教育費支出「OECD並み目指す」 中教審答申案に明記(朝日新聞) - goo ニュース
今までの学テ攻勢も、TIMSS、PISAなど、OECDスタンダードに合わせてやってきたり、教育の内容の議論にキーコンピテンシーやESDなどを持ち込んできた経緯などを見ても、ここに来てようやく機を見たかという、文科省の最大の課題=「予算獲得」へ向けての大きな布石になるのか?
そう読んでいる。
とにかく日本の教育は、それこそ「かけこみ退職問題」ではないけれど、「教師=聖職」という図式に頼られてきた側面は否定できない。
(無論、それをもって教員の所得が低いという議論をするつもりはない。ここではそこが問題だといっているのではない。また、「かけこみ」の問題は、まったく別。)
さらに輪をかけて、家庭内の教育費負担は OECD諸国と比較しても、まったく低くないだろう。
日本の教育は、予算的な不備を、現場/地域の人的な努力と子どもや家庭の自助努力でここまで高度化することができたといっても過言ではない。
(無論、現時点の OECD諸国との公的教育予算比較からの一つの解釈としていっている。)
中教審の答申に対するこの記事では、予算面のみ語られているような印象をもつが、 OECD並みを達成したときに、この「家庭内支出」に対する社会的なビジョンを持ち得なければ、なんのための予算拡大だかが不明瞭になるだろうし、財務省側も納得し得ないだろう。
単純に予算を増やせばいいってものでもないのだ。
今までの枠組みを抜本的に転換するビジョンなしに、予算投入のみ決まれば、それはそれで混乱をまねくだろう。
それ以前に、教育予算が地方自治体に相当な割合で負担させている実態から考えることも必要だろう。
今の公教育の充実を、現場サイドの要求に合わせられるかの課題も含め、答申は答申として、設計段階的な問題は山積みとなるだろう。
それとも、トップダウンよろしく、つまらない施策を練って、予算獲得とするのだろうか?
無駄遣いが多いのも文科省のお役所的特性ではあるから、この答申については心配でもある。
教育再生会議(あれ?名前が少し変わったんだっけ)の連中が、またヘンな提案をしてくる前に、中教審なりのインパクトを与えられるといいのだけれど、とは思っている。
(以下、引用)
教育費支出「OECD並み目指す」 中教審答申案に明記
朝日新聞2013年3月16日(土)18:34
【花野雄太】2013年度からの政府の教育目標となる第2期教育振興基本計画に向け、文部科学省の中央教育審議会がまとめる答申案の内容が分かった。諸外国より少ないとされる教育への公財政支出について「経済協力開発機構(OECD)諸国並みを目指す」と、初めて明記している。近く下村博文文科相に答申する。
文科省などによると、教員の人件費や学校の運営費など、国と地方が教育機関に支出した総額(公財政教育支出)は09年度で16・8兆円で、国内総生産(GDP)に占める割合は3・6%。OECD加盟国平均は5・4%で、日本は比較可能な31カ国で最下位。高等教育分野だと日本は0・5%で、OECD平均(1・1%)の半分に満たない。
これに対し、原案は「主要先進国に比べて公財政支出が低い水準で、家計の教育費負担の重さが問題になっている」と指摘。「教育の再生は最優先の政策課題の一つで、欧米主要国を上回る質の高い教育の実現を図る」とし、「OECD諸国並み」の目標を掲げた。