アイリス あいりす 

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プーチンの演説2(バルダイ会議)10・24・2014<NO716>

2014-12-04 18:51:39 | 日記
引き続き、鴨川耕助氏のblogより転載しました。

http://kamogawakosuke.info/2014/11/21/no-1093-%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E3%81%AE%E6%BC%94%E8%AA%AC/


制裁は世界貿易、WTOの規則と私有財産の不可侵の原則という基盤をすでにむしばんでいます。それは市場、自由と競争に基づくグローバリゼーションのリベラルなモデルに一撃を加えています。それは主に、正確にいうと西欧諸国を益するモデルなのです。そしていま彼らはグローバリゼーションのリーダーとして信用を失うリスクをおかしています。我々は自問すべきです、なぜ、これが必要だったか。結局、アメリカの繁栄は、主に投資家の信頼と、外国のドルと米国債の保有者の上にあります。この信用は明らかに徐々に損なわれ、多くの国がグローバリゼーションの成果に対して失望している徴候がでています。

キプロスでなされた政治的理由での制裁は、経済の強化と金融の主権を求める傾向を強めただけであり、国または地域のグループは、外部の圧力というリスクから自分たちを守る方法を見つけたいという思いを強めたたけでした。ますます多くの国がドルに依存しないような方法を探し始めていて、ドルに代わる財政および支払いシステムと準備通貨を用意しています。アメリカの友人たちは、自分たちが乗っている木の枝を切っているようなものだと私は思います。政治と経済を混ぜることはできませんが、これが現在起きていることなのです。政治的動機の経済制裁は常に間違いで、それは誰をも傷つける間違いだと私は思います。この話題についてはまた戻ります。

われわれは、これらの決定がどのようになされたか、そして、誰が圧力をかけていたのか知っています。しかし、ロシアは経済制裁をうけても、興奮して怒ったり、物乞いをしないということをここで強調しておきます。ロシアは自給自足、経済的に独立した国です。我々は、形づくられている海外経済環境の範囲内で動き、国内生産とテクノロジーを開発し、変化を遂行するために断固として行動します。外からの圧力はロシア社会をまとめ、より注意深くなり、メインの開発目標に集中させるだけでしょう。

もちろん、経済制裁は障害です。彼らは制裁を通して我々を傷つけようとしています。我々の発展を妨げ、政治、経済、文化において孤立化させようとしているのです。言い換えると我々に後退を強いている。しかし、今日の世界はとて異なる場所です。我々は世界から離れて閉ざされた道を行くつもりはありません。我々は常に経済や政治の正常化を含めて対話をするつもりです。これにおいて主要諸国が、実際的なアプローチとビジネスコミュニティとしての立場をとることを期待しています。

ある人はロシアはヨーロッパに背を向けているようだと言います-そのような話はここで議論の間、またすでに多分話されたでしょう ― そしてとりわけアジアに新しいビジネス・パートナーを探していると。そのようなことはありません。私たちのアジア太平洋地域の活発な政策は昨日始まったのではないし、経済制裁に反応したのでもありません。もう何年もとってきたものです。西欧諸国を含む多くの他の国のように、アジアが世界で、経済で、そして、政治でより大きな役割を演じるのを見てきました。我々がその情勢を見逃すことはできません。

もう一度いいますが、誰もがしているから我々もするのです。我々の国の大部分は地理的にアジアにあります。なぜロシアがこの地域での競争的利点を利用してはいけないのですか?しないことはとても近視眼的です。これらの国との経済関係を発展させて、共同の統合プロジェクトを遂行することは、我々の国内発展を誘因するでしょう。今日の人口統計学、経済、文化的、どれをみても唯一の超大国に依存する傾向は客観的にみても減っています。これについては欧米の専門家も論じたり書いたりしています。

グローバルな政治の発展は、おそらく今われわれがグローバル経済で見ているように展開するでしょう。つまり、特定のニッチで競争が激化し、特定のエリアで頻繁にリーダーが入れ替わる。これは完全に可能です。

人道的要因、たとえば教育、科学、ヘルスケア、文化がグローバル競争でより大きな役割を果たすことは間違いありません。これは国際関係にも影響を及ぼします。なぜならこのソフトパワーの資源は、洗練されたプロパガンダのトリックよりも人材開発を達成するうえで重要だからです。


