(1/2)の続き。
F.Mさん
①[42〜世界を変えた男〜](2013年アメリカ 監督ブライアン・ヘルゲランド)
1947年の4月15日(のちにこの日が、ジャッキー・ロビンソン・デーとなる)
史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を、ブリックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)の球団オーナー、ブランチ・リッキーとの交流を軸に描いた実話を基にした感動の物語です。
この映画では、2つのパワーが描かれています。
1つは、ロビンソン自身の圧倒的な野球の実力。
もう1つは、球団オーナーとしてのリッキーのリーダーシップ。
この2つのパワーが合わさった事で、黒人初のメジャーリーガーが誕生しました。
人種差別が激しい時代背景なども思うにつけ、アメリカの全球団が永久欠番にしている背番号42の理由もよく解って、今ベーブルース以来の2刀流で大活躍の大谷選手がそのロサンゼルス・ドジャースに入団した事とも相まって、とても印象に残る映画になりました。
(下画像左:映画パンフレット、左にドジャースのオーナーのリーキー役ハリソンフォード、右にロビンソン役チャドウィック・ボーズマン。画像中左と中右:ロビンソンは「ここはお前の居場所じゃない」「さっさと帰れ」と言われ、危険球も投げられる。画像右:実際のジャッキー・ロビンソン、ドジャースのユニフォーム姿)
画像出典左:映画ナタリー 42~世界を変えた男~ https://natalie.mu/eiga/film/161232 (閲覧2024/1/10) 画像出典中左:映画『42~世界を変えた男~』予告編https://www.youtube.com/watch?v=toNYuaZpd84 (閲覧2024/1/10) 画像出典中右:トルーパー.com@trooperkt0108【42〜世界を変えた男〜】(2013) https://twitter.com/trooperkt0108/status/1258063954204438528 (閲覧2024/1/10) 画像出典右:シネマトゥデイ 人種の壁を破ったメジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」映画化 https://www.cinematoday.jp/news/N0032756 (閲覧2024/1/10)
②[憧れを超えた侍たち 世界一への記録](2023年日本 監督 三木慎太郎)
2023年3月に開催されたWORLD BASEBALL CLASSICで優勝するまでの軌跡をたどる野球の日本代表チーム・侍ジャパンの選手やスタッフ達に密着したスポーツドキュメンタリーです。
2006年、2009年の優勝も思い出し、(日本中もそうだった様に)純粋にとても元気をもらいました。
BSNHKでの大谷選手などの大リーグ中継にもどハマりで、お陰様で楽しい1年になりました(笑)
(下画像:優勝の瞬間)
画像出典:Kaz’s Blog「憧れを 超えた侍たち 世界一への記録」https://kazinaba.exblog.jp/30348042 (閲覧2024/1/10)
③[阪急電車 片道15分の奇跡](2011年日本 監督 三宅喜重)
TVドラマ・草なぎ剛主演の僕シリーズなどを手がけた監督のデビュー作との事。有川浩の小説を映画化。
阪急今津線を舞台にした片道15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々を描く物語です。
こんな描き方もあったかと思い(TVドラマの僕シリーズもよく見ていたので)…見終わった後に何となくほのぼのとして…見てよかったと思った映画です。
(下画像:阪急電車をバックに出演者たち)
画像出典:SITA浪漫 1年ぶりの映画「阪急電車」http://gurikura-0606.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-16cc.html (閲覧2024/1/10)
*見たい映画 役所広司主演の『パーフェクト・デイズ』
N.Mさん
『すずめの戸締まり』(2022年日本、監督:新海誠)
帰省中、実家のある兵庫県を題材にした映画を探していたとき「すずめの戸締まり」の作品を見つけました。
主人公の鈴芽(すずめ)という名の少女が、日本各地の災害を引き起こすとされる扉を閉じて鍵をかけていくというストーリーです。
ファンタジー要素が強いですが、実際に地震災害を経験した地域が舞台となっていて、兵庫県もその中の一つでした。
描写が美しいです。 神戸の街の描写は(おそらく他の街も)、実際の街並みに忠実に、細かい部分まで丁寧に再現されているようです。
有名な監督が震災をテーマにした映画を作ることで、若い世代に震災の記憶を伝える助けになればいいですね。
画像出典:映画ナタリー すずめの戸締まりの画像・動画(18/22)https://natalie.mu/eiga/gallery/film/188870/188774
S.Tさん
1番目『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』(2022日本 監督中村裕(ゆたか))
内容:寂聴さんの人柄や人生が浮かび上がってくるドキュメンタリー。講話の場面では、人を引き付ける話をし、年とともに昨日できたことが今日できなくなると、そのことを笑い飛ばす。テレビのインタビューでおかしなことを言ってしまったときには、後で「ボケてしまった」と涙を流す。転んで目の周りを紫にしていた姿もそのまま映像になっている。
亡くなる前の雪の日に、「この雪が雪を見る最後になると思う。近頃の出来事のそれぞれが、これが最後になるように思える」と話して、その通りに再び雪を見ることなく亡くなった。
感想:寂聴さんの人生は思う通りに生きた、直球の人生、状況に応じて出家し、無理な変化球がないように思う。寂聴さんは最後まで、とても感性豊な人だったように思う。寂聴さんが中村監督を「ゆうさん」と親しく呼び、心の支えにしていたように思える映画でした。
中村監督が17年間寂聴さんの生活を記録した。中村監督の初作品。私もいずれ「この雪が雪を見る最後になる」という日が来るのかもしれない。
