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東シナ海防空識別区(肆)

2013年12月31日 02時09分42秒 | 日記
・国防部の発表
防空識別区の正式な発表は、11月23日、国防部によって公表された。公表された二つの声明は、「中華人民共和国政府による東シナ海防空識別区の設定に関する声明(中华人民共和国政府关于划设东海防空识别区的声明)」と、「中華人民共和国 東シナ海防空識別区 航空機識別規則の公告(中华人民共和国东海防空识别区航空器识别规则公告)」の二つで、どちらも2013年11月23日10時に施行された。

その内容は、以下の通り。

『中華人民共和国政府による東シナ海防空識別区の設定に関する声明』は、
「国防部11月23日発布:中華人民共和国政府は、1997年3月14日の《中華人民共和国国防法》、1995年10月30日の《中華人民共和国民用航空法》と2001年7月27日の《中華人民共和国飛行基本規則》に基づき、東シナ海防空識別区の設定を宣言した。

具体的適用範囲は、以下の六つの点を結んだ区域と我が国領海線内の空域の範囲である。北緯33度11分・東経121度47分、北緯33度11分・東経125度00分、北緯31度00分・東経128度20分、北緯25度38分・東経125度00分、北緯24度45分・東経123度00分、北緯26度44分・東経120度58分。

東シナ海防空識別区設定の見取り図


『中華人民共和国 東シナ海防空識別区 航空機識別規則の公告』
「国防部11月23日発布:中華人民共和国国防部は、中国政府による東シナ海防空識別区の設定に関する声明に基づき、今のところ、東シナ海防空識別区 航空機識別規則の公告は次の通り:

一、中華人民共和国東シナ海防空識別区(以下東シナ海防空識別区と称す)を飛行する航空機(Aircraft、飛行機、気球、飛行船等)は、必ず本規則を遵守しなければならない。

二、東シナ海防空識別区を飛行する航空機は、必ず以下の識別方式を提供しなければならない:

(一)飛行計画による識別。東シナ海防空識別区を飛行する航空機は、中華人民共和国外交部、或いは、民用航空局に対して、飛行計画を通報しなければならない。 

(二)無線通信による識別。東シナ海防空識別区を飛行する航空機は、必ず双方向の無線通信リンクを開いた状態を維持し、東シナ海防空識別区の管理機関、或いは、認定された単位の識別の問い合わせに対して、機を逸することなく正確に回答しなければならない。 

(三)応答機(Transponder、無線中継機)による識別。東シナ海防空識別区を飛行する航空機で、二次レーダー応答機を搭載する場合は、全工程で開放した状態にしておかねばならない。

(四)マークによる識別。東シナ海防空識別区を飛行する航空機は、必ず国際公約に関する規定に従い、機体の国籍マークと登録識別マークを明確に表示しなければならない。

三、東シナ海防空識別区を飛行する航空機は、必ず東シナ海防空識別区の管理機関、或いは、認定された単位の指示命令に従わなければならない。識別に適合しない、或いは、指示命令を拒んで服従しない航空機に対しては、中国の武装部隊が防御的緊急措置を取るであろう。

四、東シナ海防空識別区の管理機関は、中華人民共和国国防部である。

五、本規則は、中華人民共和国国防部が責任を持って説明する。

六、本規則は、2013年11月23日午前10時より施行される。」   
  

この二つの声明は、同日CCTVでも報道された。


[??] 北京:?于�崖??海防空??区的声明


女性アンカー:最新の報道、弊社の報道です、

国防部の発表です、11月23日、中華人民共和国政府は…以下、上記の声明と同じ。」


こうして、「防空識別区」が施行されたが、二つの声明のうち『中華人民共和国政府による東シナ海防空識別区の設定に関する声明』は、中共政府が設定の宣言をしているものの国防部の発布になっている。また、『中華人民共和国 東シナ海防空識別区 航空機識別規則の公告』は、国防部に説明責任があると明記されている。要するに、中国の防空識別区は、国防部の主導によって設定された物だ。

この二つの声明を読んでいて思うのは、例えば、「識別に適合しない、或いは、指示命令を拒んで服従しない航空機に対しては、中国の武装部隊が防御的緊急措置を取るであろう」(原文は、对不配合识别或者拒不服从指令的航空器,中国武装力量将采取防御性紧急处置措施)や、「今のところ」(原文は、现将)という前置きは、自国の領空と防空識別区をはき違えて解釈している等、公告の内容に不備がある事、今後、改変する可能性を含んでいる事等を含んでいる。

また、国防部主導で思い出されるのは、「第一列島線」と「第二列島線」で、





これらに共通するのは、国防部の都合で線引きされ、その後、近隣諸国と領土問題を引き起こしている。「防空識別区」で三度目だ。


・日本政府の声明
中国の「防空識別区」に対する、我が国の対応は次のような物だ。

「外務省ホームペジ」

『中国国防部による「東シナ海防空識別区」の発表について(外務大臣談話)』

平成25年11月24日

1 11月23日,中国国防部は,「東シナ海防空識別区」を設定し,当該空域を飛行する航空機は中国国防部の定める規則に従わなくてはならない旨を発表しました。

2 中国側がこうした空域を設定し,自国の規則に従うことを義務付けることは,東シナ海における現状を一方的に変更し,事態をエスカレートさせ,現場海空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なものであり,日本政府として強い懸念を表明します。

