ドイツ日記 Les plaisirs et les jours

ドイツに滞在して26年経過。2年後に日本へ本帰国予定。ゴルフを始めて4年半ですが相変わらず下手な初心者ゴルファーです。

Martin Schlaepfer って人はただものじゃないなあ・・

2010年05月16日 | バレエ・オペラ・演劇
このシーズンから当市のオペラ座バレエの監督が新しくMartin Schlaepferに替わって本当にうれしい。やっとコンテンポラリーダンスがたくさん観られるようになったのだもの。

昨晩はこのシーズン4回目(b.04)の出し物を観に行ったのだけど、その3作目が彼の新作品で「Neither」という作品だった。Morton Feldmanによる1幕ものオペラで、サミュエル・ベケットのテキストによる作品。それをダンスで表現したものだったけど、今まで観た現代舞踊の中では際立って異質でユニークな印象だった。最初から最後までソプラノ歌手(Alexandra Lubchansky)の高音の単調な叫びにも似た発声に合わせて舞台ではまるで狂人か障害者の動き(失礼な書き方でゴメン)のようなダンスとも言えない身体の動きが繰り返されて・・・ウ~ン、あまりにも抽象的で脱構築的で・・・なあんていってもわけがわからないけど、実際わけがわからない身体の動きが繰り返されるんだけど、舞台上のそれぞれの場所で勝手な動きがお紺割れて、でも最後にはそれが一体となって・・・最初は何これ?と思っていたのに終わってみれば、いや~素晴らしい!という感想になっていた。50分近くノンストップで抽象的なダンスを見てグッタリだったけど、最後にはちょっと後ろに座っていたおっさんから「ブラボー!」の賞賛も飛んでいたっけ。

で、1作品目は、Twyla Tharpが1979年に発表した「Baker's Dozen」という作品だった。ポストモダンの一人者 Twyla Tharp の作品はあらゆるダンスのコラージュといった感じで、何だかポップスターの後ろで踊るバックダンサーの踊りのようにも見えてとっつきやすい。

2作品目はKurt Jooss(1901-1979)が1929年に発表した「Pavane auf den Tod einer Inantin」という作品。Pavaneというのは16,7世紀の荘厳な舞踊の一種ということだけど、わずか10分くらいの長さのスペイン・バロック的コステュ-ムを着た男女の宮廷ダンスのような作品。これは一体何が言いたいのか・・・解説本を後でよく読まないとわかりませんわ・・。

それにしても!いつもバレエの公演を観に行っての感想だけど、こちらの観客は多分日本とは際立って異なるんじゃなかろうか。日本でこの手の抽象的は現代舞踊の公演といえば観客は多分若い連中で、それも大半は女性ではないだろうか・・?よくわかんないけど。
でもこちらでは違うのだ。観客はいつも平均年齢60代くらいの男女。そう、男性と女性の数はほぼ半分ずつ。年齢層がぐっと高くてオペラ鑑賞時と同じ。そういうやや高年齢の人たちがとっても抽象的な舞踊を観るのだから・・・なんと言うか文化の奥行きを感じるのだわ・・。こういう現代舞踊も日本に帰国すると手軽に観れなくなるもののひとつだわね・・。悲しいかな・・。

頭が疲れて帰宅してTVをつけると映画をやっていて、何と私の好きなハーヴェイ・カイテルがエマニュエル・ベアールに殺されてしまって何これ?とネットで検索すると「Crime」というタイトルの映画だった。ゴルフ練習して現代舞踊を観て、映画観てかなり疲れたのか今朝は8時まで起きれなかった。