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アメリカのかたち

2020年02月18日 | アメリカ通信
日本の敗戦後の混乱が落ち着いた1950年代後半から60年代はアメリカ文化が溢れていた。身近になりつつあったテレビにはアメリカのドラマが幅を利かし、巷で上映されるアメリカ映画は西部劇が多かった。西部劇には二つのパターンがあり、ひとつは白人の保安官と白人の無法者の対決であり、もうひとつは白人とインディアンの戦いであった。インディアンとの戦いでは常にインディアンが悪者であり、白人は常に善人のヒーローとして描かれ、”悪いインディアン”が日本人に定着した。本当は土地を搾取略奪していったのは白人なのに。

アメリカに来ると、やたらと変わった地名や固有名詞に遭遇する。身近な所ではChattahoocheeリバー。アメリカの南部のみならず北へ旅行しても随所で変わった地名に出会う。そんな時、あ~、ここは元々アメリカ先住民達の土地だったのだな、と思い、”征服する者とされる者”を実感する。

アメリカ南部に住むと、一度は「Tears of Trail」という言葉を耳にする。かつて南部には5つのアメリカ先住民部族があった(GA/AL-Cherokee族、Creek族、MS-Chickasaw族、Choktaw族、FL-Seminole族)。攻勢に立った当時の合衆国政府は南部の攻略と安定の為に、部族と協定を結び、オクラホマに居住代替地を用意して強制移住封じ込めを計った。移住は困難を極め、多くの犠牲者が出たという。これがTears of Trailと言われ、それは今から約200年前に起こった。

アメリカの骨格は51州と5つの自治領(DC、グアム、アメリカンサモア、北マリアナ諸島、米領バージン諸島とプエルトリコ)から成り立っている、と言うのが一般的なところであるが、約200年前の協定に基づき合衆国が自治権を認めているアメリカ先住民自治区が存在することはあまり知られていない。

5自治領とアメリカ先住民自治区の違いは国政への参加の有無にある。5自治領の代表は議会での議決権こそ無いが、所属する下部の個別部会での議決権を有する。これに対し、アメリカ先住民自治区はいかなる議決権も有していない。

今年、アメリカ先住民自治区で37万人の自治区市民を擁するCherokee Nationが5自治領と同等の議決権確保に向けて動き出し、注目され始めた。新世界に足を踏み入れた白人が、戦いと征服を繰り返しながら造り上げた”アメリカのかたち”がそこにある。

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