横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-6)毒殺、女子高生コンクリ詰め殺人事件他

2016-04-22 08:56:42 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-5)の続き。

11)用語

(a)「拷問」と「虐待」の使い分け

戦争などで情報を得るなど他の目的がある場合は拷問。他の目的がない場合は虐待。拷問は生きている人に対してだけ使われる用語。死亡した人をさらに切り刻むことを拷問とは言わない。サイコパスは死亡した犠牲者をさらに切り刻んだり、バラバラにしたりすることがあり、これは虐待の延長上にあると考えて、虐待という言葉に含むことにする。サイコパスの場合、金銭は付随した目的で虐待そのものが主要な目的なので本項では用語として虐待を使用。サイコパスにとって金銭を奪うことも虐待の興奮を得る行為の一つ。金銭を渡しても虐待は止まらない。すべての資産を奪いつくされても虐待は続く。これは後の具体例13,14で示す。逆に言えば、金銭を渡して虐待が止まればサイコパスではない可能性がある。その場合「反社会性人格障害」など他の原因が考えられる。M.ストーンが「虐待」の激しいものを「拷問」と表現している場合があり、本シリーズでもM.ストーンと同様の使い方をしているところがありますが、この1.22項では以上のように「虐待」を定義している。

(b)「反社会性人格障害」と「反社会性パーソナリティー障害」

「反社会性人格障害」は日本の心理学会ではアメリカ精神医学会の分類(DSM)に従いサイコパスとの違いを明らかにしないまま「反社会性パーソナリティー障害」と改めたが、本シリーズではサイコパスとの違いを明確にし、旧来の用語「反社会性人格障害」を生かしておく。違いの考え方は本シリーズ(その2)「1.8 サイコパスと反社会性人格障害やその他の犯罪の違い」参照。およそ次のようになる。反社会性パーソナリティー障害=サイコパス+反社会性人格障害。反社会性パーソナリティー障害のおよそ5人に1人がサイコパスで4人が反社会性人格障害〔日経サイエンス、K.A.キールp13〕。K.A.キールは述べる「300種類を超える既知の精神的病状を網羅している臨床医のバイブル『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)』にさえ、サイコパシーは組み込まれていない。犯罪傾向のある様々な人をいっしょくたんにした「反社会性パーソナリティー障害」という診断名を作ってお茶をにごした」「犯罪者を識別するには役に立たない」〔日経サイエンス、K.A.キールp13〕。本シリーズの定義はK.A.キールの考え方によっている。

(c)傍辺縁系、大脳辺縁系、脳辺縁系、辺縁系は同義語

日経サイエンス、『サイコパスの脳を覗く』でK.A.キールが傍辺縁系と言う用語を使用しているので本シリーズでも使用しているが、いろいろな情報元で大脳辺縁系脳辺縁系辺縁系と同義語が使われており、情報元に従ってそれぞれの用語を使用している。すべて同じ意味と考えてよい。扁桃体は辺縁系の一部になるが、本シリーズでは辺縁系と言うときに偏桃体を含まない範囲の場合があるので、文脈で理解して頂きたい。

以上主に逆転欲求構造からサイコパスの特徴を視た。次に行動からサイコパスの特徴を視る。平和時と戦時に分けている。 

(2)平和時のサイコパスの特徴行動

大きく分けて次の5の特徴行動がある。1)首の切断、2)身体解体、3)毒殺、4)放火、5)監禁虐待。1人のサイコパスがこれらの複数を行うことが多い。特に重要な行動の特徴は機会があれば無限に残虐行為を続け無限に殺し続けることである。各項を例によって説明する。1)、2)、3)の例1~10は単独サイコパス、5)の例11~14はまんじゅうサイコパスである。両親が子供を虐待死するケースは監禁虐待に相当するが本シリーズ(その1)で3例を挙げて説明しているのでここでは省略する。

1)首の切断

人だけでなく猫、犬、ウサギやハトなどの首を切断する。目をえぐったり、口を裂き、頭の皮を剥ぎ、手足を切断したりもする

例1「佐世保女子高生殺害事件2014年」:女子高生1年少女Bが同級生を殺害、と左手首をノコギリなどで切断。胴体部分にも刃物で切ったとみられる複数の傷。「人を殺して解体してみたかった」「体の中を見たかった」などと供述。猫を殺し解体して楽しいと語っていた。小学校6年2010年頃に、同級生の給食に薄めた洗剤や漂白剤、ベンジンを混入するなどをくり返した。父親を金属バットで殴り負傷させたことがある。幼い頃から学業は優秀スポーツも積極的。ピアノで賞を取っている。弁護士の父親は2014年10月に自殺。家裁判決医療少年院送致。〔情報元:ウィキペディア「佐世保女子高生殺害事件」「22回予選 : アルカス佐世保 グレンツェンピアノコンクール入賞者発表」2016/4/19閲覧〕。この犯人は女性。サイコパスは男女を問わない本シリーズ(その3)「1.15(3)サイコパスと性別の関係」参照〕。

下の画像左は国体スピードスケート長崎代表として県知事室で団旗を持っている少女B。成績優秀、スポーツ万能、音楽の才能もあるサイコパスという、サイコパス理解に貴重な特徴を持っているので、事件当時15歳の犯人であるが顔が分かる画像を他のサイトからコピーした。外見や成績優秀やスポーツ万能などと、サイコパス特性は全く別ということがはっきりする事件である。 顔の掲載に問題が出た場合には直ちに削除するが本人が有名人でありネットでは拡散している画像。下画像右は少女Bとは中学から知り合いであった殺害され首が切断された同級生松尾愛和さん。

 

画像出典左:佐世保事件がもとで、サイコパスというアニメ放送繰り上げからみる、アニメの恐ろしさとは? [許せない犯罪]http://trend71.blog.so-net.ne.jp/archive/c2303725559-2 画像出典右:ニュース速報Japan松尾愛和さんと加害者女子高生-佐世保北高校殺人事件http://breaking-news.jp/2014/07/28/010413 (2016/4/19閲覧)

 

