『蜻蛉洲大和の国のサンライズタイム』ー外国人参政権反対、移民政策反対、背乗り工作反対!盗聴・盗撮は日本では犯罪です!ー

キラキラネームは日本の漢字文化を破壊するための、カルトの工作活動です!公務員の国籍条項と外国人土地法の復活求む!

騙されたISIL(七)

2015年02月28日 13時48分27秒 | 日記
2001年6月15日、当時の国家主席江沢民とロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6ヵ国首脳は、《上海協力機構 設立宣言》と《テロ・分離主義と過激主義を防止する上海公約》に署名しました。9月11日に起きたアメリカ同時多発テロの3ヶ月前の事です。

・反テロ組織《上海協力機構》

冷戦の終結後、国際情勢と地域情勢の変化に伴い、近隣諸国との相互信頼と友好関係を深め、辺境地域での信頼を強め、軍縮問題を話し合うために、96年4月26日と97年4月24日、ウズベキスタンを除く5か国の首脳は、前後して上海とモスクワで《国境地域での軍事領域の信頼強化に関する協定》と《国境地域での相互の軍縮に関する協定》に調印しました。

この会議の後、この機構に関する年次総会が、持ち回りで開かれるようになります。会議の内容も次第に広がり、国境地域の信頼関係の構築から、政治・安全保障・外交・貿易・文化等の領域で、包括的互恵関係を構築するような物に変化しました。上海で始めて会議が開かれ、5ヵ国が集まったので、この機構は「上海ファイブ(上海五国)」と言われています。

21世紀に入り、この地域でのテロ・分離主義と過激主義活動が活発になり、各国の安全と安定に対する脅威となりました。そこで、自国の経済・民族の振興が非常に困難であると判断した各国首脳は、更に地域の協力を強めるために、ウズベキスタンを加えた6ヵ国で、「上海協力機構」を設立しました。

《上海協力機構 設立宣言》の趣旨と目的は、加盟国相互の善隣友好・地域の平和と安全と安定を守り、協力してテロ、分離主義と過激主義と戦う、麻薬の販売、武器の密売と国境を越えた犯罪の阻止・貿易、環境保護、文化、科学技術、教育、エネルギー、交通、金融等の領域での協力と、地域経済、社会、文化の全面で発展を促し、参加国人民の生活水準を引き上げ・民主、公正、合理的な国際政治と経済の新秩序の確立を目指す事です。

遵守すべき原則として、《国際連合憲章》の目的と原則を守り、互いに独立を尊重し、主権と領土を守り、内政不干渉、互いに武力で威嚇せず・参加国は一律平等で・平等互恵に基づき、あらゆる問題は協議を通して解決する事を掲げています。

上海協力機構の目的と原則は、“互信・互利・平等・協商・多様な文明を尊重し・共同の発展を追求する”という物で、“上海精神”と呼ばれています。

6ヵ国の総面積は3000万平方Km以上、ユーラシア大陸の5分の3を占め、人口は15億近く。事務局は北京にあり、工作言語は中国語とロシア語が用いられています。


カザフスタン・キルギス・タジキスタンは、全て新疆ウイグル自治区に接する国家です。当時は、アルカイダの活動が活発で、新疆はトルコ系の民族が多く、現在に至るまで独立の気運が盛んな地域です。「上海協力機構」の主な目的として、「テロ・分離主義・過激主義」の"三つの勢力"の防止が挙げられていると言う事は、この機構の設立の目的が、新疆のテロ・独立の抑止であった事を示しています。

「上海協力機構」が、反テロを旗幟に掲げた国際組織である以上、この機構は、軍事同盟でもあります。2002年10月には中国・キルギスで始めて反テロの軍事演習を行い、2003年8月には、ウズベキスタンを除く5ヵ国が、中国とカザフスタンで始めて多国間での反テロ合同軍事演習を行っています。2007年には"平和の使命-2007"と銘打って、2007年8月10日、ロシアのチェリャビンスクで、6ヵ国合同の、各国から総勢5500名が参加した、過去最大の反テロ合同軍事演習が行われました。


周辺国家との関係強化にも熱心で、準加盟国(オブザーバー)として、モンゴル・インド・イラン・パキスタン・アフガニスタンが参加し、対話パートナーとしてベラルーシ・スリランカ・トルコが参加しています。


上海協力機構(SCO)加盟国(中国とロシア、それに旧ソ連の中央アジア4カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン))と準加盟国=2012年6月25日現在(「SanKei Biz」『中露が弄ぶ対日歴史カード』2013.10.12 10:30)


・シルクロード経済圏と石油

15年前は「対テロ」重視であった軍事同盟ですが、現在の中国の目的は、周辺地域との結び付きを強めながら、中国を中心とする貿易圏を構築する事に、変わってきています。

1990年9月、新疆の阿拉山口(あらさんこう)で、中国側とカザフスタンの鉄道とが連結した事によって、92年に、西は北海に面したオランダのロッテルダム港から、東は東シナ海に面した江蘇省連雲港まで、一本の線路で繋がりました。各国の鉄道網を使っているので幾つかのルートがありますが、これが所謂、大陸横断鉄道網「新ユーラシア・ランドブリッジ」で、習近平の「シルクロード経済ベルト」構想を支える重要な施設の一つです。


シルクロード・ルート案(黒:シルクロード経済圏、青:21世紀海上シルクロード)、パイプライン(緑:原油、赤:天然ガス、オレンジの点線:建設中)、鉄道拠点(黒バツ印:既存、オレンジバツ印:案)(「THE WALL STREET JOURNAL 電子版」『シルクロード経済圏構想でアジアの地政学的中心目指す中国』2014年11月11日)

この図では、西安からロッテルダムまでですが、西安から東へは連雲港の他にも、中国各地の駅へと繋がっています。壮大な計画ではありますが、基本的には、国際連合アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP) の計画した、アジアとヨーロッパを接続する鉄道路線網を利用した物です。

その後、2013年9月7日、習近平はカザフスタンのナザルバエフ大学で、「シルクロード経済ベルト」の共同建設を提言し、これに伴い、新疆ウイグル自治区霍城県(かくじょうけん)にある霍尓果斯(かくじかし、ホルゴス)市で、「シルクロード経済ベルト」の中国側の玄関としての開発が始まります。

現在、中国とシルクロード経済圏の沿線にある国々との関係は、例えば、中国はカザフスタン最大の貿易相手国であり、ウズベキスタン・キルギスに対しては、2番目の相手国です。準加盟国であるイランとの結びつきも強く、中国はイランの第一の貿易相手国です。また、加盟国ではありませんが、イラクに対しても、中国石油天然気総公司だけでイラクへの投資は40億ドルに上り、イラク産原油の最大の輸出国となっています。中国は世界第一位の原油輸入国となり、最大の原油輸入元は中東です。

「ロイター 電子版」によれば、

「中国の税関当局が(2014年5月)21日発表したデータによると、4月のイラン産原油輸入は日量79万9865バレルで、過去最高だった。前年同月比で115.3%増、前月の55万5182バレルからは44%増となった。

これにより、1-4月のイラン産原油輸入量は61万8170バレルと前年同期比54.5%増となり、2012年の対イラン制裁強化前を上回る水準に達した…。」(「ロイター 電子版」『中国の4月イラン産原油輸入は過去最高、前年比115.3%増』2014年5月22日)

また、今月14日、「iran Japanese Radio IRIBイランイスラム共和国国営放送・国際放送ラジオ日本語」『中国外務大臣のイラン訪問』によれば、外務大臣王毅が、テヘラン入りした事について、次の様に伝えています。

「…中国駐在のハージー・イラン大使は、イランと中国の貿易関係、経済関係は拡大に向かっていると語りました。ここ近年における協力により、両国の貿易総額が年間520億ドル以上に達したとともに、この数字は30%以上成長しています。ハージー・イラン大使はまた、王毅大臣のテヘラン訪問を両国の国民の友好関係を示すものであり、また、両国の関係の拡大と強化の枠内における措置だと評価しました。さらに、「王毅大臣はテヘラン訪問の中で、イラン高官と、地域情勢や国際情勢に関する協議を行うとともに、今年予定されている習近平国家主席のイラン訪問の準備を整える」と述べました。