3 中国国防部の発表した公告は,公海上の空域を飛行する航空機に対して,一方的に自国の手続に従うことを義務付け,これに従わない場合の中国軍による「防御的緊急措置」に言及しています。こうした措置は,国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり,国際航空秩序に対して重大な影響を及ぼすものです。東シナ海は多数の民間航空機の飛行経路となっており,我が国は,民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも,大きな懸念を有しています。

4 今回発表された措置は,我が国に対して何ら効力を有するものではなく,中国側に対して公海上における飛行の自由を妨げるような一切の措置を撤回することを求めます。

5 また,中国国防部が設定した空域は,我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも「中国の領空」であるかのごとき表示をしており,日本側として全く受け入れることはできません。

6 中国側に対しては,既に以上のような日本側の懸念を伝え,厳重に抗議するとともに,関連措置の撤回を求めました。また,今回発表された措置をめぐっては,同盟国である米国と緊密に連携・協議しており,地域の安定と安全に関心を有する関係国やパートナーとも協力していきます。中国側に対しては,国際社会と連携しつつ,自制を強く求めていく考えです。

7 我が国としては,引き続き,中国による「力」を背景とした現状変更の試みには,我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で毅然かつ冷静に対処していく考えです。」


・まとめ
中国軍部の「防空識別区」に対する、我が国の対応は、米国の対応よりも筋が通っている。中国の覇権主義による線引きは、今回で三度目だ。ここで、覇権主義を承認するような態度をとれば歯止めがきかなくなり、「東シナ海」・「南シナ海」で各国との軋轢を生む事は明らかだ。

ただ、面子に拘る、或いは、問題の出来が失脚に繋がる国防部としては、直ぐさま「撤回」する事はないにしても、原文には、内容の変更を臭わせる部分もあって、この「声明」を発表するに当たり、国防部の中か、中共の中に異論があったか、或いは、発表に自信の無かった事を示している。

この様に覇権主義的で、国際法に違反した声明では、中国の面子は丸潰れだ。私は、各国との協力や、日本と中国との軍部級の会合で、現在の内容から、各国が採用している「防空識別圏」に、移行させることは可能なのではないかと思う。ともかく、勝手に他国の領土に線引きし、自国の領土のごとく振る舞うような事は、その目的が、軍備であれ、領土であれ、あまりにもあからさまであるので、やめた方がよいと中国に知らせるべきである、と思う。

衆議院議員 平沼赳夫氏「国民の知る権利を守った上で、日本の安全保障の確立を」


ところで、私はこの「東シナ海防空識別区」の中で、習近平政権が「戦争を望んでいるはずはない」と書いたが、それについて、次回は「連動する粛清」周永康と石油閥の失脚について紹介したいと思います。

靖國参拝非難の背後に蠢くもの

2013年12月29日 16時34分50秒 | 日記
首相の靖國参拝は当然の事であるはずなのに、

テレビでは速報が流れ、

ヘリコプターが八機も飛び回り、

日本の媒体は中韓を煽って、

一斉に、首相を非難し始めました。

まあ、これは、想定の範囲内なのですが、

今回は、米国側からも反応がありました。


ところで、私は、立ち上がれ日本、太陽の党を応援しており、

今でも、維新の会の太陽系に注目しています。


ご記憶の方も多いと思いますが、

今年、維新の会は、都議選と参院選で苦戦を強いられました。

それは、言うまでもなく、

橋下氏の慰安婦発言が響いたのですが、

橋下氏だけの責任とも言えませんでした。


思えば、今年7月には、グレンデールに慰安婦像が建立されました。

私は知りませんでしたが、

ニューヨーク州ウエストバリー、

ニュージャージー州のパリセイズパークとハッケンサックには、

既に、慰安婦の碑が建立されているそうです。


日系アメリカ人は猛反発し、

姉妹都市の東大阪市も、

姉妹都市提携の解消を検討する事態となりましたが、

グレンデールは19万4000人の人口のうち

韓国人が1万2000人以上おり、

アルメニア系のフランク・クィンテロ(Frank Quintero)前市長が、

設置を決定してしまったそうです。


トニー・マラーノ(テキサス親父)氏も動画の中で言っていましたが、

大東亜戦争中、韓国は日本であり、共に、米国と戦ったわけですから、

米国に慰安婦像を建てるのは、どう考えてもおかしいのですが、

韓国人が米国に浸透している事を示す事件でした。


さて、昨日、首相が靖國神社に参拝すると、

「産経新聞電子版」には次のような記事が掲載されました。

『NYタイムズ紙「危険なナショナリズム」』

2013.12.27 13:47

「米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は26日、

安倍晋三首相の靖国神社参拝は

中国、韓国との緊張をさらに高める

「危険なナショナリズム」だと批判する社説を掲載した。

社説は「アジアに必要なのは各国間の相互信頼であり、

安倍氏の行動はその信頼をむしばむ」と厳しく批判した。

一方、沖縄県尖閣諸島の領有権や慰安婦問題をめぐる中韓両国の対応が

日本国民に軍事的脅威を感じさせたり、

不信感を抱かせたりしているとも指摘。

問題解決のため、中韓首脳は安倍氏と会談すべきだとした。

また、「安倍氏の究極の目標は日本の平和主義的な憲法を書き換えることだ」とした上で、

「日本の軍事的冒険は、米国の支持があって初めて可能となる。

米国は安倍氏のアジェンダ(政策課題)は地域の利益にならないことを明確にすべきだ」

と米政府に注文を付けた。」


日本国内の、

『安倍首相の靖国神社参拝は妥当?』と言う「YAHOOニュース」の意識調査では、

現時点で、「妥当207,238票(80.7%) 妥当でない49,556票(19.3%)」と、

八割以上が「妥当」と答えています。

首相の靖國参拝が、どれほど国民の期待に添う物であったかを示す結果と言えます。


「NYタイムズ」の記事を、

誰が書いたのか気になっていましたが、

FB「やさき歯科」さんの情報で、

問題の記事を見て納得しました。


問題の記事は、「The New York Times」の

『Japanese Premier Visits Contentious War Shrine』です。
(日本の総理大臣が、異論の多い戦争神社を訪れた)

