花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

スミレ 閉鎖花の内部

2008年11月11日 | 閉鎖花

スミレの閉鎖花は、花弁は小さな鱗片として退化しています。 雌しべの花柱は180度わん曲して柱頭は雄しべの葯にくっついています。 そっと離してみると、花粉が柱頭に着いて受粉しているのが観察されます。 

柱頭に着いた花粉は、すでに花粉管をのばしています。 閉鎖花での結実率はほぼ100%だそうです。

開放花にはりっぱな雄しべが5本ありますが、閉鎖花では2本だけであとの3本は小さく退化しています。 

さらに花は小型化して、おまけに蜜も分泌していません。 とことんコストダウンを測った繁殖方法となっています。


スミレ 閉鎖花

2008年11月10日 | 閉鎖花

海岸に生えているので、葉が厚ぼったいスミレです。 もしかしたら、アツバスミレになるのかもしれません。 花は1つも咲いていないのに果実がたくさんできています。

葉の根元をよく見ると、タツノオトシゴによく似た閉鎖花がいくつも見られました。


ヤブマメの豆果

2007年11月11日 | 閉鎖花

ヤブマメが果実をつけはじめてきましたので、あらためてヤブマメの果実(豆果)を見てみました。 
豆果は中に3個ほどの種子が入っています。
そして、葉柄の脇から出ているものがほとんどです。 
どうやら、地上になっている豆果はほとんどが閉鎖花からできたもののようです。 
これにはちょっと驚きました。


ヤブマメ もう1つの閉鎖花

2007年11月09日 | 閉鎖花

・・・昨日の続きです。

ヤブマメは花を咲かせて他家受粉で種子を作り、また地下に閉鎖花をつけて結実することはよく知られています。 
実はそれ以外にも、さらに地上にも閉鎖花をつけるということです。 いったいどれが閉鎖花なのだろうと気にしながら、ずっと花を観察していました。 
昨年はとうとう地上の閉鎖花を見つけることができませんでした。 

そして、今年ついに地上の閉鎖花を見つけました! 
閉鎖花を見つける大きなヒントになったのが、上の画像です。 みなさんおわかりでしょうか?

花を着けている花序とは違う脇のところから豆果ができています。 アップにしてみました。

左下に2つ脇のところから豆果ができています。 あきらかに花の花序とは違っています。
右上の黄色い矢印のものは、こんなに小さいのにもう豆果になりつつありますが、花弁が見あたりません。 
この脇から出る、さらに小さなつぼみをルーペで見たところ、花弁は無く 雄しべが数本雌しべの柱頭にぴったりとついた閉鎖花だということがわかりました。


ヤブマメ 2つの閉鎖花

2007年11月08日 | 閉鎖花

ヤブマメは種子をつくるのに、念の入った方法をとっています。
まず花を咲かせて、他家受粉で種子を作ります。 これは、他の植物と同じですね。
それ以外に、地下に閉鎖花をつけて自家受粉で結実します。 

地下の閉鎖花からできる種子はとても大きくて、普通の種子の約2倍ほどあります。 ただし豆果の中には1個だけできます。

さらに、もう1つの方法も持っています(明日へ続く)


ホトケノザ 閉鎖花

2007年02月10日 | 閉鎖花

まだ寒いこの時期、花を咲かせていないはずなのに、種子がどんどんできています。 ホトケノザは紅紫色の花のほかに、つぼみのまま結実する閉鎖花をたくさんつけることで有名です。 花を咲かせるつぼみと閉鎖花を観察してみました。


上:開放花のつぼみ   下:閉鎖花  

開放花のつぼみの中を見ると、雄しべもめしべも長くて、カニの爪のような めしべの柱頭がはっきりわかります、雄しべから花粉はまだ出ていません。


開放花のつぼみ

一方 閉鎖花の中を見ると、雄しべもめしべも短くて 雄しべからすでに花粉が出ています。


閉鎖花

別の閉鎖花を正面から見てみました。 めしべの柱頭は花粉の出た葯にぴったりくっついていて、すでに受粉を終えた状態でした。 

ホトケノザは昆虫がいない冬の間でも 閉鎖花をどんどん咲かせ、自家受粉によって種子をつくってゆくという、すごい戦略をもっていたんですね。


ツユクサ 開花

2006年11月26日 | 閉鎖花

ツユクサはほんとうにたくましい花です!! 4日ほど前に閉鎖花状態のツユクサを観察しようと、ペットボトルに水を入れて1輪だけ挿して部屋に置いていたところ、な・な・なんと今朝花がみごとに咲いていました! 

『この花がいいねと君が言ったから 11月26日は開花記念日』・・って感じで 思わずカメラでパチリ。

ツユクサの開花は温度が関係していたんですね。 秋が深まり寒い日になってくると花弁を開かずそのまま自家受粉をすることが多くなる(閉鎖花)。 それでも暖かい日がきたら花弁を開き昆虫を誘うこともできる。 花粉もたっぷり出していました。


ツユクサの閉鎖花

2006年11月25日 | 閉鎖花

秋が深まるころのツユクサは花を開かないまま、午後になるとしぼんでいきます。 花の中はどうなっているのか確かめてみました。

花弁を取り去ってみると、中では雄しべとめしべが絡まっている状態です。 

花粉はちゃんとでています、O形の2本の雄しべはもちろんですが、Y形の1本の雄しべからも花粉が出ています。

さらに、3本のX形からも花粉が出ています。 図鑑によってはY形や、X形の雄しべは花粉を出さないと書いていますが、ちゃんと出しています。

めしべは花柱をクルクルと巻き込んでいて、柱頭には花粉がしっかりついていました。 まちがいなく ツユクサは閉鎖花を咲かせているようです。


ツユクサ 閉鎖花

2006年11月24日 | 閉鎖花

ツユクサはほんとうにたくましい花です。 11月下旬になってほとんどのツユクサが枯れている時期だと思っていましたが、この場所のツユクサはまだ青々としています。

しかし、夏場にはとっくに花を咲かせているお昼近くになっても、この花も、

こちらの花も、まだ花を開かないままの状態です。 

この場所には10個以上も花をつけていましたが、1つだけ少し開いていた以外は 残りはすべて花を開かない閉鎖花の状態でした。


センボンヤリ 閉鎖花

2006年10月25日 | 閉鎖花

昨日の続きです。 
センボンヤリの秋型の花は閉鎖花で、すべて筒状花からなっています。 中の様子を観察してみました。 

総苞片の中では、すでに冠毛が長く伸びていて前側の半分が色づいています。 小花を取り出してみました。 冠毛の中にそれぞれに細長い筒状花が1つづつあります。

1つの筒状花の白い花冠を開いてみると、中には色づいた雄ずいがあります。

その色づいた雄ずいをさらに開いてみると、中にはすでに柱頭に花粉がついた雌しべがありました。

秋型の花ではこのように、花を開くことなく、確実に自家受粉を行なって子孫を残す方法をとっています。