よく散歩する公園の遊歩道にある石垣。 この石垣にはところどころに水抜き用のパイプがつけてあります。
おやっ! こんなところにもコケが・・・ おお~目玉くんじゃないですか。
ちょうど球状のかわいいを長く伸ばしています、タマゴケの仲間ですね。 見えている葉は別のコケのナガヒツジゴケのようです。
葉はこまかくて先が尖り、柄が赤いのでコツクシサワゴケです。 水際が好きなサワゴケですが、市街地のこんな場所にも住みついているなんてほほえましい風景でした。
湿った谷あいに多く見られ、大きめの丸い葉があつまってつき目立ちますのでわかりやすいコケの1つです。
丸い葉の上にもじゃもじゃとしたも仮根がついているのが特徴で、名前もここからつけられています。
仮根は茎から上部の葉の上面までびっしりとついています。
上部の葉の付近には仮根が密生しています。
褐色の仮根の先には線形の無性芽をつけています。
ケチョウチンゴケの葉の細胞は少し長めの美しい六角形をしています。
2月中旬、公園の道の脇でゼニゴケの仲間から丸っこいかわいい雌器床がでているものを見つけました。
1ヶ月後、丸かった雌器床はヒトデ型になっていましたので、このコケは全国に普通に見られるジンガサゴケだとわかりました。
4月の中旬になると陣笠の柄が長く伸びてきました、公園のあちこちにジンガサゴケはあるのにこんな姿には今まで気がつきませんでした、コケを見る目をもっていなかったんですね。
4月下旬には胞子嚢が真っ黒で丸くなり、外からも確認できるようになります。
胞子のようすを顕微鏡で観察しますと、とさか状の縁のついた胞子と弾糸がいっしょに見られます。
弾糸はらせん状の模様が入っていて光をあてると乾燥してうねうねと線虫のような動きをします。 この動きで胞子を遠くまではね飛ばします。
コケといえば日蔭のジメジメしたところに生えるという印象がありますが、中には日当たりの良い場所を好むコケもあります。
この街路樹の根元にはびっしりとものすごい数のをつけているコケがありました。 ヒョウタンゴケです。
の形からヒョウタンゴケと名付けられたそうです。 1つのは瓢箪のようには見えないのですが、たくさん集まると千成瓢箪を連想します。
の蓋は渦巻き模様が美しく、蓋とさくの間には透明な細胞でできた口環が発達しています。
この全国に広く分布してどこにでもみられるヒョウタンゴケには、ものすごい能力を持っていることが最近の研究でわかったそうです。
ヒョウタンゴケは水質汚染物質の一つで人体に有害な重金属である鉛を蓄積することが発見されました。その蓄積量は、ヒョウタンゴケを乾燥させた重量の70%にも達するそうです。 さらに、ヒョウタンゴケは乾燥重量の11%という濃度で金を蓄積することや、クロムや白金も数%蓄積することまでわかってきたそうです。
*参照:『コケ植物でグリーンイノベーションを実現する』 http://www.riken.jp/r-world/info/release/news/2011/jan/fea_01.html
さらに、放射線物質までもため込むコケがあるそうです。 放射性ストロンチウム含量の高い土壌に生育するコケは、この元素を高濃度で含有しているという報告もあるということです。 これからの救世主はコケ植物かもしれません。
これだっ!お目当てのコケを見つけました。 このところ晴れた日が続いているためコケたちは乾燥気味でみすぼらしい感じがしますが、ムクムクゴケのようです。
水を吹きかけると葉がピンとして明るい緑色がよみがえります。
このムクムクさをごらんください。 緑色をしたテディベアの縫いぐるみとでもいいましょうか、う~んふかふかの感じがします。
ところが、この葉を実体顕微鏡でみますと・・・
まるでスケルトンです! 目で見ただけでは種子植物の葉のようにみえますが、実はムクムクゴケの葉は細かく分かれて長毛状になっています。
しかし触った感じはトゲトゲではなく、やっぱりビロードのようにふわふわっとしています。
見ただけでわかるタマゴケに続き、こちらもわかりやすいエビゴケです。
岩壁面にびっしりと垂れ下って生えています。 2列に規則正しく並んだ葉をもち、茎の頂端近くの苞葉の先端は長く伸びています。
には歯がありません。 日本には1属1種なので間違うことがありません。 タマゴケはタマちゃん、これはエビちゃんと呼んでいます。
タマゴケ・・・球状のがとても特徴的で姿の美しいコケです。 やや湿った岩の側面に時に大群落を作っています。
この時は少し乾燥していて葉が縮れていますが、ここで見たものは大きな岩全体がほとんどタマゴケにおおわれていました。 (タマゴケ岩とネーミングしました)
こちらはは少ないのですが、ちょうどよい湿度かげんで葉がシャキッとしていてこれもまた綺麗です。
タマゴケの茎は枝分かれした褐色のパピラのある仮根におおわれている特徴があります。
日当たりのよい岩の上や砂地に塊をつくって群生します。 すんすんと上に伸びあがった姿を筆に見立てて名前がつけられました。
光沢のある濃い緑色の葉で、先端部は透明なのぎとなっています。
葉の断面をみると、ステライドが中肋の背腹の両面にあります。
こちらは、やや小型でステライドが背側のみにあるヤマトフデゴケです。 乾燥しているとやはり筆の穂先のようです。
水をシュッと一吹きすると葉を広げ緑色が鮮やかになり、こんな感じになります。
公園の芝生の上や、土の上や土手などに普通に見られます。 春先にをたくさんつけるコケです。
真っ赤な柄がとてもきれいで、群生していると土の上が赤く染まっているようにも見えます。
葉が小さいのですが、葉身細胞が長いひし形で上部にパピラが見られますので、とても特徴のある葉をしています。
コケの名前は、よく意味がわからないものも多くて、このノミハニワゴケという名前も・・・「蚤・葉・庭ゴケ」と解釈して「小さな葉の庭ゴケ」という意味だろうと思っていました。
ところがNet検索で「蚤埴輪蘚」と書いてあるページがありましたので、読み方を間違えていたようです。 が成熟して乾燥すると勾玉のように曲がるところから・・・「埴輪」なのでしょうか?