これは現在でも閲覧可能で

「TOKYO — Prime Minister Shinzo Abe of Japan visited a contentious Tokyo war shrine early on Thursday, provoking swift condemnation from China and South Korea, both victims of Japan’s wartime aggression…」(東京ー日本の安倍晋三首相は木曜日の早朝、異論の多い東京戦争神社を訪れ、 中国・南コリアからは瞬く間に非難が巻き起こった、両方とも日本の戦時中の侵略の犠牲者だ…)

と始まります。(私は英語が専門ではありませんので、興味のある方は原文をご覧下さい)


『靖國神社』はいつから「Tokyo war shrine (東京戦争神社)」になったのでしょう?

ついでに言えば、終戦の1945年には、韓国は存在していなかったはずですから、

(中共とは1972年まで、書類の上では戦争状態が続いています)

何時から、「victims of Japan’s wartime aggression(日本の戦時中の侵略の犠牲者)」なのでしょう?

誰がこの様な主観的なお話を書いたのかと記事を見ると、

「By HIROKO TABUCHI」

田淵広子という記者でした。


今年5月、橋下徹氏の舌禍事件で、

維新の会に打撃を与る記事を書いたのは、

まさしく、この人物です。


橋下氏の時には、

5月13日の「ぶら下がり」で慰安婦について述べた事が始まりではありますが、

当日のうちに、二つの英語の記事が配信されました。

一つは、「The New York Times」の『Women Forced Into WWII Brothels Served Necessary Role, Osaka Mayor Says』(大阪市長が、女性が強制的に第二次世界大戦中の売春宿で必要な役割を務めていた、と述べた)By HIROKO TABUCHI Published: May 13, 2013

「The New York Times」は、「朝日新聞」東京本社に日本支局を置いています。

もう一つは、「The Associated Press」の『Osaka mayor: Wartime sex slaves were necessary』(大阪市長:戦時中の性奴隷は必要だった)Published: Monday, May 13, 2013, 10:44 pm


「NYタイムズ」と「AP通信」の記事は、

世界中を巻き込み、

翌日14日には、逆輸入をするように、

日本の報道各社が世界も非難していると報じました。


因みに、

橋下氏は「戦時中の性奴隷は必要だった」とは言っていませんし、

23日には、

秦郁彦氏が「産経新聞」電子版に

『現代史家・秦郁彦 橋下発言の核心は誤っていない』(2013.5.23 03:21)

と橋下氏擁護の記事を書いています。


ここで考えたいのは、

『靖國神社』の訳が「Tokyo war shrine」(東京戦争神社)

『慰安婦』の訳が「sex slaves」(性奴隷)

扇情的な所が、そっくりな所です。


『靖國神社』の名の由来は、
これは『春秋左氏伝』の「吾以靖国也(吾以つて国を靖んずるなり)」から取ったと言われています。
もとの名前は「招魂社」で、1879年(明治12年)6月16日の改称にあたり、
「社号改称・社格制定ノ祭文」には、
「赤き直き真心を以て家を忘れ身を擲(なげう)ちて各(おの)も各も死亡(みまかり)にし其(その)高き勲功に依りて大皇国をば安国と知食(しろしめ)すが故に靖国神社と改称(あらためとなえ)」とあるそうです。(Wikipediaより)


「国を靖んずる」「安国」が名前の由来ですから、

「Tokyo war shrine」(東京戦争神社)というのは、

どう考えても真逆の誤訳です。


英語圏の人間が、

首相が、世にも珍しい「戦争神社」に参拝したと聞けば、

日本は敗戦国でもありますし、

非難したくなるのは当然です。


「産経新聞電子版」では、

「NYタイムズ」は、首相の靖國参拝を

「危険なナショナリズム」であると非難していると報じているのも

分からなくはありませんが、

記事を書いているのが、

架空の物語を事実として発表する事の多い、

田淵広子と言う名の反日記者であることは、

注意しなければならないところです。

(否、知っていて報じたかも知れませんね)


「NYタイムズ」の田淵広子や「AP通信」の山口真理の如き

インチキジャーナリストは、

日本政府や「維新の会」から訴訟を起こされても当然と思いますし、

何か策を講じなければ、また同様の捏造記事を配信すると思います。


日本の出来事を、

「NYタイムズ」や「AP通信」のような米国大手媒体が、

悪意を以て反日記事に仕立て上げて世界中に配信し、

それを日本の新聞社が逆輸入して騒ぐというのが、

日本の保守勢力に対する、

新たな攻撃の型であると言えそうです。


反日勢力は、グレンデールだけでなく、

「NYタイムズ」にも「AP通信」にも散らばっているのです。


但し、だからといって、

米国が、或いは、オバマが、

首相の靖國参拝に対して肯定的であるかと言えば、

そうではないと思います。

少し長くなりますが、ご覧下さい。

「オバマ大統領は2011年11月、ハワイ、インドネシア、オーストラリアを歴訪し「アメリカ外交のアジア・シフト」を宣言した。アメリカの軍事力を、イスラム教諸国からアジア地域へシフトするという宣言である。

