私が総代をしている八處女(やおとめ)神明宮には、以前から境内で野良猫に餌をあげている女性がおります。
決して餌やりを認めているわけではありませんが、私も年に数回しか行けないこともあって、事実上放置状態になっておりました。
もちろん、「境内で猫に餌をあげないでください」という看板を設置したこともありますが、それもいつの間にか引き抜かれてしまいました。
猫は多い時には十匹以上もいたことがありますが、最近は二匹だけになってしまったようです。
暖かい時には、本殿の板の間に座って日向ぼっこをしている姿をよく見かけました。
もちろん、私たちに懐いているわけではなく、境内の清掃をしている間などは、どこかに姿を消していて、終わるといつの間にか舞い戻る。そんな状況でした。
件の女性は、川向うの町に住んでいて、自分のところで飼えない猫を神明宮まで運んできて住まわせ、毎日餌をやりに来ているという話でした。
先日の東京からの帰りの夜、妻からLINEが入りました。
「猫に餌をあげている人が家に文句を言いに来た!」と。
聞けば、餌をあげているところを通行人に写真に撮られたので、「どうするのか」と聞いたら「総代に言いに行く」と答えたんだそうで、いろいろ手を尽くして私の家を探し出し、たいそうな剣幕で来たそうです。
「警察に訴えるから、撮った人の名前を教えてほしい」と言ってきたので、妻と言い争いになったらしいです。
まあ、フツーに考えても何かおかしい「言いがかり」にしか聞こえませんが...。
家に戻ってから、記されていた連絡先に電話してみました。
ショートメールも送ってみましたが返事はなし。
結局連絡が取れたのは、翌日の夜でした。
話すこと約一時間(正確には65分46秒)、わからなかったことが色々わかりました。
・隣町のMさんという人から引き継いで5年ほど前から餌やりを行っている。
・野良猫がかわいそうなのでボランティアの気持ちでやっている。
・これまで誰からも咎められたことはない。
・むしろ「ご苦労様」と声をかけられたことがある。
・以前、役場と保健所の人が来て、ここで餌をやっていることを説明したが、そのときも(餌やりは)駄目だとは言われなかった。
・この場所が神社の持ち物で、持ち主か管理者の許可を得なければならないことは知らなかった(役場の人からも言われなかった)。
私が女性に「役場に確認したいのでフルネームと住所を教えてほしい」と言いましたが、「近くに住んでいる」とのみ答えて教えてくれませんでした。
また、写真を撮った通行人は、その後女性の目の前で撮った写真を消去したとのこと、私のもとに来ることも無かろうと判断しました。
ということで、翌日役場を訪ね、生活環境課の担当者に尋ねました。
・役場と保健所の人が話したというのは事実か
・餌やりの許可を与えたのか
・女性に所有者(管理者)の了解が必要だとは言わなかったのか
・宮司や総代には知らせなかったのか
念のため、宮司にも問い合わせましたが「知らない」「境内での餌やりはしないでほしい」とのことでした。
数日して、役場から連絡が来て、本日出向いて聞いてきました。
・役場と保健所の人間が女性に話を聞いたのは事実
・その理由は、近所から苦情が来たため
・「餌やりの後をちゃんと片付けて」とは言ったが、餌やりをやめろ、とはいえない。
・女性に所有者(管理者)の了解が必要だとは言わなかった。
宮司さんの言葉も参考にしつつ、役場の担当者とも話し合いましたが、やはり境内で餌やりをすることはご遠慮いただくこととしました。
ご本人も動物愛護の観点からやっていることではありましょうが、他人の土地の中で無断で餌やりをすることは許されることではないと判断しました。
後はこのことをどうやって相手の女性に伝えるか、ですが。
やはり直接ではなく、ある「つて」を頼って先方にお伝えしようかと思います。