(その4-55)の続き。
香川県警調査結果:第2警察の対応の問題点
1継続性を有する相談事案への対応
下記表の下行に筆者の見解を述べる。
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
松東署においては同署以外で受理した主要な相談の記録の送付も受けていたことから、これらの相談等の対応に当たっては、角やマサ等の関与を含む一連の事案の全体像を踏まえたものとなるべきところ、それぞれの対応職員において、それぞれの事案を個別の親族間トラブル等として認識してしまい、積極性を欠く対応にとどまる結果となった。 下記本項2も含むこうした対応の背景には、署幹部による情報の整理、分析とそれに基づく具体的な指揮が不十分であったことが窺えた。 |
筆者の見解 |
基本的な認識が誤っている ①個別か全体像かの問題ではない、サイコパスが介在したサイコ化事件か、一般の親族間トラブルかの判断の問題:松東署が全体像をまとめたとしてもサイコ化事件の理解がないので署員は対応できない。そもそもサイコ化事件の見識がなければ全体像をまとめることはできない。この調査結果のような個別か全体像かの問題にすり替えてはならない。個別の親族間トラブルがサイコパスにより引き起こされている場合(サイコ化事件の場合)は陰湿に、虐待や虐殺が行われるので、個別の親族間トラブルであっても警察の積極的関与を必要とする。 ②署幹部による情報の整理、分析とそれに基づく具体的な指揮の問題でなく、サイコパスの理解の問題 サイコパス対応の具体的方策は後の項(L-7)参照 |
2明の負傷事実等に対する対応
下記表の右列に筆者の見解を述べる。
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
筆者の見解 |
明に関する一連の相談等の中には、第1の6、7、8の相談のように明の身体に対する侵害の発生が窺える事案が含まれていたところ、これら事案に主体的に対応すべき松東署において、明を始めとする関係者に対するより詳細な事実確認が行われていなかった。 |
なぜ松東署が対応誤ったかの分析がない。松東署はなぜ主体的に対応せず、明の事実確認を行わなかったのか、単に松東署員が弛んでいるからではない。サイコ化事件の対応能力がないから、どう対応していいかわからなかったためであることを調査は突き止めなければならなかった。できていない |
また、第1の9の事案に際しては、松東署において、明の負傷事実に関し、明に被害申告をするよう説得したにもかかわらず、同人がこれに応じなかったものと認められたが、 |
これは事実と異なる。事実は、署員は被害申告出しても無駄、受け取らないと言っていた。前項「(a)(ⅰ)代表的な署員の虚偽証言の例」参照 |
その後、第1の13の事案に際しては、同人からの被害申告を受理しないなど不適切な対応が認められた。 |
なぜ不適切な対応をしたかの分析がない。署員は、当事者能力を失っていたが、何らかの処分をしなければならない。処分をしていない。 |
3警察本部の対応
下記表の下行に筆者の見解を述べる。
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
当時、相談業務を主管する警察本部生活安全企画課において、各所属で受理した相談を集約する体制が不十分であったことに加えて、同課と相談受理署を始めとする関係所属間における情報共有も不十分であった。このため同課において一連の事案の全体像を把握することができておらず、松東署に対する具体的な指導も行われていなかった。 |
筆者の見解 |
前の項「1継続性を有する相談事案への対応」で述べた①個別か全体像かの問題ではないと同様のこと。集約体制、情報共有の問題ではない。サイコ化事件を認識し、対応する問題。集約できたとしても現状ではほとんど対応は変わらなかったと推察する。県警本部でも角の事件が、何が何だかわからない事件として、うまく処理できなかったはずである。遺体が発見されて始めて事の重大性が分かって動き始めたであろうが、その時はすでに多くの人が虐殺された後になり、遅すぎる。 |
香川県警調査結果:第3今後の取組
1相談への適切な対応
下記表の注で筆者の見解を述べる。
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
