ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

政治の季節に思う‥‥政党政治は終わった

2017年10月15日 | 日記

                              絵=入澤光世

 政治的な季節。私も一言、言ってみたい。

 衆議院が解散され、選挙戦に入った。最大の関心事は、出来立ての希望の党がどのくらいの勢力になるかということ。公示前は、小池百合子氏がマスコミとシンクロして、おおきな話題だったが、党として党首も立てられないポピュリズムの渦中にあって、事前の予想に反し自滅気味。また、各野党も自民党に対する対抗軸にはとてもなれそうになく、人はこれを、解散の大義がない違法な暴挙だとか、自民党(安倍政権)の独裁などと触れ回っていて、投票の棄権を呼びかけるなど、なんとも寒々しい。

 どの党の誰に投票するかとは別に、現今のこうした状況をどう考えれば良いのか。

 私が思うのには、従来の政党政治が終焉したということである。政党政治の理想は二大政党制であって、アメリカやイギリスのように保守政党に対し民主党や労働党といった革新政党が交互に政権を担当するというのが理想だとされてきた。日本でも小選挙区制が導入されようやく政権の交代が実現した。

 だが、こうした政党政治は資本主義の発展期には有効な政治手段だったが、今日のような資本主義経済の低迷期、あるいはITを駆使した高度な技術社会、さらにはグローバル社会では対応が難しくなってきたように思う。イギリスのEUからの脱退、アメリカのトランプ大統領の就任、フランス始め西欧での極右政党の台頭などが、その象徴である。各国はなんとか手詰まりを解消する努力をしているのだろうが、政党政治を支えてきた各国の中間層=労働者の生活水準が落ち込み、教育や社会福祉にいろいろな支障が出てきている。これを背景に、例えば難民問題などが露出してきているのだ。日本でも中間層の所得が伸びず、その対策として莫大な赤字国債の発行、保育所の建設や幼児から高等教育までの無償化、さらには年金制度の組み替えや充実など、財源の支えもない福祉政策を突き進んでいるように思う。そして、国民の国家・社会に対する要望や要求は、今後もとどまることなくエスカレートしていくであろう。こうした要望を制度としてどう取捨選択し、実現していくのかを考えるとき、現在の政党政治ではほとんど解決することが難しくなっているのだ。

 もはやひとつの政党が政策全般を練り上げ、実行に移すことはできない。細部は官僚の手になるものばかりである。そのほんの一旦がモリカケ問題として露見したわけだ。

 今後、政治はどのように進んでいくのか。先行きは不明だが、これからは政党ではなく、国連の委員会制度のようなものが出現し、官僚と共同して政策が練られていくようになると思う。現在でも各政党は曲がりなりにも政治調査会を設け委員会を設置しているが、政党内部にとどまることなく、もっとオープンな形で議員や専門家が参加した委員会ができるに違いない。今回の選挙の結果は自民党が大勝すると思われるが、その大勝の中に、今後の政治の兆しを見ることができるのではないか、そのことを期待している。【彬】

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