(下の画像左:講話中の寂聴、会場は笑いの渦。画像中:誕生日祝いか何かの祝いで分厚いステーキを食べ、お酒を飲む寂聴、向こうにいるのが中村監督。画像右:自宅で大笑いをする寂聴、2021年11月に99歳で亡くなった。最後まで戦争をしてはいけないと訴え続けていた)
画像出典左と中と右:瀬戸内寂聴さん 至福は「孤独に書くこと」 密着17年、中村裕監督が明かす知られざる姿。©2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会 https://globe.asahi.com/article/14630751 (閲覧2023/1/5)
次のアドレスで予告編を見ることができます1分:https://eiga.com/movie/96677/
TVnews23の小川彩佳キャスターのインタビュー3分39秒:https://www.youtube.com/watch?v=K2r0_7kdp2w
2番目『土を喰らう十二ヵ月』(2022日本 監督中江裕司)
内容:「ぽつんと一軒家」に出てきそうな小屋で山菜や畑でとれるもので生活をする主人公がその食材で料理を作る。この映画はこの自然食の料理が主人公になっている。いろいろの料理がどう作られるか四季の自然とともに丁寧に描かれる。
料理は作家の水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」が基になっているとのこと。水上勉は貧困から9歳の時に禅寺に入り精進料理の世界に入った(参考:ウィキペディア水上勉)。映画の料理はすべて精進料理と思う。映画の主人公は作家であり「ツトム」さんと呼ばれているので、水上勉が想定されていると思う。
感想:自然食材の魅力がフルに発揮され、料理は素朴であるが、食べてみたいと思う映画でした。また、自然の中で生きる人たちと都会の人が対比的に、料理とともに描かれているのも印象的でした。
(下の画像左:子芋(里芋),良い食材は焼くだけで旨い。下画像中:塩漬けの梅と周囲に塩もみしたシソの葉、梅干しを作る過程が描かれる。画像右:「なめこ」を取りに行く途中で編集担当者(松たか子)と出会い、一緒に取りに行く、松たか子の赤い服とコントラストで秋の紅葉がとてもきれいな場面)
画像出典左:四季の恵みに感謝し、十二ヵ月を生きる。https://tsuchiwokurau12.jp/ (閲覧2023/1/5) 画像出典中:映画『土を喰らう十二ヵ月』https://twitter.com/tsuchiwokurau12 (閲覧2023/1/5) 画像出典右:信濃毎日新聞デジタル『土を喰らう十二カ月』を語る② 信州の四季を取り入れ 穏やかに生きていく、その喜びを教えてもらえますhttps://www.shinmai.co.jp/news/article/SHPR2022103100003442 (閲覧2023/1/5)
(下画像左:台所、左下のテーブルで主人公がいつも食事をする。画像中:食事時の主人公ツトム(沢田研二) 。画像右:ツトムが少し離れた所に住む亡き妻の母親の様子を見に尋ねた場面。母親(奈良岡朋子)はツトムと同じように一人で畑を耕し生活。中央の皿、自家製たくわんを山盛りにしてもてなす。米も味噌も母親の自家製)
画像出典左と右:四季の恵みに感謝し、十二ヵ月を生きる。https://tsuchiwokurau12.jp/ (閲覧2023/1/5) 画像出典中:信濃毎日新聞デジタル『土を喰らう十二カ月』を語る① 旬の食材を使って きちんと 料理することを 心がけましたhttps://www.shinmai.co.jp/news/article/SHPR2022102500003436 (閲覧2023/1/5)
下アドレスで、禅寺では「献立は畑と相談する」で始まる予告編1分6秒を見ることができます。
https://youtu.be/f5el63UWTM8 (閲覧2023/1/5)
3番目『妖怪ウォッチ』の誰にでもすぐに謝ってしまう妖怪(たぶん2015年 監督ウシロシンジ)
内容:この妖怪に取りつかれると、誰にでもすぐに謝ってしまう。この妖怪に対抗するために主人公ケータ君はリーゼント頭の妖怪「グレるりん」を呼び出し闘わせるが勝負がつかず、妖怪どうし仲良くなってしまう。
感想他:この妖怪は傑作だ。これまでに、このような妖怪がいただろうか。なにしろすぐに謝ってしまう妖怪。
以前、大手百貨店の1階のスペースで妖怪ウォッチの着ぐるみのショーがあり、着ぐるみを着た主人公ケータ君、ふみちゃん、妖怪案内の執事、などが出て来て、簡単なストーリーをやった後「ゲラゲラポーのうた」を踊ると、見ていた1階の子供、2階から見ていた子供、幼稚園くらいの子から小学生くらいまでが多数一人残らず子供たちは一斉に一緒に踊る。どの子も踊りを知っている。こんなに子供たちに人気のあるのはどんなアニメだろうと思っていた。
見たのがこれ第72話#205「妖怪あやまり倒し」。これまでの妖怪と言えば「怖い」作品が多い中、まったく異なる発想でインパクトがあったので3番目に上げた。
このシリーズはいろいろな人の個性や出来事を妖怪のせいにするところは非科学を増長し不適切で問題があるが、発想が今までにない、意表を突いているところは好感が持てる面がある。妖怪「あやまり倒し」に似たものに妖怪「一旦ごめん」がある。この妖怪に取りつかれると直ぐに「一旦ごめん」と謝る。いずれも心を和ませる作品。5~10分程度の短い作品。
(下の画像左:右にふみちゃん、中央に主人公ケータ君、左に妖怪に取りつかれて謝る友達のカンチ君。画像中:妖怪に取りつかれ、謝るふみちゃん。画像右:「ゲラゲラポーのうた」と踊り。歌と踊りは更新され8作品以上になっているようだ。子供たちはこのような踊りが大好き)
画像出典左:妖怪ウォッチ あらすじ 第72話 【妖怪 あやまり倒し】https://bigmongee.com/anime/archives/12456 (閲覧2024/1/8) 画像出典中:「妖怪ウォッチ」第72話感想画像まとめ・ドケチングがひゃくれつ肉球かわすシーンが無駄にかっこよかったwー【妖怪ドケチング】【妖怪あやまり倒し】【妖怪迷い車】http://moeboku.seesaa.net/article/420207789.html (閲覧2024/1/8) 画像出典右:2014年冬アニメ「妖怪ウォッチ」第1話の感想文https://blog.goo.ne.jp/takasaatsu/e/023c63ec1c87a1007a37aad1ffc934c8 (閲覧2024/1/8)