統計によりますと、イランと中国の貿易総額は、中国に対するイラン製品の輸出が55%、イランに対する中国製品の輸出が45%を占めています。たしかにこの統計では、イランの中国に対するエネルギー輸出が含まれており、これはイランの輸出の主要な部分を占め、130億ドルから140億ドルを計上しています。一方、中国に対するイラン製非石油製品の輸出は、180億ドル近くに達しています。

中国が大量のイラン産のエネルギー、石油化学製品、液化ガスなどを輸入していることで、現在、両国関係は長期的なものとされるべきでしょう…。」(「IRIB国際放送ラジオ日本語」『中国外務大臣のイラン訪問』2015/02/14 22:30)

また、イラクについても「NEWSWEEK 電子版」で、

『イラク危機に中国が沈黙を守り続ける理由』

2014年8月18日(月)12時18分

「中国は03年のフセイン政権崩壊やその後のイラク安定化にまったく貢献しなかったにもかかわらず、新生イラクの原油生産の恩恵を最も享受してきた国とされる。国有企業の中国石油天然気総公司だけでイラクへの投資は40億ドルに上り、今やイラク産原油の最大の輸出先は中国だ。

なのに今回のイラク危機が始まって以来、中国政府は沈黙を守り続けている。

理由の1つは、原油の調達に深刻な障害が生じていないことだろう。イラクの油田の大半は南部のシーア派支配地域にあり、バクダッド以北の戦闘地域で中国が出資している油田は1カ所のみだ。

さらに中国は日頃から、欧米諸国に比べて国際情勢の変化への対応が遅れがちだ。ウクライナ危機でも対応が遅かったが、これは共産党指導部の協議に時間がかかったからだろう。

しかし中国の沈黙は、もっと大きな流れの表れだとも思われる。それは中国が「大国扱い」を世界に要求しながらも、大国らしく振る舞う気がないということ。彼らにしてみれば、アメリカや中東諸国にイラクの安定化に尽力してもらい、自分たちはその恩恵を貪るほうが都合がいいわけだ。

これは恥ずべき姿勢だ。大国の名に見合った言動をしなければ、誰も中国を大国扱いしない。その結果、中国が国際社会に不当な扱いをされたと不満を募らせ、緊張が高まる危険もある。

しかも中国は本来、イラク危機をめぐって指導的な役割を果たせる立場にある。石油業界への最大の投資国として、中国はイラク政府に一定の影響力を有している。シーア派率いるイラク政府の後ろ盾であるイランとも、強力な経済関係がある。

他方、イラク政府に反旗を翻したスンニ派勢力を支える中東のスンニ派国家にとっても、中国への原油輸出は命綱だ。つまり中国は、対立するシーア派とスンニ派の間を取り持てる絶妙な立場にあるわけだ。

イラク危機の解決に協力しない中国の姿勢は、米中関係にも悪影響を及ぼす。米中は2大超大国として新たな関係を模索しているが、何かと注目を集めるアジア太平洋地域では両国の利害は対立しやすい。

ところが、中東では事情が違う。中東は米中双方にとって重要だが、同時に両国の利害が大筋において一致する地域でもある。両国とも中東からの石油調達に戦略的利害関係を持つ上に、どちらもイスラム過激派のテロ行為に批判的だ。

さらに両国とも、中東地域の重要な問題であるパレスチナ紛争を解決に導くことでメリットが得られる。アメリカはパレスチナ問題をめぐって中国の協力を求めているとされる。これも中東こそ米中関係を発展させるカギであり、台頭著しい中国は国際社会で国力に見合った役割を担うべきだという考え方の表れだろう。

それでも、中国はイラク危機に沈黙を守り続けている。だとすれば、大国の地位を要求しながらも、それに見合った役割を果たす気がないと判断するしかない。」


要するに、中国は《上海協力機構》の国際関係と、シルクロード経済圏のインフラを利用して、より多くの原油を輸入し、現在、中東で存在感を放っていると言えます。別に中国に対抗すべきだと言うわけではありませんが、日本が原油を始めとする資源を確保しなければならず、しかも、現地で紛争があるのであれば、安倍総理が中東各国を訪問し、その紛争解決の一助として、難民への支援を表明するのは当然です。

また、習近平の腐敗撲滅で逮捕されましたが、中国で石油閥と言えば、江沢民派の周永康です。江沢民は、95年以降、排日運動と愛国教育を始めた張本人で、現在、日本に対して中国が、二言目には「歴史を学べ」と言うのは、江沢民から始まった歴史の修正です。日本には中国にとって都合の良い歴史を押し付けておきながら、その一方で江沢民は、チベットでの虐殺・法輪功学習者を弾圧したとして、スペインとアルゼンチンで裁判を起こされています。中共をマフィア化させた人物とも言えます。

中国が超大国か否かは別にして、《上海協力機構》の原則には、「互いに独立を尊重し、主権と領土を守り、内政不干渉、互いに武力で威嚇せず」と謳われています。もしかすると、それに従っているのかもしれませんが、イランの核開発に関しても、各国の制裁要請を無視して原油を輸入し続けた中国です。スンニ派ともシーア派とも関係が深かったとしても、イラクの危機に、率先して介入するとは思えません。イスラム過激派に対して批判的であったとしても、相手が原油を売ると言えば、それが政権側でも過激派側でも買うだろうと思います。

但し、大国と言いながら、それに相応しい行動を起こすことなく、恩恵ばかり貪ると思われている中国にとって、原油の争奪戦で競合し、中東に対して思想的に何かあるわけでもなく、各国に支援して良い関係を築こうとする日本は、目障りな存在であったろうと思います。

中国が、日本の中東での活動を快く思っていないとすると、中国よりの日本の媒体も、自然、日本の中東での活動を抑止するような報道姿勢になり、何かあれば攻撃をしようと身構えていたのではないでしょうか。今回の事件が起きた時に、日本の媒体が、一斉に非難の矛先を、総理の中東訪問に向けた原因の一つには、この様な報道姿勢にもあったように思います。

さて、反テロ組織として立ち上げた《上海協力機構》でしたが、中国でテロが起こらなくなったわけではありません。習近平が「シルクロード経済ベルト」構想を宣言した13年から14年にかけて、中国はたびたび大きなテロに見舞われます。

それについては、次回。

【週間フォーカス】薄煕来「臓器狩りの指示は江沢民」

騙されたISIL(六)

2015年02月22日 14時02分20秒 | 日記
以下の三つは、一つは、香港の経済サイトの、一つはNHKの、一つは台湾の情報番組の記事です。だいたいは、日本の報道の後追い記事ですが、日本では報じられなかった内容、例えば、何故、身代金を取れると考えたかの推測も含まれます。

・ISILと中国の媒体との共通点

先ず、「cnYES鉅亨(きょこう)ネット」の記事です。

「cnYES鉅亨網(ネット)」とは、1999年に台湾で設立された金融関係のサイトです。基本的には、台湾・大陸・香港が対象です。21世紀の競争で華人が頭角を現すために、他人の手を通さない情報が必要との考えのもと、欧米のロイター(Reuters)、ブリッジ(Bridge)、ブルームバーグ(Bloomberg)に倣って、華人の角度から、中華地区、及び、地球規模のビジネス情報を提供し、華人の金融競争力と経済的地位を向上させることを使命としています。中共の影響を受けている媒体と考えています。

「鉅亨ネット新聞センター総合報道」

『一刻を争う 安倍総理中東の盟友に人質救出の援助を求め IS:日本は支払うと確信』

2015-01-22 10:00

「過激派組織「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)が一昨日動画を公開し、2名の日本人を殺すと脅した。72時間の最後通牒は明(23)日満期を迎えるので、日本政府は一刻も早く人質の釈放を勝ち取らねばならない。菅義偉官房長官は昨日、安倍晋三総理大臣が既に中東地域の盟友であるヨルダン・トルコ・エジプトの元首と電話を通して、人質救出のための協力を求め、日本も様々なルートを通してISISとの接触を試みている、と述べた。ある日本の媒体は、ISISの「広報」責任者と公言する人物と連絡を取り、相手は、これは「精神的戦争」であり、並びに、ISISは金銭が不足しているのではないが、日本政府は2億ドル(約15.5億香港ドル)の身代金を支払うと信じている、と称したと報じた。

