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映画「Winny」見てきた!「包丁理論」を信じている人には、さっぱりわからないと思うのでコメント

2023-03-21 16:54:34 | そのほか
映画「Winny」を昨日(3月20日)にTOHOシネマ日本橋で見てきた!
きっかけは↓の記事を見て
見て思ったんだけど、これ
技術がわからない人が見ても、100%楽しめる映画なんだけど、
法律の基本的なこと知らないと、
  とくに包丁理論が正しいと思っている人には、
  まったく理解不明な映画だと思うので、
そういう人にもたのしめるように、少しコメントしてみる。

以下、ネタバレ含みます。



■「包丁理論」は正しい物言いではない。

包丁理論とは、Winnyの開発者が無罪というときによく言われる理屈で
(この映画にも初めのほうに出てくる)

「ある人が包丁を使って人を殺したとする。
 捕まるのは殺した人で、
 包丁を作った人は捕まらないよね」

 包丁がプログラムとすると、捕まるのはプログラムを使って悪さした人で、
 プログラムを作った開発者は捕まらない

という理論。Winny事件をリアルタイムで体験した世代はこの理論知ってると思うけど、これ、本当だと思っている人、ここでチコちゃんに叱られてください。

「なんで、なんで作った人は、捕まらないの?」
 答えられない人、「ボーと生きてんじゃね~よ」と叱られてください。

理由は、刑法の場合、動機を重視するから。
 人を殺す目的で、人を殺した場合は殺人罪だけど、
 殺す意図がなくて、人がたまたま死んだ場合は、過失致死となる。

包丁を作った人が捕まる理由はないのは、
 包丁を作った人はこれで人を殺すという意図はないので、
 動機がないから無罪

じゃあ、「人を殺すこと専用包丁」というのを作って、
  それで人殺しをすることを知っていた人は
  罪にならないの・・・というと、これは殺人ほう助罪

ただし、殺人でなく、これを著作権違反で適用するには、
  (1)このソフトは著作権違反をすることを目的に作った
  (2)加害者が、著作権違反をするということを知っていた。
を成立させないと、この罪は少なくとも問えない。

でも、これを立証することは難しい。
 BabyMakerなど、ファイルコピーソフトが、著作権違反のほう助にならないのは(1)の理由。そういうソフトは、自分のファイルバックアップ用に作っているとされている。ネットのファイルコピーソフトの作家が問われ「にくい」のは(2)の理由。そもそも、作家は加害者がだれかわからない。面識もないかも!

 Winnyの場合も、それなので、ほう助を単純にすることは無理筋。

 そこで、京都県警は、47氏に、Winnyは著作権違反のファイルを「満えん」(蔓延ではなく・・・ここがポイントになる)させることを目的とし、(加害者が見えなくても、このソフトを受け取った人はみんな)著作権違反をすることを知っていたという書面を無理やりだまして書かせたわけ。
(これで(1)、(2)をクリア)

 この書面がある限り、著作権違反のほう助は成立してしまう・・・
 典型的な冤罪、不当逮捕だよね!

 この不当逮捕、普通泣き寝入りだけど、どう崩していくか、これがこの映画の見どころであり、テーマ



■映画の見どころは、秋田真志弁護士の反対尋問

 著作権違反のほう助罪が成立する物的証拠はその書面しかない(ように映画を見ていると思える)。だから、その書面の信ぴょう性を崩すところが山場になるんだけど、その秋田真志弁護士の反対尋問がヤバい。かっこいい!!
マジぞくぞくするほど面白いんだけど(なので、書かないでおく、見てください)

 ・・・ただ、それみて、ちょっと経って・・・
 ・・・うん?これ、「包丁理論」を本気で信じている人、見てわかるの?
    この反対尋問の面白さ??・・・
 って思ったので、ここのブログを書くに至ったわけ。
 わかんないと、見どころはここしかないから、
  「そんなじけん、しってるよ~、金返せ~」
 ってなりかねない・・・・

でも、わかる人は、この面白さってか、反対尋問の鮮やかさ、
わかると思う。思わず、映画観終わってから「秋田真志」で
ググってしまいましたよ!そしたら、こんな記事が↓
おお、やっぱり、見どころはここですよねえ・・・

↑の記事によよると、この反対尋問の仕方は、↓の本に書いてあるみたい・・

 
思わずぽちりそうになり、我に返りました。
・・・あ、おれ弁護士じゃない。この本買っても使い道ないって(^^;)



