花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

DNA分類-違う科へ移動

2011年01月31日 | APG分類体系

DNA分析で違う科へ移動したもの  

ハゴロモモ科 ← スイレン科

・ジュンサイ (ハゴロモモ科 ジュンサイ属) ← スイレン科

アオイ科 ← アオギリ科

・カラスノゴマ (アオイ科 カラスノゴマ 属) ← アオギリ科

コミカンソウ科 ← トウダイグサ科

・コミカンソウ (コミカンソウ科 コミカンソウ 属) ← トウダイグサ科


・ナガエコミカンソウ (コミカンソウ科 コミカンソウ 属) ← トウダイグサ科


ヒユ科 ← アカザ科

・ハママツナ (ヒユ科 マツナ 属) ← アカザ科

サカキ科(新称) ← ツバキ科

・ヒサカキ (サカキ科 ヒサカキ 属) ← ツバキ科 

今日で12回ほど続きましたDNAによる新しい分類体系の記事は、これで終わりにします。 

実際にはまだまだ多くの科や属が移動しています。 DNA分析によって今まで同じ科だったものが、実はまったく違う科や属であることが判明したり、新たに移動した科の植物どうしとは、とても似ていないと思えるものも実は近い関係にあることがわかったことは、大きな驚きでとてもワクワクするものでした。 

また同時に、マメ科やバラ科やイネ科・・・etc など今までの形態学的な分類が DNA分析によってもそのまま支持されているものもたくさんあります。 このことは今までの形態分類の正しさが証明されていることであり、あらためてその科学的な手法にも感心してしまいました。
「遺伝子情報(DNA情報)を基に類縁関係をつかもう」とする新しい分類体系は学術的には優れた手法です。 今後図鑑などにも今までの形態学分類とDNA分類の両方の情報が取り入れられたものが必ず採用されていくことでしょう。


ユリ目 ユリ科から違う科へ

2011年01月28日 | APG分類体系

ユリ目 ユリ科から違う科へ移動したもの

シュロソウ科

・シライトソウ (シュロソウ科 シライトソウ属) ←ユリ科    ・アオヤギソウ (シュロソウ科  シュロソウ属) ←ユリ科
 

 ・シロバナエンレイソウ (シュロソウ科 エンレイソウ属) ←ユリ科


 ・ツクバネソウ (シュロソウ科 ツクバネソウ属) ←ユリ科

 ・ホソバシュロソウシュロソウ科 シュロソウ属) ←ユリ科

Murmur : シュロソウはどちらかというと目立たない種だったのに、科の代表になりました・・・)


シオデ科

・シオデ (シオデ科 シオデ属) ←ユリ科


・サルトリイバラ (シオデ科 シオデ属) ←ユリ科

Murmur : ユリ目 シオデ科 これは覚えやすい科でよかった・・・)


イヌサフラン科

 ・チゴユリ (イヌサフラン科 チゴユリ属) ←スズラン科 ← ユリ科


 ・ホウチャクソウ (イヌサフラン科 チゴユリ属) ←スズラン科 ← ユリ科
Murmur : うむ~っ あのピンク色や紫色の大きな花のイヌサフランに近いとは・・・まさにユリ科大解体ですね!!)


DNAによるキスゲ属の分類

2011年01月26日 | APG分類体系

 ニッコウキスゲの群落

ニッコウキスゲ・ユウスゲ(キスゲ)・ヤブカンゾウなどを含むキスゲ属は、花形もユリそっくりでユリ科の代表的な植物のひとつと思われています。 私も今まではユリ科の特徴をそなえている植物だと覚え込んでいました。

 ユウスゲ(キスゲ)

しかし、キスゲ属は花に花筒が発達することや、葉が線形で2列互生をするなどユリとは異なる特徴があり、その系統的な位置は今までも問題になっていました。 これが近年のDNAによる分析でとうとうユリ科とは異なるグループであることが判明したことになります。