香港《文匯報(ぶんわいほう)》総合外電によれば、中東の歴訪を早めに終わらせた安倍総理は、昨(21)日東京に戻り、彼はテロに屈服する事はできないと強調し、並びに、既に政府に対して、あらゆる外交ルートと可能な方法によって、人質の解放を勝ち取るよう要請した。しかし、時間との競争である事を認めた。日本政府は、身代金の支払い期限は、日本時間の明日午後2時50分(香港時間の明日午後1時50分)頃と表明した。

菅官房長官は記者会見を開き、人質事件の最新の進展について述べた。彼は、安倍総理は既にヨルダン国王アブドゥッラー2世・トルコ総統エルドアンとエジプト総統シーシーに電話で連絡し、各国首脳に人質救助のための協力を要請し、日本側は、並びに、ヨルダンに危機対策本部を設置し、如何に救出するかを検討する、と述べた。菅官房長官は更に、日本はあらゆる外交ルートを利用して、ISISに対して情報を伝えようと模索しており、日本側からの、ISISとの戦闘に参与する国家への2億ドルの支援については、人道支援が目的であり、決して誘拐犯が述べるような、イスラム教徒を殺傷する為の物ではないと、明確に述べた。

共同通信社は総理官邸の情報を引用して、日本政府は独力で遠く中東の人質を解放するのは極めて困難と考えているが、しかし安倍総理の努力の下、アブドゥッラー2世が日本側に関係の情報を提供する事、並びに人質の解放に協力する事を承諾した、と報じた。

日本側は身代金を支払うのかと聞かれると、菅官房長官は僅かに、政府はテロに屈する事はできない、亦、継続して国際社会のISISへの攻撃を支援すると述べた。与党自民党高村正彦副総裁は昨日、「日本政府は身代金を支払うことはない」と表明した。日本放送協会(NHK)はISISの「広報」責任者と公言する人物の話しとして「金が必要なのではない。ISISは、この金額(2億ドル)より高い金を1日で使っている。これは経済的な戦いではなく精神的な戦いなのだ」と述べ、その上で彼は、日本側は身代金を支払うと信じている、と繰り返し述べた。

米国のケリー国務長官は一昨日、日本の岸田外務大臣と会談し、米国は強烈にISISの行為を非難し、日本側への全面支援を承諾した。

日本のテレビ局及び新聞は、一昨日と昨日、時間と紙幅を大幅に割いて人質事件を報じており、多くの人々が、人質の動画は偽物であると推測している。あるメディアディレクターは、動画の人質の影が太陽の下での陰影と異なる上に、武装分子が横で匕首を振り回しても、人質は全く驚いていない事に疑問を感じている。菅官房長官は、未だこの疑問に答えてはいないものの、専門家が既に動画を調査しており、政府は、また、既に二名の人質の身元を確認したと述べた。

東京上智大学の政治科学教授 中野晃一は、テロに打撃を与える行動に参加する事で、より大きな危険に直面する。中東のテロと人質事件は、恐らく、日本国内で反響を呼び、国民の政府に対する支持を減少させる事になる、と指摘している。

ISISに捕まっている二人のうちの一人の人質は後藤健二で、昨年10月にシリアに向かった後失踪した。日本の報道によれば、後藤は当時、恐らく拘禁されている友人、則ちもう一人の人質である湯川遙菜を捜すために、ISISの支配地域に入った。後藤は出発前に、日本とISISは直接交戦していないので、「日本人は殺されない」と考えていた。

日本の媒体の昨日の報道によれば、後藤は、昨年10月22日頃に日本を離れ、トルコ南部からシリアに入り、最初トルコのシリアガイドに連絡を取り、相手に彼を連れてISISの支配地域に行くよう希望したが、このガイドからは非常に危険であるとして断られた。ガイドは後藤にISISの地域には行かないよう勧めたが、彼は取り合わず、10月25日、別のISISの情況に詳しいと称する男性に従って、シリア北部の都市アレッポに入った。

そのガイドによれば、後藤はもともとISISの支配地域で、一週間取材をする予定だったが、その後連絡が途絶え、11月1日、ガイドは後藤からの電話を受けると、「裏切られた」と称しており、武装組織に捕まったようだった。数日後、日本にいる後藤の家族が、自称ISIS関係者からの電子メールを受け、20億円(約1.32億香港ドル、これ以前の報道では10億円)の身代金を要求された。

捕まった記者 後藤健二は、日本在住の香港歌手陳美齢(アグネス・チャン)の友人で、彼女は一昨日ブログ(アグネス・オフィシャルブログ「アグネスちゃんこ鍋」)の中で、後藤は、彼女がユニセフの親善大使をしている時に知り合った友人であり、後藤の安否を考えると胸が痛くなるほど心配、早く無事に解放してほしい、と述べた。陳美齢は昨晩、再びブログの中で言葉を選び、気持が整理できるまで、暫くブログを休みます、並びに、人質が無事に日本に戻る事を祈っています、と述べた。」

◦ここまでは、日本の媒体の後追い報道ですが、NHK・ISILと中共媒体の報道の視点は同じで、日本政府は身代金を支払うだろう、と考えています。

続く以下の部分は、主語は「日本国民」ですが、中共政府の意見であることは明らかであり、中国にとって都合が悪い点が列挙されています。日本国民を煽動するような書きぶりが特徴です。この様な意見、例えば、日本の積極的平和主義を非難する書きぶりの根底にあるのは、中東に於ける日本の影響力の拡大を恐れていると同時に、戦後70年間、改憲もせず、敗戦国としての立場に甘んじている日本に対する、ある種の蔑視が潜んでいるようにも思います。

また、殊更に日本がテロに狙われるような書きぶりである事については、中共とテロとの関係について、以下に述べたいと思います。要するに、日本がテロの標的になるかも知れない、という情況は、中共にとって都合が良く、また、憲法改正と集団的自衛権の解禁は都合が悪いのです。

蛇足ですが、国会の答弁中に、中共と同じ視点での質問があるのは、どういう事なのだろうと思っています。

「《文匯報(ぶんわいほう)》「環球点評」の分析によれば、あと2ヶ月足らずで、東京の地下鉄サリン事件(平成7年(1995年)3月20日)から20周年となる。近年、テロの襲撃と関わりの少なかった日本が、過激派組織「イラクとレバントのイスラム国」(ISIS)が二名の日本人人質を殺害すると脅し、再びテロの濃霧に覆われる事になった。日本の輿論は、この事件は安倍総理の所謂「積極的平和主義」を反映しており、日本を過激組織の目の上のコブとしてしまい、日本人を切っ先に押しやった、と考えている。

再び総理に就任して以来、憲法改正と集団的自衛権の解禁等の手段を通して、対外的には「積極的平和主義」を宣揚し、日本を軍事・政治大国にしようと計画している。安倍総理は、中東各国に提供する2億ドル(約15.5億香港ドル)が「人道支援」であると強調しているが、しかし、過激派組織から見れば、近年積極的に欧米の反テロ作戦に同調している日本は、既に「中立」とは言い難い。ISISは日本を「十字軍の一員」と形容して、既に日本を敵視している。

人質が危険に晒されるのは、今回が初めてでは無い。2013年、アルジェリアの天然ガス田人質事件では、10名の日本人が亡くなっているが、しかし、当時、主導権はアルジェリア政府にあって、日本は話しをする権利のない、ただの傍観者にすぎなかった。今回、日本は名実共に主役となり、銃口の前に押しやられた政府は、しかし、何の力もなく、にっちもさっちもいかない様に見える。

日本には米国や英国の様な、軍事的手段で人質救出を試みる能力は無いので、政府主導で、積極的にヨルダン等中東国家の調停を求めるであろう事は、およその見当がつく。一方、米国は一貫して「テロリストとの交渉はしない」との原則を実施しており、ひたすら米国に同調する日本が、もしISISとの交渉を展開すれば、日本と欧米各国との反テロ戦線を乱す事になる。その為、安倍総理は現在、進退窮まっている。

実際、たとえ日本国内の与論もまた身代金の支払いに傾かず、更に、二人の人質は自業自得と考える意見があったとしても(支払うだろう)。国際政治学者の六辻彰二は、テロ組織は過去に、欧米の人質に対して要求した金額は数百万ユーロだったが、今回ISISが要求したのは常軌を逸する高額で、相手は根本的に交渉する気がなく、ただ宣伝の好機と捉え、日本に威力を示す事を考えているふしがある。その為、日本政府の取る事ができる手段は限られている、と述べた。