アメリカのマスメディアは、「この歴訪によってアメリカは、中国の拡張主義を封じ込める決意を表明した」と報道した。敗戦後の対米依存体制を何時までも続けたい日本政府は、この「米外交のアジア・シフト」を大歓迎した。

しかしこの「アジア・シフト」は、本当に実現可能な構想なのだろうか?米軍は、オバマの主張するようにイスラム教諸国における泥沼化したゲリラ戦争からスムーズに撤退して、その軍事力をアジアにシフトできるのだろうか?

財政構造の悪化により自国の軍事予算を長期的に削減せざるをえないアメリカが、(IMFと世界銀行の予測によると)2015年か16年に世界最大規模の実質経済力を持つようになる中国を「封じ込める」というのは、現実的な戦略思考なのだろうか?

2009年~11年、オバマ政権は毎年、約1.4兆ドルの赤字国債を発行してきた。この巨額の借金財政を継続するため、ガイトナー米財務長官は中国政府に対して「アメリカの国債を購入し続けて欲しい」と懇願してきた。

国民の貯蓄率が異常に低く、すでに世界最大の借金国であるアメリカが、「中国政府から毎年、巨額の借金を繰り返す。その一方で、アメリカの軍事政策が中国の拡張主義を封じ込める」というのは、実行可能な戦略プランなのだろうか?」『自滅するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ』伊藤貫 著


という様な状況で、米国の影響力は低下するばかりです。

中国が東シナ海防空識別区を設定した時も、

中国の覇権主義を非難する一方で、

航空会社に対して、中国に対してフライトプランの提出を容認したのは、

上記の内情が一因となった可能性が高いと思いますし、

誰が言ったのかは分かりませんが、

今回の首相の参拝について「失望した」と言わしめたのも、

同様の理由に因るものと推察されます。


一つの可能性として、

(と言うのも、私は中共の内情は、伊藤氏が考えるよりももう少し悲観的なのですが)

日本の同盟国とは言いながら、

米国の中韓に対する影響力は、

次第に弱くなって行く以上、

中・韓の日本に対する戦争責任の追求は、

放っておけば、

何処までも強くなって行くと思われます。


その様な状況の中で、

今回の、安倍首相の靖國神社参拝は、

非常に意義のある事であったと思います。


【修正】マッカーサーの告白


最後に、日本人が筋を通せば、

中国人にも通じるという例を一つ、

「なでしこりん」さんからの情報です。


「レコード・チャイナ」の記事です。

『安倍首相の靖国参拝に冷静な声=「拝むなとは言えない」「批判する資格があるのか?」
―中国版ツイッター』

配信日時:2013年12月26日 12時37分

「2013年12月26日、日本の安倍晋三首相が靖国神社を参拝した。日本の首相による靖国参拝は2006年の小泉元首相以来、7年ぶりのこと。安倍首相はこれまで、中国・韓国への配慮から参拝を見送ってきたが、周囲に「年内には」と漏らすなど、参拝に意欲を見せていた。

このニュースは中国でも即座に報道されるなど、注目を集めている。「中国版ツイッター」と呼ばれる簡易投稿サイトには、問題視しないというコメントも多数寄せられている。以下は、その一部。

