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「慈光院」(じこういん)

2011年09月18日 10時01分21秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 大和郡山市にある、茶の湯と庭園で有名な禅寺「慈光院」(円通山)を訪ねた。
 奈良には珍しい禅宗様式の庭が見られる寺院だが、観光寺ではないため参拝者も少なく、一服の抹茶をいただきながら、茅葺の農家風造りの広々とした座敷から、静かで清楚な庭を独り占めできるのが嬉しい。

 「慈光院}は、寛文3年(1663)に「片桐石州」が、父の菩提寺として建立したのが始まり。石州は、4代将軍の徳川家綱や水戸光圀に茶の湯を教え、「茶道石州流」の開祖となった人物で、京都「大徳寺」や奈良県葛城市の「当麻寺中之坊」の茶室も造っている。

 当寺は境内全体が一つの茶席として造られたような構造になっており、表門からの小道、書院(重要文化財)や庭園、そして露地を通って小間の席という、茶の湯で人を招く場合に必要な要素をひと揃えした様式となっており、全国的に見ても貴重な場所となっている。

 本尊は藤原中期の作とされる「釈迦如像」。両脇には「開山玉舟和尚」「片桐石州」の坐像が安置されている。本堂は昭和59年(1984)に再建されたものでまだ真新しい。
 茅葺屋根造りの楼門「茨木門」は、片桐石州の出生地の摂津茨木城の楼門を移築したもので、よく手入れが行き届いており美形である。

 書院の一角には「高林庵茶室」(重文)という茶室が設けられており、右壁には、小さな「にじり口」も設けられている。また、黄色っぽい壁は茶室「閑茶室」(重文)で、「高林庵茶室」よりも薄暗く造られおり、その二つが対になって陰陽を表しているかのようだ。

 書院から眺められる庭には、白砂の中に丸く刈り込まれたツツジなどが植わっており、禅寺の庭にしては配石が少ないのが特徴。きれいに刈り込まれた70種類もの植物が植わっており、ツバキ、サツキ、キキョウ、サザンカなどが咲き、四季折々を楽しませてくれるという。庭のところどころに「角ばらず」「独坐」「女の字(めのじ)」という三つの手水鉢(重文)と水戸光圀から贈られたという手水鉢が配置されており、れぞれに個性があって面白い。

 境内では「石州料理」(精進料理)などをいただく食事処があり、特に麺好きにはたまらない「石州麺」がメニューにある。何でも石州侯が客人をもてなした「油不入素麺」を再現したものだそうで、秋田の「稲庭うどん」の元祖と言われているそうだ。手土産としても販売している。「石州料理」は事前予約が必要。

 所在地:奈良県大和郡山市小泉町865。
 交通: 近鉄「郡山駅」から、奈良交通バス法隆寺行き、慈光院下車、徒歩5分。


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