長崎教育委員会に見る教育現場の問題:長崎ではこの事件の前に中1男子の幼児誘拐殺人2003年や小6女児の同級生カッターナイフ殺害事件2004年が起きており、長崎県教育委員会は「命の大切さ」を小中学校の児童生徒全員に訴えた。だが健常者の児童生徒は言われなくても人の命を大切にし、弱い者を助けることはあっても殺すことはない。問題はサイコパスの児童生徒の存在で、サイコパスにいくら「命の大切さ」を訴えても全く効果がない。少数のサイコパスが起こす残虐行為に対し、圧倒的多数の健常者と混同した対処教育は的外れになる。また、健常者をサイコパスから守るため健常者に働きかける対策は狡猾なサイコパスに対し消極的すぎ、一時的で抜本的な対策にならないことが多い。その逆にしなければならない。サイコパスが起こす犯罪の対策は、サイコパスに的を絞って行わなければならない。教育現場でのサイコパス理解が強く求められる。 

例2「会津若松母親殺害事件2007年」:ノコギリで母親のと右腕を切断。本項1.22の初めに概要説明済。犯人の少年17歳は母親の首をバッグに入れて一日ネットカフェで過ごした。少年にとって母親の首は逆転快報酬ドーパミンを与えてくれる『宝物』であったと思われる。一日たちその逆転快が弱まったと思われ、タクシーを呼んで警察へ自首した。婦人警官はバッグの首を見て気を失ったという。肩から切断した母親の腕は、あらかじめ用意していた白のスプレーでデザインを施し、自宅の植木の鉢に手が生えているかのように飾っている。少年Aが「淳君の首を大地から生えているように」置いたのと、美的感覚は似ている。〔前項2)(a)サイコパスの逆転認知欲求を示す絵、コラージュ、光景の例(凝視注意)〕参照。 

例3「島根女子大生死体遺棄事件2009年」:女子大生19歳の首が切断され、左大腿骨の一部、両手足のない胴体部分、左足首が切断され別々の場所で発見。胴体部分の胸は刃物によってえぐり取られ、腹部は内臓の大部分が取り出され、胴体全体に焼けた跡。皮を剥いだ跡もある。一部食べたかもしれない。遺体の状況は、通常の感覚を持つ人間ならば直視することすらできない残忍なもの。未解決事件。〔情報元:日本″未解決事件″犯罪ファイル15 http://news.livedoor.com/article/detail/5124452/  2015/9/22閲覧〕 

4「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件1989年」:犯人宮崎勤は4人目の5歳の女児誘拐・殺害した時、指をもぎ、醤油をかけて焼いて食べ、ビニール袋に溜まった血を飲んでいる。ビニールに溜まった血を飲むのは次の例5「神戸連続児童殺傷事件」少年Aと同じ行動。遺体は首を切断しバラバラにしている。また、殺害などをビデオに残している。【残虐なサイコパスの半数は記録を残す本シリーズ(その4)1.18参照】。宮崎勤の精神鑑定書は1人が統合失調症、2人が解離性同一性障害としている。2008/6月死刑執行。〔情報出典:ウィキペディア「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」2015/9/20閲覧〕。筆者は統合失調症でも解離性同一性障害でもなく典型的なサイコパスと思う。サイコパスは21世紀に入り脳の分析技術が進んでよりはっきりしてきたが、日本ではサイコパスはまだ明確な学問的地位を占めていないし、犯罪白書の犯罪分類にもない。一日も早い学問的確立が必要。 

例5「神戸連続児童殺傷(酒鬼薔薇聖斗)事件1997年」:弟の同級生の首を切断、目をえぐり、口を耳までナイフで裂いている。犯人少年Aは2015年に32歳になり手記『絶歌』を出版。医療少年院の更生方針にサイコパス不理解の根本的な問題があることがはっきりしたが、後の項「1.25元少年A更生の失敗と『絶歌』:元少年Aへの呼びかけ」でまとめている。この事件は資料が多く、犯人は自己表現能力があるので、サイコパスを知る大変貴重なものになっている。だが『絶歌』にはサイコパス独特のウソが入り込んでいるので注意が必要。事件概要は本シリーズ(その4)1.18(2)参照。

2)身体解体

被害者の身体がどうなっているかを調べるように、時計を分解するように人体を隅々解体する。身体をバラバラにするだけでなく、さらに頭部をつぶすなどのグチャグチャにする身体破壊がある。腹を裂いて内臓を出す内臓摘出、脳や目などを取り出しもする。人肉や内蔵を生で食べたり、血液を飲んだりも含む

例6「名古屋妊婦切り裂き殺人事件1988年」:臨月の妊婦(27歳)の手を縛り絞殺。死体は、薄い鋭利な刃物で、みぞおちから下腹部に縦38センチにわたって切り裂かれた。発見されたとき死体の足元には、赤ん坊が、へその緒をつけたまま泣き叫んでいた。犯人は妊婦を絞殺後、胎児を生きたまま取り出してへその緒を切り、子宮に電話の受話器と、人形のついたキーホルダーを入れた。受話器などを入れた意味不明。胎児は男の子で、太ももの裏、ひざの裏、睾丸の3箇所を刃物で切られていたが、手術で一命を取り留めた。腹部切開跡から犯人医学的な知識がないとわかっている。未解決事件。〔情報元:ウィキペディア「名古屋妊婦切り裂き殺人事件」2015/9/20閲覧〕

事件例1~6まとめ:1)首の切断の例1、2,3,4,5、は身体解体も行っている。例3は内臓摘出も行っている。例4と例5は血を飲んでいる。例5は食べている。本シリーズ(その6) 「(2)“先生”がカーテン屋に拷問を加える時に浮かべた「愉悦の表情」の違い」で述べたロストフの切り裂き魔と言われたアンドレイ・チカティロ(Andrey Romanovich Chikatilo)は52人の少年少女を殺害し、内臓などを生で食べた。サイコパスの首の切断、身体解体、人肉内臓食、血液飲、は共通の精神基盤である。

3)毒殺

健康でなくなった状態がどうなるか観察するかのように毒殺する。人が毒物で苦しんでいく姿を見たい欲求を持ち、人が死ぬことに快感がある。毒物使用は腕力がない女性サイコパスに多い傾向があるが、腕力の有無にかかわらず毒物の持つ残虐性にサイコパスは引き付けられている

例7「静岡女子高生母親毒殺未遂事件2005年」:高1少女16歳が母親を劇物タリウムで殺害しようとした。少女が猫を毒殺したことを知っている兄が、医師に相談しその医師が警察に通報し発覚。入院中の母親の姿を撮影した記録などを警察が押収。【サイコパスは記録を残す】。女子高生が楽天広場で公開していたとされる日記の内容にサイコパスの特徴がよく表れているので、要点のみ以下に記述した。少女は男子に偽装している。【 】 内は筆者の見解。

