草履で歩きながら考える

笑う門には福来たるで、マイペースでやりたいこと やってみよう♪基本PTAブログですが、日常やがんのことも綴ります。

『子どもが育つ条件―家族心理学から考える』柏木惠子:著

2010年11月25日 | おすすめ本
ネットの論文紹介か何かで著者を知り、
図書館で検索して、自分の興味にピタリな本を
見つけて借りました。

バイブルに、またひとつ巡り会えました!!
本を注文して、今日手元におきました。


  『子どもが育つ条件―家族心理学から考える
  著:柏木惠子
  岩波新書(赤)、2008年7月


歯切れのいい文体で書かれた、子どもを取り巻く現状。
問題が起きている背景要因。
社会のあり方、家族のあり方。

それらが、幅広く、解説され問題提起されています。

問題点とメッセージが綺麗に整理されています。
著者の冷静な観察眼を感じます。

どこをとっても、深い示唆に満ちている本です。

なによりすごいのは、解説が、研究・調査結果を
踏まえたものであること。

文中に記される参考文献の、ほとんど(?)全てに
著者の名前が入っています。
本書は、おそらく著者の集大成ではないでしょうか。

わたしは本を読むとき、付箋を貼るのですが、
新書が付箋だらけになりました。

      


気になるテーマや感心した点をご紹介すると、例えば

 ・育児不安の心理を、みごとに解き明かしていること

 ・子どもの育ちにとって望ましいのは、専業主婦か、働く母か。

 ・子どもが三歳になるまでは母親の手で育てるべきという
 「3歳児神話」への検証

 ・「少子良育戦略」における「よい子の反乱」

 ・男性でも、育児に携わると悩みは女性と共通する

 ・子どもの世話は、「親が一番」なのか


下記、「三歳児神話」についての記述を抜粋します。

      


 長らく、愛着は子どもと母親との一対一の関係で育つものとされてきました。今も根強い「三歳児神話」などはその典型です。しかし、そうした考えが支配的だったのは、子どもが家庭で母親(だけ)に育てられる場合が圧倒的に多かったからです。そうしたケースしか見えなかったからでしょう。このことは、母子関係を過度に重視する偏見を助長し、母子密着という弊害さえ生むことになりました。
 乳幼児の集団保育が増えたことに伴い、子どもの愛着も母親以外の人も含めた研究に展開しました。その結果、いまみたように、子どもは母親のみならず、保育者、友だちの間にも強い愛着の絆をつくり、それをベースに探検し、学習していくことが明らかにされています。自分の周囲にいろいろな人がつかず離れずにいて、見守られていることで、子どもは安定した気持ちで活動を展開してゆけるのです。複数の人々が子どもに何かあれば援助するという構えを、周囲で見守っている護送船団になぞらえて「コンボイ」と呼びます。すでに述べた乳児の強い社会的関心を考えれば、当然のことです。

      


■目次 をご紹介します。

 はじめに

第1章 育児不安の心理
  1 日本に顕著な育児不安―「母の手で」規範の陰に
  2 「子育てだけ」が招く社会的孤立
  3 父親の育児不在という問題

第2章 「先回り育児」の加速がもたらすもの―少子化時代の子どもの「育ち」
  1 変わる子どもの価値―子どもを「つくる」時代の親
  2 「少子良育」戦略と子どもの「育ち」
  3「よい子の反乱」が意味するもの―顕在化する親子の葛藤

第3章 子育て、親子を取巻く家族の変化
  1 「便利さ」は家族をどう変えたのか
  2 変貌する結婚と家族
  3 高まる家族内ケアの重要性

第4章 子どもが育つ条件とは―〈人間の発達〉の原則からみる
  1 〈人間の発達〉の原則と子育て
  2 「子育て支援」から「子育ち支援」へ
  3 子育てを社会化する意義

第5章 子どもも育つ、親も育つ―〈生涯発達〉の視点
  1 子どもの育ちと親の育ち
  2 急がれるワーク・ライフ・バランスの確立

 あとがき


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