■金子勇氏は、技術者というより研究者に見える描き方

ただ、この文書の信ぴょう性が崩れても、
・それでは何の目的でこのソフトを作ったか
というのが問題になる。この目的がないと・・・目的がないのは「本当は著作権違反が目的なのに、その目的ではないとしてしまったから、目的がなくなってしまったんじゃないの?」という風に思われる。だから目的が必要。

 それなんで、Winnyを作った目的について立証しようとしているんだけど、「山があるから登るんだ」と同じと映画ではしている。実際その通りだと思うけど、それを立証するところで、裁判所で実際にプログラミングさせるところ・・・あれ、なんで立証していることになるか、みんなわかるの?
 いや、みんなあの時代に生きているわけではないから、わかんないと思うんだけど・・・ってことで、説明しておくね。

 なんか、ゲームの動きに、DNNでバックプロパゲーションを改良してやっているって言ってたけど、その考え方は「当時は」(2012年以前は)研究者なら考えるけど、技術者は、まず考えない。
 ここで、研究者と技術者の違いは、こんなかんじ

・技術者は
 作るものに目的があって、その目的を達成するための最適な技術を適用したり場合によっては作り出す人たち

・研究者は
 自分の興味の赴くまま、それがどう使われるかとかは関係ない!効率的なやり方なんて追及してどうする!人がやらない道をやる!!

 2000年代において、バックプロパゲーションを行う場合、多段にすると、バックプロパゲーションの効果が薄れるので、あまり意味がなく、逆に(映画を素直にきくと、こっちをやろうとしていたみたいだけど)中間層のノードを広げると、広げるにも限界あるし、コントロールが難しくなる。

 つまり、技術者で実現性や効率を考えたら、バックプロパゲーションによるDNNを使うことはなく、ファジー制御(AIからませたければニューロファジー制御)にするか、すなおにPID,状態方程式か・・・って考える。

 でも、そこをDNNに突き進むところ、もう自分の興味でぶっ走っているんですね(^^;)まさに研究者!

 で、研究者の場合、あたらしいことをやるのに目的はないです。

 分野違うけど、世界的にSTAP細胞の検証ってしてたけど、あれって、小保方さんをおとしめようとか、お金儲けしようとかいう目的でだれもやってなかったでしょ。たんにSTAP細胞という新しいものが出てきたから、検証してみて、いろいろ自分で工夫してみて、なんか成果出たら発表する・・・あたりまえすぎて、目的なんて考えたことない。

 研究者の人に、なんで新しい技術を追試し、成果を発表したんだ、その目的は?って聞かれてもねえ~、金子氏、この状態になったんだと思うよ。



■課題も明確にしていますよね~

 この映画のすごさは、Winny事件の「法律的に見た時の」課題も明確にしたところ。

 当時、「天才技術者(金子さんのこと)を救え」とか、「日本の開発・技術者が・・・」とかいう話がでたけど(映画でもしてたけど)、その話をしだすと、焦点がずれてしまい、裁判が長引き、それこそ、金子さんにも、日本の開発にも不利になるっていうことがわかるようにできてましたね!

 反対尋問で唯一の証拠の信ぴょう性をなくしたので、証拠はなくなり、著作権違反のほう助の構成要素はなくなるので、無罪になるはずですよね。

 ところが判決は有罪(罰金150万)。え???見ていてわかんないんだけど・・・
 ・・・で、調べたら、さっきの↑の記事の「Winny事件の裁判についての解説」に書かれていた。つまり、文書以外でも、書き込みとかから判断して、いろいろやってたみたいね。結局無罪になったロジックは最高裁の主文が(長いけど)、わかりやすい

 これ世間が「包丁理論」や「日本の技術者」・・・の話に流れずに、著作権侵害ほう助の構成要件の話になれば、もっとちがった話になって、早く問題解決したかも?
 たとえば、包丁の例でいえば、いくら人を殺す専用の包丁でも、歯がなかったらそれを使っても、ほう助にならない(殺せないからね・・・)。
 Winnyも不法コピー拡散防止機能とか入れようとしていた(ように映画では見える)ので、その辺も併せて言えば、早く無罪立証できたかもしれないし、開発の方針も、不法な利用を防止する機能を入れとけばいいということではやく決まったかも?



■この映画の弱点

 このように、この映画の弱点は、肝心なことが語られておらず、自分でしらべないといけないこと(そういうことを意図した映画なのかなあ?)

 特に、その最大なのは、1個複線回収していないこと
   仙波敏郎さんは、その後どうなったの???

P.S 最後の裁判シーンの傍聴人席に金髪のエキストラがいたけど、
  あれ、生越さんをまねたつもりかしら(^^)v


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