安倍総理の右傾の形跡は次第に明らかで、日本社会には既に彼が再び国家に戦禍をもたらすのではないかと危ぶむ声があり、今回の事件は疑いなく安倍総理に対する一大試練となる。当然、彼は今回の事を口実に、自衛隊の「建軍」の推進を排除してはいないが、しかし、これは更に多くの日本人の身を危険にさらし、国家社会の安全を賭ける事を意味している。」(「鉅亨ネット新聞センター総合報道」『一刻を争う 安倍総理中東の盟友に人質救出の援助を求め IS:日本は支払うと確信(分秒必爭 安倍求助中東盟友救人質 IS:有信心日會付贖金)』2015-01-22、資料提供: 作者:鉅亨網新聞中心綜合報導 發表日期:20150122)


次に、上記の記事の中で触れているNHKの報道です。

「NHK ONLINE NEWS WEB」

2015年1月21日

「イスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーとみられる男が、72時間以内に身代金を支払わなければ拘束している日本人2人を殺害すると脅迫する映像が、インターネット上に公開されたことについて、NHKの取材に答えた「イスラム国」の広報担当の男は事実上犯行を認め、

「あなたたちの政府は身代金を払う」と述べました。

インターネット上に公開された映像では、左手にナイフを持って覆面をした男が、湯川遥菜さんと後藤健二さんとみられる2人とともに映り、英語で「日本の総理大臣へ」として、2人を解放するために合わせて2億ドルを支払うよう要求しています。

そのうえで「日本政府は『イスラム国』に対抗するために愚かな決断をした。あと72時間だ。さもなければこのナイフが悪夢になる」と脅迫しています。

これについてNHKは、イスラム国の広報担当の男に、20日夜(日本時間の21日未明)、インターネット上のメッセージのやり取りで取材を行いました。この中で広報担当の男は事実上犯行を認め、「金が必要なのではない。『イスラム国』は、この金額より高い金を1日で使っている。経済的な戦いではなく精神的な戦いなのだ」と述べて、資金の獲得だけが目的ではないと主張しました。

そのうえで「あなたたちの政府は金を払う」と繰り返し述べ、日本政府が2人の解放と引き換えに身代金を払うという見方を示しました。」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150121/t10014841051000.html)

NHKは20日夜に取材を行い、21日には中国の報道に影響を与えていたとすると、随分手回しが良い感じがします。中国側が、日本の報道を引用するのは、中国側にとって都合の良い報道に限られると思うのですが。何か都合が良かったのでしょうか?

兎も角、これらの記事と、ISILの機関誌「ダビク」第7号の注目点とを比べると、

◦日本は「平和憲法」がある、「平和主義」国家だったはずだ。

◦オバマの指揮のもと、米国に追随して十字軍に参加した。

◦日本はISILと戦うため、攻撃のために2億ドルの資金提供を表明した。

◦日本はテロに狙われるかもしれない。

上記の部分で、主張が同じである事がわかります。


「ダビク」では、「日本政府が2億ドルを支払わないことは分かっていた」と述べていますが、NHKの報道では「あなたたちの政府は金を払う、と繰り返し述べた」ようです。21日から22日までは、中国の報道は、物理的に無理であるにも関わらず、日本政府が支払うと考えていました。その根拠は何なのか、ISILに聞くわけにはいきませんが、以下は台湾の情報番組からの抜粋です。

「民視新聞台(FTV News Channel)」の『挑戦新聞』2015年1月21日の番組では、今回の人質事件について、やはり、身代金を支払うと結論づけています。

「民視新聞台」は「民間全民電視公司」旗下の報道チャンネルで、1997年5月5日に開局。「民間全民電視公司」は台湾初の民営地上波テレビとして開局。略称は「民視」。

『挑戦新聞』によれば、

「過激派組織イスラム国の今回の標的は日本人です。過去の動画と違うのは、欧米の場合には、相手国に対して常に政治上の譲歩を要求していましたが、今回は、直接金銭を要求している点です。しかも非常に高額です。過去の動画では人質は悲惨な最期を遂げていますが、日本は身代金を支払い、テロに屈するのでしょうか。

イスラム国の最新の脅迫動画には、橙色の囚人服を着た二人の俘虜、定かではありませんが軍事顧問の湯川遙菜と、戦場記者の後藤健二が映っています。今回イスラム国の脅迫動画で、始めてアジア人が対象となりました。これまでの脅迫では金銭を要求していません。今回が初めてです。何故、イスラム国は金銭を要求したのでしょう?

安倍総理が今回中東を訪問したのは、各国との同盟関係を緊密にするためでした。そこで、※彼は米国に従う姿勢を堅持し、その後、反テロを支持し、しかも、中東の紛争に介入しました。

2億ドルの身代金は、17日、彼の外相がパリを訪問し、パリの外交部長に対して、中東のテロに打撃を与える行為を支持し支援を表明しました。その翌日、安倍総理はエジプトで、2億ドルを支援し、テロ分子を攻撃すると述べました。

この動画は合成と考えられていますが、二人がイスラム国の手中にあるのは間違いありません。我々の紛争に介入するなら敵であると。2億でイスラム国を攻撃するのであれば、2億の身代金を支払えというわけです。

支払うと、米国からの、身代金は支払ってはならないという基本原則に背くことになります。テロには屈しませんし、交渉もしません。支払うと、全ての反テロの局面を破壊することになります。安倍総理は現在、外交政策を大幅に変えて、国際的な紛争に介入していますが、武装能力を海外に派遣できるような準備は整ってはいません。

この様な状況下で、もし、身代金を支払わず、人質が殺されると、日本の輿論が反発し、イスラム国との戦闘を逼られる事になります。すると、日本には1億人以上の国民がおり、人口密度が高い国です。しかも、仕事・旅行・移民に関わらず、多くの外国人がいます。東京、日本国内はイスラム国の攻撃の対象になる可能性が出てきます。しかし、安倍総理は現在、経済政策として外国の旅行客を招きたい。

そこで、私の予想ですが、ヨルダンやパレスチナ自治政府を通して交渉し、裏で密かに身代金を支払うでしょう…。」

※エジプトの演説の中には、米国には全く触れられていません。中共とISILと同じく曲解している事は、注目に値すると思います。

次回は、中国と中東との関わり、及び、人質がいるにも関わらず中東を訪問したから事件が起きたのか否かについて、もう少し続きます。

騙されたISIL(五)

2015年02月18日 02時17分51秒 | 日記
これから紹介する中国の報道は、人質の動画が公開された翌日の1月21日から22日まで、中国、及び台湾国内向けに発表された物です。先ずは、官報である香港文匯報(ぶんわいほう)の記事からご覧下さい。

※イスラム国・IS・ISIS・ISIL等の名称は全て原文のままです。

「香港文匯報 電子版」

『「イスラム国」二人の日本人を虜にし 制限時間は72時間』

2015-01-21

「・15.5億香港ドルの身代金 安倍総理大臣の米軍空襲への援助を批判

過激派組織「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)が、昨日再びネット上に人質の動画を公開した。動画は、両脇に二名の日本人を従えたテロ分子が、日本政府に対して、72時間以内に2億ドル(約15.5億香港ドル)の身代金を支払わなければ二名を殺すと要求し、又、名指しで日本の首相が、米国主導のISILへの空爆行動に対して資金を援助する事を非難した。

動画の、二名の人質は、後藤健二と湯川遙菜で、彼等は橙色の囚人服を着てレンズの前に跪き、黒衣の覆面のISIL分子は手に匕首を持ち中央に立っている。背景は砂漠だ。これまでISILが公開した、西洋の人質斬首の動画と似ている。この武装分子は安倍総理大臣に対して「ISILから8500kmも離れているにもかかわらず、自ら望んで参戦し、並びに、我々の婦人と子供を殺害しイスラム教徒の家を破壊するのに金銭を寄付した」と責めた。

・初めての身代金の要求 資金不足が疑われる

安倍総理は数日前、ISILと戦う行為を支援するために2億ドルを提供すると宣言したばかりだ。動画の中で武装分子は、彼等の要求する身代金は、日本がISILへの空爆行動のために、非軍事援助の提供を承諾したので必要になった賠償だ、と称している。その武装分子には英国訛りがあり、昨年、多くの動画で首切り人を務めた、英国籍の「ジハード・ジョン」に似ている。

