草履で歩きながら考える

笑う門には福来たるで、マイペースでやりたいこと やってみよう♪基本PTAブログですが、日常やがんのことも綴ります。

『声のお仕事』川端裕人:著

2016年02月14日 | おすすめ本

一昨日届いた、川端裕人さんの新刊本『声のお仕事』、読み終わりました!

いやぁ~、やっぱり最後の最後まで、期待を裏切りませんでした。川端さんの新たな傑作の誕生です!楽しい週末をありがとう!!

惹きつけられたり、ニヤリとしたり、ゲラゲラ笑ったり、思わず吹いたり、感心したり…とにかく心が動いた部分に付箋を貼りながら読んでみたところ、冒頭の写真のように、付箋だらけになりました。

主人公のユウキくんは、声優です。
アニメや声優さんが好きなら、この作品は、迷わず読んでみてください。文体がやさしいので、小学校高学年から、イケると思います。もちろん大人でも楽しめます。

川端さんのブログから、『声のお仕事』の紹介記事をリンクします。

あらためて「声のお仕事」を紹介いたします!  

川端さんの作品、『銀河のワールドカップ』(2008)と『風のダンデライオン』(2012)が2012-13年に、『銀河へキックオフ!!』としてNHKでアニメ放送されました。 その時に、番組を通じて出会った声優さんとの交流や、収録現場に立ち会われた経験から、この作品『声のお仕事』が生まれたそうです。

作品をつくるとき、綿密な取材を行うといううわさの川端さん。その川端さんが創りだす世界は、いつも緻密でリアリティがあります。それに加えて、この本は文芸春秋の「オール讀物」に8回連載されたものをまとめたものですが、連載中に、声優さんから意見をフィードバックしてもらっていたそうです。

なので、この世界、メチャメチャ、活き活きしてます!のっけから引きずり込まれます。
キラキラしていて、心が熱くなりました。

実は、私的に、ストーリーと同じくらい注目しているのが、川端さんのネーミングセンス。いつも、どうやって名前付けをしているんだろう?と不思議に思っています。しかし、今回はぶっとんだのが出てきました。乞うご期待。

 

***

さてさて、ここからは、どんな小さなネタでも「ネタバレは嫌い」という方は、どうぞご注意くださいませ。

 

***

まず、最初に思ったのは、生協pal*system東京で音読のワークショップを終えたばかりの私にとって、「声の使い方」「声の性質」「声が創る世界」が生き生きと迫ってきたことです。特に、「声の距離」は、ワークショップ準備中に、先生から教えられたことでした。素人ながら声について少し考え始めたところに、主人公が声の世界を深めていく描写が、響きました。

『声のお仕事』の中には、コミカルな章が入っています♪
いやびっくりしました。川端さんの小説に、まさか「薄い本」やら「BL」やら「カップリング」が出てくるなんて。娘にも思わず声を掛けてしまったくらい。娘もびっくり。

ネーミングについて、その2。
作中に、架空のアニメ作品がいろいろ出てきます。古いのもあれば、新しいのもあります。「もしかしたらあれかな?」と思えるものがあり、ついニヤニヤしてしまいました。

飛び道具注意。
いきなりやってきます。あるナレーションの部分は、あの有名作品のパロディだ…!と気付いた瞬間、脳内で本文がその有名作品の声に切り替わり、爆笑しちゃいました。川端さん、遊ぶなぁ~

川端さんファンならではの読み方。 
これはコアな楽しみ方だと思うのだけれど、川端さんは宇宙好きでいらっしゃいます。そんなネタがさらっと入ってきて、 ついニヤリとしてしまいます。また、作中作「センターライン」に登場する試合相手の学校名が、『銀河のワールドカップ』に出てくる「根常(ねのとこ)学園」だったり、別作『雲の王』へのオマージュと思われる「龍神高峰率いる雲海学園」だったりして、これまたニヤリとさせられます。

川端さんの小説には、ストーリーに【自発的に生まれるなにか】があり、主人公や登場人物は、【自分の頭で考え、自分の足で歩いていく】という最大の魅力があります。それがどんな形で現れるかは、作品次第です。

この『声のお仕事』は安心して楽しめる作品。ぜひご家族でどうぞ!


