学童保育施設における活動機能と平面構成
宮本文人、岩渕千恵子
日本建築学会計画系論文集 第618号, 25-31, 2007-08-30
1. 研究の背景と目的
学童保育施設は、一般的に十分な広さが確保されておらず、活動の多様性は平面構成により影響を受けているため、活動と平面構成との関係を踏まえた施設整備は重要な課題である。
本研究では、保育室数、床材、面積、机配置、その他諸室との繋がりによる児童の活動の影響を分析した。
実態を調査すると共に指導員の意見を基に 1)活動の種類とそれに対応するスペースから活動機能を捉え、2)保育室の平面構成を把握し、3)有効なモデルを示す。
2. 調査の概要
「ヒアリング調査」「実測・実態調査」「観察調査」
3. 研究結果・考察
① 活動から保育室の平面構成の特徴を把握
1領域型(空間の区切りのない)の保育室では動的遊びが制限され、ボール遊び等の活発的な遊びがなくなる。2領域型(空間が、床材または壁で2つに区切られた)の保育室では、多様な使用状況がみられ、活動の分化も多様になる。3,4領域型では、動的遊びが明確に分化し、静的遊び・読書も分化する。活動の相互関係をまとめると、学習と動的遊び(大)は他の活動と排斥し合うため配慮が必要である。読書、造形的遊び、静的遊びは共存できるが、使用物品が異なるため収納家具の配置場所が重要である。
② 指導員へのヒアリング調査による問題点
・事務スペース、キッチンスペースは繋がる形で個別に設け、それぞれが保育スペースと直接繋がることが望ましい。
・活動の多様性という観点から保育室には2室2領域、可能であれば2室3領域確保することが望ましい。
このような考え方を基に活動機能スペースの構成モデルを作成した。
4. まとめ
現在、小学校で放課後も児童を預かる事業が広がりをみせている。この事業は、児童が安心して遊べる居場所づくりや子育ての負担軽減による少子化対策を目的としていて、家庭に代わる生活の場として重要である。
5. 感想
学童保育施設が、一般的に十分な広さが確保できていないことを知り、その中で児童をどう遊ばせるか工夫することが大事なのだと知りました。
工夫する要素として、保育室数、床材、面積、机配置が用いられていて、それがどのように領域を分けているのか分析されていました。
例えば、1室構成の保育室の場合、
「学習・自由遊び時は床材の違いや机の配置を利用して室内を区切る。」「読書・静的遊び、学習、動的遊び(小)の順になるように活動場所を設定する。」という分析があった。
こういった工夫を活かしていくことで、よりよい環境ができるのだと思いました。
黒巣光太郎
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