2005/7/14:道を歩いていた野良犬を蹴ったら、キャンキャン喚きながら、地べたを這いずり回った。

7/18:道端に血まみれの猫の死体が落ちていました。頭が潰れていて、中から脳髄がはみ出していました。【この少女の行為と思う。少女は激しい動物虐待の可能性大。少年Aが猫の頭部をつぶしているのと似ている】

8/6:今まで様々な生物を僕は殺戮してきた。彼等で遊ぶのは楽しかったが、同時にとても疲れた。何故なら、残った肉塊の処理だけでも数時間は優に要したから。

8/24:酢酸タリウムが届きました。【少女は届いてすぐに母親に使用したと思われる】

8/25:昨日から母の具合が悪いです。全身に発疹が起こり、特に顔面に症状が強く出ています。医者もただ首を傾げるばかりで原因は分からないそうです。

8/25:変な夢を見ました。僕が彼女(母親)を食べる夢です。僕は彼女を手、足、胴体、頭の順に食べました。細い腕は魚みたいに痙攣していて、引きちぎれても未だ動きました。【サイコパスは人体を食べる衝動を持つ者がいる。〔本シリーズ(その2)「1.6 扁桃体を破壊した動物実験でも見られるサイコパスの特徴行動:K.B.症候群(2)」参照〕

9/4:生き物を殺すという事、何かにナイフを突き立てる瞬間、柔らかな肉を引き裂く感触生暖かい血の温度。漏れる吐息。すべてが僕を慰めてくれる。【サイコパスは人体解体衝動を持つ】

9/12:今日も母の調子は悪いです。2,3日前から脚の不調を訴えていたけど、遂に殆ど動けなくなってしまいました。二階にある僕の部屋まで来る事も出来なくなりました。

9/26:明日、母は入院します。未だ原因は不明のままです。残念な事に母は余り良い保険に加入していない。【サイコパスは大脳新皮質には異常がないので打算が働く

10/2:父が呼んだ救急車で連れて行かれた。入院先は近くの病院、布製の担架で運ばれて行った。父も同伴した。少し悲しそうな顔をしていた。【サイコパスは、表情を理解するが、自分の心に映し取れず、共感はしない

10月某日:人は輪になって踊る。丘の上で死体を数え、微笑みながら飲み交わす。撃ち殺された男の匂い、引き裂かれた女の匂い。【サイコパスは人が殺し、殺され、引き裂かれる場面に強く引かれる

10月某日病状は悪化している。日直の先生も異常を察し、集中治療室へ連れて行った。

10/16:母は幻覚を見始めたらしい。居もしない虫や、ドアの傍の白い陰に悩まされていると言う。

10/16:今日の朝、先生に筆記用具を借りた。其の時泣きながら母の話しをして、同情を得た。人って案外簡単に騙されるものなんだと思った。【サイコパスはウソ泣きができ、軽い気持ちで人をだます

10/16日(日記最後の記述):蒼ざめた馬の通る道に、規則は存在しない。暗闇を進む足跡は草木を枯らし、死を招く。其処に生命は宿らない。在るのは寂しい同じ形。【サイコパスの精神的支柱を失っている心象、偏桃体機能不全の心象を表していると思われる内容】

10/21日に少女は服毒自殺を図り10/31日に回復したところを逮捕された。逮捕当時母親は意識不明の重体。

〔情報元:タリウム母親毒殺未遂事件の女子高生容疑者が綴った日記の内容http://plaza.rakuten.co.jp/hontoeiganopage/diary/200511030002/ (2016/2/18閲覧)。静岡県伊豆の国市母親毒殺未遂女子高生http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1183003496 (2016/2/18閲覧)〕

例8「イングランド殺人医師ハロルド・シップマン(Harold Fredrick Shipman)事件1998年逮捕」:ハロルドは成績優秀でリーズ大学医学部卒の医師。被害者は最低でも215人、493人は殺害されたとされるが正確な数はわからないサイコパスは機会があれば無限に殺し続ける主に薬物アヘン剤により殺害。裁判で直近の15人の殺害で終身刑。2004年に刑務所内で首つり自殺(57歳)。〔情報元:M.ストーンp117及びウィキペディア:ハロルド・シップマン(2016/2/18閲覧)〕

日本の医師によるサイコパス特性の強い殺人は『九州大学、生体解剖事件』や旧日本軍の731部隊があるがそれについては後の項「(3)戦時下のサイコパスの特徴行動」で述べる。

例9「マサチューセッツ殺人看護人ジェイン・トッパン(Jane Toppan)事件1901年逮捕:ジェインは住み込み看護婦として働きながら転々とした。そのたびにその家族を毒殺した。犠牲者はわかっているだけで31人、一説には100人と言われる。多すぎてジェイン自身にもわからない。ジェインは「砒素ですって? 私、砒素を使ったことなんか一度もないわよ。不勉強ね。砒素なんか使ったらゲーゲー吐いて大変なのよ。すぐにバレてしまうわ。だから私はモルヒネとアトロピンを併用するの。アトロピンはね、モルヒネの症状を判らなくする効果があるのよ。だけど、速効性がないのが残念なのよね」「みんなすっかり私に騙されたわ。馬鹿な医者も、間抜けな親類も」と刑事に話したという。デイヴィス家の4人を皆殺しにしたときに、長旅をしていたもう一人が帰宅し事件は発覚、ジェイン47歳。住居の何軒かに放火し、放火狂との診断もされた。サイコパスの放火の特徴も持つ。毒物などの知見がある知的水準が高いサイコパス。

〔情報元:M.ストーンp237。殺人博物館 – Biglobe:Toppan, Jane(ジェーン・トッパン)http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text2/toppan.html (2016/2/20閲覧)〕

例10「ロンドン毒殺魔グレアム・フレデリック・ヤング(Graham Frederick Young)事件1971年」:ヤングは14歳で継母、父、姉妹、学校の友人たちに毒物を与え、継母は死亡、逮捕。精神障害犯罪者の病院に収監、回復したとして9年後に釈放。釈放後すぐ写真店の店員に就職し、数ヶ月の間に約70人にお茶に混ぜるなどで毒物を与え2名が死亡。釈放後1年たたず1971年再逮捕23歳。毒物投与とその症状の日記が残っている。サイコパスは記録を残す。以下はその一部。