『ギャングエイジ』川端裕人:著

2011年08月17日 | おすすめ本

PTA関係でおなじみ、作家の川端裕人さんの新刊です。

本は意外に分厚く、読み応えがありました。
中盤からは、続きが気になるあまり、
ジェットコースターのように読んでしまいました。

  『ギャングエイジ
  著:川端裕人
  PHP研究所、2011年8月

ギャングエイジとは、Wikipediaによりますと
「排他的な遊び仲間を求める児童期のことを指す。」
そうです。

年頃は、ちょうど小学校3年生あたりから
思春期に入るまで。案外長いんですね。

* * * * * 

主人公のてるてる先生は、新卒採用された教師で、
勤務先の都合で、急遽赴任がきまりました。

なにもかも不慣れな中、受け持つのは微妙な年頃、
ギャングエイジの3年生。

しかも、 赴任早々、同じ3年生を受け持つ同僚から
こんな話を聞いてしまいます。

  「そう、今年度新3年生になる去年の2年生の担任も新採だった。
  けれど、学級崩壊を起こして、彼女自身が不登校になった。」

しかも、てるてる先生が急に採用された訳は、
3年生の受け持ちが決まっていた新採教諭が
新学期直前で、採用を辞退したからだ、ということです。

なんて厳しい状況!
どうするどうなる、てるてる先生!!

舞台は基本的に学校で、
てるてる先生と、3年2組の子どもたちを中心にして
お話が進みます…けれども。

それはもう、山あり谷あり事件あり。

川端さんの小説は、7冊くらい読みましたが、
どれをとってもディテールにこだわりがあり、
読んでいると、ビジュアルがありありと浮かんできます。

授業の描写など、非常に具体的で、
先生はこんな風に授業しているんだ!と
教師という職業を疑似体験しているようです。

そして、登場人物が、読んだ中では、一番多い小説です。
だって、3年2組は30人いるんですもの。
それに、いろんな人が、いろんな立場で関わってきます。
保護者、元PTA会長、地域の人々まで。
ネグレクト(虐待の一種)のエピソードまで入ってきます。

公立学校って、複雑なんだ~・・・。
社会の縮図が投影されているといっても
いいかもしれません。

そして、『PTA再活用論』 を著された川端さんのことです、
しっかり、PTAに関する描写が先生目線で
何カ所か入ってきます。

ああ、そんなことよりも。
熱意あるてるてる先生の頑張りや、カッコイイ校長先生、
なによりも子どもって良いな、と
人に対する希望を持てる、清々しい作品だと思います。 


「研究室」に行ってみた。 国立極地研究所 渡辺佑基 | NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版

2011年06月25日 | おすすめ本

本じゃなくてWeb連載だけれど、面白かった!
5回連載です。

「研究室」に行ってみた。 国立極地研究所 渡辺佑基
第1回 ペンギンカメラの衝撃 | NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/article/20110615/274126/


冒頭の動画は必見!!

川端さんがインタビュー、原稿を書いていらっしゃいます。
さすが、わかりやすくまとめてあり
楽しい気持ちになれました。

データロガーという観測機器、そして
それを回収する手段や工夫、技術、アイデアを生み出す
国立極地研究所の 渡辺佑基 さんはすごい方だな、と
思います。

 