警察に対する相談の中には、当事者が被害の届出を拒み*1、事実関係の特定を含め対応に苦慮する例*2も少なからず見られるところであるが、こうした場合であっても、常に当事者の生命、身体等に危害が及ぶおそれが伏在している可能性を考慮の上、当該事案の態様に応じ、被害の未然防止や拡大防止に向けて、各種法令を適用した被疑者の検挙等の措置をより一層積極的に行うこととする。とりわけ、継続性を有する事案に関しては、個々の相談内容に対する個別の対応に終始することなく、事案の全体像を踏まえた対応を徹底する*3こととする |
筆者の見解 注*1:署員が虚偽証言をして被害届を出させない対応をした事実が隠ぺいされているので、「適切な対応」が的外れになっている。署員がなぜ被害届を出させないのかにサイコ化事件に対応ができない署員の本質が出ている。署員は娘が父親を激しく虐待する現実に何が何だかわからなくなって、「適切な対応」ができない。そのため「娘が犯罪人になってもいいのか」と明に繰り返し、被害届を出させない。サイコパス角の存在と角によりサイコパス化している娘を把握し、サイコパスまんじゅう構造をまず角に分からないように調べなければならないが、署員はそのような発想をすることができない。まんじゅう構造を把握したのちに、まんじゅう構造の解消を行わなければならない。前項「(a)(ⅰ)代表的な署員の虚偽証言の例」参照。
*2:明はマサの暴力を背景としたサイコ3手法(強弁の恐怖、長時間拘束、眠らさない)や食事制限などを受けサイコ化が進展し真白後期になっていたと考えられる。真白後期になると記憶力が減退し、自分の意思がはっきりしない、もうろうとした状態である。妻の初代を虐待するように強制され、それを拒否して、すなわち疑似サイコパス前期になることを、自分が自分でなくなることを拒否して逃走し、松東署に飛び込んでいる。松東署員には、明の記憶があいまいでしゃべることも一貫性がないだけでなく、目がうつろで朦朧とした状態で「こいつ頭がおかしいんではないか」と見える。明自身も角がなぜ娘に自分を虐待させるのかなど、何が何だかわからなくなっているのでうまく状況を説明することはできない。そこで調査結果にある「事実関係の特定を含め対応に苦慮する」と言うことはサイコ化事件の理解がないので当然のことである。
*3:「適切な対応」は「個別の対応に終始することなく、事案の全体像を踏まえた対応を徹底」することではない。「個別の対応」でサイコ化事件に対処できるようにしなければならない。調査結果は各署や県警の範囲を超えての情報共有に基づく全体像のことを言っており、一般的な事件対応のことで当然のこと。サイコ化事件の特殊性の対応とは関係しない。各署に広がった事件になってからでは遅すぎる。犠牲者は、最寄りの署が頼りにならないので、各署を転々とし、県警本部にさえ訴えに行った結果として情報共有が必要な状態が作られるからである。基本は個別の案件のうちに対処できるようにすることが重要である。継続性を有する事案も同様で、継続しないうちに対処するのが基本で、継続するようではすでに多くの犠牲者が出ていて遅すぎる。「全体像」は「サイコパスまんじゅうの全体像」でなければならないが、調査結果の「全体像」は全く別の、単に事件全体と言う意味で、一般的な事件対応の当然のことを言っている。
2被害申告に対する対応
下記表の下行に筆者の見解を述べる
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
現在、届出人が犯罪被害の申告の意思を示した場合には、その内容が明白な虚偽であると認められるもの又は著しく合理性を欠くものを除き、被害届を即時に受理することとされているところ、今後とも被害届の受理に際しては届出人の立場に配意しながら、迅速かつ確実な対応を行うこととする。また、被害事実があるにもかかわらず被害者から被害の届出の意思が示されない場合においても、必要な場合には届出を働きかけ、それにもかかわらず届出をしない場合は、届出をしないこと自体が加害者の影響によるものである可能性も念頭に置き、当事者双方の関係、関連する事件の有無、客観証拠の状況等を総合的に考慮の上、強制捜査を含む捜査の実施その他の措置について組織的検討を確実に行うこととする。 |
筆者の見解 |