10/31:「フレッドに致死量の特別混合剤を投与した。明日どうなっているか楽しみだ」。

11/1日:「フレッドは出社していない」。

11/3:「フレッドは既に重体だ。意識不明で、麻痺と失明が進行している。あと2、3日もすれば最期を迎えるだろう。その方が彼には救いになる。仮に生き延びたとしても、永久に障害者になるだろうから、死んだ方がいいのだ」

〔情報元:ウィキペディア、グレアム・ヤング。殺人博物館グレアム・ヤングhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/young.html (2016/2/16閲覧)〕

下の画像左は少年時代のグレアム・ヤング。中央は毒を盛られた父と叔母と姉。右は殺されたフレッド。

  

画像出典:殺人博物館グレアム・ヤングhttp://www5b.biglobe.ne.jp/madison/murder/text/young.html2016/3/20閲覧

映画化『グレアム・ヤング毒殺日記』(1996、独仏英、原題:The Young Poisoner's Handbook)    

毒殺と首切断や人体解体の欲求基盤は同じ:例1「佐世保女子高生殺害事件2014年」の同級生を殺害、首と左手首をノコギリなどで切断、「人を殺して解体してみたかった」と述べた女子高生は、小学校6年の時に、同級生の給食に薄めた洗剤や漂白剤、ベンジンを混入するなどをくり返していた。例7の母親に毒物を与えた少女は、人体解体にも強い衝動を持っている毒物で人が苦しんでいくことを見たいというサイコパスの欲求は、首切断や人を解体する欲求と同じ精神基盤であることが分かる。

4)放火

例9のマサチューセッツ殺人看護人ジェイン・トッパンは毒殺を繰り返したが、同時に放火魔でもあった。放火は幼少期の3特徴(放火、動物虐待、寝小便)の一つであるが、大人にも見られる。〔幼少期のサイコパスの3特徴は本シリーズ(その4)「1.17(2)扁桃体の構造と具体的機能とサイコパス」「1.18(1)基本的な考え方」参照〕。後の例11「女子高生コンクリート詰め殺人事件」では、逃げられないようにしてライターの油を使って犠牲者の体に火を点けている。例14の角田美代子は犠牲者にガスバーナーを顔に向け髪の毛を燃やすなどの虐待をしている。生きた人を逃げられないようにして体に火を点けることはサイコパスの放火の究極と思われるが現代の戦場でも見られる。後の項「(3)戦時下のサイコパスの特徴行動」参照

5)監禁虐待

平和時のサイコパスは健常者の目から離れた場所で特徴行動をする監禁はその特徴行動の典型。健常者が立ち入れない閉鎖環境(友人関係内部、家族関係内部、企業内部、自衛隊内部や警察内部など)で行われる。サイコパスは外部からの力が及ばない限り、監禁での虐待の手を緩めることはない。犠牲者との間で「憎み/憎まれる」「恨み/恨まれる」関係を監禁の場で増幅することが快感になっている。監禁し食料を与えず痩せ細り苦しんでいる姿や、悲鳴を上げ、のたうち回ることがたまらなくサイコパスを引き付ける。犠牲者が「やめて」と叫べば叫ぶほど虐待を強め、ガリガリに痩せて死んでいく過程や死体をバラバラに解体する過程などで逆転快報酬系ドーパミンの陶酔を味わう。

サイコパスは、逃げないようにする監禁部屋や虐待のための道具を能力の総力を挙げて工夫する。何十人もの女性を殺害したデイヴィッド・パーカー・.レイ(David Parker Ray)は単独サイコパスであるが「拷問部屋」を作った。防音、滑車、鎖、ウインチ、テーブル、拘束具、スタンガン、弱電流の牛追い棒、釘で覆われた張形、婦人科用器具、注射器、薬品、強化壁と強化ドア、カメラ、モニターが備え付けられていた〔本シリーズ(その2)「1.7 サイコパスは見た目や会話では分からない」参照〕

以下の監禁事件例11~14はいずれも、まんじゅうサイコパスで、周囲に暴力装置としての人と道具を配置して虐待を実行している。単独サイコパスは自分自身の腕力や各種道具などを暴力装置として使うが、まんじゅうサイコパスでは暴力装置に相当する人がサイコパスから分離している。暴力装置となる人は映画『凶悪』原作の後藤良次のように反社会性人格障害者が取り込まれやすい。まんじゅうサイコパスは反社会性人格障害と親和性があり、暴力団と繋がりを持つものが多い。例11、12、14のまんじゅうサイコパスは暴力団との繋がりがある。

例11「女子高生コンクリート詰め殺人事件1988年〔以下女高生監禁殺人事件〕」友人関係の閉鎖環境で行われた。まんじゅうを形成したサイコパスの監禁がどんなに残虐であるかをこの例で理解していただきたい。

宮野裕史(当時18歳)を主犯とした16~18歳4人が刑事犯、2人が少年院送致の犯罪。高3吉田順子17歳を2階の居室に監禁し、輪姦、柱に裸で縛り付け性器にビン・マッチ・タバコなどの異物挿入、裸踊りや自慰行為の強要、タバコを2本一度に吸わせたり、シンナーを吸わせたりした。犯人らの隙をついて警察に通報しようとしたが宮野に見つかり阻止され、その腹いせに足にライターのオイルをかけて火で何度もあぶるという暴力行為をし、彼女の焼け焦げた足の腐臭を疎ましく思い強姦の対象から暴力へと変貌し、1m以上上から鉄棒を腹に落とす。トイレにも行かせず紙コップに排尿させその尿を飲ませ、ゴキブリを食べさせる。顔にマジックペンでいたずら書き。陰部や肛門に鉄棒や瓶を挿入し、刺し込んだまま瓶を割る。1.6kgの鉄球付き棒で大腿部を数十回にわたって殴打し、脇腹部、脚部などを多数回にわたって手拳で殴打した。暴力の激しさは、刃物で刺すことはしていないにも関わらず、殴られた時の出血が天井まで飛び散るほど激しいもの。全身が血だらけになり目の位置がわからなくなるほど顔が膨れ上がる。準主犯格の小倉護が「なんだお前でっけえ顔になったな」と笑う。真冬のベランダに裸で放置、顔面に蝋をたらす、などの苛烈な行為を41日間にわたり行った。最後は「ギャンブルに負けた」という理由(カラ理由)で、自力では立てなくなりほとんど動けなくなった被害者を2時間にわたって殴る蹴る、足をライターオイルで焼く、鉄の棒で殴るなどのリンチを加え放置し、死亡。遺体をドラム缶に入れてコンクリート詰めにし、遺棄。遺体の状態:顔や性器、肛門は破壊されて原型を留めていない:鼻の穴には血が詰まっており、口でしか呼吸ができない状態:陰部には栄養ドリンクの小瓶が2個差し込まれていた:乳房には縫い針が複数本刺さっていた:片方の乳頭(乳首)はペンチのようなもので潰されていた:手足は火傷と炎症で体液が漏れ出していた:歯茎にまともに付いている歯は一本もない:51キロあった体重は30キロ台になり、皮下脂肪が通常の半分近くになっていた:脳が委縮して小さくなっていた〔情報元:ウィキペディア「女子高生コンクリート詰め殺人事件」、及び「女子高生コンクリート詰め殺人事件の全貌。2人は再犯…」http://topicoco.com/post-1654  いずれも2015/9/21閲覧〕