『子どもが育つ条件―家族心理学から考える』柏木惠子:著

2010年11月25日 | おすすめ本
ネットの論文紹介か何かで著者を知り、
図書館で検索して、自分の興味にピタリな本を
見つけて借りました。

バイブルに、またひとつ巡り会えました!!
本を注文して、今日手元におきました。


  『子どもが育つ条件―家族心理学から考える
  著:柏木惠子
  岩波新書(赤)、2008年7月


歯切れのいい文体で書かれた、子どもを取り巻く現状。
問題が起きている背景要因。
社会のあり方、家族のあり方。

それらが、幅広く、解説され問題提起されています。

問題点とメッセージが綺麗に整理されています。
著者の冷静な観察眼を感じます。

どこをとっても、深い示唆に満ちている本です。

なによりすごいのは、解説が、研究・調査結果を
踏まえたものであること。

文中に記される参考文献の、ほとんど(?)全てに
著者の名前が入っています。
本書は、おそらく著者の集大成ではないでしょうか。

わたしは本を読むとき、付箋を貼るのですが、
新書が付箋だらけになりました。

      


気になるテーマや感心した点をご紹介すると、例えば

 ・育児不安の心理を、みごとに解き明かしていること

 ・子どもの育ちにとって望ましいのは、専業主婦か、働く母か。

 ・子どもが三歳になるまでは母親の手で育てるべきという
 「3歳児神話」への検証

 ・「少子良育戦略」における「よい子の反乱」

 ・男性でも、育児に携わると悩みは女性と共通する

 ・子どもの世話は、「親が一番」なのか


下記、「三歳児神話」についての記述を抜粋します。

      


 長らく、愛着は子どもと母親との一対一の関係で育つものとされてきました。今も根強い「三歳児神話」などはその典型です。しかし、そうした考えが支配的だったのは、子どもが家庭で母親(だけ)に育てられる場合が圧倒的に多かったからです。そうしたケースしか見えなかったからでしょう。このことは、母子関係を過度に重視する偏見を助長し、母子密着という弊害さえ生むことになりました。
 乳幼児の集団保育が増えたことに伴い、子どもの愛着も母親以外の人も含めた研究に展開しました。その結果、いまみたように、子どもは母親のみならず、保育者、友だちの間にも強い愛着の絆をつくり、それをベースに探検し、学習していくことが明らかにされています。自分の周囲にいろいろな人がつかず離れずにいて、見守られていることで、子どもは安定した気持ちで活動を展開してゆけるのです。複数の人々が子どもに何かあれば援助するという構えを、周囲で見守っている護送船団になぞらえて「コンボイ」と呼びます。すでに述べた乳児の強い社会的関心を考えれば、当然のことです。

      


■目次 をご紹介します。

 はじめに

第1章 育児不安の心理
  1 日本に顕著な育児不安―「母の手で」規範の陰に
  2 「子育てだけ」が招く社会的孤立
  3 父親の育児不在という問題

第2章 「先回り育児」の加速がもたらすもの―少子化時代の子どもの「育ち」
  1 変わる子どもの価値―子どもを「つくる」時代の親
  2 「少子良育」戦略と子どもの「育ち」
  3「よい子の反乱」が意味するもの―顕在化する親子の葛藤

第3章 子育て、親子を取巻く家族の変化
  1 「便利さ」は家族をどう変えたのか
  2 変貌する結婚と家族
  3 高まる家族内ケアの重要性

第4章 子どもが育つ条件とは―〈人間の発達〉の原則からみる
  1 〈人間の発達〉の原則と子育て
  2 「子育て支援」から「子育ち支援」へ
  3 子育てを社会化する意義

