僕と猫のブルーズ

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雑想2~映画「ミッドナイトスワン」にまつわるいろんなこと

2020年10月01日 | SMAP
前記事に書いた「ミッドナイトスワン」の感想は主に凪沙について書いた。
この映画は凪沙だけでなく他の登場人物も魅力的。映画自体も様々なテーマを孕んでいる。
凪沙以外の事で映画を見て感じた事を綴っていきます。
なお、ネタバレ沢山あります!
また、此処に書いてる事はあくまでボクが感じた個人所感である事をお断りしておきます。


①一果について
 この映画のもう1人の主人公一果。演じるのは服部樹咲さん。演技初体験。
 ともかく立ち姿が美しい。存在感がある。草なぎクンとも堂々と亘り合ってるし。
 バレエのシーンは美しくて魅了された。
 そしてバレエだけで無く凪沙との衝突シーン、ココロを通わせるシーンも良かった。
 何度も書くが佇まいが素晴らしい。人に媚びない・孤高な故の美しさ。
 最後、一果が着ていたコートを見たとき、声を挙げた。グッと来た。
 
②トランスジェンダーの描き方
 専門家の方から「トランスジェンダー」の描き方について、かなり批判が寄せられている。
 この映画の描き方が正しいのか、それとも批判が正しいのか・・・正直ボクはワカラナイ。
 そもそもボクは社会的な問題を正しく描くことを映画やフィクションに求めてないし。
 唯、凪沙という存在に魅了されたし凪沙の働くお店の面々も魅力的に映った。
 因みにお店のママは田口トモロウが演じてたのね。気づかなかった(笑)。
 「正しい正しくない」は正直わかんないが、
 折角この映画を見たのだから、知る切っ掛けにはしたいと思う。
 今後、機会を設けて実際にLGBTの方のインタビューを読んでみようと思ってる。

③差別表現について
 この映画の中ではトランスジェンダーに対する差別的な発言が度々出てくる。
 それを言うのは全員男性。女性は比較的その存在を受け容れている。
 実際にはトランスジェンダーの存在を受容れる男性も居るし差別意識を持った女性も居る。
 「男性のみ」を差別者として描く手法は少々極端な気がして違和感を持った。
 また、トランスジェンダーを罵倒し貶める男性が遊びに行くのが
 ニューハーフのショーのお店。更には性交渉の相手として選ぶのはトランスジェンダー。
 この‥矛盾は何なのか。そこはこの映画では深堀りしていない。
 そんな中、凪沙が就職試験を受けた会社の面接官の男性が「LGBT流行ってんでしょ」
 と愛想笑いしたシーンには失笑した。
 確かに失礼極まりない発言だが、彼は彼なりに理解しようとしていたのかも知れない。
 ここは、一寸ホッとした。
 
④男性の不在
 この映画では男性は重要な役割を一切与えられていない。
 登場するのはトランスジェンダーを理解せず差別する輩だけ。
 そして・・父親が一切登場してこないのも気になった(りんの父親は居るが)。
 凪沙の父親、一果の父親‥おそらく亡くなったか離別したのか・・・
 父親が登場する回想シーンも一切ない。これは明らかに意図的な描写だろう。
 上の③の男性の極端な描写といい父親の不在といい、その意味するモノは何だろう。

⑤東京
 この映画には度々東京の夜景が出てくる。舞台となる新宿の夜景も含めて。
 そのどれもが美しい。いや新宿の街は決して美しいとは言えないのだけど・・
 その汚さも含めて美しく撮ってた。
 そして・・・凪沙は東京に住んでいたからこそトランスジェンダーとして
 生きられたのでは無いか。故郷の東広島ではあの姿では生きるのは難しかったのでは。
 ある番組でLGBTの方が「地方でカミングアウトしたら色々言われるけど東京は
 放っておいてくれるから素の自分を出せる」と発言していたのを思い出した。
 (勿論、現在は色んな地方でLGBTへの理解を深める活動を進めている)

⑥りん
 一果の友人りんも素晴らしかった。バレエが大好きだけど一果ほどの才能は無く
 でも、一果に嫉妬や憎しみの感情は向けず、一果をサポートする。
 別々の場所でりんと一果が同じ曲で踊るシーンのシンクロ具合は鳥肌モンだった。
 りんは悲しい最後を迎えたけど・・・
 消えるあの瞬間まで、りんはバレエを楽しんで笑っていた筈だ。そう思いたい。
 
⑦ナチュラルウーマン
 実はボクは過去トランスジェンダーを主人公にした映画を見ていた。
 2018年春に日本で公開されたチリの映画「ナチュラルウーマン」。
 美しいヒロインのポスターに惹かれて、前情報も無しに見た。
 実は主演の女優さんダニエル・ヴェガは本当にトランスジェンダー。
 ヒロインが恋人を病気で失うが、トランスジェンダー故に色んな差別を受ける。
 恋人の葬式に参加させて貰えない。墓参りも断られる。
 恋人を殺した犯人として警察から拘留される。
 海外ではLGBTは理解されていると思っていたのでその扱いの酷さに唖然とした。
 ヒロインは、周囲からの罵倒や暴力を受けながら理不尽と敢然と闘う。
 その姿は美しかった。魅了された。
 「ミッドナイトスワン」とはテイストが違うが、この映画も素晴らしいです。
 機会があれば色んな人に是非見て欲しい。
 

⑧小説版
 前の記事でも書いたが、内田監督自身が書いた小説版が実にイイ。
 映画見る前に、途中で読むのをやめた。結末を知りたくなかったので。
 映画見た後、早速読破。
 映画後半の唐突な展開(SNSで批判を受けているのは主にこのシーン)
 も小説を読んで納得した。
 内田監督、是非この小説版を完璧に再現したディレクターズカット版を作って欲しい。
 いや現在上映されているVerも素晴らしいけど、小説版を完全に再現したVerも見たい!
 