下の画像左は殺害された八潮南高校3年吉田順子さん。卒業旅行の旅費を自分で稼ぐためダンボール工場でアルバイトをして、自転車で家へ帰る途中、犯人らの運転する車にぶつけられて拉致された。主犯格宮野は20年の刑の出所後2013年43歳の時に振り込め詐欺容疑で池袋署に逮捕、不起訴。準主犯格小倉は10年の刑の出所後2004年監禁致傷の疑いで警視庁竹の塚署に逮捕、4年実刑。画像右は犯人3名の当時の写真。2人は成人になり逮捕されているので顔が分かる画像を他のサイトからコピーした。2016年現在2人とも釈放されている。

画像出典左:沸騰する人たち・煮えたぎるモンスターたちhttp://blog.goo.ne.jp/xdr123/e/e62e97226587239549f9ab34a419d3e3 (2015/10/10閲覧)。画像出典右3人:女子高生コンクリート殺人事件 に貼られた o0626033611837091548.jpg の画像http://kokushin-kai.seesaa.net/upload/detail/image/o0626033611837091548.jpg.html (2015/10/10閲覧)

この例11「女子高生コンクリート詰め殺人事件」後半はその(4-7)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-5)サイコパス化過程とサイコパスまんじゅう他

2016-04-22 07:41:52 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-4)の続き。

(d)サイコパスまんじゅう内部での健常者のサイコパス化過程

(ⅰ)サイコパス化過程の4段階

まんじゅうサイコパスは健常者を自分と同じサイコパスにしたい衝動(サイコパス化衝動)を持つ。サイコパスまんじゅうの内部で健常者は真白化を経てサイコパス化する。それぞれ前期と後期に分かれ、全体として4段階になっている。この4段階は次の項目の「逃走4レベル」と合わせて理解すると理解しやすい。具体例は後の項の例13「北九州監禁殺人事件」例14「尼崎監禁殺人事件」で示す。

真白化

1段階真白前期簡単には逃げることができないこと、逃げることに失敗した時の恐怖から現実を受け入れ、当面の生命の危機を回避するため、逃げる行動をとらなくなる。サイコパスによる監禁だけでなく一般的な監禁状態で生ずる心理状態。「感情喪失」には至っていない。心理学用語の「学習性無力感」がこの状態に近い太平洋戦争で健常者が赤紙(召集令状)を受け取った時期

2段階真白後期サイコパスの行為が理解できず、思考停止(頭が真白)状態。サイコパスが行う残虐な現実を受け入れる以外に選択支がない。目の前の残虐虐待を受けることからから逃げることができない絶望恐怖などの感情が消滅し、何も感じなくなった状態。意志や判断力の喪失。疑似サイコパス準備期と言える。脳では、抑制神経伝達物質GABAなどの放出が強く行われて、扁桃体が機能停止状態に入ったと考えられる。心理学用語「解離」がこの状態に近い。【太平洋戦争で健常者が戦場の残虐さに直面した時期

本シリーズで特記のない真白化は真白後期への移行を言う。真白化は「ロボット化」と同義語。監禁状態で短期間に激しい残虐に直面した場合には前期と後期の境が明瞭でない。例13「北九州監禁殺人事件」では前期、後期の境がはっきりしないが、例14「尼崎監禁殺人事件」川村家では前期、後期の境がはっきりしている。 

②疑似サイコパス化

3段階疑似サイコパス前期:真白化で意思・判断力を喪失しているため容易にサイコパスの指示に従い他者を虐待することやサイコパスの行動を見て同じ行動をとる(サイコパス行動の映し込み)。逃げることができず、残虐な現実の絶望とともに従わないときの制裁虐待が背景。この段階ではサイコパスの言う通りに他者を虐待する。マインドコントロール(呪縛洗脳)下と言える。指示通りにするかどうかを近くでサイコパスが見ている条件下で行う。すなわちサイコパスの意思は「隣在の空気』」となっている。【太平洋戦争で健常者が上官の指示に従い残虐行為を行う時期

4段階疑似サイコパス後期サイコパスの指示がなくても、サイコパスが近くにいなくてもサイコパスの意思通りの行動をとる。外観上サイコパスと変わらない。遥か遠方でもサイコパスの意思を感じることがこの状態になる必要条件。すなわちサイコパスの意思は遠在の空気』」となっている。【太平洋戦争で上官がいなくても健常者が自ら残虐行為を率先して行う時期】。扁桃体は機能停止状態のため長期になるとサイコパスと類似の「逆転快」を感じるようになっている。逃げることができず、残虐な現実の絶望従わないときの制裁虐待とともにサイコパスと同様の「逆転快」が生じていることがこの時期の特徴となる。サイコパスと同様徹底的に残虐になっている。この段階を長期に続けると、事件が解決した後の呪縛解放に長期を必要とすることがある。場合によっては一生完全な呪縛解放は困難になる。呪縛解放とは偏桃体の機能回復のことである。以上をまとめると下記表の通り。 