それと同時に、いわゆるポリセントリックな世界(多中心体世界)の形成はそれ自体安定性を改善しません。事実、その反対になる可能性が高い。世界的な平衡に達するというゴールはかなり難しいパズルであり、多くの未知数を持っています。ではルールに従わないで生きるのでなく、まったくルールなしで生きる事を選んだらどうなるのだろうか。そしてそうなるシナリオは考えられる。いまの世界的緊張を考えるとそうならないとはいえません。現在の傾向を考慮すると、いろいろな予測ができるしすでになされていますが、残念なことにそれらは楽観的でありません。もしわれわれが相互にコミットメントと合意をするという明確なシステムを作らなければ、もし我々が危機状況を管理し、解決する仕組みを構築しなければ、世界的無秩序の兆しはさらに増すでしょう。

今日、我々はすでに世界の主要国による直接的または間接的な暴力的紛争が増えている状況をみています。そしてリスク要因には伝統的な多国間紛争だけでなく、国内での不安定性、とくに主要な国の地政学的利益の交差点となるところに位置した国、または文化、歴史、経済において文明的な大陸の辺境にある国においてそれが見られます。

ウクライナがその一例で、国際的な力のバランスに影響を及ぼす紛争であり、またこれが最後でもありません。ここから現在の軍縮協定のシステムを破壊する脅威が生まれるのです。そして、この危険なプロセスは2002年に弾道弾迎撃ミサイル 制限条約をアメリカが一方的に抜けたときからであり、以来アメリカは活発にグローバルミサイル防衛システムを作っています。

皆さん、これを始めたのでは我々ではないということを強調したい。利益と相互保障のバランスの代わりに、恐怖と相互破壊のバランスの時代に滑り込んでおり、それが国同士が直接の対立を防いでいます。法的、政治的手段の欠如により、今再び武器が世界的なアジェンダの焦点となりました。 武器はどこでも、どのようにでも、国連安保理事会の制裁なしに使われています。もし国連安保理事会が制裁をすることを拒否するなら、国連安保理事会は時代遅れで無効な道具だと即座に宣言されるべきです。

多くの国は自分で爆弾を持つこと以外に主権を保つ方法を知らない。これはきわめて危険です。わたしたちはこれからも話し合いを継続することを主張します。対話に賛成なだけでなく、核弾頭削減のための継続的な対話も求めます。世界で核兵器が減れば、それだけ世界はよくなります。そしてわたしたちは、真剣で具体的な核軍縮の用意があります。それはあくまでも二重基準のないシリアスな議論においてです。

どういう意味かというと、今日、高精度兵器には大量破壊兵器に近い機能を持つものが多くあります。核兵器の完全な放棄または核の可能性を劇的に縮小するとき、高精度システムを作っている国は明らかに軍事的に有利だからです。戦略的なパリティは中断され、不安定になるでしょう。そうなるといわゆる最初のグローバル先制攻撃の使用をしたくなるかもしれない。要するにリスクは減少するどころか激化します。

次の明白な脅威は、民族的、宗教的、そして社会的な紛争がさらにエスカレートすることです。このような紛争は文字通り危険なだけでなく、彼らは周囲にアナーキー、無法、カオスのゾーンを作るため、テロリストや犯罪者、人身売買、麻薬取引などがそこで行われるようになります。

ちなみにロシアでもこれらのプロセスを管理しようとし、自分たちの利益に合うように地域紛争や「カラー革命」を利用しようとましたが、それは悪いことを連続で引き起こしました。これは自分自身がどうしてよいかわからない、制御されたカオス理論の父親のようです。彼らのランクには乱れがあります。

われわれは支配エリートと専門家コミュニティの議論を緊密にフォローしています。これは昨年の西側のプレスの見出しを見るだけで十分です。同じ人々が、「民主主義のためのファイターズ」、その次に「イスラム主義者」と呼ばれています。最初、革命と書き、次の記事では暴動や動乱とそれを呼んでいる。結果は明らかで、グローバルにおけるカオスはさらに拡大するのです。

皆さん、今のグローバルの状況をかんがみて、基本的なことに同意し始める時です。これは信じられないほど重要で必要です;過去にもどるよりもずっと良いです。皆がより共通の問題に取り組むほど、我々は同じ船の上にいることに気づく。そして、論理的な出口は、国や社会同士が協力して挑戦に対する答えを見つけることです。共同でリスク管理をするのです。しかし我々のパートナーの中には、何らかの理由でこのことを自分たちの利益に合った時しか思い出さないのです。