以上です。
メンバーからメールで頂いた2023年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品です。作品西暦は特記がなければ日本公開年度、次に製作国です。公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルBDなどを含めて選んでいます。これから見たい映画も取り上げていいとしています。今回は新型コロナのため映画館で観るのを控えた会員もいますので、2023年前半に観た映画でなくてもいいとしています。また、感想などでネタバレの要素がある場合がありますのでご了承ください。原則敬称略。
H.Oさん
今回は、ワンちゃんを主人公にした映画の中から、シリーズものの2点でエントリします!ワンちゃんと生活を共にしていると、犬というより、自分の子供という感じで接してしまうので、常々、ちゃんと意思疎通できたらなって思っていますが、この映画は、動物たちも人と意思疎通したいって思っていると思わせます。
『僕のワンダフル・ライフ』(A Dog's Purpose) ( 2017年アメリカ 監督:ラッセ・ハルストレム 原題A Dog's Purpose )
「野良犬トビーの愛すべき転生」(W.ブルース キャメロン 著)という米国でベストセラーになった本を元に映画化されたものです。
主人公は、ベイリーというワンちゃんと少年イーサ ン。犬の寿命は人より短いので、イー サンに会いたい一心で、ベイリーは転生を繰り返すわけですが、生まれ変わる度に、犬種も飼い主も変わり、なかなか遭遇できないといった流れで進みます。
あらすじは、観てのお楽しみというところですが、犬目線で心情が描かれているのがとても面白く、その中で、犬が飼い主を幸せにしようとする姿にはグッときます。
画像出典:映画専門チャンネルムービープラス 僕のワンダフル イッキ観!https://www.movieplus.jp/recommend/detail/?id=1070 (閲覧2024/1/8)
『僕のワンダフル・ジャーニー』(A Dog's Journey )( 2019年 アメリカ 監督:ゲイル・マンキューソ 原題 A Dog's Journey )
『僕のワンダフル・ライフ』の続編です。主人公のワンちゃん(ベイリー)が何度も生まれ変わっている間に、少年だったイーサンも大人になり、そして・・・・・ということで、これが、完結編という感じです。
何度も生まれ変わって、いろんな飼い主に出会っていろんな経験しながら、その度に強い絆を築いていくのですが、本人(本犬)は、やっぱりイーサンに会いたくてという流れで進みます。
犬に人間の言葉が分かっていたらいいなという思いが強くなりますね。
当然ですが、ご覧になる場合は、『僕のワンダフル・ライフ』から先にご覧ください。
画像出典:洋画専門チャンネル ザ・シネマ 僕のワンダフル・ジャーニー 飼い主への一途な愛は何度生まれ変わっても永遠に。https://www.movieplus.jp/recommend/detail/?id=1070 (閲覧2024/1/8)
O.Aさん
2023年下期に鑑賞した映画で予告編と本編のギャップが大きかった映画を紹介します。
一部、内容に触れている部分があるため、所謂ネタバレを気にされる方は読まない方がいいです。
予告編詐欺と言いたくなる位、予告編と本編に差異があった3本。
『首』(2023年11月23日公開 監督北野武)
予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=vcGZ8m7tqDI
予告編の印象から黒澤明の『影武者』や『乱』の様な大型歴史時代劇を期待すると思います。衣装が黒澤明の娘の黒澤和子なのでなおのこと。もしくは、『アウトレイジ』の時代劇版を期待した人もいると思います。
しかし、本編では、BL(衆道)やコント的な要素が多く、本格時代劇を期待した観客はかなり困惑すると思います。
特に劇中、羽柴秀吉(たけし)が羽柴秀長(大森南朋)と黒田官兵衛(浅野忠信)に対して仕掛けるアドリブ芝居では、完全に大森と浅野が役柄を離れ素に戻って対応しているのが明確にわかります。まさかこれが本編に使われているとは当人は思っていなかったでしょう。
作品の印象は、過去作の『みんな〜やってるか!』や『監督・ばんざい!』に近いかもしれません。たけしの秀吉のキャラクターはテレビ番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』の城主のまんまでした。
(下の画像は中央に羽柴秀吉(たけし)、左に羽柴秀長(大森南朋)、右に黒田官兵衛(浅野忠信)。衣装は黒澤明の娘の黒澤和子)
画像出典:映画.com首【こんな狂った戦国時代、観たことない――!】北野武監督、構想30年の“集大成的一作”で描いたのは“誰も見たことがない本能寺の変”だった! 有名武将たちの“全員、狂人”も凄まじいエンタテインメント超大作 https://eiga.com/movie/99284/special/ (閲覧2024/1/9)
『怪物の木こり』(2023年12月1日公開 監督三池崇史)
予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=Bfajd6Kax84
2019年・第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説の映画化。コピーの『サイコパス VS 連続殺人鬼』と三池崇史の最新作ということで期待が高まる一本。『殺し屋1』や『極道戦国志 不動』のような映画を期待した人も多いと思います。
しかし、本編ではサイコパスと謳っている亀梨和也が開始早々、「実はサイコパスではありませんでした」というまさかの展開。しかも、サイコパス設定が人工的に作られたという設定。このネタバレが巻頭のシーンにあるのも致命的にダメ。一番の売りを外してどうやって本作を楽しめばいいのか?