「安倍さんを支持する」

「自分のやるべきことをしっかりとやるのが王道」

「人が自分の祖先を参拝することに、われわれは関係ない。中国人は寛容に、過去のことは水に流そう」

「参拝したけりゃすればいいよ。たとえ憎い相手でも、本人の家族に拝むなとは言えない」

「人が祖先を拝むのは自由。子孫なのだから。彼らの祖先がかつての敵だからといって、自分の祖先を拝むのだけは良くて、相手はだめというのはおかしい」

「他人を批判する資格があるのか?中国が死に至らしめた自国民は、日本に殺された中国人よりも少ないのか?」

「中国は日本にかなわない。中国共産党はナショナリズムをあおって批判するような寝言を言うのは、何か意味があるのか?」」

記事は此処までです。


中国の民衆から、この様な意見を引き出した事一つを取っても、

安倍首相の靖國神社参拝は、

意義のある事であったと断言できます。


維新の会の太陽系もよろしくね。


【拡散希望】NYT 田淵広子 AP通信 山口真理 「世界中を騙す記者」

#12 猪瀬知事の件

首相の靖國参拝こそ 中韓との関係改善の始まり

2013年12月26日 21時09分07秒 | 日記
靖國神社に安倍首相が参拝をしました。

大東亜戦争では、

隣近所のおじさん達が赤紙で招集され、

靖國で会おうと、お国のために戦って亡くなったのですから、

首相が参拝するのは当然です。


私の祖父は、生きて帰ってきましたが、

祖父の戦友は亡くなりました。

その人々のためにも、今日の参拝は非常に好かったと思います。


さて、国内では、当然のように中韓が反発すると媒体が煽り始めました。

確かに、中国も韓国も反発をするとは思いますが、

私は、無視すべきであると思っています。

首相が、靖國神社に参拝してもしなくても、

日中・日韓関係は変わらないと思いますし、

逆に、無視する事で、新たな関係を築く事ができると考えるからです。


だいたい、首相の靖國神社参拝は、

中韓に実害をもたらす事はない上に、

今年一年を振り返れば、

中国・韓国の国内事情は不安定で、

逆に、日本が抗議すべき事件が幾つも起こりました。


例えば、中国ですが、

最近の中国情勢で、気になる事が三つ有ります。


一つは、公害、

対岸の火事ではありません。


公開日: 2013/02/25
中国科学院「スモッグから致死性の物質」
 


公開日: 2013/04/05
【禁聞】「大気汚染と奇形児 中国の危機」



次に、防空識別区です。

当ブログの「東シナ海防空識別区」(もう少し続きます)でも取り上げましたが、

日本の尖閣諸島・韓国の蘇岩礁・台湾・フィリピン等の上空に、

勝手に線引きした上、

フライトプランを提出せよ、

不審な場合は撃墜する等々、

防空識別区を自国の領空とはき違えて解釈し、

諸外国の顰蹙を買っています。

覇権主義を全面に押し出すような設定は、

国防部にとって利益がないばかりでなく、

習近平氏にも恥をかかせる事になりました。

もう少し、防空識別圏について研究した方が良いと思います。


三番目に、高級幹部の腐敗。

今年の10月25日、

収賄と横領、職権乱用の罪に問われた

元重慶市委書記 薄熙来(はくきらい)の二審が、

山東省高級人民法院で開かれ、

無期懲役が確定しました。


それ以降、高級幹部、特に石油閥の失脚が相継ぎ、

現在は、大物中の大物、

周永康が、取り調べを受けています。


習近平氏の「虎も蠅も叩く」という公言通り、

腐敗撲滅に着手した事は、共産党にとっても、日本にとっても喜ぶべき事です。

しかしながら、相継ぐ腐敗幹部の出現は、

共産主義を標榜する国として、

どうなのでしょう。


日本は既に、中国に3兆円以上の開発援助をしました。

援助の目的は、中国との友好関係を築く事だったはずです。


一方で援助を受け取り、一方で腐敗が横行し、

防空識別区の設定では覇権主義を露わにし、

また一方で、日本の首相の戦没者への参拝を非難するというのは、

おかしな事と言わざるを得ません。

筋の通らない事には、従うべきではありません。


我が国のすべきことは、

中国が首相の靖國参拝を、承認し、賛同し、

日本側も、習近平氏の腐敗撲滅を歓迎しつつ

一衣帯水の国の事とて、

公害その他の問題に対して、

日中両国で手を携えて解決する、

という方向で、

中国に働きかける事ではないでしょうか。


次に、韓国です。

残念ながら朴槿恵氏は、父親とは違って、

大統領としての能力に欠けていると感じざるを得ません。


例えば、12月19日、韓国では、

「韓国国会は19日の本会議で、日本の集団的自衛権の行使容認に向けた議論に「深刻な懸念」を表明し、日本政府に対し「軍国主義化や歴史否定などの動きの即時中断」を求める決議を採択した。

決議は、集団的自衛権行使容認を推進するに当たり「歴史の否定や歪曲があってはならない」とし、元慰安婦への賠償や竹島の領有権主張の放棄を要求。「韓国政府の同意なしに朝鮮半島で集団的自衛権を行使しないことを明確にするべきだ」と強調した…」(『日本の集団的自衛権推進に懸念 韓国国会、決議採択』2013.12.19 19:45「産経新聞電子版」

これは、明らかに内政干渉で、

もう自国と他国の区別がついていません。

別に、区別が付かなくとも良いのですが、

23日には、南スーダンで、以下の様な事が起こりました。

「政府は23日、武装勢力の襲撃で治安が悪化している南スーダンで、国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊部隊から、銃弾1万発を国連を通じて現地の韓国軍に無償で提供したと発表した。国連と韓国からの要請を受けたもので、政府は韓国軍や、その宿営地に身を寄せる避難民の安全確保のため「緊急性・人道性が高い」と判断し、PKO協力法に基づく物資協力の一環として応じた。自衛隊の銃弾が他国に提供されるのは初めて。

国連と韓国から「防護のための銃弾が不足している」との要請が22日にあった。これを受け、安倍晋三首相は23日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合と9大臣会合を招集して対応を協議し、持ち回り閣議で提供を決定した。

菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は23日夜、銃弾提供についての談話を発表した。提供は(1)隊員や避難民の生命・身体保護のため一刻を争う(2)現地で韓国軍と同型の銃弾は自衛隊しか保有していない-ことから「緊急事態」と判断し、武器輸出三原則などの例外と位置付けた。提供銃弾が避難民らの安全確保のみに使用されることなどを前提にしている。

また、官房長官談話では「平和国家の基本理念は維持しつつ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考えの下、今後も国際社会の平和と安定に一層貢献していく」と強調した。

PKO協力法は、PKOや国際救援活動などで「適当と認めるときは物資協力を行うことができる」としており、提供物資に銃弾が含まれるかの規定はない。銃弾は十分な備蓄があり、自衛隊の活動に影響はないという。

