ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

ドローン、村上龍の世界

2013年12月28日 | 日記

 アマゾンが発表したネット販売の配達方法が注目を集めている。無人輸送機としてのドローン。模型のヘリコプターのようなもので、配達先の玄関に着陸する。これにより同社商品の約86%をこの空飛ぶ輸送機で運べるというのである。まだ行政が許可していないために実現されていないが、おそらく数年のうちに配達は、このドローンによるようになるであろう。

 日本だと注文者の方でまともな玄関をもっている家が少ないから、この配送の着想は変更されることになるだろうが、多かれ少なかれ人の手を介する物のやり取りは縮減することになる。まったくのSF的世界である。

 で、思い出されるのが、村上龍の「歌うクジラ」である。

 この作品では極小のヘリが蚊トンボのような飛行物体として群れをなし、辺りを徘徊。不振な動きを監視し不審者にはIDを求める。つまり平面はもとより全空間が管理の対象となるのである。ドローンの発表を見るに、「歌うクジラ」の世界は目の前にあるようにも思う。我々の住む社会は既にSF化しているのだ。

 最近、行き過ぎた科学文明に対するアンチテーゼとして、科学万能を懐疑する自然回帰の思想が幅をきかせているが、科学的な知見の行きつく先はどこなのか、反原発のようなジャーナリスチックな論評としてではなく、現実社会の変容についてまともな検討が必要ではないかとつくづく思うのである。【彬】

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私のアメリカとの出会い

2013年12月08日 | 日記

 

 今回も個人的な話ですが、

 先日、駐日米国大使に就任したキャロライン・ケネディ氏が来日し、天皇陛下に就任の挨拶をした。その映像を見て、私の頭の中に、氏の父君が凶弾に倒れた50年前の時代風景が蘇ってきた。このとき私は13歳。外国、特にアメリカに関心を持ち出して来た時期であった。

 テレビには、アメリカのドラマ、ニュースなどが押し寄せてきていた。総じて、アメリカは豊かで自由である、そして、アメリカ人はカッコいいであった。その典型が、キャロライン氏の父親、ケネディ大統領であった。

 私が、書物や映像を超えて初めて直にアメリカ文化に接したのは、中学3年生のとき。校長先生がアメリカ留学を体験し、英語教育に熱心で、私を中学校英語弁論大会に出場させた。その練習のため、立川米軍基地内でアメリカ人教師を前にスピーチをした。勉強になったのは、そのことよりも基地内の建物の造りであった。広い部屋、廊下までが真っ赤なカーベットが敷き詰められていた。彼らは胸を張ってゆったりと歩く。私を子ども扱いせず紳士として対応してくれたように覚えている。それでアメリカという国は、大人で頼れる国であると思った。

 ところが、自分が成長する過程で、アメリカの負の部分(ベトナム戦争や人種差別など)や、ほかの国の文化の多様性、素晴しさを知るなかで、アメリカは僕の中で諸外国の一つになっていった。世界全体を視野におき、公平に考えなければならない、と。

 さて、今という時代。隣に大国、中国を持つ日本は、政治力学上、同質の価値を共有するアメリカとの関係は重要、という考えは理解できる。そんな中でケネディ大統領の長女が駐日大使として来日、アメリカ人らしいフレンドリーなマナー。

 私が外国に興味を持つようになってから半世紀の時を経て、キャロラインのカッコいい姿が「頼れるアメリカ」を私の意識の中に連れ戻した。白人中心の50年前とは違い、より多人種化し、黒人系を大統領とする国家。計り知れないすごさがあるのではないか。   12月3日 岩下賢治

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