更に亀梨は実はいい人だったというダメ押しで鑑賞したことを後悔させるオチに絶句しました。
(下画像左:主人公弁護士(亀梨和也)。画像右:連続殺人鬼、木こりのように斧で人を襲う)
画像出典左:映画.com怪物の木こりhttps://eiga.com/movie/99644/ (閲覧2024/1/9) 画像出典右:シネマトゥデイ 亀梨和也を狙う“怪物”はこうして生まれた…『怪物の木こり』狂気のキャラクター制作秘話 https://news.yahoo.co.jp/articles/419a0ba16d9381a700991fa47aef038c95153d2a (閲覧2024/1/9)
『映画 窓ぎわのトットちゃん』(2023年12月8日公開 監督八鍬新之介)
予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=869wlarndRA
戦後最大のベストセラーと言われる同名小説のアニメ化。予告編を見ると時代背景は戦後の復興中の日本のような印象を受けました。
児童向けアニメのような予告編の作りなので、大人の観客は鑑賞リストから外してしまうと思います。
しかし、本編は完全な反戦映画でした。後で気づいたのですが、公開日が12月8日で「太平洋戦争開戦記念日」だったのも意図的だと思います。舞台は戦中の日本で戦争のカゲが忍び寄る時代の描写が克明に描かれています。終盤のB29が焼夷弾を東京に投下するシーンの作画がかなり詳細に描写されているのに驚きました。劇中に太平洋戦争の開戦を報じるラジオの描写もあり、予告編では全く出て来ない「戦争」の要素を外したことは完全にマイナスだったように思います。
(下の画像左:中央の窓際にいるのがトットちゃん。画像右:東京大空襲の場面)
画像出典左:FASHION PRESS映画『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子の幼少期描く自伝的小説をアニメ映画化、小栗旬・杏ら声優キャストにhttps://www.fashion-press.net/news/106231 (閲覧2024/1/9) 画像出典右:講談社コクリコ 窓際のトットちゃんhttps://cocreco.kodansha.co.jp/special/tottochan (閲覧2024/1/9)
Y.Tさん
2023年は知人に勧められた是枝監督の『怪物』を映画館で観たかったのですが、体調を崩してしまい叶わず。
Amazonプライムで、長年気になっていた『ミリオンダラー・ベイビー』を観ることにしました。とても心に響きました。
『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年アメリカ公開 監督:クリント・イーストウッド原題Million Dollar Baby)
ハッピーエンドでは無い、ボクシング映画です。
老いた名トレーナー「ダン」と、田舎育ちでボクサーを目指すウェートレスの「マギー」。
「終わり良ければ全て良し」という言葉がありますが、逆に終わりが“最悪”だった場合は、全ての過程、そもそもの出会いさえも過ちだったように思えてしまいます。
フィクションと分かっていても、ダンとマギーの「選択」と「人生」に数日思いを馳せました。
公開当時、母親に勧められていたのですが当時10代の私には受け入れられなかったと思うので、今観てちょうど良かったです。
映画って、ちょうど良い時にちょうど良いものが巡ってくることがあるな、と思います。
(下画像左:レストランで働くマギー(ヒラリー・スワンク)。画像中:左に老いた名トレーナーのダン(クリント・イーストウッド)、右にボクサーを目指すマギー。画像右:マギーは勝ち進み、WBA女子ウェルター級チャンピオン『青い熊』ビリーとの100万ドル(ミリオンダラー約1.4億円)が掛かる試合。左にビリー、右の白がマギー。この試合で悲劇が起こる)
画像出典左:『ミリオンダラー・ベイビー』絶句するほど美しい「絆」のドラマhttps://intro.ne.jp/contents/2005/05/19_1257.html (閲覧2024/1/10) 画像出典中:愛すべき映画たち『ミリオンダラー・ベイビー』(クリント・イーストウッド) https://aisubekieigatachi.com/million-dollar-baby/ (閲覧2024/1/10) 画像出典右:どらごんづ★Movie'zミリオンダラー・ベイビー(2004年)https://dragonsmoviez.blog.fc2.com/blog-entry-1359.html (閲覧2024/1/10)
Aさん
今回は映画館で観た二本の映画について書きます。それ以外で印象に残ったのは、沢木耕太郎原作のボクシング映画『春に散る』と、フランス・スペイン合作の実話をもとにした映画『理想郷』でした。
●『ゴジラ-1.0』(2023年日本 監督・脚本/山崎貴)
かつて本多猪四郎が監督した作品群の『ゴジラ』、『モスラ』、『ゴジラ対モスラ』などの怪獣ものや、『マタンゴ』などのSF怪奇ものを子供の頃、よく父に連れられて渋谷の映画館で観た。思えば、私が映画好きになった原点はこの辺りにあったようだ。この頃の怪獣ものにはロマンがあった。
『ゴジラ-1.0』には、1954年版の『ゴジラ』のような過ぎ去った昭和のテイストが詰まっていて懐かしさを感じた。そんな時代設定でありながら、最新技術のVFXは素晴らしく、古さと新しさが統一されて画面的に違和感がない。そして「核の脅威」の象徴であり、人間が犯した罪の祟り神とも言える肝心のゴジラは間違いなく怖い。
好き嫌いはあるだろうが、私は、戦略的・政府的側面が強くて、ゴジラがそれほど怖くなかったスタイリッシュな『シン・ゴジラ』をあまり評価していない。なので、怪獣ものなら何でもいいというわけではない。