南スーダンでは国連南スーダン派遣団(UNMISS)が治安維持や施設整備などの活動を実施。陸自は首都ジュバに施設部隊約350人、韓国軍は東部ジョングレイ州に約280人を派遣している。同州では武装勢力の襲撃でインド軍の2人が死亡するなど、治安悪化が目立っている。

外務省は23日、「治安がさらに悪化することが懸念される」として、南スーダンの渡航に関する「危険情報」を、渡航延期要請から滞在者に対する退避勧告に引き上げた。

◇南スーダンの国連平和維持活動(PKO)20年以上の内戦を経て、2011年7月にスーダンから分離独立した国。日本政府は12年1月からPKO要員として陸上自衛隊施設部隊を順次派遣し、首都ジュバでインフラ整備に当たる。キール大統領派とマシャール前副大統領派との武力衝突が今月15日にジュバで勃発。19日にジョングレイ州の国連施設が襲撃されるなど、戦闘拡大を受け、陸自派遣部隊は宿営地外の活動を自粛している。」(『韓国軍に銃弾1万発提供 南スーダンPKO、人道・緊急性を考慮』2013.12.23 19:10 「産経新聞電子版」


韓国に銃弾を送る前に、

集団的自衛権は賛成します、武器の輸出も賛成します、

と一筆いれてもらうのが良いと思いましたが(冗談です)、

普段、陰口を言われていても、

「窮鳥懐に入らば猟師もこれを撃たず」で、

日本政府と自衛隊の取った行動は、

立派な、というよりも当然の行動でした。


私は、個人的に、

これで、日韓関係が上手く行くようになれば、

保守の政権の延長にも繋がりますし、

それはそれで好い事であるとも思いました。

ところが、この日本の援助に対して、25日には、

「韓国紙、朝鮮日報は25日、日本政府が南スーダンで国連平和維持活動(PKO)を展開する韓国軍への銃弾提供を「政治的に利用している」として、韓国政府が外交ルートを通じて日本に強い遺憾の意を伝えたと報じた。韓国政府高官の話としている。

銃弾提供に関する官房長官談話で「積極的平和主義の考えの下、今後も国際社会の平和と安定により一層貢献していく」と明記したことなどを念頭にしたとみられる。高官は「国連を通じて銃弾を迂回支援してもらっただけなのに、日本が軍事的役割の拡大につなげようとしている」と不快感を示したという。

一方、東亜日報は25日、銃弾提供を要請した韓国軍が、安全上の理由から提供が完了するまで非公開にすることを要請していたと報じた。日本側も同意したが完了前に日本メディアで報道され「銃弾輸送作戦が危険にさらされたとの批判が出ている」と伝えた。」(『銃弾提供を「政治利用した」 韓国政府が日本に強い遺憾伝達』2013.12.25 11:48「産経新聞電子版」)

もう一つ、

「政府が南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する韓国軍に小銃の銃弾1万発を無償で提供したことに関し、韓国が提供を求めた際、現地部隊が装備している銃弾数について「1人当たり15発」と説明していたことが24日、分かった。政府高官が自民党幹部に伝えた。韓国側は銃弾提供を要請していないと否定するが、菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は記者会見で「国連、韓国から要請があった。それが全ての事実だ」と述べ、在日韓国大使館から要請があったことを明らかにした。

またPKOで首都ジュバ滞在中の陸上自衛隊派遣施設隊の隊長、井川賢一1等陸佐も24日、テレビ電話で小野寺五典(いつのり)防衛相に経緯を報告。それによると、現地時間21日夜に東部ジョングレイ州ボルに展開中の韓国隊の部隊長から電話があり「ボルを守る部隊は韓国隊だけで周りは敵だらけだ。弾薬が不足している。1万発の小銃弾を貸してもらえないか」と要請があった。

これを受け、陸自は1発約80円の銃弾1万発を国連に無償で提供。輸送後の23日夕には韓国の部隊長から電話で「たった今空港で弾薬を受領した。この弾薬は日本隊と韓国隊の強い絆の象徴で、ジュバを訪れることができれば改めて感謝をお伝えしたい」と謝意を伝えてきたという。

韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権は国内世論向けに日本との親密さを隠す傾向があり、政府が銃弾提供を積極的に公表する背景には、韓国側のかたくなな姿勢を国際社会に示す狙いもあるようだ。」(『韓国軍「1人当たり銃弾15発」と要請、提供後は「日韓の絆の象徴」と謝意』2013.12.25 11:00「産経新聞電子版」)


喉元過ぎて熱さを忘れたのでしょうか?