第5章 子どもも育つ、親も育つ―〈生涯発達〉の視点
  1 子どもの育ちと親の育ち
  2 急がれるワーク・ライフ・バランスの確立

 あとがき

『ボクシング・デイ』樫崎 茜:著

2010年09月23日 | おすすめ本
ムスメの学校の難聴・言語学級の先生が
お便りでおすすめ本として紹介されていたので
図書館で借りてみました。


  『ボクシング・デイ
   著:樫崎 茜
   講談社、2007年12月

   2008年 第18回 椋鳩十児童文学賞受賞


ボクシング・デイ」とは、クリスマスに一日遅れて
プレゼントを(使用人達が)開ける日のことです。


主人公で小学4年生の栞(しおり)は、
「ち」と「き」の発音が上手く区別できず
学校内に設けられた

「ことばの教室」に通っています。

そこの担当の佐山先生というおじいちゃん先生と
優しいクラスメート達、担任の先生と
織りなす小学校生活。

ごく日常的な風景と、小学生には事件に思えるような
出来事の積み重なりで物語は進行していきます。

やや、人物が純化されていまして
気になると言えば気になるのですが、というより
そんな環境うらやましいな、という感想です。
いえ、児童文学小説なので、よいのかな。

少し昔の小学校が舞台なので、まだ時代に思いやりが
たくさん残っていたころの感覚なのかもしれません。

  缶ジュースのプルタブを集めて
  車いすと交換し、病院に寄附したりなど。

そんなことよりも、
言葉がとても綺麗で素直で、読後感は
心がとてもあたたかくなりました。

主人公の栞と、人格者の教師佐山先生とのやりとりが、
含蓄に満ちた

  人生訓であり
  子どもへの応援歌であり
  こころの持ち方のアドバイスであったり

なんとも魅力的です。

『The S.O.U.P. 』川端裕人:著

2010年06月08日 | おすすめ本
本屋で見つけて買ってきました、川端さんの
『The S.O.U.P.』。
書名と、タイトルと、表紙の絵に惹かれて。


  『The S.O.U.P.
  著:川端裕人
  角川文庫、2004年5月
  初出は 角川書店 、2001年8月


序盤の内に、メディアミックス作品『.hack//(ドットハック)』の
大人版かな??と思ったのですが。

その直感は、圧倒的なディテールと壮大なスケールに裏切られ、でも
読後に振り返ると、当たらずとも遠からず
的なところもありました。

・ネットワーク、オンラインゲーム、ハッカー、
・インターネットに依存する現代社会の脆弱なインフラ。
・そして、コアとなるモチーフ(「あるもの」)。

モチーフは、かなり『.hack//』と共通しています。

でも描き上がった絵は、

『.hack//』がアニメ絵やプレステ2のポリゴンモデルで
暖かみのあるものならば

『The S.O.U.P.』は、クールで硬質・細密なデッサン。


そして、「あるもの」の扱い方に、舌を巻いたのでした。

エピデミック』もめちゃくちゃ面白かったけど
こちらも秀逸。

川端さんの取材力・想像力・創造力にはいつもながら
脱帽です。
主人公と一緒に行動している気になるし、
ついでにネットワークの知識も身に付くかも。

刮目して読むべし!

『両親をしつけよう!』ピート・ジョンソン:作、岡本浜江:訳

2010年03月22日 | おすすめ本
ママ友が、お嬢さんが読まれていてがーん!
とブログに書いていらしたので
読んでみました。

タイトル、どっきり。

  『両親をしつけよう!』
  作:ピート・ジョンソン
  訳:岡本浜江
  絵:ささめやゆき
  文研じゅにべーる、2006年9月


イギリスのある街を舞台にしたお話です。

出版元から、あらすじを引用します。

 * * *

引っ越してきたところはルーイにとって最悪のところだった。学校にはへんな校長と先生がいて、家の近所は教育熱心な親ばかり。おかげでルーイの両親も「ガリ勉方式」にはまって、ルーイの生活に異常に干渉しはじめる!

 * * *

主人公の少年、ルーイは、お笑いタレントになりたいと
真剣に思っていて、
その夢を実現するために、あの手この手で
両親に反抗します。

やれやれ!ルーイ!!
両親のいうことをきいていると、勉強バカに
なっちゃうぞ!

・・・と、すっかり子どもの目線になって
読んでしまいました。

ルーイの夢を応援する立場の大人も、
事情を分かりつつ、子どもにだまされたフリをして
上手くまとまるよう、配慮するところがステキ。

この、子どもが大きくなる段階で
自分の意志で冒険をしでかして周りをハラハラさせる構図、
川端裕人さんの『川の名前』
にも通じるかも。これも大好きな小説です。


      


なんで子どもの目線で読んでしまったかって!?