今回ISILは始めて身代金を要求した。ちょうど西方の空爆で多くの過激派分子が打ち殺された直後であり、また、ISILはヤズディ教徒200名の人質を釈放しており、種々の兆しは、この組織が資金不足に直面しているのではないかと推測させる。

湯川遙菜と後藤健二は、昨年、前後してシリアで拘束されており、日本の外務省反テロ部門は、動画を分析した事を公表した。現在、中東を訪問中の安倍総理大臣は、昨日エルサレムで記者会見を開き、ISILの行為は許し難く、即刻人質を釈放するよう要求した。彼はエジプト訪問中に提示した支援金について、イラク・シリア両国で、戦争で難民となった人々を支援するために使われる、と強調した。

・身代金は支払われると伝わる 安倍総理は急遽帰国

安倍総理は昨日、ヨルダン川西岸のラマラに行き、パレスチナ自治政府主席アッバスと会談した後、中東訪問の日程を前倒しして、人質事件を処理するために帰国した。彼はイスラエル政府に、日本と情報を共有し、人質救出に協力するよう求めたが、イスラエルは回答を控えた。ベルギーを訪問中だった岸田文雄外務大臣は、昨日、日本は北大西洋条約機構(NATO)と英国に対して協力を要請するつもりだ、と述べた。

日本の菅義偉内閣官房長官は、昨日記者会見を開き、もし動画が事実であるなら、「我々は、この種の、人命を盾にとり脅迫する行為を容認する事はできず、これに対して強い憤りを表明する」と述べた。彼は、安倍総理大臣から電話で「人命第一」の原則に従い、必ずあらゆる手段を尽くして人質を救出するよう指示を受け、近く中山泰秀外務副大臣をヨルダンへ派遣し、救出行動の陣頭指揮に当たらせると述べ、しかし、日本は「テロに屈服することなく、国際社会と共にテロに打撃を与える立場に変わりはない」と強調した。報道は消息筋の話しを引用し、日本政府は2億ドルの身代金を支払い人質を救うという選択を排除していない、と述べた。

これは、一昨年1月、アルジェリアでテロ組織「アルカイダ」と繋がりのあるイスラム武装分子が、天然ガス田を襲撃し、並びに、多くの外国籍の人質を取り、最終的に10名の日本人を含む37名が死亡する事件が起きたが、それ以来二度目の事件となる。■AFP通信/ロイター/AP通信/共同通信社」(「香港文匯報 電子版」『「イスラム国」二人の日本人を虜にし 制限時間は72時間(「伊斯蘭國」擄兩日人 命懸72小時)』2015-01-21)

だいたい日本の報道と同内容ですが、違っているのは、

◦「米国主導のISILへの空爆行動に対する資金援助を非難」「ISILと戦う行為を支援するために2億ドルを提供すると宣言」と、日本の支援と米国の空爆を結びつけている点です。

◦「ISILは始めて身代金を要求」「この組織が資金不足に直面しているのではないかと推測させる」と、ISILの資金不足を推測しています。

◦「身代金は支払われると流れる」「日本政府は2億ドルの身代金を支払い人質を救うという選択を排除していない」と身代金の支払いを示唆しています。

これだけでは分かりませんので、次に台湾の記事を一つ。台湾の「TVBS(無線衛星電視台)・世界新聞」から、

※TVBS(無線衛星電視台)は、台湾で最も古い衛星テレビ局。1993年9月28日放送開始。現在、TVBS新聞チャンネル、TVBS娯楽チャンネル、TVBS、TVBS-Asia(海外)、TVB8(中華電信台)の5チャンネルを持っています。


『原油価格暴落で資金難 ISIS日本人を拉致し法外な身代金を要求』

2015/01/21 22:17

「ISISは二名の日本人を拉致し、64億台湾元もの高額な身代金を要求した。中東の専門家は、最近原油価格が下落した上に、ISISの油を売るためのパイプラインが切断され、過去には「最も裕福なテロ組織」と言われていた組織は、財務に問題が出始めたため、転じて日本人に対して手を出したのだ目的は金だ、と分析した。

彼等は、最も裕福なテロ組織と称されている。

専門家の菲坦斯菲爾(フェイタンスフィールド?)は「彼等(ISIS)の財産は、10億から20億米ドルの間のはずだ。」と。

銀行強盗・油田の略奪・それに誘拐の身代金で、ISISは大量の富を蓄積したが、短時間で蓄積した物は、無くなるのも早い。現在、彼等は日本政府に対して、2億ドルの身代金、64億台湾元相当を要求したのは、専門家によれば、ISISは、最近金銭的に非常に困っているのだと言う。

中東アナリスト克哲斉安(?)は「金銭の欠乏は原油価格の下落によって損失を被っただけではない、思うに更に重要な原因は、過去に彼等が使っていた油を売るためのパイプライン、合法か否かに関わらず、イラク或いはトルコを通過していたかに関わらず、現在は、全て切断されてしまっている。」

ISISはイラク北部の領土を占領し、少なくとも11ヶ所の油田を支配し、過去には石油の収入だけで、毎日100から300万米ドルを稼いでいた。ISISは昔ながらの精製方法で、専門の人材が不足しており、以前、22万米ドル、台湾元700万元相当の年俸で外から専門家を招き、油田を管理しようとしたが、誰も行く物がいなかった。

その上、米軍がひっきりなしにISISの油田を空襲し、以前はブラックマーケットに頼り、低価格で原油を売り捌いていたISISだが、見たところ、現在は窮地に陥っており、そこで、また誘拐して身代金を要求し、財政の支出を補填する事を始めたが、しかし、NHKの記者がソーシャル・ソフトウエアを通して、ISISの広報担当に取材したところ、相手はこの様に答えた。

NHKアンカー「(ISISの話しでは)金が最も重要なのではない、ISISが一日に使う金は、身代金の金額よりも多い。これは経済戦ではなく精神戦なのだ。」

誘拐を敢えて公開するのは、ISISはいったい何のつもりなのか?

CNN「権力・金銭・それから広報活動。」

ISISは残酷無情、異教徒を惨殺し、多くの政府は表面上屈服はしないが、実際には密かに身代金を支払い救助する事も少なくはない。

CNN「たとえ公式には承認していなくとも、フランスとスペイン政府は、密かに身代金を支払い、人質を買い戻したと考えられている。」

民家に強盗に押し入り、人質を取って金品を強要し、ISISは暴虐の限りを尽くすが、少なくとも今のところ、世の人々はどうすることもできないのだ。」(「TVBS(無線衛星電視台)・世界新聞」『『原油価格暴落で資金難 ISIS日本人を拉致し法外な身代金を要求(油價慘跌資金缺 ISIS綁日人獅子大開口)』2015/01/21 22:17)

この記事が述べているのは、次の二つです。

◦ISISは最近金銭的に非常に困っているので、誘拐を始めた。
◦恐らく、日本は身代金を支払うだろう。

あと一つ、華字媒体の記事を紹介してから、結論です。

騙されたISIL(四)

2015年02月15日 02時24分14秒 | 日記
昨日は、13日の金曜日でした。私は、キリスト教徒ではありませんが、ISIL関連の記事が、午後の情報番組でも報じられました。先ずは、「毎日新聞 電子版」の記事をご覧下さい。

『人質事件:「日本政府に恥辱が目的」…IS機関誌』

2015年02月12日 21時10分(最終更新 02月12日 22時34分)

「イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)のウェブ版英字機関誌「ダビク」の最新号が公開された。ISは「安倍晋三(首相)は『イスラム国』と戦うために2億ドル(約240億円)の資金提供を表明した」と従来の一方的主張を展開した。日本人の人質殺害について「傲慢な日本政府に恥をかかせるのが目的だった」などと述べた。

ダビク最新号は巻頭の2ページで日本人人質事件を特集し、殺害された千葉市出身の会社経営、湯川遥菜さん(42)と、仙台市出身のフリージャーナリストの後藤健二さん(47)の写真も掲載した。

IS活動地域の周辺国に対する非軍事分野での2億ドルの支援について、同誌は「ISとの戦いに使われるのは明白だ。思慮が浅く、傲慢な判断だ」との見解を示した。また「(支援表明前は)日本の標的としての優先順は低かったが、今や、あらゆる場所で標的になる」と脅した。

