建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

【総研(一般)】[ただ居ること]ができる[衣・食・住]の場とコミュニティ形成拠点に関する研究

2019-04-29 10:32:31 | 進行中の研究や計画

(概要)

 地域での支援のあり方は施設型から事業型へと転換し,自己選択的な生活スタイルが重視されている。一方,人口減少を伴う少子・高齢化の急速な進展のなかで,公助や自助を超えた共助・互助のコミュニティの構築が求められており,それを建築や都市が支援するためには,人々が場や行為をともにする,「共有される場」の役割が大きい。その場の魅力や共有の蓋然性を高める観点からは,ただ居ることができること(居場所性),機能が混在し偶然性があること,【衣・食・住】という日常生活に必須の行為が伴うことがより効果的と考えられる。これらを踏まえて本研究課題では,利用者,設置・運営者へのインタビュー・アンケート調査や観察調査によってこうした多様な「生活行為が誘発するまちの中の滞在空間:ライフコモンズ」の姿を捉えて機能にとらわれず横串で整理し,そのような場を建築・都市の観点からどのように支援できるかを検討する。その成果は,機能種別という枠を超えた,地域に必要な場の構築やその計画論に資するものとなる。

 

研究目的、研究方法など(抜粋)

例えば【衣】ではコインランドリーに喫茶スペースを併設する喫茶ランドリー,【住】では住まいを地域の居場所として開放する住み開きなどがある。さらに【食】では都市の居場所となるカフェ,高齢者など地域住民に安価に食事と交流の機会を提供するコミュニティカフェ,こどもや保護者に飲食や触れ合い,相談機会を提供するこども食堂,食を通じた異文化情報発信の場となる多国籍屋台村など,多数の例が挙げられる。こうした,日常的な行為の場によって生まれる心理的・社会的な互助の関係性やコミュニティは,地域の活性化や地域包括ケア,異文化共生の起点であり,人々の欲求の基盤的要素である所属と承認の欲求を満たす場となる。

 この視点から,本研究では,多様な「ライフコモンズ」を調査対象とする。これまでの研究で一定の事例を収集しているが,特に機能を複合する(○が重なる箇所に該当する)事例の収集に注力する。それらをもとに,図2のような研究フローで,研究を実施する。まず,Ⅰ-1事例収集によって広く事例を収集してⅡモデル整理を行い,典型例や特徴的事例を選定してⅠ-2詳細調査を行う。これらより,Ⅲ利用者・建築・都市の視点からの分析や概念の整理を行う。これらより,Ⅳ-1目的や機能が多様なライフコモンズの事例を横串で比較・整理するデータベースを作成する。また,Ⅳ-2そうしたライフコモンズの整備手法,検討フローなどの整理を行う。これらの成果を広く情報公開することで,地域や人々のニーズに応じた多様な実践や,議論への土壌となることを期待する。

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