だって、佐々木正美先生によると

  過干渉は虐待の一種

  早期教育は虐待


なんですもの。


拙ブログで紹介した
『知らずに子どもを傷つける親たち
-チャイルド・マルトリートメントの恐怖 』
伊藤 芳朗:著


では
親の過剰期待から教育熱心になりすぎて
当のお子さんが「燃え尽き」、
不登校から援助交際に走った事例があるのです。

高校生くらいまで
絵に描いたような完璧な優等生だったお嬢さん。
眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能。
でも、それを小学1年生からずっとつづけるのは
精神的に、相当しんどいそうです。


      



『両親をしつけよう!』にも、
ルーイの友達に、成績優秀で、ご両親が
大変に自慢にしているお子さんが出てきます。

そのご両親の過干渉ぶりと来たら、大変なもの!!
お子さんは1分たりとも、気が休まる暇がないのでは??
と思うくらいです。

作中で、この子、やはり、「燃え尽き」を起こして
成績がガクッと落ちた描写がありました。

ここを拾える読者はどのくらいいらっしゃるでしょうか?


3/23追記です:
主人公のルーイも、
両親の過干渉と価値観の一方的な押しつけという、
チャイルドマルトリートメントを受けています。

その部分の心理描写が秀逸。
子どもは、こんなにも、つらく、苦しいものなんだ・・!

「ありのまんま」の自分自身を、認めてもらえない
つまり、「承認」されない、苦しさ。
存在をも否定されているのに近い感覚。

そんな状況にあったら、誰だって
「生きる力」なんて、湧いてきっこない。

そういう意味でも、オトナたちにも
読んで欲しいな~・・。


この本、

■第53回青少年読書感想文コンクール課題図書
■全国学校図書館協議会選定図書
に指定されています。

指定なさった、日本のオトナも、素敵です♪

『貧困を考えよう』生田 武志:著

2010年01月24日 | おすすめ本
図書館で、平置きになっていて
目を惹いていた本。

ジュニア向けの本は
いいものが多い(に違いない)!と
ばかりに借りてきたら、やはりいい本でした。

読了直後、涙を禁じ得ませんでした。


  『貧困を考えよう
  著:生田 武志
  岩波ジュニア新書、2009年


丁寧に、わかりやすく、バランスよく
貧困について語られた本。
ありとあらゆる方に読んで欲しいです。


      



著者の生田武志氏は、
大学卒業後

大阪市釜ヶ崎地区(あいりん地区)の
夜回りを始められ、
日雇い労働者・ホームレスの困窮を
助けてこられた方です。

ずっと、現場にいらっしゃって
当事者の気持ちや事情に明るい方。


拙ブログでも取り上げた
子どもの貧困白書』の事例にあった
児童館での炊き出しや、あいりん地区の児童会館の
現場にもいらっしゃいました。

その視点で、

 子どもの貧困、
 日雇い労働者の貧困、

を、

 激化する貧困の原因を、

 日本のセーフティネットの欠陥を、

 DVから逃げる母子の困窮を、


事例だけでなく
データからも描き出し

日本が目指すべき方向を
考察されています。


貧困の概念には、

  関係の貧困

  経済の貧困


の2種類があるそうです。
どちらも、人間が人間らしく、生きるために
貧困はあってはならないものだと思います。


ああ…、わたしの拙い文章では、とても
まとめきれる物ではありません。
是非是非、本書をお読みください。

あるいは、『貧困を考えよう』に関する
生田さんご自身の説明のページ

ありますので、こちらだけでもどうぞ。


      



いま生田氏は、
フリーターズ・フリーという団体で
情報誌を出しておられるそうです。


----
追記です(1/25)。

公立学校の底力』で
教育社会学者の志水 宏吉氏が

  「しんどい子」たちと表現していらした

子どもの詳しい描写が、ここにあります。

『変な給食』幕内 秀夫:著

2010年01月21日 | おすすめ本
加入している生協、パルシステムの雑誌
POCO21』の特集で紹介されていた本。
早速、図書館で予約して借りました♪


  『変な給食
  著:幕内 秀夫
  ブックマン社、2009年


本を一緒に見た小学2年生のムスメさえ、
「まさかー!?」と言っていたほど
変な取り合わせの給食のオンパレード!!