日本は韓国に対しても、

既に3兆円以上の破格の開発援助をしています。

普通は感謝をして、

日韓関係の改善に繋げても罰は当たらないと思いますが、

平気ですね。


私は、朝鮮半島が専門ではありませんが、

日本の外交なのですから、

韓国との交流も、

日本の常識の範囲で、

行動すべきであると思います。


国籍は違っても、善悪の基準というか常識というような物は、

大体、何処の国も似ていると思っています。

お国のために亡くなった人々に対して

尊敬を以て参拝する事は何処の国でも行っている以上、

日本の首相が、靖國神社に参拝しないと、

他国から侮りを受ける事にもなりかねません。



中国・韓国に対する友好の努力は、

既に充分すぎるほどしたと思います。

靖國神社への参拝も、

中韓の顔色を窺う事はやめて、

諸外国の反応をこそ気にするべきです。


諸外国の靖國参拝への反応を考慮しつつ日本の方向を決定し、

日本の決定に対して、

中韓が賛成するよう交渉するのが、

日本外交の務めです。


それに、何度も言いますが、

裁判であるからには、

判決が出て、刑が執行された以上、

その後の祭祀に関して、他から何かを言われる筋合いは、

無いはずです。


A級・B級戦犯が祭られているから反対というのは、

前科のある人物を、

永遠に非難する事を認めるような物で、

日本の法律を、破壊する事にも繋がります。

まして、靖國に眠るのは戦場で亡くなられた英霊です。


中韓両政府のすべきことは、

自国の直面する問題の改善であり、

日本の内政に干渉する事ではないはずですし、

まして、日本の法体系を破壊する事でもありません。


ところで、皆さん、以下の事件を御存知でしたでしょうか。

「転覆から13日…重油回収続く~和歌山・串本沖

和歌山県串本町沖で座礁した、韓国船籍の2隻の船から重油の流出が続いていて、串本海上保安署が回収作業を続けています。

今月10日、千葉県から韓国に向かっていた海底の地盤を整備をする大型船と、それを曳航していたタグボートが、串本町沖で強風にあおられ相次いで座礁しました。

タグボートからは重油が流出。

さらに19日の強風で、転覆した大型船からも重油の流出が始まりました。

これまでおよそ9,000リットルの重油が流出したと見られていて、串本海上保安署は、海面に海水をまいて重油を分散処理したり、海岸に流れ着いた重油を布に吸着させて除去する作業を進めています。

2隻はともに韓国船籍で、船を移動させる業者探しが難航していて、撤去のめどは立っていないということです。」(『韓国船籍の2隻の船から重油の流出(約9,000㍑)…回収続く、撤去のめど立たず…串本沖』2013年12月23日(月) 19時12分)

公開日: 2013/12/11
串本町沖で座礁したタグボート


国民の知る権利は何処に行ったのでしょう?


日本国民は、

当然の事をする首相に、声援を送りつつ、

動もすれば中韓に都合の良い情報を流す媒体を注視し、

そうして、

首相の靖國参拝こそ、新たな友好の始まりであると、

中韓に伝えるよう務めるべきではないでしょうか。


首相の靖國参拝、

年末に、良い報道でした。

【党首討論】石原慎太郎『腰抜けの民主党内閣が・・・』言いたい放題!! 平成25年12月4日



「日本維新の会の藤井孝男国会議員団総務会長は26日、安倍晋三首相が靖国神社を参拝したことについて「御霊への尊崇の念を率直に表したもので、高く評価したい」と述べた。中国や韓国側からの反発が予想されるが、「毅(き)然(ぜん)として冷静に対応してほしい」と訴えた。」(『維新・藤井氏「高く評価したい」』2013.12.26 12:11「産経新聞電子版」)

維新の太陽系も宜しくね。

東シナ海防空識別区(參)

2013年12月11日 00時20分32秒 | 日記
次に、今回「東シナ海防空識別区」を発表した国防部の考え方を見てみたい。

・1月10日のスクランブル
国防部内部で、「防空識別区」の構想が、いつから持ち上がったのかは分からないが、今年1月10日、解放軍所属の2種類の戦闘機(殲-7、殲-10)、10数機が尖閣諸島に飛来した。以下は、その時の様子を伝える報道だ。

中方?机含?7?10等 3次?入日本防空??圈


「日本の媒体の報道によれば、多くの中国戦闘機が本日、釣魚島の上空に接近しました。日本の共同通信社の指摘によれば、日本の所謂"防空識別圏"に進入した解放軍戦闘機の機種には、殲-7及び殲-10が含まれています。

共同通信社は、日本の防衛省幹部の公表を引用し、航空自衛隊は本日(10日)昼頃、多数の中国軍戦闘機が、東シナ海の上空日本の所謂"防空識別圏"に進入したのを発見し、航空自衛隊は那覇基地のF-15を緊急発進させて対応、中国側の飛行機は間もなく関係の区域から離脱、並びに、日本の所謂"領空"に入りました。

防衛省の幹部によれば、"識別区"に進入した中国側戦闘機は、殲-7及び殲-10。他に、テレビ局の報道によれば、今回、釣魚島付近の空域に進入した戦闘機の数は十機を超えており、全て幾つかの編隊に分かれ、三度、日本の所謂"防空識別圏"に進入しました。」

現在中国語で使われているのは「防空識別区」という単語だが、報道の中では、日本の「防空識別圏」という名称が使われており、しかも、一分に満たない報道で四度(一度は識別区)もこの単語が登場する。「防空識別圏」は、中国では戦闘機のスクランブルとセットで注目され始めたようだ。

・防空識別区構想
中国での「防空識別区」が広く知られるようになるのは、カナダの『漢和防務評論』という雑誌で、解放軍内部の空軍と海軍が、中国近海の防空識別区設定について研究している事を取り上げ、更に、その内容を「鳳凰衛視」が9月25日に『軍情観察室』という軍関係の番組の中で報じてからだ。

「鳳凰衛視」の放送後、『漢和防務評論』は、多くの媒体でも取り上げられたが、11月に入ると「鳳凰衛視」が討論番組や特集を組んで放送し、広報に努めている。この事は、中国の「防空識別区」という物を考える上で注目に値する。

兎も角、以下が「鳳凰衛視」の報道で、ここには軍部の考える「防空識別区」の大まかな方針が説明されている。「防空識別区」の説明は、2分頃から5分54秒まで。(◎は私の説明)