サイコパス化の段階

健常者サイコパス化移行条件

サイコパスとの関係位置

呪縛解放後、回復必要期間

真白化

真白前期:逃げることをあきらめる。学習性無力感

逃走失敗を考え、当面の生命の危機を回避するため逃げられない。・逃げることができない絶望。

監禁初期。逃げないだけで、残虐行為を見たり受けたりはしていない

偏桃体は健全なままなので、呪縛されていず、救出と同時に自分を取り戻す。

真白後期:残虐や恐怖に何も感じなくなる。解離

・逃げることができない絶望。 ・残虐を受け入れる絶望。

監禁初期。サイコパスの残虐行為を見る、または受ける

短期間に回復。他者へ虐待していないので回復が早い*3

疑似サイコパス化

疑似サイコパス前期:残虐行為を指示下で行う。

・逃げることができない絶望 ・残虐を受け入れる絶望   ・自分が自分でなくなる絶望 ・従わないときの制裁虐待

監禁中期。サイコパスは近くにいる。言われるままに、あるいはサイコパスと同じ虐待行為を他者に行う

一定期間のリハビリが回復に必要。他者への虐待が強い心の傷になる*3

疑似サイコパス後期:残虐行為を指示が無くても自ら行う。

・逃げることができない絶望 ・残虐を受け入れる絶望   ・自分が自分でなくなる絶望 ・人間でなくなる絶望    ・従わないときの制裁虐待  ・「逆転快」が生じている*1

監禁後期、サイコパスは遠くにいる。言われなくてもサイコパスの強い意思『空気』」を読んで他者を虐待*2

長期のリハビリが回復に必要。完全回復困難性有。一生回復できない場合有*3

 *1疑似サイコパスのサイコパス崇拝

 特に疑似サイコパス後期になり、残虐行為に逆転快を感じるようになると、その快感をもたらしてくれるサイコパスを崇拝するようになる。崇拝するまでになった疑似サイコパス後期の人はサイコパスの右腕として、サイコパスと全く変わらない残虐行為を率先して行う。疑似サイコパス後期の存在によりまんじゅう構造は強固になる。真白後期(ロボット化)者や疑似サイコパス前期者でもサイコパスを崇拝することがあるが、それは自分が意思・判断力を失っており、自分に代わって意思決定をしてくれることからサイコパスを崇拝する。あたかも意志決定をする神であるかのように崇拝する。この崇拝は逆転快を伴わないため疑似サイコパス後期者ほど強固ではない。崇拝の具体例は例14「尼崎監禁殺人事件」で示す。【太平洋戦争の旧日本軍の中には上官のサイコパス行動(虐殺行動)を見て「あのようになりたい」と崇拝する兵隊が存在した。欧州でもドイツナチスの残虐行為を崇拝する人が多数出た。現在でも「その快感」を引きずっている人が存在する。これらは後の項「(3)戦時下のサイコパスの特徴行動」参照】

*2:太平洋戦争開戦の『空気』はサイコパスの強い意思

 山本七平の言う太平洋戦争開戦を決めた御前会議の『空気』は、旧日本軍内部の『サイコパスの強い意思』と考えると、「連合艦隊司令長官山本五十六などの合理的な判断による強い反対」を抑えて戦争を始めたことに納得がいく〔『「空気」の研究』山本七平文藝春秋 1983。NHK「山本五十六の真実」〕。サイコパスが合理的理由なく、どうでもいい理由を付けて、戦争を強く渇望することはサイコパスに共通する特徴。サイコパスは戦争実行のためにあらゆる能力を総動員し、サイコパスまんじゅう同士が融合拡大して多数派を形成して『空気』を作り出す。太平洋戦争における「国家のため」「家族のため」という理由は旧日本軍内部に入り込んだ『サイコパスの逆転欲求のため』と置き換えられる場合が相当あると考えられる。サイコパスの欲求は合理的な論理に基づくものでないので『空気』にならざるを得ない。反戦平和の運動をする人にとって「反戦平和の戦サイコパスの空気の影響を政治中枢やマスメディアや自衛隊幹部などから排除する戦い」でもあると筆者は考えている。サイコパス同士が結束し融合拡大することについては後の項「(h)サイコパスまんじゅう拡大の特徴」参照。

*3健常者の呪縛解放時の3つのタイプ:「忘却」「苦悩」「正当化」

①忘却タイプ:呪縛解放忘却真白化及び疑似サイコパス前期が数か月以上の長期の人に多い:自分が疑似サイコパス化して他者を虐待したことを忘れること。「忘れる」より「憶えていない」と言った方が近いかもしれない。長期のために偏桃体がほぼ完全に機能停止しているので行為に感情が伴わず記憶が断片的にしか残っていないことと、残虐行為の理由がよく分からない(カラ理由の)ために生ずる。残虐の苦しみから逃避するかのように忘れ去る。真白段階であれば、他者が虐待されるのを見たことを忘れる。戦場で長期に戦って帰還した兵士には戦場の詳細を思い出せないものがいる。後の例14尼崎監禁事件の真白後期を長期に維持した角田美子などが例。記憶と偏桃体の関係は前項「4)(a)サイコパスの「痛み」が快感になるメカニズム」参照。

②苦悩タイプ:呪縛解放苦悩真白化及び疑似サイコパス前期が数か月以下の短期の人に多い:自分が疑似サイコパス化して他者を虐待したことを自分の意思で行ったと勘違いして苦しむこと。偏桃体機能停止が短期であるためその前後の意思が記憶にしっかり残っているためと、残虐行為のカラ理由を受け入れた自分の記憶が比較的残っているために生じる。なぜあんな残虐なことをしたのだろうと自分に問いかけ苦悩する。真白化段階であれば、他者が虐待されるのを助けられなかった苦悩となる。この苦悩は「自分の意思が機能停止」だったことを理解することが苦悩解消の基礎になる。

③正当化タイプ:呪縛解放正当化疑似サイコパス後期に達した人に多い:他者を虐待したことを正当化すること。疑似サイコパス後期に達した人は逆転快ドーパミンが生じているために残虐行為に不快としての記憶がほとんどないことと、快を与えてくれたカラ理由再認識することから生ずる。疑似サイコパス後期を長期に維持した場合には逆転快ドーパミンを求めて再び残虐な世界を望むことがある。これはもはやサイコパスと変わらない

以上の3タイプは一人の人に混在する場合がある。また、PTSDは3タイプのいずれでも起こりうる。

 PTSDについては後の本シリーズ(4-20)「(I-1)(e)川村家サイコパスまんじゅう形成から衰退の全過程」の表の注*6満足期(川村疑似サイコパス前期へ)の「太平洋戦争で日本へ復員した兵隊」を参照。

