アイリス あいりす 

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エッセイ:早さが求められる仕事

2024-07-07 08:29:51 | 創作文

速さが求められる仕事

 

以前の仕事場で、仲良くなった人に街でばったり会いました。

彼女は今は駅向こうのスーパーのレジで働いていました。

私もその時、別のスーパーで働いていました。

 

彼女「この間、スーパーのレジの大会があったのよ。全店舗からのレジの人が選出されて集められて、どのぐらいの時間でできるのか、大会があったのね。」

私「へえ、そんな大会があるのね。」

「それでね、私、凄く頑張ったのよ。大会に出られることも嬉しかったし、全店舗の人が競うわけでしょ?」

「そうね。やりがいがあるわよね。」

「そう思うでしょ?誰だってそういう大会に臨めるわけではないし、がんばろうって、おもったわよ。」

「ふーん、それで?」

「それでね。私一位になったの!」

「わあ、凄いね。一位になったの?おめでとう!」

「ありがとう。でもね。がっかりよ。」

「どうして?一位なのに?」

「私も、凄く嬉しくて、この年だし、やったーって思ったわよ。もっと若い子が半分以上だったから」

「わあ、わかるわ、それ。でもどうして?」

「うん。実はね、私その後凄く期待したのよ。お給料が少しあがるかな?って」

「そうよね。それで?」

「一月たっても二月たっても、何にもなかったの。」

「え?大会の時に金一封は?」

「そんなの無かったのよ!あれば私も給料に少しでも還元されるかなって期待しなかったよ。お小遣い程度でもね。あればうれしいでしょ?

「フーン、そうだったの。それはがっかりね。」

「それで、私、あそこのスーパー辞めたわよ。」

「そうだったの、じゃあ今は別の仕事さがしているの?」

「今は、何もしていないよ。」

 

彼女はとても正直な人でしたし、曲がったことの嫌いな人でした。

ですから、このような大会が行われたのに、従業員を競わせるだけで、何もそれに対する対価もないというのは、

士気を消沈させることになります。

働く人への大きな損失ではないでしょうか。

partタイム労働者、派遣労働者が増えたことで、企業のトップの給料が爆発的に増えています。

毎年のボーナスもない、労働者に対する扱いもひどいですね。

日本社会は、持てるものと持たざるものに、分割が進められてきたのです。

しかも国民を奴隷にして!

 

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