『ゴジラ-1.0』の時代背景は、太平洋戦争末期。特攻隊員だった主人公(神木隆之介)が生への葛藤から特攻できずに生き残り、戦後の荒廃した東京に突如現れたゴジラと対峙する民間チームに入って戦う物語。主人公が自分を取り戻していくという自己完結のストーリーに、混乱の中で偶然知り合った女性(浜辺美波)とのほのかな恋愛が絡めてある。
この賢く勇敢な民間チームとゴジラの戦いがメインなのだが、ここぞという時に流れる例のゴジラのテーマ曲のタイミングが絶妙だ。ストーリーは先が読めてしまう部分もあり、そこが物足りないという意見もあるだろうが、私は、それはそれで良いと思う。変な言い方かもしれないが、「王道の怪獣映画」という安心感があるのだ。
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで見せた山崎監督の昭和の街づくりが素晴らしく、主役二人をはじめ、脇を固める俳優陣もみな適役だった。そして大迫力の画面。ラストは、ただでは済まない、この先があるというエンドレスな不安要素を感じさせた。
(下の画像左:戦闘機でゴジラに挑む主人公(神木隆之介)。画像中:窓から迫ってくるゴジラを見る女性(浜辺美波)。画像右:大迫力のゴジラ)
画像出典左:シネマトゥデイ『ゴジラ-1.0』戦闘機に乗り込みゴジラに挑む敷島!新場面写真(全8枚)https://www.cinematoday.jp/gallery/E0023303/002.jpg.html (閲覧2024/1/9) 画像出典中と右:圧倒的迫力!!「ゴジラ-1.0」新たな全身ビジュアル&場面写真15点公開 https://eiga.com/news/20230914/12/ (閲覧2024/1/9)
●『PERFECT DAYS』(2023年日本・ドイツ合作 監督/ヴィム・ヴェンダース)
「PERFECT DAYS」は、私的で詩的で禅的な映画。観る側の心の奥底をくすぐるような、懐かしさと静けさに包まれた映像とストーリーだ。渋谷で公衆トイレの清掃の仕事をする男の日常を描いているだけなのだが、なぜか最後まで目が離せなかった。
若い頃、ヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュの映画が大好きだったことを思い出した。画面作りが本当に美しい。
役所広司演じる平山は、ミニマリストで決まったことを淡々とこなすことに喜びを感じるのだろう。
早朝、近所を掃く老女のほうきの音で目覚め、部屋の植物に水をやる。カセットで音楽を聴きながら掃除道具を乗せたバンで仕事場へ。仕事は丁寧で手を抜かない。終われば銭湯で汗を流し、行きつけの地下の居酒屋へ行く。(店長がいつも「お帰り」と声をかけて一杯目を出すのが良い。)夜は古本屋で買った本を読みながら眠りにつく。見る夢は彼がフィルムカメラで撮る木漏れ日の映像と同じように淡い。
デートをしたい若い同僚にお金を貸して、結局返ってこないかもしれないが、それほど怒りはしない。だが同僚が突然辞めてシフトが崩れそうになった時のみ、普段温厚な彼は異様に怒る。生活のリズムが崩れるのが嫌なのだろう。それは「今」を本当に大切に生活しているから。訪ねてきた姪と一緒に自転車に乗って、大声で歌うように繰り返す「今度は今度、今は今」というフレーズが全てを語っている。
気になったのは、禅的には「掃除と料理は修行の一環」なので、その点、仕事にしている掃除は完璧だけど、私生活ではもう少し食生活に気を使って欲しかった。朝は車で缶コーヒーのみ、昼はお寺の境内でサンドイッチ、夜は居酒屋でほとんど食べずの繰り返しでは栄養が偏るし、お金もかかる。料理も簡単でいいから彼なりに工夫して欲しかった。ひょっとしてミニマリストで、ガスは止めているのかもしれないが。そういえば、火を点けたシーンは皆無だった。
バンのカセットから流れる60~70年代の音楽も良かった。私はアニマルズの『朝日のあたる家』とオーティス・レディングの『ドック・オブ・ザ・ベイ』しか知らなかったけど。ルー・リードの『PERFECT DAY』という曲は初めて聴いた。
ちなみにスナックのママ役の石川さゆりが歌った『朝日のあたる家』は昔、浅川マキが日本語詞を作って歌ったものらしい。それで、映画の中でギターを弾いていた客はあがた森魚だというから、かなりマニアックだ。他にも一瞬だけ出る俳優たちもいて見逃せない。
彼にとっては、この淡々とした日々が「PERFECT DAYS」なのだろう。過去に何があったか、なぜこの仕事と生活に落ち着いたのか、一切明らかにならず、観る側が想像するのみだ。
最後の平山の表情は良かった。喜怒哀楽が溶け合った至福の表情で、平穏な未来を感じさせた。
(下画像左: 公衆トイレでの主人公平山(役所広司)、清掃の仕事は丁寧で手を抜かない。画像中:行きつけの居酒屋。画像右: スナックのママ(石川さゆり)『朝日のあたる家』を歌う)
画像出典左:BANGER視覚・聴覚・触覚に訴えかける唯一無二の体験『PERFECT DAYS』ウェブ限定の書き下ろし小説「Days of HIRAYAMA」 https://www.banger.jp/news/108181/ (閲覧2024/1/10) 画像出典中:antenna“役所広司が通う”浅草のディープな焼きそば酒場へ!映画『PERFECT DAYS』ロケ地巡りhttps://antenna.jp/articles/21275903 (閲覧2024/1/10) 画像出典右:音楽ナタリー石川さゆり、ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」で居酒屋のママに https://natalie.mu/music/gallery/news/524694/2060575 (閲覧2024/1/10)
下画像左:古本屋で買った本を読みながら眠りにつく主人公平山。画像右:笑顔の表情の平山。
