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花*花・Flora

野の花・山の花・外来植物・果実や種子などなど、観察したことを気ままに綴るBlogです。 

タヌキマメ 豆果と種子

2010年12月11日 | 山の花



タヌキマメの豆果はこの大きなふさふさの萼に包まれていて、普段はあまり目にすることがありません。 ちょっと失礼して萼をはずして、中を拝見してみました。 中にはタラコのような形をした真っ黒に熟した豆果がありました。



花序の下の方をよく探してみると、豆果が萼から現れ、中央部分が二つに割れて、中の種子が見えているものが見つかりました。 つやつやしたオリーブ色の小さな豆(種子)です。



熟すと豆果は2つに裂けて一瞬にしてクルクルっとねじれ、その勢いで小さな種子を遠くまで飛ばします。



タヌキマメ属は日本には3種が自生しますが、世界の熱帯から亜熱帯に約6000種もあり、日本はその分布の末端だそうです。 

 


タヌキマメ

2010年12月08日 | 山の花


いよいよ今日あたりから冬型の気圧配置になるようで、12月らしい寒さが到来となりそうです。 



10月に写していたタヌキマメの画像を見ていましたところ、ふわふわの毛皮のマフラーを首に巻いて、襟元を温かく包んでいるような感じがしてきました。



上側にある2つの萼がよくわかります。 下側には3つ萼があります。、



タヌキマメの花は寝ぼすけで、午後になってようやく花を咲かせます。 ここの土手にはたくさんのタヌキマメがお昼過ぎに花を咲かせていました。


ホソバアカワレモコウ

2010年11月24日 | 山の花


前回昨日アップしましたコバナノワレモコウの、赤みがさしているものです。 これまたややこしいのですが、



日本の野生植物(2002 平凡社)では、
  Sanguisorba tenuifolia var. purpurea       和名:  ナガボノアカワレモコウ

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)では、
  Sanguisorba tenuifolia var. parviflora  和名:  コバナノワレモコウ  別名: ホソバアカワレモコウ



いったいどちらの名前を使ったらいいのでしょうね。

コバナノワレモコウ

2010年11月22日 | 山の花


ワレモコウ(Sanguisorba officinalis L.)にくらべて、穂が長くて白い色をしていますので花が豪華な感じがします。 またとても背が高くて、風にゆらゆらと大きく揺れるので優雅でもあります。



昔はこのように穂の長いものはすべてナガバノシロワレモコウだと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。 

日本の野生植物(2002 平凡社)では、これらはどちらも変種の扱い
 Sanguisorba tenuifolia var. parviflora .  和名:  コバナノワレモコウ
 Sanguisorba tenuifolia var. alba       和名:  ナガボノシロワレモコウ

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)では、母種がナガボノシロワレモコウで、コバナノワレモコウはその変種となっています。
 Sanguisorba tenuifolia                和名: ナガボノワレモコウ 別名: ナガボノシロワレモコウ
 Sanguisorba tenuifolia var. parviflora       和名:  コバナノワレモコウ



いずれにしても、九州でみられる穂が白くて長く背の高いものは、コバナノワレモコウには間違いないですね。

タコノアシの花弁2

2010年11月19日 | 山の花


                                                   【画像提供:陽だまりさん】

先日タコノアシの白い花弁らしきものを記事にしたところ、みなさんからたくさんのコメントをいただきました。
来年は2枚や3枚・・・もしかして5枚 (これは無理かな) の花もあるのではないかと探してみようと思っていたところ、
昨日 陽だまりさんから面白い画像を見せていただきました。 それが上の画像です。

ちゃんと白い花弁が2枚ついた花です、それも2つあります。
陽だまりさんによりますと「私が観察している場所では珍しくなく、毎年目にしていると思います。」とのことでした。 
これはもっとたくさんの花弁を持つ花も見つかりそうな予感がしてきました。



白いものがはたして花弁なのかどうか、再確認もしました。 果実期に入っていますがまだ花弁らしきものは残っています。 



着いている位置は萼と萼の間です。萼の内輪かどうかまではわかりませんが、花被片であることは間違いありません。



こちらは種子です。 紡錘状でとても細かくて、表面に細かい突起がついています。 
長さは0.4mm程度で、1個体に15,000個もの多量の種子が生産されるという報告もあります。


タコノアシの花弁

2010年11月11日 | 山の花



タコノアシの花は、両性で雄しべは10本、雌しべは5個の心皮からなり、柱頭は心皮と同数です。 花の全体は黄緑色であまり目立ちません。 9月に花をアップで写していた時、なにやら白いものが目に留まりました。