  (注:ムスメの地域は
    給食頑張ってるようです)


まずは、
変な給食の再現写真と
各ページのキャッチコピーの鋭いツッコミに
お笑いください!!

表紙の写真は、ほんの一例ですから!

「食育」を掲げた学校給食法の第一条なんて
かる~く、消し飛んでいる

高脂肪・砂糖だらけ・低栄養で
(微量ミネラルが低いという意味)
茶色オンパレードのジャンキーな給食たち。

野菜は…野菜はどこ??

わたしは、変な給食の写真を見ていて
頭3分の1で、胸焼けがしてしまいました。


  まぁ、変な取り合わせばかりを
  ピックアップしているという指摘がある、と
  著者ご本人が 書中で触れていらっしゃいますが。

  それは、著者が取り上げたい問題の
  本質ではありません。



      



さて、写真に大笑いされた後は、

この本の真骨頂である

  最後の文章を、是非お読みください。

なぜ、こんな変な給食になったのか。
謎が解けることでしょう。

学校給食法の高邁な理念を実現されている
新潟県三条市のご担当者の思いと
米飯給食・地産地消を実現する方法も紹介されています。

学校栄養士さん
自治体ご担当者さんにおかれましては、
ぜひご参考にして頂きたいと思います。


そして、私たち、日々の食卓を担っている親は、
どんな食生活をしていけばよいか、

子どもに食べさせるものには
どんな点に気を付けていけばよいかも
懇切丁寧に解説してくださっています。


「給食でしっかり食べているから」って
油断して、ごはんに手抜きしてしまうと
大変なことになりますよ~!


      



そうそう、著者の幕内 秀夫さんって、
粗食のすすめ』を書かれた方なのですね。
読んでみたいと思っていた本です。
いずれ、また。

『自分たちよ!』伊丹十三:著

2010年01月15日 | おすすめ本
知人に勧められて、図書館で
借りた本です。

あの映画監督、伊丹十三氏の著書。

思索の深さに脱帽です。


 『自分たちよ!
 著:伊丹十三
 文春文庫、1988年


本を開いてまず目を惹くのは、
フォントの小ささ。
2段組、3段組の構成。

本のコンセプトが、
「多角的な視点から自分自身に出会うための
ヒントを考えてみました。」
と、文庫の裏表紙にあります。

人生相談から、インタビューから、
潔癖性の女性が語る、から
日本語の特質を考える、から
読書案内(心理学・精神分析的なもの)、
「旗」で黒澤映画を語る、まで

その視点はバラエティに富んでいて

「自分とはは何か」、という
思春期から青春時代頃には
誰でも一度は考える(考えたことあるよね?)

一大疑問の答えを導くためのヒントが
てんこもりになっています。

・・・ひいては、日本人の特質
(考え方の癖)までもが
浮き彫りになっています。


      



中でも、精神分析をフランスで受けてきた
佐々木孝次氏との
対談「一人称について」は必見!

