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花の詩「すみれ」

2014年05月28日 11時54分10秒 | 古都逍遥「奈良篇」


 [花言葉]は小さな愛。温順・謙虚・謙譲・謙遜・・控え目・無邪気な恋・愛・思い・純潔・誠実・小さな幸せ・つつましい幸福・貞節、慎み深さ・ひかえめなど多岐にわたる。
◇紫:「貞節」「誠実」
◇白:「誠実」「謙遜」「あどけない恋」「無邪気な恋」
◇黄:「牧歌的な喜び」「慎ましい喜び」

 すみれと言えば、自然とこんな歌が口からこぼれ出す。

 「春 すみれ咲き春を告げる
  春 何ゆえ人は汝を待つ
  たのし悩ましき
  春の夢甘き恋
  人の心酔わす
  それは汝すみれの咲く春
  
  すみれの花咲くころ
  はじめて君を知りぬ
  君を想い日ごと夜ごと
  悩みしあの日のころ
  すみれの花咲くころ
  今も心ふるう
  忘れな君われらの恋
  すみれの花咲くころ
  忘れな君われらの恋
  すみれの花咲くころ」
  (作詞 Fritz Rotter 白井鐵造
   作曲 Franz Doelle)

 宝塚歌劇団のシンボル曲というかテーマソングとなっているこの曲、甘く切ない歌である。
 “すみれ”ってそんな抒情的な香りを醸し出す可憐な花。野に群生するすみれも良いが、
 小さな花鉢に一輪という“すみれ”も愛おしい。
 宝塚歌劇団創立100周年を迎えた今年、いろんな記念行事が繰り広げられているが、そこに流れるこの「すみれの花」の歌は人々の心を虜にしまた癒してくれる。

「菫(すみれ)」
 開花時期は、3月初旬から5月上旬で、花の形が大工道具の「墨入れ」に似ていることに由来する説があり、「すみいれ」が「すみれ」へと変化したという。

 すみれは古来から愛されていた花で、万葉集にもみられる。
 「春の野に菫つみにと来(こ)し我そ
   野をなつかしみ 一夜寝にける」(山部赤人)


花は独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きい。花茎は根際から出て立ち上がり、上からうつむき加減に下を向いて花を開いている。
 昔から山菜としても重宝され、葉は天ぷらにしたり、茹でておひたしや和え物になり、花の部分は酢の物や吸い物に。しかしパンジーやニオイスミレなど有毒なものがある。

こんな話がギリシャ神話にみられる。
「美しい娘イオには羊飼いのアティスという許婚がいた。しかし、太陽神アポロンがイオに恋し追いかけまわしていた。すると、女神ディアナがアポロンから守るためイオの姿をスミレに変えた」。
 また、有名な話に、ゲーテの詩にモーツァルトが曲をつけた歌曲「すみれ」が知られている。
 
 和歌や俳句にもすみれは多く登場している。
 「しばしとて出こし處もあれにけり 蓬のかれ葉董まじりに」(藤原定家)
 「古郷の昔の庭を思出でて すみれつみにとくる人もがな」(西行)
 「こよひ寝て摘みて帰らむ菫さく小野の芝生は露しげくとも」(中納言国信)
 「故郷の志賀の都のすみれ草 つむ人なしに花やさくらん」(綱吉)
 「春の野にさけるすみれをてに摘みて わがふるさとをおもほゆるかな」(良寛)

 「山路(やまじ)きて なにやらゆかし 菫草(すみれぐさ)」(松尾芭蕉)
 「玉透のガラスうつはの水清み 香ひ菫の花よみがえる」(正岡子規) 
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