当初2億ドルの身代金を要求した点は「金には困っていないし、日本政府が2億ドルを支払わないことも分かっていた。第二次大戦後、西洋の奴隷になった日本政府に恥をかかせるのが目的だった」と説明した。

一方、ヨルダンに収監されていたIS前身組織メンバーと後藤さんとの交換交渉では、ヨルダンのイスラム教指導者、アブムハンマド・アルマクディーシ師が仲介役を務めたと明かし「ヨルダン政府が(ISに拘束されていた)ヨルダン軍パイロットを交換に含めようとして事態を複雑化させた」と指摘した。

アルマクディーシ師は当時ヨルダンで収監されていたが、事件後の今月5日に釈放された。師の側近は毎日新聞の取材に、交渉を仲介したことを認めていた。」

ISILの公式広報誌「DABIQダビク」の最新号 第7号が、ネット上に掲載され、その中で、2頁ほど、日本人人質事件に関して触れているという記事です。

※原文については、「NAVER まとめ」『イスラム国の機関誌ダビクで日本人人質事件の目的を明かすイスラム国の主張 「日本人を標的」改めて宣言』の中の「出典livedoor.blogimg.jp」から閲覧可能です。

「ダビク」の記事で、先ず注目したいのは、掲載された湯川さんと後藤さんの写真に、それぞれ、「THE JAPANESE MERCENARY(日本の傭兵)HARUNA YUKAWA」「THE JAPANESE CRUSADER(日本の十字軍騎士)KENJI GOTO JOGO」と書かれている事です。死者に対するある種の礼儀を感じるとともに、湯川さんは矢張り、兵士に間違われていたのかと思うと残念です。

また、次に注目したいのは「毎日新聞 電子版」の中で述べられている、

「当初2億ドルの身代金を要求した点は「金には困っていないし、日本政府が2億ドルを支払わないことも分かっていた。第二次大戦後、西洋の奴隷になった日本政府に恥をかかせるのが目的だった」と説明した。」の部分です。

「ダビク」の記事は、身代金の要求が目的ではなかった、と述べています。しかし、中東が専門の中田考氏は、TBSの報道特集でも、ISIL側の人物から、「日本政府が支払う気があるのかどうか」という確認の連絡を受けたと話していましたので、ISIL側には、日本側が支払う、或いは、交渉に応じると思っていた人物がいる事を示しています。

いったい、今回の人質事件は、身代金の要求が目的だったのか否か、もう一つ、総理の中東の訪問が事件の発端だったのか否か、が気になります。

どうだったのでしょう?

先ず、「ダビク」の記事に従って、日本政府が2億ドルを支払わない事が分かっていた場合、これは、1億ユーロ(約137億円)の身代金支払いの要求があった、ジェームズ・フォーリー氏と似ているます。米国は身代金は支払わないようですし、要求金額も非常に高額です。何より、ジェームズ・フォーリー氏の弟は空軍の将校ですので、湯川さんが傭兵と考えられていたとすると、軍関係、高額の身代金と処刑と、共通点が非常に多い事になります。ただ、身代金だけが目的とすると、サジダ死刑囚の解放要求や、中田氏の話とも齟齬が生じてしまいます。

では、要求の通り、ISILが身代金目的であった場合はどうなるでしょう。ISILは、身代金や、死刑囚の奪還に関して目的が達成されなかった上に、ISIL側としては、日本と米国、或いは、日本と有志連合が離れた方が望ましかったはずですが、米国側は二人の日本人が殺害された事を前面に押し出し、対ISIL戦で日本との繋がりを深めようとしています。ISIL側の目的とは逆の結果になっていると言えます。

その原因は何かと言えば、イスラム国の建国やサイクス・ピコ協定の破棄と言った、本来のISILの目的とは関係の無い日本に目を付けたからに他なりません。

確かに「第二次大戦後、西洋の奴隷になった日本」と言うのは耳の痛い事ですが、だからこそ、戦後体制からの脱却を目指す現在の総理に、日本国民は期待を寄せているのです。それなのに、中東のISILのせいで、日米関係が深まるというのは、皮肉な事と言わざるを得ません。

話しがそれてしまいましたが、日本には、わざわざISILに湯川さんのブログを教えたり、身代金の要求が来ているにも関わらず、「民間軍事会社代表」と流す報道番組や、ISILを煽るようなコラージュを送りつける人間がいるのですから、ISILを利用して政権打倒、或いは、政権への打撃を考えた人物がいても不思議ではありません。その様な人物が、ISILに何かを持ちかけた可能性はなかったか、と思うのです。

実は、今回の人質事件が起きた当初、中国の媒体は、ISILは身代金が目的であり、日本は支払うしかないだろうと報じていました。

それについて、もう少し続きます。

騙されたISIL(三)

2015年02月11日 17時52分19秒 | 日記
1月20日に人質事件が発生すると、奇妙な事が起こりました。

ISILがインターネット上に配信した動画について、人命と時間と金額に注目が集まるのは当然ですが、この動画は曲解して作られており、その曲解の具合が、日本国内の政権批判をする人々にとって、何故か、非常に都合よく作られていました。その為、日本の媒体は、この動画に呼応して、この事件を政権批判の好機と捉え、ISILの敷いたレールに従って報道を始めます。

・ISILと日本の媒体のコラボレーション

次の二つの動画は、20日と21日に放送された物です。ここに掲載したのは、FNNの報道ですが、他局も似たり寄ったりであったと思います。先ずは、ご覧下さい。

「イスラム国」日本人人質事件 身代金2億ドル要求する映像公開(15/01/20)


先ず、人質がいるにも関わらず、総理が中東を訪問した事が、事件の切っ掛けとなったという意見がありますが、それならば、日本人がテロリストに捕まって、身代金の要求が来ているのに、「湯川遙菜さんは、民間軍事会社の代表です」とか、銃を持って試し打ちをしている映像を流すのは、どうなのかなと思います。

米国人で最初に惨殺されたジェームズ・フォーリー氏に対しては、1億ユーロ(約137億円)の身代金支払いの要求がありました。ジェームズ・フォーリー氏の弟は、空軍の将校で、家族に軍人がいる事が、高額の身代金と、処刑に繋がったのではないかと言われています。

このブログでも触れましたが、湯川さんには、昨年8月の時点でスパイ容疑がかかり、死亡説まで流れていました。もし、ISIL内部で、実際に湯川さんにスパイ容疑がかかっていた場合、湯川さんを助けに行った後藤さんの立場も危うくする事になったのではないかと思います。

確か、「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の時には、被害拡大の防止の観点から、報道協定が結ばれたはずです。1月20日、フジテレビでは、「ガリレオ」の最終回が放送されていましたが、放送を打ち切って誘拐事件を報じました。特番と報道協定では真逆のような気がします。

兎も角も、動画の中でジハード・ジョンは、日本国民に対して、「…日本政府が、72時間以内に2億ドル払うという賢明な判断を下すよう、日本国民が説得することを求める。」と述べています。その要求に答えるように、媒体は国民を煽り立てる事で、日本政府に対して要求を飲むように圧力を掛け始めます。安藤優子さんが悪いわけではありませんが、以下も、FNNの報道からです。

・切り取られた悪意

日本人人質事件 「イスラム国」が設定した期限は23日午後か(15/01/21)


ISILの動画の中で、ジハード・ジョンは次のように述べています。

「日本の首相へ。あなたは「イスラム国」より、8,500km以上離れているところにいるが、この十字軍に快く参加すると誓った。

あなたは、われわれの女性や子どもたちを殺すこと、イスラム教徒の家を破壊することに、誇りをもって、1億ドル寄付した。だから、この日本国民の命は、1億ドルになるということだ。

そして、「イスラム国」の拡大阻止のため、聖なる戦士に対抗する背教者を訓練するのに、あなたは、さらに1億ドル寄付した。だから、この日本国民の命も、1億ドルということになる…。」

「十字軍に参加」「女性や子どもたちを殺す」「イスラム教徒の家を破壊する」「聖なる戦士に対抗する背教者を訓練する」、日本の支援と戦争を、故意に結びつける単語が並びます。ここで、「故意に」と言うのは、ニュース番組で報じられた動画の前には導入部分が存在していて、そこで明確に日本の支援が「非軍事的」である、と述べているからです。

