怒りのブログ

憤りを言葉にせずになんとしようか。

「学校」が教えてくれたこと(PHP研究所)山田洋次著2000.04.27

2008-05-14 22:45:04 | 教育書
ちょっと古い本を読んだ。

「隣の芝は青く見える」のだろう。
子ども一人一人と向き合うことについて、ちょっとうらやましいと感じていた学校の話を聞いて、夜間学校のことも思い出していたときに手に取ったのだ。

タイトル通り、映画「学校」のシリーズの構想を組み上げるのに、山田は現場を歩いている。
そして、そこで見たり聞いたり考えたりしたことを自分の「学び」として整理しなおしている。
とても読み易い。

以前から感じていたのだけれど、住井すえとの対談をテレビで垣間見たときが決定的だったか、山田洋次という人はとても観察眼があり、よく聞く人なのだという所感をもった。
(このテレビ対談のわきでスチールのまねごとをしていたのは私の友人なので、テレビの映像がどれほどのカットをもっているのかは後で聞いた覚えがある。)

この本からもそれは分かる。

特に、夜間学校へは授業参観だけでなく、着席して観察していたようだ。

先生の一挙手一投足から、その教師の内面の様子を想像しているところは圧巻に感じた。
生徒にそこまで分析的に見られるとしたら、嫌だろうなというカンジである。

後半部分は山田洋次らしい教師論になっている。
理想論なのだけれども、それなりに説得力をもっている。

映画「学校」を見たくなったけれど、読み終えるとこの本だけでいいかなという気分になった。
それほど肝に当たる部分を表現している気がする。

映画人、特に監督たるもの、自分の見聞きした物を確かにフィルムに焼き付ける創造力といっ点では、山田洋次もそういう人種であろう事がよくわかった。
だから教育について語っても映画人らしい発想が伺える。

全教員へという内容でないのはそういった点が見え隠れしているからだと思う。

それでも楽しくていい本だった。

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