⑨クレーム(笑)
 「ミッドナイトスワン」物語の展開に多少難はあるが映画自体に不満は無い。
 唯一の不満はパンフレットを作っていないってこと!
 オレ映画見たら必ずパンフレット買って映画を反芻するんだけど今回それが出来ない!
 ネット上でムック本が売ってるらしいし、ネット各所に剛クンや監督のインタビュー
 が載ってるけど・・・やっぱり紙媒体でパンフレットを読みたい。
 映画ヒットしてるし、パンフレット今からでも作ってくれないかな(^_^;

何度も書くが、この映画見て本当に良かった。
LGBTへの理解が深まったか?は自信は無いが、
劇中出てくるトランスジェンダーの人を差別し侮蔑するオヤジみたいにはなりたくない。
そう思った。

正直「何が差別か」は自分でも分かってないし、
差別を反対するにしても、どう行動したら善いかわからない。
オレ自身も気付かないまま差別をしてるだろう。排除もしてるだろう。
学ぶべきことは沢山ある。知らなくちゃいけないことが山ほどある。

ただ、オレが今迄、生きてきて感じたのは
相手の個性を認めず、属性で他人を決めつけて勝手にレッテルを張って否定する。
それが「差別」だと思う。

数年前、SMAP解散発表時に一部ロックファンやヤフコメが5人とファンを小馬鹿にしてた。
SMAPの5人が何を歌い何を演じ、ファンが彼等に対しどんな応援をしたのかを
知ろうともせず「どうせアイドル、その信者」と決めつけて罵倒・冷笑した。
今回も同じ。この映画についても似た様な無礼な発言をSNSで見た。
アイドルで何がいけない?そのファンで何が問題か?
彼等とそのファンはずっと被災地を応援してる。誉められこそすれ貶す理由は無い筈だ。
失礼なことを言うんじゃない(-_-メ)それ全然ロックじゃねーし。

後、オレには「マジョリティ―だのマイノリティ」なんて表現自体が差別に見える。
誰が多数派とか誰が少数派とか…分けるその意味は何だ?
他人に貴方は少数派です、なんて言うのは失礼極まりないだろう(逆も同じ)。
こんな表現がフツーに世の中に罷り通っていることにゲンナリする。
勿論、LGBT、障害者、日本に住む外国人その他不利な立場に有る方に十分な権利と
保証を与えるのは当然だ。彼等が不利を被らない様に守るのも当然。
でも、それはマイノリティーと呼ばれる人だけじゃない。
貧困に苦しむ人、DVハラスメント被害者、どんな人だろうと守らなくちゃいけない。
そこに・・多数派とか少数派の分類は必要だろうか。
こんな分類、却って分断と対立を深めるだけじゃないだろうか。

オレがこんな風に思うのは、子供の時から色んな場所で排除されてきたから。
何処に行っても「ヘン、おかしい、フツ―じゃない、ズレてる」と言われてきた(T▽T)。
大人になっても、言われた。
時に、彼等の仲間に入れて貰えなかったり追い出されたり・・。
オレが受けていたアレは「差別」だったんだろうか、それとも「区別」?
オレは排除されても仕方ない人間だったんだろうか?(かなりダメ人間だし^^;)
ま、大人になって嫁やMOTO友さん、ヨモちゃんに逢って自分の居場所が出来てからは
そういうのは気にならなくなったが。

唯、折角排除された経験があるなら・・オレは奴らと同じ事はしたくない。
この映画を見ても、トランスジェンダーの正しい理解は出来なかった(これから学ぼう)。
でも、この映画の中でトランスジェンダーが受ける差別や理不尽は絶対おかしいと思った。
もし、その理不尽を人間の悪意や憎悪がもたらしているなら・・・それは差別だ。
オレはそれを認めたくない。そいつにF××Kを突き付けたい。

正直、大きい声を挙げて抗議する勇気は無い。○○活動に参加するのも何か違う。
でも、差別する輩に対して・・・小さく「ダセェ、カッコ悪い」と呟く位なら出来る。
それ位は・・・しないと、凪沙に申しわけない。

この映画見て‥小さいけど勇気を持てた。持たなくちゃいけないと思った。
この勇気を消さない様に、育てようと思う。
そして、もし何処かで凪沙に逢えたなら、胸を張って握手できるようになりたい。
ヨモちゃん、やっぱこの映画見て良かったわ。
改めて凪沙にありがとうと言いたい。Thanks☆
  
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