よし坊のあっちこっち

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映画三昧 - 秋津温泉

2010年11月04日 | 映画
1962年の松竹の文芸作品に、岡田茉莉子と長門裕之主演の「秋津温泉」がある。君の名は、の岸恵子の後は、間違いなく松竹の看板は岡田茉莉子だった。

脇に誰が出ていたのか、すっかり忘れていたので調べてみたが、今考えるとそうそうたる役者陣が出ていて、当時の映画は、みなこうだったんだな、と改めて実感する。男優では、宇野重吉、山村聡、殿山泰司、小池朝雄、神山繁、東野英治郎等。女優では、日高澄子、小夜福子、芳村真理、清川虹子等など。芳村真理などは、若手も若手だ。曲者殿山泰司は、いつ見てもいいね。

人生に絶望し、死に場所を求めていた男が山間の温泉場に辿り着く。出会った女は逆に生きる力を与え、そして時間が全てを変えていく。かつて男に生きる力を与えた岡田の新子が、皮肉にも自ら命を絶つ最後のシーンはやはり切ない。

この作品が忘れられないのには理由がある。この作品のお蔭で、岡山に有名な温泉郷があり、その一つの奥津温泉が映画の舞台になったのを知ってから、一度は訪れてみたいと長年思っていた。関西に居を移した時、奥津温泉が近くなったと、頭の隅が鳴った。次に思い出したのが、丁度島根県へ出張するのに、岡山からの姫新線を使った時だ。列車に揺られながら、ここから程遠くないところにあの舞台がある、そう遠くないうちに来ようと思った。

何のことは無い。今はアメリカ暮らしで、思い入れとは裏腹に段々遠のいていく。