ISILがインターネットに流したのは、次の動画です。

イスラム国 日本人に2億ドル要求


動画が始まって、15秒(0:15)の所の、英語の字幕の最後に、はっきりと「Non-Military Aid(非軍事的援助)」と書かれています。

また、19秒(0;19)の所で、総理のエジプト・カイロでの演説の部分について、池内恵氏の『「イスラーム国」は日本の支援が「非軍事的」であることを明確に認識している』によれば、

「"The international community would suffer enormous damage if terroirsm and weapons of mass destruction spread in the region" (テロと大量破壊兵器がその地域に広がれば、国際社会は多大な打撃を受けるだろう)。「イスラーム国」がつけたアラビア語字幕も原文に忠実です。

中東に行った各国首脳が、現地国首脳と同意できる、よくある表現です。「テロと大量破壊兵器の脅威」を表現したから「イスラーム国」が怒った、というのであれば、ほぼ全ての国の首脳が「イスラーム国」を怒らせていることになります。」

理由は分かりませんが、ジハード・ジョンは、日本の援助が非軍事的である事を知りながら、戦うための支援であるかの如く述べており、一方、日本の媒体も、説明として「人道的支援」「非軍事的援助」と言ったり、テロップを流したりするのですが、何故かISILの動画の「非軍事的援助」の部分は切り取って、身代金要求の部分だけ報じていました。

また、エジプトでの総理の演説については「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」の部分のみを報じ、その後に続く「地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません…」の部分が報じられる事はありませんでした。

言葉で説明するよりも、人質を取り身代金を要求するという映像の方が、強く印象に残るのは当然で、この様な報道は、誤解を生みやすい物であったと言わざるを得ません。

因みに、エジプトのカイロで、総理が行った演説の2億ドルに関する部分は、次の通りです。

「…まず私はアンマンで、激動する情勢の最前線に立つヨルダン政府に対し、変わらぬ支援を表明します。国王アブドゥッラー二世には、宗教間の融和に対するご努力に、心から敬意を表すつもりです。

パレスチナでは、保健医療、水道整備や西岸とガザの難民支援など、民生安定に役立つ施策を明らかにします。

イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。

イラクでは、全党派を含む、国民融和内閣による安定的な統治が絶対に必要です。日本は、そのための努力を支援し続けます。地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません。「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」。日本はそこに、果たすべき大いなる役割があると考えています。」(「外務省」『安倍総理大臣の中東政策スピーチ(中庸が最善:活力に満ち安定した中東へ 新たなページめくる日本とエジプト)2015年1月17日 於・日エジプト経済合同委員会』


アルジャジーラの特集記事(2014年12月16日)によれば、日本は「人道支援だけを実施する有志連合」に分類されています。総理のカイロでの発表も、やはり人道支援を表明していますし、それはISILも恐らくは理解していたと思われます。ところが、動画の身代金要求の部分は、意図的に日本の軍事支援を臭わせるように作成されているように思われます。

日本の媒体も、事件の経過と共に、次第に「戦うための支援をするようなポーズの為に中東に行った」という誤解を含む論調に傾いて行きます。また、不思議な事に、二人の日本人が殺害された後も、ISILの蛮行を非難する媒体は、少なかったように思います。


これだけ報道に作為的な要素が含まれていながら、そもそも、総理が中東を訪問したから、今回の事件が起きたと言えるのでしょうか?

後藤さんの奥様が、解放を求める音声メッセージを公表した時、その中に、

「12月2日、健二を拘束したグループからメールを受け取ったとき、健二がトラブルの中にあることを知りました。」

と言う一文がありました。このトラブルが何なのかは分かりませんが、エジプトでの演説が人道支援を目的とする物であり、しかも人質事件が起きたと言う事は、ISIL側が日本に対して何らかの悪意を抱いているか、或いは、内部に何か起きていた事を示しています。

ISIL側に悪意があるか、或いは、内部に問題があったからには、総理がいつ中東を訪問し何かを話しても、たとえ中東を訪問せず他の国に外遊したとしても、今回の事件は起きた可能性があり、また、救出は難しかったのではないかと思います。

もう少し続きます。

騙されたISIL(二)

2015年02月07日 00時31分02秒 | 日記
今回の人質事件は、謎だらけです。身代金の金額や、軍事行動に参加していないにも関わらず犠牲者が出た事等々。それらについて、中東が専門の池内恵氏は『後藤さん殺害映像から読み取れる人質事件の性質と犯行勢力の目的について』の中で、次のように述べています。

「…日本の場合はヨルダンやトルコのように、人質と引き換えにするための囚人・捕虜を持っていないため、通常の人質解放交渉のためのカードを持っていない。

 
そのため、2億ドルを払って数年分の活動資金を提供するか、人質が殺害されるかという極端な選択肢を突きつけられた。「イスラーム国」側は、実際には身代金よりも、全面的に政策を撤回し「イスラーム国」に屈従する、日本政府が受け入れ不能であることが予想できる要求を行った上で人質を殺害し、最大の恐怖と混乱を生じさせ、関心を集めることを目的としているだろう。

 
重要なことは、非軍事的な資金供与を行う者も敵であると明確にしたことである。それによって、軍事行動への参加は控えながら、経済支援・人道支援にとどめている各国にも、明確に宣戦布告を行ったことになる。ただし、イスラーム法学上のジハードの理論からは、直接的な軍事力を行使する勢力だけでなく、資金供与などの間接的な支援を行う勢力も、討伐の対象とするという解釈を「イスラーム国」を含むジハード主義勢力は従来から採用しており大きな姿勢の変化はない…」

2億ドル(約235億円)要求の根拠として、日本が通常の人質解放交渉のためのカードを持っていない事、ISIL側が非軍事的な資金供与を行う国も敵であると明確にした事、を挙げています。私は、中東が専門ではありませんが、なるほどと納得もし、正論なのだろうとも思うのですが、何故、過去に例のないほど高額なのかが解りません。

2億ドルは、言うまでもなく1月20日の動画の中で、ジハード・ジョンが述べた所の、日本の「非軍事的援助」の金額から来ています。支援金と同額の身代金というのは、一見、筋が通っていそうですが、過去にISILに対して爆撃をして被害を出した国、例えば、フランスやスペインに対しても、戦闘機で爆撃されたので戦闘機の代金と同額を払えとか、我が国の婦女子が殺害されたので、それに見合う金額を出せなどと言いながら、1人につき1億ドルを請求するというような事は無かったようですので、唐突の感を免れません。

※米国人で最初に惨殺されたジェームズ・フォーリー氏に対しては、1億ユーロ(約137億円)の身代金支払いの要求がありました。

高額の身代金の意味する物は何なのか、正確な事はISILに聞いてみないと解りませんが、ここでは、2億ドルが支払われた場合はどうだったか、或いは、支払われなかった場合はどうだったかを考える事で、彼等の目的を探ってみたいと思います。

・2億ドルという悪意
さて、11月の段階で、後藤さんの親族に届いた身代金の請求金額は20億円でした。もし20億円であれば、密かに処理できた可能性もあります。しかし、2億ドルを支払うとなると、近隣諸国から調達する事になるのでしょうか。とても、秘密裏に事を運ぶ事はできず、大騒ぎした挙げ句、テロリストに資金を提供する事になります。ISILと戦う「有志連合」からはどう思われたろうと思います。

因みに、「有志連合」とは、北村淳氏の『イスラム国と戦う「有志連合」、まぎれもなく日本は一員である』によれば、

「…アメリカ主導の空爆が開始された当時(2014年8月)、すでに日本はISによって難民となった北部イラクの人々に対する600万ドルの緊急支援金を拠出していた。したがって、アメリカ政府の定義によると日本は「人道支援を提供する同盟国」と見なされていたのである。ちなみに2014年9月時点でアメリカ政府が有志連合としたのは、

「何らかの軍事支援を提供する同盟国」が20カ国、
「軍事支援ではなく人道支援を提供している同盟国」が13カ国、
「いまだに軍事支援も人道支援も提供していないが支援を表明している同盟国」13カ国、
「特定の支援は表明していないがアメリカ政府は同盟国と見なしている諸国」が13カ国、
それにアメリカ自身を加えた60カ国であった。