  ・シンテッポウユリ(ユリ科 ユリ属)の花冠(花筒はない)と葉


    ・コオニユリ(ユリ科 ユリ属)の葉               ・ユウスゲ(ワスレグサ科 ワスレグサ属)の葉

DNAによる分類ならば類縁関係は完璧だろうと思っていましたが、キスゲ属はマバリー分類体系では ワスレグサ科、APGⅢ分類体系では  ススキノキ科と研究者によって分類が異なっています。     

    キスゲ属(Hemerocallis属)の分類

          従来のエングラー体系・・・ ユリ科 (ユリ目)

           APG Ⅰ分類体系  ・・・キスゲ科
           APG II分類体系 (2003) ・・・ススキノキ科あるいはキスゲ科
           APG III分類体系 (2009) ・・・・ススキノキ科  クサスギカズラ目  (Asparagales)  

           マバリー分類体系 (2008)・・・ワスレグサ科  キジカクシ目  (Asparagales) 

系統分類学は急速に進歩していて、DNAによる新しい分類体系の波は、どんどん押し寄せてきていることはまちがいありません。 今後研究が進めばさらに変更があったり、新しい分類体系が次々と発表される可能性もあることでしょう。 全ての図鑑が書き変わるかもしれないほどの大きな混乱は、新しい学問の内容が分類学にとって大きな進歩でもあることを物語っていることなのでしょう。 


ユリ目ユリ科から大移動-キジカクシ目へ

2011年01月24日 | APG分類体系

ユリ目ユリ科からキジカクシ目へ移動したものは多くあります 
いきなり目名にまで昇格してただ今注目度のNo.1の キジカクシキジカクシ目 キジカクシ科 クサスギカズラ属) ← ユリ目 ユリ科

前回紹介した
スズラン キジカクシ目 キジカクシ科 スズラン属) ← ユリ目 ユリ科 のほかにも次の属は大移動です。

 
・キチジョウソウ (キジカクシ科 キチジョウソウ属) ←ユリ科  ・ジャノヒゲ (キジカクシ科 ジャノヒゲ属) ←ユリ科 


・ナルコユリ (キジカクシ科 ナルコユリ属) ← ユリ科 

・ヤブラン (キジカクシ科 ヤブラン属) ←  ユリ科

 
・コバギボウシ (キジカクシ科 ギボウシ属) ←  ユリ科


・マイヅルソウ (キジカクシ科 マイヅルソウ属) ←  ユリ科

Murmur : こんなにもキジカクシ科へ移動してしまったなんて、今までのユリ科ってなんだったんだろう・・・)

 
 
・ヤマラッキョウ(キジカクシ目 ネギ科 ネギ属) ← ユリ目 ユリ科

Murmur : まあ、ネギ科には納得だけど・・・キジカクシ目かぁ)
 
  
           ・ヤブカンゾウ                        ・ユウスゲ(キスゲ)              
            (キジカクシ目 ワスレグサ科 ワスレグサ属) ← ユリ目 ユリ科
 
Murmur : ええ~っ この2つはどこから見てもユリ科でしょ~!!・・・)

選抜女子駅伝北九州大会

2011年01月23日 | エピソード

 APG 分類の記事を連日書いていますが、今日は一息 コーヒーブレイクです。

毎年この時期に北九州市を舞台に行われている、『第22回 選抜女子駅伝北九州大会』の観戦に行ってきました。

 

この選抜女子駅伝は、実業団、高校の女子長距離界のトップチームが同じコースで競うという全国的にも珍しい駅伝大会です。

  

4区から5区の中継所のようすです、高校生と実業団の選手が入り混じってタスキをつなぎます。実業団選手にとっては高校生には負けられないというプライドがありますが、高校生も強くて負けてはいません。

 

オリンピックやアジア大会の代表選手も参加しています。 もちろん地元TV局が実況放送を行っています。

実業団の部は全日本実業団対抗女子駅伝の覇者、天満屋が4区の浦田佳小里 選手でトップを奪いました、ちょうどこの場面を沿道から観戦することができました。 それまで1位は地元の九電工でまわりはもちろんすごい応援でしたが、こっそり「浦田がんばれ!」と声援をおくりました。
 
