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Right-To-Workと最新米国組合運動

2012年02月05日 | アメリカ通信
日本の組合運動も、創成期こそ、労働者の権利をかざし過激にスタートしたものの、次第に労使協調がすっかり定着してしまい、「御用組合」などと称されて今日に至っている。それに引き換え、アメリカの組合運動は闘争精神はいまだに失われては居ない。しかし、である。時代の変化と共に、アメリカでも、その力と存在価値は年々薄れていくのが実態のようだ。

最近のインディアナ州。アメリカの23番目か24番目の「right-to-work」州に名を連ねるかの議論が70年ぶりに巻き起こり、世間の注目を集めたのだが、つい先日議会を法案が通ったようである。「right-to-work」とは、簡単に言えば、組合のある職場でも、従業員に組合加盟を強制あるいは義務付けたり、組合費の支払いを義務付けることを禁止する法律であり条令である。現在南部を中心に23州で、州の法律で定めたり、条例で施行している。

「right-to-work」のお蔭で、企業が会社をスタートする時、組合化への牽制となり、逆に組合運動の側からすると、組合弱体化の厄介な代物となる。

アメリカの労働組合は1950年代をピークとし、当時は全米労働者の3割が組合に加入していたが、以後減少に転じ、1983年には2割となり、2011年は大恐慌の吹き荒れた1930年代以来最低の11.8%にまで落ち込んでいる。

もともと、製造業における劣悪な労働環境の打開から組合運動が始まったのだが、この「right-to-work」のお蔭で、製造業における組合運動が弱体した為、その運動は組合化されていなかった連邦や地方の公務員へと向かった。現在は、全体で1400万人いる組合員だが、民間、公共ともほぼ半分づづとなっている。ただし、就労人数に対する割合から見ると、公共の組合員構成率は民間の5倍となっており、如何に組合運動が公共セクターを当てにしているかが分かる。

昨今の経済の冷え込みで、各州とも経済底上げを目指し、企業誘致も含めた活性化に躍起なのだ。インディアナ州の論争もその一貫なのである。象徴てきなのは、全米で最も組合化率が高いのがマンハッタンを含むNY州で、最も低いのが、南部のノースカロライナ州である。企業が新たに進出する時、南部を選ぶのがよく分かる。


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