こちらの花にも、あちらの花にも、5個の萼の間から白い花弁のようなものがぽつりぽつりとあります。



花弁ではないかと思い写しはしたのですがそのときすぐに調べなかったので、つい忘れてしまっていました。 

思い出して調べなおしてみると、『花弁はふつう退化して無くなっているが、ときどき出ることがあり痕跡的で萼片より小さい』と書かれてありました。
やはり花弁のようです。 それも痕跡的ではなくて大きなはっきりした白い花弁です。



花が退化する以前の、白い花びらが5枚そろっていたタコノアシの花ってかなり華やかだったのかもしれませんね。 


キセワタ

2010年10月15日 | 山の花


キセワタは山地の草原に生える、シソ科メハジキ属の多年草です。 和名について牧野博士は「着せ綿の意味で、花におおいきせる綿、すなわち花冠の上に白毛があるのでいうのであろうか」と書かれています。



キセワタを見つけると、いつも花冠の上部をよ~く見るのですが、



何度見ても綿のようには見えないんですよね・・・。



ただ光が反射するような角度で見つめ続けていると、花冠の上部が白っぽく感じてきて美しい花だなとあらためて思います。 



インバモ

2010年10月06日 | 山の花



これまた変わった名前の水草ですが、千葉県の印旛沼にちなんで名付けられた和名とわかれば、意味がわかります。 インバモはガシャモク(Potamogeton dentatus)とササバモ(Potamogeton malaianus)の自然雑種です。
インバモはガシャモクを母親とするタイプとササバモを母親とするタイプがあり、両者は葉の形態である程度区別できるそうです。

岸に流れ着いたインバモの葉と葉柄を測ってみましたところ、このインバモはササバモを母親とするタイプのようです。



花は水面上に立つ穂状花序につきますが、花は完全に開花せず花粉が不揃いで、種子も結実しない不稔花です。




 
この池にはインバモとインバモの片親であるガシャモクは発見されているものの、もう片親のササバモはまだ確認されていないことから、現在見られるインバモは過去に形成された雑種個体のクローンまたは、埋土種子に由来すると考えられています。

 *参考文献
 「北九州市お糸池における自然雑種インバモの起源と現状」(2008 天野・大野・須田・飯田・角野・小菅)


ガシャモク

2010年10月03日 | 山の花



“ガシャモク”なんだかとても変わった名前です。 名前を聞いただけではいったいどんな植物か想像もつきません。 
ガシャモクはヒルムシロ科の水草で、ササバモに似ていますが葉柄が短いかほとんど無いところが区別点とされています。

かつては、利根川水系(手賀沼)・琵琶湖に生えていましたが、沼の水質汚濁が進むにつれ、昭和50年代になるとその姿を見ることができなくなり、現在、国内では北九州市のため池のみに自生している沈水性の多年生植物だそうです。 環境省のレッドデーターブックでも絶滅危惧IA類に指定されています。

このガシャモクを見に行ってきました。 深い緑色をしたため池の中央部に水草が生い茂っています。 岸からはボートでもない限り近づけません。 しかし岸の周りを良く見ていましたら、流れついている水草がいくつかありました。

岸から離れていますが、葉柄をよ~く見てみますとほとんど無いことがわかります。 おそらくこれがガシャモクではないでしょうか。 

この貴重な植物もこの池ではかつて旺盛な生育が確認されていましたが、2000年を境に生育面積が急激に減少しきたてそうです。


アケボノソウと訪問昆虫

2010年09月30日 | 山の花



アケボノソウは真白な花弁の先端に黒っぽい紫色の斑点がちりばめていて、そして大きな蜜腺がその斑点近くにあるとてもオシャレなデザインの花です。

多くの花がおしべや雌しべの根元、花の中心部に蜜を出しているのに、なぜこのアケボノソウは花の中心部から遠い位置にこのように蜜腺があるのでしょう? 
きっとなにか理由があるはずです。

今年アケボノソウの花にいろんな昆虫が訪れているのが観察できました。

ハエが花弁の蜜を舐めています




ハナバチの仲間でしょうか、花の上をあちこち歩き回って蜜を舐めています。




オオハナアブでしょうか。花の真ん中にど~んと居座っています。

ハエやハナバチやハナアブたちは、花のまわりを歩き回ったり中心にどんと居座って花弁の蜜腺を舐めています。 そのとき昆虫の体に花粉が着いたり、めしべに花粉を着けたりしています。 花の中心部ではなく花弁の中程にある蜜腺はちゃんと計算された位置に配置されていたのですね。