さらにアラブ連盟とヨーロッパ連合も、有志連合による「ISとの戦い」への支援を表明した。

当然のことながら、アメリカ政府にとっては、有志連合国の数が多ければ多いほど、都合がいいため、無理やり同盟国と見なしているとも言えなくはない国々もあった。しかし、当事者のアメリカ政府から独立した見方でも、少なくとも日本は、1月の安倍首相の中東歴訪以前から有志連合の一員と見なされていたことには変わりはない。

例えば、アルジャジーラの特集記事(2014年12月16日英文ウェブ版「Countries countering ISIL」)によると有志連合参加国は35カ国で、次のように分類されていた。

・軍事支援と人道支援を実施する有志連合:17カ国

アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリア、デンマーク、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エストニア、ハンガリー、チェコ、ブルガリア

・軍事支援だけを実施する有志連合:4カ国

ヨルダン、バーレーン、アルバニア、クロアチア

・人道支援だけを実施する有志連合:14カ国

日本(シリアとイラク領内の難民に対しておよそ2550万ドルの人道支援)、韓国、クウェート、トルコ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スペイン、アイルランド、スイス、オーストリア、ルクセンブルグ、スロバキア、グルジア…」

実は、北村淳氏の結論は少し性急で、菅官房長官の「有志連合に対して資金援助や後方支援は行わない」との意見が、文字通りの意味であると思います。

ともかくも、身代金を支払うと、これらの国に対して日本は恥を晒す事になります。上記の国の中には、国連の常任理事国・非常任理事国が含まれます。今年は戦後70年の節目の年ですので、自力で奪還できず、テロリストに資金提供する日本の、敗戦国としての立場が、色濃く浮かび上がる事になります。中東での日本の面子は丸潰れになった事でしょう。

では、支払わなかった場合は、どうであったのか。それが、現在起きている事です。日本の国内には、ISILとはまた別種の変な人々がいますから、身代金の支払いが物理的に無理であった事は既に述べましたが、その人達が現政権に対して攻撃を始めます。

要するに、2億ドルという金額は、国際社会での日本の地位の失墜か、或いは、現政権への攻撃を目論んで設定された物である可能性があると言えます。

もう少し、続きます。

騙されたISIL(一)

2015年02月04日 16時32分46秒 | 日記
今回の人質事件では、二人の日本人の命がうしなわれ、非常に残念な結果になりましたが、結論から言って、救う事は難しかったのではないかと思います。

2億ドルの身代金について、72時間で政府内の意見をまとめ、支払うのは無理があります。テロリストには、資金を提供するべきではありませんし、かりに支払うという意見にまとまったとしても、72時間では具体的に資金を調達する事ができたとは思われません。この事から、ISILの目的は、身代金ではないという意見も出ています。

また、ヨルダンの死刑囚の解放について、ヨルダン側がカサスベ中尉の生存確認をするのは当然で、死刑囚の解放に関しても、ISIL側の計画の無さが浮かび上がります。

身代金が主たる目的ではなく、また、死刑囚の解放も後付けとすると、ISILの目的は何だったのか。破格の2億ドルとは何なのか?

そもそも、ISILがアルカイダと違うのは、国家の建設だったはずで、その国家建設を妨害もしていない日本が、今回、なぜ狙われたのか。総理の中東訪問やイスラエルでの演説が、今回の契機となったという意見がありますが、憶測の域を出ませんし、ISILの代弁をしているに過ぎません。

今回の事件の目的から考えれば、総理がいつ中東を訪問しても、何処で何を話しても、今回の事件は起きた可能性が高く、また、救出は難しかったのではないかと思います。

ISILの失敗と各国の声明(評価されるべき外交)

2015年02月04日 11時02分43秒 | 日記
今回の人質事件に関して、我が国政府の対策は、悪い物ではありませんでした。

例えば、ISILは、今回、二人の人質を取って法外な身代金を要求しながら、金銭を手にする事はできませんでした。また、死刑囚の解放を要求しながら、これにも失敗しています。更に、身代金から死刑囚へと要求を変えた事や、動画に統一性が無かった事から、ISIL内部の分裂説や、矢張りテロリスト集団に過ぎないのではないか、との見方が出てきました。

不必要に二人の日本人を殺害したために日本が敵になり、国際社会からは更に厳しく糾弾される事になりました。また、日本国内に住むイスラム教徒や中東の出身者の立場を悪くする事になってしまい、身内とも言えるイスラム教徒からも白眼視される事になりました。いったい、ISILが何をしたかったのか、全く解りません。宣伝効果を狙った、という意見がありますが、失敗してしまっては、何の宣伝にもならないと思います。

一方、我が国政府の対策は、それは明らかにされてはいませんし、二人の日本人の命が喪われた事は、非常に残念でした。しかし、その結果、昨晩ヨルダンでは二人を悼む追悼集会が開かれ、日本と各国との信頼関係は深まり、各国首脳から犠牲者に対して、お悔やみの言葉が贈られました。

以下は2月1日の「毎日新聞電子版」の記事です。

「過激派組織「イスラム国」(IS)が後藤健二さんを殺害したとする映像を公開したことに対し、各国首脳らからは犯行を強く非難する声明が相次いだ。衝撃的な事件に海外メディアも強い関心を示し、米CNNや英BBCなどの主要メディアが一斉に速報した。

オバマ米大統領は「テロリスト集団であるISによる凶悪な殺人を非難する」との声明を発表。後藤さんがシリアの人々の苦境を世界に伝えようとしていたことをたたえ、「安倍晋三首相や日本国民と結束し、この野蛮な行為を非難する」とした。

英国のキャメロン首相は「ぞっとするような殺人を非難する。彼ら(IS)が人命を一顧だにしない悪の化身であることを思い知らされた」と述べた。フランスのオランド大統領は、後藤さんの家族に哀悼の意を示し、「フランスはこの新たな試練の中、日本と連帯している。友好国である両国は中東の平和とテロ集団排除に向け協力を続ける」と決意を述べた。イタリアのジェンティローニ外相も「(後藤さんの)家族と日本の全国民に対する連帯」を表明した。

国連の潘基文(はんきぶん)事務総長は声明の中で「シリアとイラクで多くの人々がさらされている過激派の暴力を浮き彫りにした」と強調。欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表(外相)は「ISとの戦いを続け、容疑者に責任を取らせる」との声明を発表した。

後藤さんの解放交渉に関わっていたヨルダン政府はスポークスマンのモマニ・メディア担当相が声明を発表し、「(ISが)人質解放に向けた関係当局のあらゆる試みを拒絶した」と指摘した。

トルコ外務省は「テロリズムは人道に対する罪であり、残虐なテロ行為を非難する」との声明を発表。「今後もテロとの戦いで国際社会と連携していく」と強調した。エジプト外務省も「凶悪で残酷、野蛮な行為であり、イスラム教の教義に完全に反する」と厳しく非難する声明を出した。

一方、海外メディアも速報し、CNNやFOXニュースなど米国のニュース専門チャンネルは日本やヨルダンから特派員のリポートを交えて報道。英国でもテレビのトップニュースで扱われ、新聞各紙は1面で報じた。仏ニュース専門テレビ「フランス24」は日本政府や国民の反応とともに後藤さんの人柄や仕事ぶりを紹介。「紛争地域の子供たちの実情を取材し、非常に尊敬されたジャーナリストだった」と伝えた。」(「毎日新聞 電子版」『「後藤さん殺害」:「凶悪な殺人」各国首脳が非難声明』2015年02月01日23時17分)

テロに屈せず、身代金を払わず、ヨルダンを始めとする各国との絆が深まる。今回の総理の中東訪問と資金援助、人質事件の対処方法によって、日本を見直した中東の人々も多いのではないでしょうか。この様な外交は評価されるべきですし、ISILの残虐なテロ行為は、もっと非難されるべきです。

ISILの代弁???

2015年02月02日 19時08分38秒 | 日記
日本がテロに狙われている、と本気で心配するのであれば、今すぐ多文化共生とか、外国人の参政権とか、外国人の日本の土地の取得、外国人の日本国籍取得等を引っ込めて、規制を厳重にし、ビザを復活させ、更に、公安に言って、ISILに内応しそうな人物を、徹底的に見張るべきです。

皆さん、テロとか言って政権を批判していますが、日本に現在住んでいる中東とかイスラムの人達が差別されると思いますが、差別はいけないんじゃなかったの?