実際の経験は、挑戦に対する共同の返答が必ずしも万能薬でないことを示しています。これを理解する必要があります。さらにほとんどの場合、合意は難しい。特に異なる文化や歴史的伝統を持つ国益の違いを克服することは容易でありません。しかし、それでも、共通の目的を持ちながら同じ基準で行動して、真の成功を達成した例があります。

シリアの化学兵器について問題を解決したこと、イランの核開発計画について実質的な意見交換をしたこと、北朝鮮問題もわれわれの働きによってポジティブな結果になったことなどです。この経験を将来地域や世界の課題を解決することに使ってはどうでしょうか。発展を阻害する新しい独占が作られるのを許さない健全な競争を奨励しつつ、安定とセキュリティをもたらす新しい世界秩序のための法的、政治的、経済的基盤はなんでしょうか。だれかが絶対的な広範囲にわたるレディーメードの解決策を提供することはありえません。我々は、広範囲にわたる政府、世界的な企業、市民の社会と、私たちのような専門のプラットフォームが参加する広範囲な作業が必要となるでしょう。

しかし、成功と真の結果がもたらされるのは、国際問題の主要参加者が、リーズナブルな自制心をもち、ポジティブで責任あるリーダーシップの例を示して基本的な利益の調和に同意することができたときだけなのは明らかです。我々は一方的な行動がどこで終わるかをはっきりと決め、多国間メカニズムを適用する必要があります。そして国際法の有効性を改善するために、国がどんな国内事情でも、国家主権には不干渉という原則に基づいて、安全と人権を守るための国際社会による行動間のジレンマを解決しなければなりません。


衝突は複雑な内部のプロセスに対する外部の干渉をもたらし、たびたびそれは世界の主要国感での危険な紛争の引き金となります。主権を維持することは世界的な安定性を保ち強化する際の一番重要なことなのです。

あきらかに、外圧を使うための基準を議論することはものすごく難しい。それを特定の国の利益と切り離すことはほとんど不可能です。しかし、誰の目にも明らかな合意がない時に必要で法律に基づく干渉の条件が決まっていない時は、より危険です。

国際関係は国際法に基づかなければならないということも私は付け加えます。そしてそれ自体、道徳的な原則、例えば正義、平等と真実といったものに基づかなければいけません。最も重要なことは、そのパートナーとその利益を尊重することかもしれません。これは明らかな公式で、単にこれに従うだけで世界の状況は劇的に変わるでしょう。

もし意志があれば、国際的地域的な機関システムの有効性を取り戻すことはできると思います。新しいものをゼロから作る必要さえなかもしれない。未開発の地ではなく、とくに第二次大戦後作られた機関はかなり普遍的で現代的で、現在の状況に適しているからです。

これは国連の仕事を改善にもなります。国連の中心的役割はかけがえのないもので、また欧州安全保障協力機構(OSCE)もそうであり、OSCEは40年にわたり欧州大西洋地域の安全保障と協力を確保するために必要なメカニズムとして役立ってきたことが証明されています。たとえ今でも、ウクライナ南東部の危機を解決するためにOSCEは非常に積極的な役割を果たしています。


国際環境における根本的な変化を踏まえて、制御不能な様々な脅威の増加により、責任ある国々の新しい世界的なコンセンサスが必要です。これは一部の地域取引や古典的な外交のやり方における影響力の分割、また誰かが完全に世界支配することでもありません。相互依存の新しい形が必要だと私は思います。我々はそれを恐れるべきではありません。むしろこれはポジションを調和する良いやり方です。

これは特に地球上のある地域が強化され、成長している時に適切です。そのプロセスでは、新しい極地を組織化し、強力な地域組織をつくりその相互作用のためのルールを開発することが客観的に必要となります。これらのセンター間の協力こそが、グローバルなセキュリティや、方針、経済の安定をもたらすでしょう。しかしそのような対話を確立するためには、すべての地域的センターとその周りに作る統合プロジェクトは平等な開発権利を持ち、それによって互いを補完し、誰も他の人を紛争に陥れたり人工的に対抗したりできないという前提で進める必要があります。破壊的な行動は国家間のつながりを壊し、国自身も厳しい状況に直面するか、または完全に破壊するでしょう。

