花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

マルバツユクサ Commelina benghalensis

2011年09月29日 | Commelinaceae



マルバツユクサはアフリカが原産と考えられていて、日本は分布域の最北端の1つとなっています。 小さくてかわいいミッキーマウスのような花を咲かせますが、通常の地上花の外に、地下に閉鎖花をつけることでも有名なツユクサです。



原産地のアフリカでは外部形態や染色体数は変化に富み、日当たりのよいサバンナや農地では染色体数が2n=22、湿った林内では2n=44や66が見られるそうです。
しかし、インドやパキスタンや日本では今のところ、染色体数が2n=22のみが知られています。


 the chromosome counts of  2n=22  from Japan

 


ホウライツユクサ Commelina auriculata Blume

2011年09月24日 | Commelinaceae



ツユクサよりも早起きで朝1番にはもう花を咲かせています。 花は淡い青色で花弁がふくよかで、小さなハナバチやヒラタアブの仲間がよく訪れています。 図鑑の中には「ツユクサは昆虫の訪問が稀である・・・」というようなことが書かれているものもありますが、 そんなことはありません、こちらのツユクサには朝とてもよく昆虫が花を訪れています。

花の中には2枚の花弁が向かい合っているように見えることもあって違う花ではないかと思うこともあります。



日本での自生は九州南部以南とされていますが、Googleすると神奈川県にもホウライツユクサが咲いているそうです。 画像を何度か見ましたが九州南部のホウライツユクサとは花や葉のようすが少し異なっているようにも思えます。 1度実物を見てみたいものです。



藤色のツユクサ

2011年09月20日 | Commelinaceae



ツユクサの花と言えば“青色”というのが普通ですが、稀に藤色をした花を見かけることがあります。



このように花弁が藤色のものは、ケツユクサにもツユクサにもみられます。 Net検索で見ると国内ではケツユクサの花で藤色がよくヒットします。 ここに咲いているものは、苞に毛が無いツユクサの藤色バージョンです。 外国のサイトでもツユクサの花の色は 2petals blue to bluish purple (2つの花弁は青色から薄青い紫色)などと紹介されていますので同じ色のツユクサが見られるのでしょう。

染色体数を確認するとやはり Commelina communis L. と同じ2n=88でした。 


ツユクサ Commelina communis L.

2011年09月17日 | Commelinaceae


苞に毛の生えていないどこにでも見られるツユクサです。 言い方を変えると新参者のツユクサで、勢力範囲を全国的に広げた新しいタイプのツユクサです。



染色体数はケツユクサ(2n=44)に対して倍数体の2n=88ですので4倍体となります。


  the 2n=88 chromosome number 

こちらではツユクサとケツユクサが隣り合って咲いている場所があるのですが、なぜ、こんなに近くに2タイプが咲いているのか不思議でした。
こんなに近くに咲いているならば、付近に中間型(雑種)があるかもしれないと思い以前探してみましたがまったく見つかりませんでした。

なるほど、染色体数がこのように違っているので、これらの2タイプでは交配できないということがようやくわかりました。

毛深いケツユクサ (仮称 ハマツユクサ)

2011年09月15日 | Commelinaceae



海岸に稀に見られる毛深いケツユクサの雄しべのようすをみますと、短い3本のX型仮雄しべと中くらいの長さのY型雄しべの長さがほとんど差が無いものがあります。 



さらにこちらの花では、最も長く前に突き出しているはずの2本のO型おしべがほとんど前に突き出ていません。 そしてそれぞれの雄しべの形や大きさがあまり差がありません。 
ツユクサは花が横向きになり、6本の雄しべが、長い2本、短い3本、中くらい1本に変化してそれぞれに役割を持つように進化していますが、この花はもしかすると進化する以前の形をとどめているのでは・・・とかってに想像しています。

さらにこの毛深いツユクサの中には、生殖能力が無いはずの短い3本のX型仮雄しべにも、ちゃんと正常な花粉を出しているものも見つかっていて、「ツユクサの庭さん」が海岸ツユクサ(仮称 ハマツユクサ)として調査を続けられています。 (ここを参照

もしこのような、葉の両面に毛を密生する毛深いツユクサをご存知でしたら教えて下さい。


毛深いケツユクサ

2011年09月14日 | Commelinaceae


                  
海岸にごく近いところには、ケツユクサの中で葉の裏側に毛が生えているものがみつかります。 



さらに葉の裏側だけでなく表側にも短い毛がびっしりと生えているケツユクサが見つかることが稀にあります。



このケツユクサの短毛がびっしりと生えた葉を手で触ると、まるでビロードのようなすべすべした心地よい感じがします。 


               ( 毛深いケツユクサ : ケツユクサ )

実際に花を比較してみると、花弁が普通のケツユクサに比べてかなり大きく、ぽっちゃりとした印象を受けます。・・・(明日へ続きます)



ケツユクサ

2011年09月13日 | Commelinaceae



ツユクサの青い花がとても美しい季節になってきました。

このツユクサは苞に毛があるタイプで、ケツユクサとも呼ばれています。 こちらではケツユクサは山間部や海岸に近い地域など飛び飛びにしか生息していないようです。

学名は Commelina communis L. f. ciliata Pennellとされていますので、ツユクサの1品種に位置づけをされています。 しかし、このケツユクサは染色体の研究からすると実は原始的なタイプで、染色体は初期の2n=44からのちに2n=46・48・50・52 などが出現したそうです。 


このケツユクサの染色体を調べたところ、2n=44だということがわかりました。

さらに倍数体の2n=88や90の新しい毛のないツユクサが出現し、これらの新しいタイプのツユクサが勢力を広げていき、この苞に毛のあるケツユクサは生存競争に敗退していったと考えられています。