「学習性無力感」と「解離」:「学習性無力感」でサイコパス化の全過程を説明しようとすることがみられる。これは大雑把すぎて限界。例えば、健常者がサイコパス化して他者を虐待する状況を説明することができない。「学習性無力感」は真白前期相当とすると、全体がすっきりまとまる。「解離」については西田公昭(立正大教授,社会心理学)の説明「自分がどんな状況で、何を考えているか分からなくなる。何らかの極限的な経験をした人はよく経験していることで、トラウマ的体験という言葉でよく理解されていること」〔瑠衣22回鑑定人証言〕と真白後期に相当する説明。

(ⅱ)犠牲者がサイコパスから逃げる時の逃走レベル:サイコパス化過程の4段階と逃走の関係

犠牲者がサイコパスにサイコパス化過程の上位の段階へ移行することを強制されたときに、上位段階への移行をする形で逃走する。このためサイコパス化過程の4段階に対応して逃走レベルがある。サイコパス化過程は絶望を背景に進行するので、上位段階絶望拒否する逃走でもある。下記表にサイコパス化過程の4段階と絶望に対応した逃走の4レベルを示した。具体例は例14「尼崎監禁事件」で見る。

逃走4レベル

真白化過程での逃走

疑似サイコパス化過程での逃走

レベル1

レベル2

レベル3

レベル4

真白前期になることを拒否する逃走

真白後期になることを拒否する逃走

疑似サイコパス前期になることを拒否する逃走

疑似サイコパス後期になることを拒否する逃走

絶望から見た逃走4レベル

逃げられない絶望にならないよう逃走。物理的拘束を拒否して逃走

残虐を受け入れる絶望にならないよう逃走。虐待を見る、受けることを拒否して逃走

自分が自分でなくなる絶望にならないよう逃走。他者虐待する自分(別人=サイコパス)になることを拒否して逃走。逃走の自殺*1

人間でなくな絶望にならないよう逃走。自律他者虐待する自分(完全な別人=完全なサイコパス)になることを拒否して逃走。逃走の自殺*1

苦痛から見た4レベル

拘束される苦痛で逃げる。逃げられるので逃げる

虐待される苦痛で逃げる。虐待されるので逃げる

サイコの前で人を虐待・殺すようになる自分に対する苦痛で逃げる

サイコがいなくても自律的に人を虐待・殺すようになる自分に対する苦痛で逃げる

捕まった状況で見た4レベル

捕まれば拘束されるが逃げる。拘束されても逃げる

捕まれば虐待されるが逃げる。虐待されても逃げる

捕まれば人を虐待・殺すことになるので逃げる。他者が殺されても逃げる

捕まれば殺されるが逃げる。殺されても逃げる

4レベルの心理状況のまとめ

 

危機回避の一般的な逃走と同様。危険なものには近づかない、離れる逃走

当面の生命の危機を回避するため逃げないでいたが、残虐行為が目の前で、また自分に行われ、逃げないでいることが生命の危機回避にならなくなったため逃走

感情喪失(意志喪失)してサイコパスが作る残虐状況に適応して自己存続を維持していたが、他者を虐待するサイコパスになることを強制され、感情喪失だけでは存在できなくなり逃走

言われるままに他者虐待し前期のサイコパス化することで自己存続を維持していたが、言われなくても虐待する完全なサイコパスになることを強制され、前期サイコパスでは存在できなくなり逃走

*1:真白後期を過ぎると、偏桃体が停止しているため感情が喪失しており、死ぬことの恐怖がない。レベル3、レベル4では、物理的な拘束により逃走できない場合には自殺という形で「逃走」することがある。これは、サイコパスが逆転欲求(心を破壊したい、肉体を破壊したい、死ぬのを見たい)で自殺に追い込んだ結果でもある。レベル3と4の「逃走の自殺」とサイコパスによる虐殺とは一体になっており区別が困難。

軍隊兵士の「敵前逃亡」=逃走レベル4:レベル4の場合が多いと考えられる。自分が殺されても人を殺すことができない、人間であることの究極の逃走である。多くの場合は味方兵に殺される

用語:逃走=その場から急いでいなくなろうとすること。逃亡=逃げて身を隠すこと(goo辞書)。失踪=行方がわからなくなること(Weblio辞書)。本シリーズでは用語を「逃走」で統一する。「逃亡」「失踪」がふさわしい場合も含む。

e)ロボット化とサイコパス化の違い

ロボット化とは:真白化と同義語。感情のない物体のような状態になること。中間サイコパスとまんじゅうサイコパスでロボット化に表面的な違いが出る。中間サイコパスは健常者をロボット化後に自殺を強要することに特徴があり、虐殺、身体解体に至ることも見られる。まんじゅうサイコパスは、ロボット化の後にまんじゅう構造の一部に取り込む。

サイコパス化とは:まんじゅうサイコパスにより、健常者が他者を虐待する疑似サイコパスになること。ロボット化の次の過程になる。広義にはロボット化を含めてサイコパスか(サイコ化)と言う。単独サイコパスは犠牲者をロボット化することもサイコ化することにも興味がなく、犠牲者を物理的に破壊するだけになる

サイコパスは健常者のロボット化衝動、サイコパス化衝動を持つ。監禁虐待でこのサイコパス化衝動がよく現れるので後の項「(2)平和時のサイコパスの特徴行動5)監禁虐待」の具体例で説明する。

(f)サイコパスまんじゅうの構造

下記表が基本構造である。サイコパスまんじゅうは、サイコパスを頂点とし、外部の犠牲者を最下層とした支配の階級構造を持つ。サイコパスまんじゅうはサイコパスの逆転欲求満足を追及するために作り上げられる。中心のアンはサイコパスと暴力装置が一体となって形成されている。暴力装置を使って健常者を支配構造に組み込み、犠牲者を虐待する。暴力装置を使うのは単独サイコパスと共通しているが、まんじゅうサイコパスはさらに強力なものを使うことが多い。暴力装置が無ければ、ほとんどのサイコパス犯罪は成立しない。疑似サイコパスはサイコパスに代わって暴力装置を使うことが多い。疑似サイコパスは自ら暴力装置となり、サイコパスの言いなりに犠牲者に対し殴る蹴るの行為を行うことがある。サイコパスの暴力装置は逆転欲求を実現するための「サイコパスと犠牲者の間に介在する媒介物」のことで、概念が広いので注意してください。具体例で理解して頂くのがいい。

サイコパスまんじゅう基本構造

基本構造内容

中心のアン

サイコパス(一人とは限らない)

