花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

外来ツユクサのひっつきむし(散布体)

2010年10月18日 | Commelinaceae



ツユクサの仲間にも’ひっつきむし’がいることがわかりました。



外来ツユクサのコメリナ・ウンドゥラータ(Commelina undulata)の苞には、長毛と短毛が生えています。 短毛は苞の全体を覆うようにびっしりと生えています。
この短毛を顕微鏡でみると、先がするどくフック状に曲がっていることに気がつきました。

 長毛と短毛がびっしり生えている苞

 フック状の短毛

このフック状の短毛で衣服などにくっつき、種子の散布に役立たせていることがわかりました。

※詳しくはCommelina undulata の散布体の観察をご覧ください。


キセワタ

2010年10月15日 | 山の花


キセワタは山地の草原に生える、シソ科メハジキ属の多年草です。 和名について牧野博士は「着せ綿の意味で、花におおいきせる綿、すなわち花冠の上に白毛があるのでいうのであろうか」と書かれています。



キセワタを見つけると、いつも花冠の上部をよ~く見るのですが、



何度見ても綿のようには見えないんですよね・・・。



ただ光が反射するような角度で見つめ続けていると、花冠の上部が白っぽく感じてきて美しい花だなとあらためて思います。 



インバモ

2010年10月06日 | 山の花



これまた変わった名前の水草ですが、千葉県の印旛沼にちなんで名付けられた和名とわかれば、意味がわかります。 インバモはガシャモク(Potamogeton dentatus)とササバモ(Potamogeton malaianus)の自然雑種です。
インバモはガシャモクを母親とするタイプとササバモを母親とするタイプがあり、両者は葉の形態である程度区別できるそうです。

岸に流れ着いたインバモの葉と葉柄を測ってみましたところ、このインバモはササバモを母親とするタイプのようです。



花は水面上に立つ穂状花序につきますが、花は完全に開花せず花粉が不揃いで、種子も結実しない不稔花です。




 
この池にはインバモとインバモの片親であるガシャモクは発見されているものの、もう片親のササバモはまだ確認されていないことから、現在見られるインバモは過去に形成された雑種個体のクローンまたは、埋土種子に由来すると考えられています。

 *参考文献
 「北九州市お糸池における自然雑種インバモの起源と現状」(2008 天野・大野・須田・飯田・角野・小菅)


ガシャモク

2010年10月03日 | 山の花



“ガシャモク”なんだかとても変わった名前です。 名前を聞いただけではいったいどんな植物か想像もつきません。 
ガシャモクはヒルムシロ科の水草で、ササバモに似ていますが葉柄が短いかほとんど無いところが区別点とされています。

かつては、利根川水系(手賀沼)・琵琶湖に生えていましたが、沼の水質汚濁が進むにつれ、昭和50年代になるとその姿を見ることができなくなり、現在、国内では北九州市のため池のみに自生している沈水性の多年生植物だそうです。 環境省のレッドデーターブックでも絶滅危惧IA類に指定されています。

このガシャモクを見に行ってきました。 深い緑色をしたため池の中央部に水草が生い茂っています。 岸からはボートでもない限り近づけません。 しかし岸の周りを良く見ていましたら、流れついている水草がいくつかありました。

岸から離れていますが、葉柄をよ~く見てみますとほとんど無いことがわかります。 おそらくこれがガシャモクではないでしょうか。 

この貴重な植物もこの池ではかつて旺盛な生育が確認されていましたが、2000年を境に生育面積が急激に減少しきたてそうです。