日本人の意識のあり方と
コミュニケーションの癖を、
言語学的なアプローチで考察しています。


すこし難しい概念ですが

「我」という一人称は
「汝の汝」という意味になってしまう。

  対して、フランスは、一人称と三人称が
  成立しているのだそうです。


日本人の特質として
幼い頃の母子一体となった感覚のままで
相手とコミュニケーションしてしまう、
というのだそうです。


つまり、日本人のコミュニケーションの特徴は

  主語を略しがち

  「言外の意」
  「察する」

ということにある、と。



佐々木氏は、フランスで精神分析を受けるという
過酷なご経験の中で、

「日本人というのは最小単位が二人であって、
一人という経験がない」

ということを発見されたそうです。


すなわち、日本では「相手がどう思うか」を
常に配慮して言葉を発する。
コミュニケーションをする。

相手があっての言葉なので、
日本語の一人称は、二人称的性格を帯びる、
ということのようです。

例えば
「This is a pen.」
という文を訳すと、

「これはペンです。」
「これはペンだ。」
「これはペンでございます。」
「こいつはペンだ。」

等々、
無数のバリエーションが出来るそうで、
絶対正解、という訳は存在しないそうです。

  なぜなら、どれも正解で文意は通るから。


つまり、日本人は、常に「受け手」のことを
意識して、言葉を使うのです。

  そのような言葉の使い方をしていると
  「自分」が薄まっていくような
  気がいたします。


そうして、日本人は
個人として自立していられず
「AはBです」と言い切ったままでは
いてもたってもいられず

つい「AはBですね」、と「ね」を
付けてしまう傾向がある、とのこと。

自分と他人の考えが同じであることを
「ね」で確認して安心する傾向を
指摘しています。


      



以上のことはほんの一例です。

ですが25年前の本、
今の日本人の考え方よりは丁寧だ、と
思いますし、

英語が日常に浸透してきている昨今
発想方法や物事の考え方が、当時とは
変質している部分もありましょう。

とはいえ、とにかく、おもしろい!
入手困難ですが欲しくなりました。

『子どもへのまなざし』佐々木正美:著

2009年12月17日 | おすすめ本
かの有名な児童精神科医、
佐々木正美先生の、子育て本。

イチオシです♪


  『子どもへのまなざし
  著:佐々木正美
  福音館書店、1998年


拙ブログでも取り上げた

『かわいがり子育て -
3歳までは思いっきり甘えさせなさい』


御本が、とてもやさしい子育ての
入門書
としますと、

こちらは

  育児本の真打ち

と申しましょうか。


この本の素晴らしいところは

子どもの発達が
段階を追って紹介されているにもかかわらず
その年齢が記されていないことです。

  この本に出会う前は、
  わたしなど「〇〇育児百科」を読んで
  この月齢ではもう歩いているはず、
  うちの子、遅い。
  子育て間違ったかしら??

  なんて悶々としたものです。


ですが、この本を読むと、
こどもの発達には段階があり、

もしも欠けた要素がでる場合

年齢を退行してでも補う必要がある


段階を踏んでさえいれば
順調に子どもは発達していくものだ
年齢にはとらわれる必要がない、と

とても重要なことを
教えられて、
肩の荷がストンと下りて
楽になりました。

また、佐々木先生の暖かいお人柄が
行間からにじみ出ていて
苦しさをいやしていただけるような
そんな気持ちになれました。



      




実はこの本、買い求めて、かなり経つのです。

ある方にお貸ししたところ
半年以上、里子にでたままです(笑)

それだけ、その方のお役に
立っているかと思うと
うれしいかな。



今日、『続・子どもへのまなざし』を
読了したので
書評を書く決心がつきました。

続編は、専門的なことにも触れていて
発達障害や何らかの困難をお持ちのお子さんを
育てられている方にも
おすすめです。

『だれか、ふつうを教えてくれ!』倉本智明:著

2009年08月17日 | おすすめ本
4月に読んで書評を書いた
みうらじゅんさんの『正しい保健体育』

同じ、理論社のシリーズの本です。

やっぱり、図書館で借りてきましたw


 『だれか、ふつうを教えてくれ!』
  著:倉本智明
  理論社、2006年
  YA新書 よりみちパン!セ <第2期>

  
「ふつうってなに?」という
難しいテーマを、とってもわかりやすい言葉で
書かれています。

著者の倉本氏は、実は、視覚障害者でいらっしゃいます。

お子さんの頃から青年期は、弱視。
青年期以降は、視力をほとんどなくされて
白杖をもって生活されています。

そして、そのご経験を前向きに捉えられ、

  「障害学

というフィールドで活躍されていらっしゃるそうです。


わたし、この本を読んで、

目から鱗がぽろぽろ落ちました。


わたしたちは、一面的なものの見方をしがちです。


そのことを、ふと気づかせてくれる本。


この本を読むと、

  ものの見方、考え方が深まる

・・・と、思います。


大人にも、思春期を迎えるお子さんにも、
まちづくりに携わる方々にも

おすすめです。

 

