怒りのブログ

憤りを言葉にせずになんとしようか。

現場に要請(通達)するまでの手続きとは?

2013-08-26 22:00:41 | 教育
はだしのゲン閲覧制限要請を撤回…松江市教委(読売新聞) - goo ニュース

あまりにも無体な実態が今まで放置されていたわけだが、この8月に報道がなされ、世論が立ち上がった成果で、このような経過とよい結果が生まれた事は、大いに評価したい。
本当によかった。

ただ、気になるのは「手続きに問題があったから」という、この「要請」撤回の理由だ。

結局、教委側から現場になんらかの要請があるときには、下手をすると教委は無論、もっとも重要視していいはずの現場(の意見聴取)無視という現実が、ちまたの教委の世界でも横行しているということだろう。

私のブログも無力感さえ覚えるのは、この横行の状態化だ。
報道さえされないで消えていく声は多い。
教育界の癌ともいいたい事態だ。

ただ、このことをもって「教委をなくせ」という短絡にはつき合いたくない。

問題は、このような教委の機能不全だ。

地教行法の問題と手続きを短くしてもいいけれど、それ以前に、民主的教育に対する社会的な課題といっていいだろう。
教委は正しく機能するのであれば、私としては必要だと思っている。

この問題を通じて、この主張をおさえて、とりあえず終わる。

(以下、引用)
はだしのゲン閲覧制限要請を撤回…松江市教委
読売新聞2013年8月26日(月)21:11

 松江市教育委員会が、漫画家・中沢啓治さんの代表作「はだしのゲン」の描写が過激だとして、子供が閲覧する際に教員の許可が必要な「閉架」扱いにするよう全市立小中学校に要請した問題で、同市教委は26日、臨時の教育委員会会議を開き、要請撤回が妥当と判断した。

 教育委員や学校現場と協議せず要請した手続きに不備があったためとした。市教委は同日、この結果を各校にメールで連絡。作品の扱いは各校の判断に任される。

 清水伸夫教育長を含む委員5人が全会一致で決めた。

 会議では、作品について「戦争の悲惨さを伝えており、平和学習の教材として価値がある」と全委員が評価。旧日本軍がアジアの人の首をはねたり、女性が乱暴されたりする場面の表現に対しては、4人の委員が「子供の発達段階に応じた配慮が必要」などとする意見を述べた。

 その上で、「校長、教諭らとの議論が必要だった」「教育委員会会議に報告、相談するべきだった」などの意見が相次いだ。

 委員らは、会議終了後、記者会見。内藤富夫教育委員長は、「今回は、教育行政として閉架に至った経緯を調べる必要があり、根本的に手続きが誤っていると判断した」と説明した。

こういう改革は実はこわい

2013-08-24 10:39:09 | ニュースから
国の機密漏洩、最長懲役10年 秘密保全法案、厳罰化(朝日新聞) - goo ニュース

こういうことを「国家の当たり前」とする輩も多い気がするが、そんなことを短絡的に言っていいのだろうか?

例えば、尖閣諸島中国漁船衝突事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%96%E9%96%A3%E8%AB%B8%E5%B3%B6%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%BC%81%E8%88%B9%E8%A1%9D%E7%AA%81%E4%BA%8B%E4%BB%B6
では、外交問題に影響を与えかねない映像が流出した。

これは守秘義務違反であることは明らかであるが、このような場合なども厳罰化されてもいいのだろうか?

機密化される情報は、実は歯止めがない。
その判断がオープンでないからだ。

内部告発がされた場合、このような法が盾になって厳重化することで、いつまでも必要な情報の開示がなされないことは、現段階でも想像に難くない。

システム化は効率化といってよいだろうが、そうすることで人の動きが機械的になればなるほど、逆に悪意が入り込んだときの深刻化は極端なものになるだろう。

このようなことで生きやすくなるわけではない。
小説「1984」ではないが、超相互監視社会的なものに近づきつつあるような近代社会を見据えれば、このような政治統制のための法律が、いかに危険性をはらんでいるのか、そういう想像力とそれを表現する言葉が必要だと思う。

(以下、引用)
国の機密漏洩、最長懲役10年 秘密保全法案、厳罰化
朝日新聞2013年8月24日(土)08:38
 安倍政権は秋の臨時国会に提出する秘密保全法案で、国の機密情報を漏らした公務員らへの罰則を最長で懲役10年とする方針を固めた。対象となる情報は防衛や外交など安全保障に関する4分野で「特定秘密」と指定されたもの。同盟国の米国などと情報共有を進める必要があるため、漏洩(ろうえい)に対して厳罰化を図る。

 政権は外交・安全保障の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)を1月にも設置する方針で、あわせて秘密保全のための法整備を進める。法案名は「特定秘密保護法案」とし、指定された特定秘密を取り扱う国家公務員を制限したうえで漏洩した場合の罰則を盛り込む。

 特定秘密は「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的の安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野ごとに別表で列挙。漏洩すれば安全保障上に「著しく支障を与えるおそれがある」情報について、所管省庁の大臣らが指定する。

これは教委が判断する問題なのか?

2013-08-17 00:34:30 | 教育
「はだしのゲン」閲覧を制限 松江市教委「描写過激」(朝日新聞) - goo ニュース

「風立ちぬ」ではNPO法人日本禁煙学会が「喫煙シーンが多い」ということを理由に、その立場でのクレームをつけていた。
これはそういう立場が独自に行ったとする見方ができ、話としてはそこまでで済ませてもいいような話に思えた。
(あくまでも私見だが)

今回の教委による「閲覧制限」は、この問題に似ているようだが、結果的には横暴、言語道断といっていいだろう。

確かに管理管轄は教委にあるかもしれないけれども、その権限を発するには、今回の場合相当の配慮が必要だろう。

すでに「原爆資料」としては評価のある作品であり、作者の想いもはっきりしているだけに、教委だからといって安易な判断は許されないだろう。

「過激な描写」があったとして、では、代替え的な資料は他にあるだろうか?
「原爆を伝える」という資料としては、当事者性の高いものとしては他にあり得ないだろう。
そういったものへの自由なアクセスが推進されてきた結果としての「図書館置きのはだしのゲン」であって、そういったアクセスが失われることの損失の大きさにこそ教委は慎重な配慮をすべきである。

(ましてや、「はだしのゲン」を読んで、何か大きな問題でもおきたのであろうか?)

さらに、今回は議会でも、一部の市民の意見を否決した経緯もあるわけで、そういったことも尊重されるべきではないだろうか?
教委はどこまで総合的に判断しているのだろうか?訝しむばかりである。

私は、いままでたくさんの「戦時下の生活」をモチーフにしたマンガ作品を読んできたが、「はだしのゲン」ほどに戦中、戦後の生活をいきいきと描いた作品を多くは知らない。
ましてや、子どもが読める作品となると、もっとだ。
そういった特殊性に鑑みても、「はだしのゲン」は大切にされるべきだろう。