そのまま最終
5区の 中村友梨香選手にタスキを引き継ぎましたが、3位でタスキを受けた三井住友海上の渋井陽子選手が区間賞の好走で天満屋を逆転して1時間46分40秒で初優勝しました。 高校の部は立命館宇治高校が1時間46分50秒で優勝を飾りました。

 三井住友海上が 初優勝

 


ユリ目から大移動-1

2011年01月22日 | APG分類体系

APGⅡでは、被子植物を ・原始的双子葉類 (原始的な形質を備えた双子葉類の1群)
                 ・ 単子葉類
              
真正双子葉類 (進化が進んだ双子葉類の1群) 

の3群に区分し、単子葉類は原始的双子葉類から進化したと仮定しています。 従来の新エングラー分類体系のように双子葉類の後に単子葉類を置く処置は現在の系統進化についての理解からは外れています。

単子葉類のユリ科はきわめて多様な植物群が含まれていて、近年その分類体系が最も揺れ動いたグループです。

ユリ科からだけではなく、なんと!ユリ目からもはずれてしまいました

・オモダカ目 チシマゼキショウ科 へ移動

イワショウブ (チシマゼキショウ チシマゼキショウ属) ← ユリ科

・サクライソウ目 サクライソウ科 へ移動

・オゼソウ (サクライソウ オゼソウ属) ← オゼソウ科 ← ユリ科

Murmur : オゼソウの属名 Japonolirion は「日本のゆり」だったのに・・・サクライソウ科ですか・・・)

・キジカクシ目 キジカクシ科 へ移動

・スズラン (キジカクシ科 スズラン属) ← ユリ科

・ヤマノイモ目 ノギラン科 へ移動

・キンコウカ (ノギラン
 キンコウカ属) ← ユリ科

Murmur : 目のレベルで移動してしまうなんて・・・、もうユリの仲間だなんて言えなくなってしまいました)


マバリ-分類体系-ガリア科・アジサイ科

2011年01月20日 | APG分類体系

新しい科へ ミズキ科 → アオキ科 → ガリア科 へ変更

・アオキ (ガリア アオキ属)
 
アオキ属は、雌雄異株であることや花粉の構造などからミズキ科とはまったく違っているので、アオキ科として扱われていることもありました。 APGⅡでは独立したアオキ科となりましたが、本書ではアオキ科からガリア科へと移っています。
Murmur : ガリア科と聞いてもガリアという植物を見たことがないのでピンとこないのだけど・・・)



新しい科へ ユキノシタ科 → アジサイ科
   アジサイ (アジサイ科 アジサイ属)

 イワガラミ (アジサイ科 イワガラミ属)

Murmur : アジサイ科はわかりやすいです・・・)


 一方 スギ科が解体です

・スギ属・・・ヒノキ科 ← スギ科 


・メタセコイヤ属・・・ヒノキ科 ← スギ科
・コウヨウザン属・・・ヒノキ科 ← スギ科
・コウヤマキ属・・・コウヤヤマキ科 ← スギ科

Murmur : 明日は檜になろう、明日は檜になろう・・・スギまでもヒノキ科ですか・・・)


 ヤドリギ科が分かれました

・ヤドリギ属・・・ビャクダン科 ← ヤドリギ科 

・オオバヤドリギ属・・・マツグミ科 ← オオバヤドリギ科 ← ヤドリギ科

 

 

 

 



 

 

 

  



Murmur : ヤドリギはビャクダン科になったのかぁ・・・ビャクダンを調べたら寄生植物だった、少し納得)


マバリ-の分類体系(2008)

2011年01月20日 | APG分類体系

今年の1月13日からブログに書いていましたAPG植物分類は、2003年に発表されたAPGⅡの記事をもとに書いていたのですが、いろいろとNET検索していくうちに情報が混乱していてどれが正しい記述なのか判断できなくなってきました。 やはり根拠となる書物(文献)をもとに書くことが重要ですので、今まで買おうかどうか迷っていました「植物分類表」(2010.大場秀章 著.アボック社)を購入して、今後はこの本に従って記事を書くことにしました。

 この書物はマバリ-(D.J.Mabberley) の分類体系(2008)を採用しています。  マバリ―の分類はAPGⅡ(2003)の見解を勘案して構築された進化分類法です。 
さっそく読んでいくと、今まで記事にしたもののうち次の4つはこの本ではもうすでにAPGⅡ(2003)の見解とは異なっていました。

