僕と猫のブルーズ

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映画「永い言い訳」

2016年11月06日 | Art・本・映画
昨夜は西川美和監督の映画「永い言い訳」を観に行った。
2年前、西川さん自身が書いた小説を読んで感銘を受けた。
西川さん自身の手による映画・・期待イッパイで観た。

妻が事故で死んだ作家津村啓(本名キヌガササチオ(笑))。
妻夏子との仲は冷え切っており、その死を前にしてもサチオは悲しみもせず涙も出ない。
やがて、夏子と同じく事故で死んだ妻の親友ゆきの夫・大宮陽一と
その子供たちとの交流が始まる。

主人公サチオはハンサムだけど、自意識過剰でコンプレックスが強いくせに
プライドだけは矢鱈高い。要するにイヤでダメな男。このダメ男を本木雅弘が好演。
ボクのイメージではSMAP稲垣吾郎クンだったけど、このモッくんの演技が実に凄かった。
ハンサムだけど全然カッコよくない。実にイヤな奴。好きになれない。
こんな奴とは絶対友人になりたくない。前半、腹の中でひたすらサチオに毒づいてた。

原作は細やかな心理描写が多く、そのまま映像にすると説明過多になるのでは?
という懸念があったが流石西川美和。原作の枝葉的なエピソードはバッサリカット。
最小限の台詞と俳優の演技で小説と同じニュアンスを表現。
特にサチオが若いマネージャー(池松壮亮・ナイス!)に大宮家で体験した
家事の楽しさを意気揚々と語り、マネージャーが白々しく思うシーン。
「こういう輩は、水辺で遊んだ位で海の深さを語る」・・
此処は西川美和の意地悪さ満開で素晴らしかった。

サチオは大宮家と交流し子供の世話をして幸福を憶える。
妻・夏子との生活では感じなかった幸福感。
でも、オマエがホントに大切にすべきだったのは夏子さんとの暮らしだろ?
オマエが愛すべきはホントは他人様の子供じゃねーだろ?
此処でも思い切りツッコんだ(^_^;

後半サチオは夏子について陽平から色々教えて貰う。自分の知らない妻の姿。
サチオは亡き妻に対し怒り憎む。
でも、此処で初めて夏子さんがどんな人だったか知ろうとし混乱し苦悶する。
何か、この辺りになるとサチオが憐れで好きになってた^^;

紆余曲折を経てサチオは最後、妻の死をチャンと悲しむ。やっと妻を愛せるようになる。
そこで物語は終わる。西川さんの作品には珍しく(笑)落ち着いた終わり方。
でも・・・の後サチオは自分を責め後悔し続けるんだろう。
バカだなぁ。でも、そのバカさを笑えない。寧ろ愛しい。
そして、痛い。ハッピーなのに悲しく痛い映画だった。

帰り、映画のポスターの写真を見て切なくなった。
夏子さんの生前、サチオと夏子さんが大宮一家と交流する事は無かった。
夏子さんが亡くなって、サチオは初めて大宮一家と出逢った。
そして、ホントの夏子さんを知った。
遅すぎた・・・遅すぎたけど・・・・・・・・。

帰宅して嫁@パンダに「どんな映画を見たんだ?」と聞かれたので
妻が死んでも泣けない男の映画」と答えると、
嫁@パンダは嬉しそうに「ヨシ!先に逝くぞ!」と仰る!!\(T▽T)/
ボクが「キミが先に逝ったら、毎日ヨモちゃんとメソメソ泣いて暮らす」
と言ったら「迷惑だから止めてくれ」と失笑された(^^;

嫁はヨモちゃんとずっと長生きしてくれ。
一番最初に逝くのはオレだ。そう決めてる。その順番は絶対守る。
神だか悪魔だか知らんが、その順番を変える奴が居たら許さん。
地の果てまで追いつめて八つ裂きにする。
そう・・決めている。

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