沖縄の教科書 混乱招いた竹富町の独自採択(読売新聞) - goo ニュース
調子のまとまらない文であることから、読売は産經よりというカンジが伝わる。
例えば、
>広域地区では同じ教科書の採択を義務づけている
ことの実際の理由は、
>教師が地域で教材の共同研究をしやすいこと・・・・・・・・(A)
>子供が近隣の市町村に転校しても同じ教科書を使える・・・・(B)
からではない。
もし(A)が絶対必要であれば、その共同研究とやらのためにも、最初から教師の意見を聞くべきである。
また、広域地区を設定し、その中での教委協議会による教科書採択をするべきである。
実際には教師の意見をオミットする場所でしか、つくる会系の教科書は採択されていないし、今回の場合など、その広域地区での協議会と呼べるような場で、育鵬社の教科書は却下されている事実さえ見逃せなくなる。
いったい読売は何を主張したいのか?
(B)についても、実際的に考えて、その広域地区内での転出入というのが、本当に他地域との転出入に比べて優位な差があるほどの必要性、合理性があるというのだろうか?
例えば都下において、いくつかの市町村が足並みを揃える必要等はないほどに、他地域からの転出入の方が、同じ地域内よりも多いか、同程度というのが実情で、転出入による教科書の切り替え等が問題化することなどないといってよい。
お為ごかしの記事(あるいは文科省がそういっているなら文科省側の発言)と言わざるを得ない。
この記事で、一番重要なのは、
>一方で文科省は、竹富町が町費で教科書を購入し、生徒に無償で配ることまでは法令で禁じられていないとの考えも示した。
の部分。
教育の独自性を守る方向性があるということ。
政治的な影響をかいくぐることは可能だ。
これに対して読売の論調は、
>今後も同様の混乱が起きる可能性がある。
と指摘している。
しかし、だ。
混乱の原因は育鵬社側といっていい政治家やそこに準じる者たちの不遜な動きだ。
>八重山地区は昨年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で緊張が高まった。尖閣諸島など領土問題の記述の充実が、採択協議会が育鵬社版を選んだ大きな理由だった。
こんなことが事実であれば、そんな政治的なことに教科書採択を利用するな!といいたい。
逆に考えてみてほしい。
隣国の教科書が日本バッシングをしたり、日本の歴史を否定していたりする記述があるとして、政治的、国際社会的な問題にならないだろうか?
政治的な主張をしたいがために教科書を利用して、いったいだれがその被害を被るのだろうか。
私は、それは教育現場であり、子どもたちであり、その地域であると思うのだが、どうだろうか。
この問題以前に、育鵬社という偏向した教科書を生産するだけでなく、政治的な圧力をする連中が表裏に徘徊することの方が問題だと思う。
読売はそれを知っていながらこういう記事を書くのだから、確信犯だ。
>大切なのは、今回のような事態が再発しないよう、文科省が必要な措置を講じることだ。教科書採択に関する法律や制度を点検し、改善すべき点がないかどうか、議論を始めてもらいたい
のまとめの文は、育鵬社側の人々が起こした諸問題を総括すべき目標をさだめるべきである。
首長が教委を入れ替えたり、極少数派であるはずの教育長などが政治的に動いたりするのは、教育基本法の精神にもそぐわない不遜な行為だ。
また、こういう問題が発生したときにこそ、教育の中立性を保つ意味でも、せめて広域であれば広域での協議会が必要であるし、保護者、地域、教育者など、当事者の意見も入れる仕組みが必要である。
(以下、引用)
沖縄の教科書 混乱招いた竹富町の独自採択
読売新聞2011年11月6日(日)01:47
沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で、中学校の公民教科書選びを巡る対立が続き、来年度の教科書がいまだに決まらない。
異例の事態だ。授業に支障を来さぬよう、早期に混乱の収拾を図らなければならない。
問題の発端は、八重山地区の教育委員らで構成される採択地区協議会が8月、育鵬社(東京)の教科書を選ぶよう3市町教委に答申したのに対し、竹富町教委だけが別の教科書を採択したことだ。
公立学校の教科書の採択権限は市町村教委にあるが、教科書を国費で配布することを定めた教科書無償措置法は、複数の市町村からなる広域地区では同じ教科書の採択を義務づけている。
教師が地域で教材の共同研究をしやすいことや、子供が近隣の市町村に転校しても同じ教科書を使える利点があるためだ。
このため文部科学省は、八重山地区で同一の教科書を採択するよう求めてきた。しかし、竹富町は独自の採択を譲らなかった。
文科省は先月末、現状のままでは竹富町に教科書を無償提供できないとの方針を明らかにした。竹富町の独自採択は、無償措置法に抵触するとの判断からだ。
一方で文科省は、竹富町が町費で教科書を購入し、生徒に無償で配ることまでは法令で禁じられていないとの考えも示した。
収拾策の意味合いがあるのだろうが、仮にこうしたやり方で竹富町の独自採択が容認されれば、「自費で賄うから」と追随する自治体が現れ、今後も同様の混乱が起きる可能性がある。
文科省と沖縄県教委は竹富町に対し、現行法を順守するように強く働きかけるべきである。
育鵬社の教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」の元メンバーらが執筆している。国旗・国歌や日本の伝統・文化に関する記述が詳しいのが特徴だ。
八重山地区は昨年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で緊張が高まった。尖閣諸島など領土問題の記述の充実が、採択協議会が育鵬社版を選んだ大きな理由だった。
「つくる会」の教科書の採択を巡っては、過去にも何度か反対運動が起きた。今回も、沖縄県内で一部の教職員組合や市民団体が強く反発した。
大切なのは、今回のような事態が再発しないよう、文科省が必要な措置を講じることだ。教科書採択に関する法律や制度を点検し、改善すべき点がないかどうか、議論を始めてもらいたい。