新しく独立した科と紹介しましたが・・・

・ウメバチソウ属・・・ニシキギ科 ← ウメバチソウ科 ← ユキノシタ科
 (ウメバチソウ科は、ニシキギ科に含まれました)


・タコノアシ属・・・ユキノシタ科 ← タコノアシ科
 (一応タコノアシ科をユキノシタ科に含めて扱っておくと書かれています)


Murmur : 「タコノアシ科・ウメバチソウ科 独立おめでとう」 と書いたけど、もう独立ではなくなっています・・・)


ヤブコウジ科はサクラソウ科に含まれました。

・ルリハコベ属・・・サクラソウ ← ヤブコウジ科


・オカトラノオ属・・・サクラソウ ← ヤブコウジ科

Murmur : サクラソウ科→ヤブコウジ科→サクラソウ科・・・めまぐるしいなぁ・・・)


APG分類-サトイモ科(ウキクサ科)

2011年01月19日 | APG分類体系
 ウキクサ(ウキクサ科→サトイモ科

ウキクサ科APG植物分類体系ではサトイモ科に統合されました。 

あの小さなウキクサが、大きな植物が多くあるサトイモ科と同じ科になったことに驚きましたが、図鑑でウキクサ科の解説を読んでみますと、

 ミズバショウ(サトイモ科 ミズバショウ属)

「ウキクサ科は系統的にはサトイモ科のボタンウキクサかあるいはその祖先形から由来したと思われている」と書かれてありました。
つまり、今までのこの説が正しかったことがDNAから証明されたということでしょう。

 ボタンウキクサ(サトイモ科 ボタンウキクサ属)

ボタンウキクサはサトイモ科では特異なもので、浮水生活への特殊化が進み、さらに退化した花序を持つウキクサ科へと進化する中間段階と考えられています。

APG植物分類-独立した科・消失する科

2011年01月17日 | APG分類体系

新しい科として独立

 ユキノシタ科(
またはベンケイソウ科)からタコノアシ科
に独立
 
タコノアシ タコノアシ科 タコノアシ属

タコノアシ属は 心皮数が萼片や花弁と同数であることや朔果の形態などから ベンケイソウ科に分類する説や、花の解剖・胚発生などからユキノシタ科に分類する説があり、今まででも図鑑によって科が異なっていましたがタコノアシ科として独立しました。

  ユキノシタ科からウメバチソウ科に独立
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/033.10.21%20014.jpg ウメバチソウ(ウメバチソウ科 ウメバチソウ属)
同じくウメバチソウ科として独立です。

Murmur : タコノアシ科・ウメバチソウ科 独立おめでとう!!)



消失しそうな科

APG植物分類体系で科が統合されて消失しそうなものもでてきました。

・オミナエシ科 → スイカズラ科
 オミナエシ(スイカズラ科

・マツムシソウ科 → スイカズラ科
 マツムシソウ(スイカズラ科

・カエデ科 → ムクロジ科
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/9c/6bf9da946dfc6a352b1fa9961185174c.jpg イロハカエデ(ムクロジ科

・ウリノキ科 → ミズキ科
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/36/196343273db72d20eb47969e8935c1a0.jpg ウリノキ (ミズキ科

・イチヤクソウ科・シャクジョウソウ科 → ツツジ科
 
           イチヤクソウ (ツツジ科)                        ギンリョウソウ (ツツジ科

・ガガイモ科 → キョウチクトウ科
 ガガイモ (キョウチクトウ科

・ヒシ科 → ミソハギ科
 
ヒシ (ミソハギ科

これ以外にも次のよう中な科が消えてしまいそうです。
 ・ウキクサ科 → サトイモ科
 ・アカザ科 → ヒユ科
 ・ザクロ科 → ミソハギ科
 ・イイギリ科 → ヤナギ科
 ・アオギリ科・シナノキ科 → アオイ科
 
Murmur : マツムシソウ科やガガイモ科は好きな名前の科だったのになぁ・・・)