『フィンランド教育 成功のメソッド ~日本人に足りない「実現力」の鍛え方~』諸葛正弥:著

2009年08月03日 | おすすめ本
ネットで見つけて、図書館で予約した本。
結構人気の本です。

 『フィンランド教育 成功のメソッド
  ~日本人に足りない「実現力」の鍛え方~

 著:諸葛 正弥
 マイコミ新書、2009年

前半4分の3は、フィンランド教育の特色を、「実現力」という著者ならではの切り口で紹介されています。
後半4分の1は、「実現力」を鍛えるための記入式のワークシートになっています。

著者は、フィンランド教育を相当研究なさったと思われます。
内容がこなれていて、日本人のわたしにはとても理解しやすかった点と、目から鱗が落ち、ガンガンインスパイアされた点が、「おすすめ本」にカテゴリ分けした理由です。

この本は、そのうち買い求め、手元に置きたい。
時々ぱらぱらめくって、元気をもらうような読み方をしたいな~・・。
 

『ルリユールおじさん』いせ ひでこ:作・絵

2009年06月11日 | おすすめ本
今日、用もないのにふらっと立ち寄った
図書準備室で、運命の出会いを果たしました。

最上等の絵本! 近いうちに、買います。


  『ルリユールおじさん
  作・絵:いせ ひでこ
  理論社、2007年



何の先入観もなしに
ページをめくると、そこはパリ。

さらっとしたタッチの水彩画から、
パリの風が吹いてくるようです。

大切なものをこわしてしまった 少女。

少女の困りごとを解決してくれた
ルリユールおじさん。

おじさんの仕事場はとても魅力的で、
何気ない道具、手回しの器械、
雑然と置かれた材料達のひとつひとつを
見るだけで、わくわくしてきます。

そして、ページをめくって
読み進むうちに、本から伝わってくる
メッセージに共感し、涙が出てしまいました。

わたし自身が感じていたことと、
まったく同じようなことだったので・・。



      



ストーリーに関係ない部分を
ほんの少し、引用させていただきますね。



  ルリユールはすべて手のしごとだ。
  糸の張りぐあいも、革のやわらかさも、
  紙のかわきも、材料のよしあしも、
  その手でおぼえろ。

  (中略)

    名を残さなくてもいい。
    「ぼうず、いい手をもて」


      



この本に出会うきっかけをくださった
Iさんに、感謝です。

『女性の品格』坂東眞理子:著

2009年04月12日 | おすすめ本
今更ながらに読んでみました、『女性の品格』。
わたしの尊敬する友人が「よかった」と
日記に書いてたのがきっかけです。

素直に、すごい本だと思います。

  『女性の品格 -装いから生き方まで-』
  著:坂東眞理子
  PHP新書、2006年

よくあるハウツー本のように読むこともできますが、
「品格ある女性に見せるためには、どうすればいいの?」というような
浅い読み方はして欲しくないなあ。

上等な女性が、これまでの仕事上や
家庭運営をされたご経験、その他もろもろの
ご経験と知識を総動員して、
「品格とは何か、生き方とは何か」について考えた
本物の論考だと思います。

それでいて、押しつけがましくなくわかりやすい。

内容は「装いから生き方まで」と、副題にもあるとおり、
身近なことがらから、人間関係、生きる姿勢までに至ります。

女性だけでなく、あまねく男性も、本書にある
「品格」を身につけたならば、サービス残業も癒着もなくなり
日本はいい方向へ変わることでしょう。

なるほど、ベストセラーになり、
「品格」という言葉が2006年の
新語・流行語大賞を受賞するきっかけのひとつに
なったそうですが、そのはずだと思いました。

そういえば昨日の朝に見た、子ども番組の敵キャラが
「品格」という言葉を使っていたのが
妙におかしかったです。
悪者にもそれなりの美学があるのかしらん?