新聞屋のおばちゃんにいただいた本です。松嶋菜々子のCMで大ブレイクしたニンテンドーDSのソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(以下「脳トレ」)の作者、川島隆太・東北大学教授の本です。
それにしてもあのソフト一本の力でニンテンドーDSの本体はずっと売り切れ状態が続いています。恐るべしです。この先生も一気に時の人となってしまいました。
詳しい内容やトレーニングの仕方については本を買っていただくとして、読んだ中で気になった脳に関することを少し書いてみたいと思います。
①「何故脳は鍛えなくてはいけないのか」
以前、ナイナイの岡村がテレビの中で「男は30歳になると走り出す」と言っていました。これは30歳になると体力の衰えを実感するからなのですね。実感すると「どうにかしなくちゃ」ということで走り出すのですね。これと同じように脳も衰えるのだそうです。ただ体力よりも実感しにくいので普通の人は何もせずにいるのだそうです。
普通の人の体の使い方は体力を維持していくには少し足りないレベルにとどまっていて、それは脳にも当てはまるのだそうです。そして脳を使わなくなり、機能が低下することが「認知症」の入り口になっているそうです。
しかし、体と同様に脳も鍛えられるそうです。この本には新聞を使った脳の鍛え方が書いてあるのです。内容はニンテンドーDSの「脳トレ」と似ています。
②「鍛える場所は脳の前頭前野」
脳はその働きによって大きく四つに分けられ、その中で鍛えるのは前頭葉にある「前頭前野」だそうです。ここは「脳の司令塔」と呼ばれ、この部分をよく使う生活を心がけていると、脳の働きは維持・向上していくことがわかっているそうです。
③「脳の老化現象は前頭前野の衰えによる」
脳の老化で一番最初に感じるのは記憶のトラブルだそうです。まずは「長期記憶の読み出しが落ちる」のだそうです。具体的にはよく知ってるはずの固有名詞がとっさに出てこずに、会話中に「あれ・それ・これ」という指示代名詞が異様に増えることを指します。
次にほぼ同じ時期に出現するのが「短期記憶の取り込み障害」だそうです。具体的には台所に行って冷蔵庫を開けたのに、「あれっ?、何を取りに来たんだっけ?」となることを指すそうです。
さらに年を取ってくると、涙もろくなったり、怒りっぽくなったりします。これは年齢を重ねて感性が豊かになったのではなく、前頭前野が老化して情動の抑制力が落ちたせいだそうです。
家でドラマなどを見ていると、突然横で「ブッ~」という音がするので、何事かと思い見てみると妻が目の周りをグシャグシャにして鼻をかんでいます。最近涙もろくなったなと思っていましたが、これは老化だったのですね。
お酒を飲んで陽気になったり、泣き上戸になるのも、アルコールのせいで前頭前野が働かなくなるせいだそうです。
④「前頭前野を活性化させる三原則」
まずは「読み、書き、計算をする」ことだそうです。「脳トレ」にもありますね。ふたつめは「コミュニケーションする」だそうです。こう考えるとお年寄りの一人暮らしというのは良いことではないですね。みっつめは「手指を使って何かをつくる」ことだそうです。ただこれは料理や手芸のように明確な目的をもってやらなくてはいけないそうです。
⑤「前頭前野が癒されて働くのをやめてしまうもの」
「テレビ、ゲーム、まんが」だそうです。「脳トレ」はいいのだろうかと思ってしまいましたが、前頭前野を使うというのはすごく疲れるそうです。テレビを一日中見ていられるのは前頭前野を使っていないからだそうです。パソコンも頭を使っているように見えますが、前頭前野は使っていないかもしれませんね。
⑥「認知症には薬よりも音読」
認知症の方には難しい文章は無理なので簡単な文章を音読させてみたそうです。そうしたらかなりの効果・改善が見られたそうです。
以上かいつまんで、面白そうなところを書き出してみました。今年はどうも「脳」というのが重要なキーワードになるような気がします。「これを食べたらあれに効く」タイプの健康番組には視聴者はそろそろ飽きてきたでしょうから、今年は「脳を鍛える」をテーマにしたものが増えるように思います。
この本は中央公論新社からでています。定価は880円+税です。
ちなみにこれがニンテンドーDSのソフトの通称「脳トレ」と「もっと脳トレ」です。子供に「写真を撮らせてくれ」と言ったら、「オークションに出品するのか?」と不安そうな顔をされました。