昨年の出来事を思い出してください。我々は欧米のパートナーたちに、性急に舞台裏の決定をすることは、たとえば EUとウクライナの連携について、経済に深刻なリスクをもたらすと伝えました。政治については我々は何も言いませんでした。経済についてだけ、そのようなことを事前のアレンジなしに行うと、ウクライナの主要貿易相手であるロシアを含め、他の多くの国の利害に触れる、そのため幅広い議論が必要だと言いました。ちなみに、例えば、ロシアの WTO加盟に関する協議は19年間続いたことを思い出してください。これは非常に困難な作業でしたが一定の合意を得ました。


なぜこれを持ち出したかというと、ウクライナがEUと連携すると、いわばわれわれのパートナーは裏門からロシアに製品やサービスをもらいにくるということで、我々は同意していなかったし、誰もこのことについて我々に聞かなかったからです。私たちはウクライナとEUの連携に関するすべてのテーマをしつこく議論しました。それは完全に礼儀にのっとった文明的な方法で、問題を洗い出し理由をしめし、議論を重ねました。誰も私たちの話をききたがらなかったし、誰も話そうとはしませんでした。彼らはただ私たちに言いました:これはあなたには関係ない。以上。そして文明的な広範にわたる対話のかわりに、突然政府を転覆させたのです。それで国はカオスとなり、経済と社会は崩壊し、内乱がおき、多くの負傷者が出ました。

なぜ?私は彼らに尋ねましたが答えはありませんでした。だれも何も言いませんでした。それだけです。誰もが困り果て、ただそうなってしまった、といいました。そのような行動は奨励されるべきではありませんでした。うまくいくはずなかったのですから。結局、元のウクライナ大統領、ヤヌコヴィッチが署名し、すべてに合意したのです。なぜするのか?なんのために。これが問題解決の文明的な方法ですか?あきらかに常に新しいカラー革命を起こしている人たちは自分たちを「優れたアーチスト」とみなしているので止められないのです。

統合された連携、地域構造の協力は、透明で明確な基盤の上に作られるべきだと私は確信しています。ユーラシア経済連合の形成過程は、そのような透明性の良い例です。このプロジェクトの当事者国は、事前に計画をパートナーに通知し、完全にWTOのルールに準拠した組織の限定要素を明示しました。

また、ユーラシアと欧州連合(EU)との間で具体的な対話を始めることも歓迎したであろうということも言っておきます。ちなみにEUはそれも完全に拒否しました。理由は不明瞭です。何がそんなに怖いのでしょうか。
そしてもちろん、そのような共同作業によって、大西洋から太平洋までのすべてにおいて、経済、人道的協力をするための共有空間を作るため対話が必要だと我々は思います。

皆さん、ロシアはその選択をしました。わたしたちのプライオリティは民主的でオープンな経済機構をさらに改善し、国内の発展を加速し、世界のポジティブなモダントレンドをすべてかんがみ、伝統的な価値観と愛国者精神にもとづいて社会を統合することです。

私たちは統合志向の、ポジティブで平和的アジェンダを持っています。積極的にユーラシア経済連合、上海共同機構、BRICS、その他パートナーの仲間に協力します。このアジェンダの目的は政府間の絆を深めることで、分離することではありません。わたしたちはブロックをつぎはぎにしたり、殴り合いをするつもりはありません。

ロシアは帝国を作ろうとしてる、近隣諸国の主権に侵入しようとしているといった主張は事実無根です。ロシアは世界に特別で排他的な場所を必要とはしていません。これは強調しておきます。私たちは他の人の利益を尊重する一方で、私たちの利益を考慮し、私たちの立場を尊重してほしいだけなのです。

我々は、世界が変化の時代にあり、グローバルな変換期で、誰もが特にある程度注意が必要で軽率な手順を避ける能力が必要だということをわかっています。しかし冷戦が終わったあと、グローバルポリティクスの参加者はその資質をいくらか失いました。いま、私たちはそれらを思い出す必要があります。さもなければ、平和的で安定した展開という希望は危険な幻想となり、その一方で、今日の波乱が本当に世界秩序崩壊の前触れとなるでしょう。

はい、もちろん、私はより安定した世界秩序を構築することは困難な課題だとすでに述べました。我々は長く難しい仕事について話しています。第二次世界大戦後、対話のためのルールを我々は作ることができ、1970年代にヘルシンキで合意に達することができました。我々の共通の義務は、この新しい開発段階における根本的な問題を解決することです。

ご清聴ありがとうございました。
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