サイコ化事件では本当に救わなければならない犠牲者は届出することもできない。したがって犠牲者周辺の近隣住民や知人などからの通報や聴取が重要になる。周辺の人からの話でサイコ饅頭構造の存在を察知する「嗅覚」を持った署員の育成が必要になる。いじめ集団の場合もいじめられている本人は話せないので、周辺の人の話から実態を把握しなければならない。この「嗅覚」を持った教師の育成が必要。具体的には後の項(L-7)参照。被害届を出す犠牲者やいじめを訴える犠牲者は、まだ健全な精神を維持しており、その人を救うのは当然だが、その人の後ろにより深刻な犠牲者がいることを理解する必要がある。「届出をしないこと自体が加害者の影響」「強制捜査を含む捜査の実施」は一歩前進であるが、サイコ化事件の理解と一体でなければ効果がない。 |
3警察本部の関与
下記表の下行に筆者の見解を述べる
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
警察に対する各種相談の受け渋り、処理の遅延等の不適切な取扱いを防止し、迅速かつ確実な組織対応をより一層推進する観点から、本県警察においては、本年4月1日付けで警察本部警務部に広聴・被害者支援課を設置するとともに、各警察署の警務部門の充実を図るべく必要な措置を講じたところである。今後、こうした体制を有効に活用し、警察本部各部門は、警察署の各部門に寄せられた相談者等の生命、身体等に危害が及ぶおそれのある相談及びこれに対する警察署の処理方針を適時適切に把握し、関係部門間の情報の共有を図るなど緊密に連携して必要な指導を行うこととする。また、関連する相談が複数の警察署に寄せられている場合等においては、関係警察署に対し事態対処体制の構築及び具体的な措置を指示することとする。 |
筆者の見解 |
組織をいじるのは官僚が「対策を行った」形式として、批判の目先をごまかす時によくやる手。今回も同様でサイコパス対策にならないが、無いよりは良い。だが、以前は各署で分散していた相談が少人数の新組織に集中し忙しいだけになり、有効な機能せずパンクすると思われる。後の項(L-7)で、この新組織を有効にするにはどうしたらいいかを考えている。 |
4職員に対する研修等
下記表の下行に筆者の見解を述べる
香川県警公表内容(ほぼ全文) |
届出人やその関係者等の生命、身体等に危害が及ぶおそれのある相談は、専門窓口のみならず様々な警察活動の場面で認知する可能性があることから、2012年7月から警察学校における全ての専門研修において、相談への適切な対応に関する講義の受講を義務付けるなど、警察職員の意識と能力の向上に努めているところである。 今後は、今回の調査の結果を講義に反映させること等を通じ、被害届の原則即時受理、関連性が疑われる相談に係る情報共有の徹底等研修の内容の一層の充実に努めることとする。また、的確な事態対処のためには、幹部職員の高い指揮能力が必要であることから、幹部職員に対する事態対処能力向上のための研修等を推進することとする。 |
筆者の見解 |
この公表は「意識と能力の向上」など警察学校や幹部職員研修の一般的な当然のことを言っている。角の事件の教訓から導き出すべきはサイコ化事件への適切な対応という具体的な対策。これがそっくり抜けた研修等なので改善にならない。 被害届の原則即時受理の誤り:男女間や財産相続のもめごとなどで、警察が介入すべきでない『くだらない被害届』はたくさんある。原則即時受理して立件していたら署員が何人いても足りなくなる。また、本当に受理して立件が必要な重要案件に注ぎ込む労力が分散してしまう。したがって原則即時受理ではなく、受理すべきかどうかの選別基準を明確にし、研修することである。マスコミに明の被害届を警察が拒否したことを叩かれたために出てきたわざとらしい愚策と言える。 サイコ化事件はその残虐性のために目立つが極めて少なく、サイコパスが狡猾なので、他の多くの事件と混在すると見逃されてしまう。また、出先の警察官がサイコ化事件対応能力すべてを身につけても使われることが少なく、他の対応能力を身に着けた方が市民のためになると考えられる。従ってサイコ化事件は一般事件の対応とは別に専門家警察官を必要とし、その専門家警察官と出先の各署員が効果的に交流できるシステムを作る必要がある。そのための研修が必要となる。 |
以上が香川県警の調査結果とそれに対する筆者の見解である。兵庫県警と香川県警の調査結果の問題点を踏まえた、筆者が考えるサイコパス犯罪対応(あるべきサイコパス対策)は後の項(L-7)でまとめて述べる。
(L-5)例15栃木事件(栃木リンチ殺人事件:栃木監禁殺人事件)と警察対応
(その4-57)へ続く。原稿作成中、でき次第掲載いたします(2017/10/6記)