暴力装置(道具類、監禁部屋、武器、薬物、火など)

まんじゅうの皮

(健常者や反社会性人格障害者などがサイコパスに取り込まれて、サイコパス化したもの。犠牲者の立場に転落することがある)

疑似サイコパス後期

疑似サイコパス前期

真白化期

外部の犠牲者

資産を取られたり、虐待を受けたりする人

以下のA~Hは例13「北九州監禁殺人事件」のサイコパスまんじゅうの支配構造の特徴をまとめたものであるが一般性がある。

A)階級序列は頂点のサイコパスが必要に応じて自在に変える

B)暴力装置をサイコパスに代わって使うものがサイコパスの右腕として虐待実行の最上位になる。この位置は疑似サイコパス後期者が占める。最上位のものは下位、例えば疑似サイコパス前期のものとともに複数で、外部犠牲者やまだ真白化段階の者を虐待する。

C)B)をまとめれば上位の者が下位の者に対して虐待する。最下位が外部の犠牲者の位置になり、最も激しく虐待される。

D)サイコパスに逆らえば序列の下位に落とされる。「誰かが下位に下がれば他の者は安堵」する(例13北九州監禁殺人事件の公判での純子証言)。「自分より下位が現れて怒られていれば矛先が向いてこないので安心する」(例14尼崎監禁殺人事件の公判での瑠衣証言)。

E)まんじゅう内部ではサイコパスの機嫌を損ねないよう絶対服従するようになる。

F)まんじゅう内部で他者の「問題点」「悪口」を述べれば序列の下位から免れるように仕向けられ、互いが「悪口」を言い合い憎み/憎まれる関係が増幅する【まんじゅう告げ口(密告)システム】。「悪口」を言わないものは下位へ落される。「悪口」はどのようなものでもよく、言われた者は制裁虐待の理由に使われ虐待される。【サイコパスは虐待にどうでもいい理由を必要とする】

G)相互の会話を禁じる。盗聴していることを匂わせるなどで、サイコパスがいない場所で逆らう話しをさせない。逆らう話をしたと思われるものは、見せしめに虐待される。

H)以上のため、まんじゅうの皮を構成する人は数が多くても一致団結してサイコパスに逆らうということが無い

(g)サイコパスまんじゅうのいじめ集団(虐待集団)と反社会性人格障害者のいじめ集団(反秩序集団)

両者は親和性があり融合していることがあるが、基本的に別の集団で下記表の通り。対処の仕方も別になる。

サイコパスまんじゅうのいじめ集団(虐待集団)

反社会性人格障害者のいじめ集団(反秩序集団)

逆転欲求満足の虐待行為が主体

正常欲求満足の金銭略取、万引、暴力沙汰など反秩序行為が主体

青年期の健常者の多くにも見られる万引きや喧嘩などの反秩序行為は17歳ごろをピークに減少する。これは大脳新皮質(社会脳)が脳組織の成長で最も遅れて20歳頃に完成するために生じている。したがって少年法でその間に行う違法行為は特別な配慮がある。反社会性人格障害者は青年期だけでなく20歳を超えても違法行為が止められない。その集団は暴力団との親和性があるというより、暴力団そのものになる〔本シリーズ(その3)「1.15(1)サイコパスと年齢の関係」、サイコパス犯罪は年齢に関係なく一定割合で推移する〕反社会性人格障害者は正常欲求満足(経済的利益や承認欲求など)のために違法行為を行ない、その違法行為で他者に苦痛を与えても気に留めることがないが、苦痛そのものを求めているわけではない。一方、サイコパスまんじゅうのいじめは「恨み/恨まれる」関係形成や犠牲者の苦痛などの逆転欲求満足を求めるところが、大きな違いになる。

単独サイコパスやサイコパスまんじゅうのいじめは、サイコパスについての知識がない教師が健常者の生徒の教育指導と同じように対処しても、全く歯が立たない。歯が立たないどころか、教師のほうが震え上がり、近寄ることができず早く卒業してほしいと、傍観者になる場合もある。また、教師自身がサイコパス特性を持つ場合もあるので、サイコパスの対処法を教育現場とともに社会全体で構築する必要がある。用語としては「いじめ」という軽いものではなく、命が掛かっている。「いじめ集団」より「虐待集団」のほうが実態に合っている。反社会性人格障害者まんじゅうと言える暴力団は、暴力を背景に、法秩序違反の領域で経済活動をする。基本は金で動く

(h)サイコパスまんじゅう拡大の特徴

サイコパスまんじゅう同士は、融合拡大と敵対共鳴の2つの拡大方向を取り、外圧がない限り、限界まで拡大する。

融合拡大:複数のまんじゅうが融合して拡大する。同一まんじゅうのアンの中に多数のサイコパスが存在するようになる。多数の健常者がまんじゅうの皮として、疑似サイコパス化して取り込まれ、周囲に多数の犠牲者がいる。このとき、反社会性人格障害まんじゅうと言える暴力団が融合し、暴力装置として一体化する。サイコパスまんじゅうは暴力団との親和性があり、暴力団はサイコパスまんじゅうから金銭的支援を得て融合拡大の原動力の一つになる。

敵対共鳴:複数のまんじゅうが互いに憎み/憎まれ、恨み/恨まれる関係を創出し、各まんじゅうがそれぞれ逆転欲求満足を味わう共鳴状態を作る。各まんじゅうは一見敵対関係に見えるが、互いに相手の存在によって自己の存在がある。各まんじゅう間で激しい残虐行為が行われ、アンとなったサイコパスの逆転欲求が満足される。

融合拡大は、敵対共鳴を原動力としていることが多い。まんじゅうサイコパスがこれらの拡大を遂行するが、単独サイコパスもまんじゅう内部や外部で逆転欲求満足を追求する。

戦時のファシズムは上記の2つの拡大方向によりサイコパスまんじゅうが巨大化して国家レベルにまで至ったものと筆者は考えている。虐待の恐怖で健常者を支配する恐怖独裁(テロ独裁)国家はファシズムと同様のサイコパスまんじゅう国家。古代国家などをサイコパスまんじゅう国家の視点で捉え直す学問的なアプローチが必要と考えている。サイコパス研究がまだ学問的地位を十分に獲得した状態とは言えず、サイコパスまんじゅうの概念も多くの研究を必要とするもので、ここでは基本的なところだけを述べた。 

以下(その4-6)へ続く。

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