画像出典左:音楽ナタリー石川さゆり、ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」で居酒屋のママにhttps://natalie.mu/music/gallery/news/524694/2060575 (閲覧2024/1/10) 画像出典右:公式trailer パーフェクトデイズhttps://www.imdb.com/title/tt27503384/ (閲覧2024/1/10)
(2/2)へ続く
映画鑑賞大学ノートが6冊になり、その中から今回は10作品を掲載しました。題名左のAAA~Fは映画の良かったものをAにしてランク付けしていますが、観た時の雰囲気で記していて、厳密なものではありません。面白くなかったというのもあります。題名の次の年数は特記なければ日本公開年、国名は製作国。以下ノート抜粋。
AAA『引き潮』(1972伊仏 監督マルコ・フェレーリ。原題伊語La cagna,グーグル訳:雌犬、仏語題Liza:リサ。原作小説Melampusメランプス:ギリシャ神話に出てくる占い師。100分)
様々な愛の形。マストロヤンニとドヌーブが魅力的。大人の恋愛を描いている。ドヌーブが犬のようになるシーンgood。音楽もOK。
(下画像左は地中海の孤島で愛犬と暮らすマストロヤンニ。右はその島に友人たちとヨットで遊びに来たドヌーブ、仏語版パンフレット)
画像出典左と右:Amebaブログ あの時の映画日記~黄昏映画館ひきしお(1972)https://ameblo.jp/hal-9000hn/entry-12824263720.html 閲覧2023/12/9
下のYouTubeで映画の最初の11分27秒を見ることができます。最初の二人が出会う場面。元の言語は伊語で仏語の吹き替えと思われます。
https://youtu.be/XPQHV7lcRTQ 閲覧2023/12/9
AAA『ロッセリーニの無防備都市』(1950伊 監督ロベルト・ロッセリーニ 原題語Roma città apertaグーグル訳ローマ、開かれた都市)
アンナ・マニャーニ魅力的。静かだが迫力のある作品。戦争、平和、憎しみ、愛情の表現。
(下画像左はナチスドイツ兵に尋問されるアンナ・マニャーニ。ドイツ兵のヘルメットにはナチス親衛隊SSの紋章、腕にはナチス国家鷲章を付けている。下画像右はナチスに対する抵抗運動(レジスタンス)でナチスにつかまった夫がトラックで連れていかれるのを追いかけるアンナ・マニャーニ)
画像出典左と右:映画史に残る崇高な一瞬 --- アンナ・マニャーニ『無防備都市』2023-09-26 https://ameblo.jp/cinemaclassic/entry-12765882682.html 閲覧2023/12/9
AA’『イージーライダー』(1970米 監督デニス・ホッパー 原題Easy Rider)
大自然が美しい。音響、はまっている。画面の繋がり方、時の変動の表し方など上手い。フイルムのカット割りには目を見はる。ニコルソン、ホッパーが魅力的。
(下画像左はジャック・ニコルソン。画像中はデニス・ホッパー。画像右は米国大自然の中を疾走する二人、左にホッパー、右にニコルソン)
画像出典左:Amazonジャック・ニコルソンの16x20ポスターをフィーチャーイージー・ライダー 画像出典中:OBJ京都本店のブログJacques Marie Mage(ジャック マリー マージュ)より http://kyoto.e-obj.jp/?eid=1050699 閲覧2023/12/9 画像出典右:映画.com傑作映画「イージー★ライダー」がリブートへ https://eiga.com/news/20221203/11/ 閲覧2023/12/9
下のYouTubeで映画の最初の3分36秒を見ることができます。
https://youtu.be/J1cDECkN2xg?t=67 閲覧2023/12/9
A’『MISTY ミスティー』(1991日本 監督池田敏春 市毛良枝、永島敏行)
音楽(ミスティーという女の声の曲がいい)。設定も魅力的。ダンカン、永島がいい味を出していた。
(下画像は姉(市毛良枝)の自殺が、自殺ではなく殺されたと確信し、真相を追う元やくざ(永島敏行))
画像出典:シネマNAVI MISTYミスティ https://www.cinemanavi.com/film_detail/film_id/15216/%E3%80%8CMISTY%20%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%80%8D.html 閲覧2023/12/9
B『鮮血の美学』(1987米 監督ウェス・クレイヴン原題The Last House on the Leftグーグル訳:左側の最後の家)
音楽と映像のアンバランスさがいい。
(下画像左:左に17歳の娘と右に友人、脱獄犯グループ4人に捕まり残虐に殺される。画像中:殺される場面、殺された後内臓が取り出される。画像右:犯人らは車の故障で助けてほしいと偶然両親の家に来ると、両親は娘を殺した犯人とは知らず食事を出す場面。娘のネックレスを一人が付けているので不思議に思う。娘の死を知った後、両親は復讐を始める。残虐注意)
画像出典左と中と右:Amebaブログ「鮮血の美学」https://ameblo.jp/elcon0510/entry-12611463884.html 閲覧2023/12/9
C『シェルブールの雨傘』(1964仏独 監督ジャック・ドゥミ 原題Les Parapluies de Cherbourgグーグル訳シェルブールの雨傘)
単調だが落ち着いて見れる。退屈といえば退屈。2人のシーンの音楽はいい。
(下画像左:フランスの港町シェルブールの傘店の娘17歳(カトリーヌ・ドヌーブ)。画像右:恋人の自動車工20歳(ニーノ・カステルヌオーヴォ)がフランス植民地アルジェリアでの独立戦争にフランス兵として出兵する別れの場面。ドヌーブは妊娠していた。再会するまで長い年月が経つ。ミュージカル)
