったのでしたか。 
は雌苞葉に沈生します。 葉の先は透明尖となっていて、乾くと巻かずに茎に圧着します。 



ベレー帽のような蓋がとれると軸柱が壺に残る特徴があることから、ケギボウシゴケで間違いないと思います。


ヒメクジャクゴケ (クジャクゴケ科)

2011年03月23日 | コケ植物



あっ このコケ!
KLXさんがブログにアップしていたクジャクゴケの仲間かもしれない・・・



もっと大きなコケかと想像していましたが、こんなに小さかったんですね。



側葉と、腹側には先が尖った腹葉が1列に並んでいます。
葉身細胞が18~30μmほどと幅がありましたので、クジャクゴケかヒメクジャクゴケかで迷いましたが



柄がわら色をしていることや、中肋が葉先近くまで来ていることから、ヒメクジャクゴケの方がふさわしいだろうと判断しました。



名前の通り孔雀がまさに尾羽を大きく広げたように、とても美しい姿のコケです。


シダレヤスデゴケ (ヤスデゴケ科)

2011年03月20日 | コケ植物



前回紹介しましたニスビキカヤゴケのすぐ隣に、少し小型でニスビキカヤゴケにそっくりなコケがありました。 まだコケを見分ける力をもっていない上にルーペも持っていなかったので、何度見比べも同じ種なのか別なのかわかりませんでした。



そこで、持ち帰って観察するとすぐに別の種だとわかりました。 腹側をみると両側にカプセルのようなものが対になって並んでいます。



このカプセルのようなものを拡大して見ると、袋状になっています。 ちょうどタヌキモ属の捕虫嚢によく似た形です。
 


これは、背葉の一部がこのように袋状になったものでヤスデゴケ科の特徴の1つです。 ここに水を蓄えて乾燥を防ぐ役割があるそうです。 う~んすばらしい!!



背葉には眼点細胞(オセルス)が中心に並んでいます。 眼点細胞は苔類の葉に見られる油体の充満した細胞で他の細胞とは異なっています。


ニスビキカヤゴケ (クラマゴケモドキ科)

2011年03月17日 | コケ植物



低い木でおおわれた、やや暗い場所の岩にへばりつくように生えていました。 葉には独特の光沢があります。 ちょうどニスを塗ったようだということからニスビキの名がつけられたそうです。 



見た目はハ虫類を連想する雰囲気で少し気持ちが悪いです。 でも、味はピリッと辛いとのことですので確かめてみました。

なるほど、かじってみると確かに舌の先がピリピリしてきました。 これは・・・案外好きな辛さだと感じました。


ホソバオキナゴケ (シラガゴケ科)

2011年03月15日 | コケ植物

このたびの東日本大震災の被害の甚大さに言葉もありません、被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。 
一日も早い救助や救援を願っています。 



今までこんなに身近にあるとは知りませんでした。 白っぽい緑色をして、葉が密に放射状についた特徴のあるコケです。 



一度特徴を覚えてしまうと、樹木の幹や土の上などあちこちで見つけることができます。



葉が白く見えるのは、1層の葉緑細胞の上下を大型の透明細胞がサンドイッチ状に覆っているからです。 ちょうど種子植物のクチクラ層のように直射日光を反射したり、葉からの水分消失を防いでいるのでしょうか。



は傾いて着き、赤褐色をしています。 乾くと縦じわができることも特徴の1つです。 



の基部にこぶがあるのですが、このことは図鑑には書いてありませんので、たまたまこの株だけなのかもしれません。


カラフトキンモウゴケ (タチヒダゴケ科)

2011年03月11日 | コケ植物



樹木に着生している小さなコケがまたありました。 なんだかこれも違う種類のコケような気がします。



今まで見たことが無かった帽に多くの毛があるタイプです。 乾燥すると葉がクルクルと強く巻きます。 



葉の基部は広くなり丸みをおびています。 さく歯は8対あることから、カラフトキンモウゴケに間違いないと判断しました。



さく歯を観察している時に面白い現象を見ることができました。 水分で少し湿らせただけで、さく歯がみるみる開き、乾燥するとまた元のように閉じます。

  

水分を敏感に感じて胞子を飛ばすためなのでしょうか・・・ 面白い仕組みです。



ヒナノハイゴケ(クチベニゴケ) (ヒナノハイゴケ科)

2011年03月10日 | コケ植物



近くの公園の少し日蔭に生えているクスノキの樹皮には、ノキシノブや小さなコケがたくさん着生しています。

思いっきり近づいて見ると、雌苞葉に埋もれたをたくさん出しています。 葉は密に着いていて中肋はなく、先は白い透明尖となっています。



歯や口環が赤っぽい色でよく目立つことから、クチベニゴケ(口紅苔)の別名があるヒナノハイゴケのようです。



ヒナノハイゴケ属には、「歯には密にパピラがある」という特徴がありますので、顕微鏡で観察しますと、



確かに歯にはびっしりとパピラが見られましたので、ヒナノハイゴケに間違いないようです。