画像出典左:「シェルブールの雨傘」 カラフルな恋からシックな愛へ。ネタバレ https://ameblo.jp/hotwalker6/entry-12494740813.html 閲覧2023/12/10 画像出典右:チーじぃ日記 映画「シェルブールの雨傘」ドヌーブの美貌が際立つカラフルでポップなミュージカルhttps://taajiinikki.jp/blog-entry-343.html 閲覧2023/12/10
C『シャンプー』(1975米 監督ハル・アシュビー 原題Shampooグーグル訳シャンプー)
セリフ洒落ている。単純なストーリーで疲れず見れる。美容院=女、髪の毛をカット(パーマ)=sexと繋げている様なところがあって、発想がユニーク。ラストシーンがいい。
(下画像はDVDのジャケット。中央の男性は、ビバリーヒルズの上流階級層女性客相手の美容師(ウォーレン・ベイティ)。関わる女性二人)
画像出典:Amazon シャンプー [DVD] 閲覧2023/12/10
C『ファンタズム』(1979米 監督ドン・コスカレリ 原題Phantasm訳:幻影、幻像)
怖くはないが不思議。主人公が生き生きしてていい。少々退屈。
(下の画像は次々幻影の世界に入り込む3人。右端の少年が主人公)
画像出典:Amebaブログ マジョルカのブログ”ハプワース日和” 映画「ファンタズム」(1979年)
予告編2分3秒:https://youtu.be/YMwcDmnziVo?t=119 閲覧2023/12/10
D『私生活のない女』(1985仏 監督アンジェイ・ズラウスキー原題La Femmes Publiqueグーグル訳公共の女性)
Sexシーン以外は、理屈っぽく退屈。女の体美しい。テーマ理解不能。ラストとクレジットの入れ方、サントラはいい。
(下画像左:俳優を夢見る主人公女性がドストエフスキー「悪霊」新作の役をもらう。画像右:右に「悪霊」新作の監督,中央に主人公女性)
画像出典左:ミドルエッジ 映画『私生活のない女』狂気と哀愁が交差する!パリで少女が体験したこと https://middle-edge.jp/articles/swwrt 閲覧2023/12/10 画像出典右:元・副会長のCinema Days「私生活のない女」 https://blog.goo.ne.jp/chandos/e/6b10f3b7aa480f254016525d099cc331 閲覧2023/12/10
予告編2分14秒:https://youtu.be/GGncTncww1A 閲覧2023/12/10
F『デット・タイムストーリー/おとぎ話は血の匂い』(1986米 監督ジェフリー・S・デルマン原題Dead Time Stories)
平凡な恐怖
(下画像左:おじさんに少年が寝る前のお話をねだる場面。少年は普通の話では満足しない。3つの話をする。1話目魔女の話。下画像右:魔女が白骨体に血肉を付けて蘇り、目を開けた場面。2話目赤ずきんちゃんの大人向け変形版。3話目死体と暮らす色情狂シリアルキラー女性と3人の一家。2話目3話目の良い画像見つかりませんでした)
画像出典左と右:ホラー映画を語る、ジャンのブログ:デッドタイム・ストーリー おとぎ話しは血の匂い / 子供に聞かせられない 残酷!グリム童話。 http://blog.livedoor.jp/jan_mori-mori/archives/53832979.html 閲覧2023/12/10
以上です。
『六月の奇跡』(‘23/10/15作・演出:五代高之、於:杉田劇場)。秋の鑑賞会は、いつもは映画ですが、今回は映サの会員が出るので演劇の鑑賞会にしています。
現実の世界と死後の世界を天使が結びつける、展開が面白く、感動的でした。演劇は目の前に演技者がいるので映画とは違った臨場感があり、迫ってくる説得力がありますね。つい、もらい泣きしてしまいました。
下の画像左は主人公役で劇団の代表を務める五代高之さん、67歳になり、円熟した魅力的演技になっていました。その右は若いころ、この写真を見るとあの人かと思い当たる人もいると思います。
画像出典左:GODAIJUKU JAPAN Co.Ltd ・ごあいさつ 代表取締役 五代高之https://www.godaijuku.com/%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E7%B4%B9%E4%BB%8B2/ 閲覧2023/10/16 画像出典右:bangumi五代高之(日本タレント名鑑)https://bangumi.tv/person/13266 閲覧2023/10/16
五代さんの舞台終演後のあいさつの中で『6月の奇跡』は何回も上演してきたが、今回を最終回にするとのことです。そこでネタバレしてもいいかなと思いますので、少し内容に入って感想を述べたいと思います。以下は記憶で記述しているので誤っているところがあると思います、また相当端折っていますが悪しからず。赤文字は私の感想など(敬称略)
場面1:主人公の父(以下父)は会社で重要なプロジェクトを任されそうで、忙しい毎日を送り、小学生の娘の誕生日を忘れてしまう。娘は友達と誕生会を行おうと父を待っていたが、父が帰ったときは遅いため皆いない。妻は仕事ばかりとなじり、父は会社で重要な時期なんだと意に介さない。翌日は出張で早い、と話にならない。ここまではありそうな普通の家族。
場面2:父が目を覚ますとソファーに寝ていてどうも変。妻は父を無視する。娘も学校に行くのに父に何も言わないし、大きくなっている。妻も娘もいなくなると、下画像左の背中に妙な羽を付けた人が訪ねてくる。父は生命保険屋かなどと言って出そうと突き飛ばすが、その男は抵抗し死後の案内サービス業とでも言いましょうかと出ていかない。父に「あなたは自分が死んだことに気が付かず浮遊霊になってもう2年が立っています」「ここの新聞を見てください」と見せると父は納得する。娘は中学生になっていた。この場面からこの劇の展開の面白さが始まる。下の画像は6年前の公演の写真ですが天使役は今回とたぶん同じ人です。向こう側にいるのが父役五代高之。
画像出典:五代塾「六月の奇跡」4月公演ダイジェスト版 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=nr9xwfz7CbY 閲覧2023/10/16
場面3:父が天使の案内で天国への途中の道に行くとオートバイ事故で死亡した青年がいた。貧乏のどん底の母子家庭で高校には行けず、子供を放っていたと母を恨んでいた。父は「母がお前のために一生懸命働いていたのが分からないのか」と取っ組み合いになる。こんなに真剣に怒られたのは生まれて初めてと青年が理解を示し、自分は体育の先生になりたかったと話す。もう一人自殺した若い女性がいた。モデルになる夢が破れていた。この場面が、親が子を思う気持ちを表現した大事な場面になる。
場面4:主人公の父の娘を見に父、青年、若い女性が天使と下界へ行くと、娘は高校生になっており、友達に「おとうさんともっと一緒にいたかった」と話していて、青年、若い女性は良かったじゃないと父に話す。
下の画像は13年前の公演時のものですが、今回は薄いカーテン越しに見る以外はほぼ同様の配置です。手前に高校生になった娘と2人の友達、向こうに右に父、その左に女性、その左に座っているのが青年、その左に天使。
画像出典: 2010年11月3日公演時3分43秒の記録動画 https://www.youtube.com/watch?v=yOm_y00FZX4 閲覧2023/10/17
場面5:娘を下界で見てから天国の途中の道。天使は手元の本を見てハッとする。なんだと3人から詰め寄られると、ついに、話してはいけないことと言いながら、娘が2週間後にトラックに轢かれ死ぬと記されていると話す。何とかならないかと天使に詰め寄ると、下界へ戻るチケットが1枚だけあるので下界へ戻りトラック事故を防ぐ手を打てばいいが、本人のままでは戻れない。別の人と入れ替わって戻らなければならない、もし入れ替わったことがばれると即下界から戻されてしまうと話す。入れ替わる候補として、父が亡くなった後に妻に見合い話を持ってきた男が死亡し天国にいるので選ばれ入れ替わる。この入れ替わりが、ユーモアがあって面白い。
場面6:姿が見合い話を持ってきた男になった父は、家を訪ね妻と娘の様子をいろいろ聞く。妻におかしいと気付かれそうになるが、何とかごまかし、2週間後に娘を外出させてはいけないと盛んに話すがうまくいかない。ばれないようにごまかすところが面白い
場面7:ついに事故の日になり、見合い話を持ってきた男の父は再度出かけさせてはいけないと言うが、失敗する。テレビでトラック事故のニュースがある。父はダメだったかと落胆していると、轢かれた女子高校生はかすり傷で無事、男女二人が乗ったオートバイがトラックに体当たりしたため軽傷で済んだとのニュース。オートバイの男は体育の先生で女はモデル志望とのこと。父はあの時の青年と女性に違いないと思う。オートバイの二人も命を取り留めたとのニュース。オートバイの二人についてはこの一瞬のニュースだけだが、私は最もうれしく思う、感動的なストーリー展開です。父が事故を防ぐことに失敗したが、二人が助けた。天使の粋な計らい。
場面8:娘はさらに大きくなり、結婚式を迎えている。牧師が誓いの言葉を述べ終わると、時間が止まる。花嫁の娘だけが動くことができ、父がいつもは見えないのにこの時は見えて話をする。「幸せにな」という父の言葉を受けた後新郎の隣に戻ると時間が再び動き出す。新婦は新郎に「今父がここに来ていたの」と話す。天使の時間を止める粋な計らい。この結婚式(ジューンブライド:6月の花嫁)が題名の『6月の奇跡』と思います。
妻も病気で亡くなっていて、結婚式場に来ていた。父と妻はお互いを見ることができ、二人で天使の導きで天国へ向かう。-終わり‐
下の画像は天使役の人、コミカルで笑わせてくれる名演でした。主役の父とともに、この劇の最も重要な位置だったと思う。パンフレットから無断でコピーしたもので、もしパンフレットからコピーが不可でしたら削除いたします。個人情報保護の観点で名前は割愛しています。
画像出典:パンフレットからコピー。
6年前の公演ですが26分50秒ダイジェスト版(2017年4月8日公演)を下記アドレスYoutubeで見ることができます。下界へ戻るときの入れ替わる人物が今回作品とは異なっていますが、全体構成は変わりません。2時間近い作品を約27分にしていますので、感じを掴むだけで感動するまでには至らないものです。
https://www.youtube.com/watch?v=nr9xwfz7CbY 閲覧2023/10/16
13年前2010年11月3日公演時3分43秒の記録動画下記アドレスYoutubeで見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=yOm_y00FZX4 閲覧2023/10/16
下の画像は今回の出演者や多分照明や音響などの人たち、画像出典によれば公演の5日前に撮られたようです。小学生低学年から70歳代まで幅広い五代塾の皆さんです。娘役とその友達役の小学生の演技はとても練習したようで、自然に上手くできていたと思います。お手玉のシーンでは少しはらはらしましたが。手前に座っている黒い服の人が五代さん、終演時の舞台挨拶では『6月の奇跡』の後の新しい作品に取り組むそうです。
画像出典:鴨志田 媛夢 https://twitter.com/ActHitomi 閲覧2023/10/17
尚、杉田劇場(磯子区民文化センター内)は磯子区の中村橋商店街の魚屋で生まれた美空ひばりの歌手誕生の劇場(当時8歳:現在の杉田劇場は新しい設備で200m程移動した位置)とのこと。両サイドに張り出しの舞台があり、とてもいい設備でした。席数310はほぼ満席でした。
以上、S.Tでした。