鳳凰衛視9月25日《軍情觀察室》


董嘉耀(登場人物の名):

「最新の軍事情報をご覧下さい。『漢和防務評論』雑誌の最新号の評論の中で、中国大陸解放軍内部の情報を紹介しており、解放軍がまさに中国大陸沿海の所謂「防空識別区」を詳細に描き出さねばならないと考えており、この構想が中央軍事委員会の支持を得ていると説明している。文章は、特に解放軍内部の情報に言及していて、中国大陸の空軍と海軍が、中国近海に「防空識別区」を設定し、活動範囲を増大させようと研究しており、新たな体制での中央軍事委員会の支持も得ている。しかも、中国は関係の海区と海域・空域で、確実に軍事的コントロールを強め、軍事的活動範囲を拡大しなければならない、と説明している。

この評論は、特に過去の中国にも言及し、決して大きくも明確でもなく、自己の防空識別区という物を設定しておらず、ただ領海と排他的経済水域の概念があっただけだと述べている。現在研究中のこの防空識別区という物は、領海・領空の範囲に比較して10倍から12倍の大きさとなり、かりに中国周辺の排他的経済水域200海里の上空であっても、この空域が、中国の定めた軍事的活動範囲である防空識別区に変われば、定められた範囲が拡大し、必ず積極的に出撃し、更に多くの活動を行うことができる。

その上、防空識別区は(敵が)中国に接近しないうちに、更に大きな警告の時間と警告の範囲を、解放軍に提供する事ができる。我々は、中国大陸周辺のその他の地区と軍隊が、実の所みな、関係の防空識別区を設定している事を知っている、例えば、日本・台湾・韓国・ベトナム等々、みな相応の防空識別区を設定している。」

◎中国の考える「防空識別区」は、新体制下での中央軍事委員会の支持を得ており、軍の空軍と海軍が中心となって研究している。この中では説明不足だが、「大公ネット」『外媒稱中國擬劃沿海防空識別區 遏制美日偵察』(2013-10-14 03:19:31)によれば、「防空識別区」の範囲は、排他的経済水域の10倍から12倍となる。或いは、領空の範囲は10倍になる。しかも、中国の考える「防空識別区」とは、中国の軍事的活動が及ぶ範囲であり、他国の飛行機が進入した場合、中国はブロック、或いは、撃墜する事ができる、と考えられている。

◎今回の設定を正当化させるための中国側の意見としては、日本の「防空識別圏」は、日中中間線を越えて浙江省の海岸から130Kmしか離れておらず、その中には、釣魚島(尖閣諸島)・天外天・春暁・平湖等のガス田が含まれている。またロシアからも50Kmしか離れておらず、ロシアも中国も日本の「識別圏」を認めていない、と別の報道で述べられている。但し、この様な意見は9月の「鳳凰衛視」の番組の中でも、10月の「大公ネット」の中でも語られていないので、後になって出てきた論と思う。

因みに、台湾の報道によれば、真偽は定かではないが、今回の設定に当たって、日中中間線を境に、日本のはみ出している分の面積だけ、日本側にはみ出したと言う事らしい。雑誌《漢和》で述べられているのは、「日本・台湾・韓国・ベトナム等々、みな相応の防空識別区がある」事だけで、いづれにせよ、設定の動機の一つに、「中国には無いから」という事もあったのだろうと思う。また、周辺国の「防空識別圏」は、米国の影響で設定されているので、今回の設定については、米国の国力低下も背景にあるとは思うが、但し、この番組を看る限り、それらは重要な動機ではなかったはずだ。

*識別区重複の目的
「中国大陸の軍はずっと明確な防空識別区を持っておらず、一旦、真の200海里上空以外の防空識別と警戒区域を設定した後は、必ず、周辺のこれらの地区に関する軍隊の防空識別区と重複する事になるので、重複した後は、人民解放軍の出撃する柔軟性が増すことになる。重複した後は、双方の関係の戦闘機・レーダーのロックオン等々、出動するしない、相対的に早い遅い、すべてこれは柔軟性だ、重複するのも活動の為だ。」

◎「大公ネット」によれば、「防空識別区」に設定した後は、関係する海区・海域と空域が拡大するので、当該地域を軍事的コントロール下に置くために、出撃や巡航も更に多くならなくてはならない。重複した地域も、軍の活動のために同様の扱いとなる。

*解放軍のために設定された識別区
「解放軍内部の情報では、一旦、正式に中央軍事委員会に批准され、周辺の防空識別区が設定されると、解放軍に四つの利益がもたらされる。第一は、主に米日の中国に対する偵察だ。現在、中国周辺に対して展開されている偵察の多くは、米軍と日本の飛行機によるもので、一旦、防空識別区が設定され、範囲が明確になり、対外に公表した後は、米日がこの区域に進入して行う動作に関して、効果的に反撃できるようになる。この様に解放軍は法律の原理に依拠し、一旦、関係国の戦闘機・偵察機が中国の防空識別区に進入すると、中国は追い掛け、遮り、さらに反撃し、さらに撃墜し、有効に米日の偵察に反撃することができる。」

◎番組の中で司会(?)が説明している内容と、雑誌《漢和》の説明内容は、「大公ネット」によれば殆ど同じ。そして、どちらも、この「識別区」が解放軍のために設定された物であると述べている。だからこそ、「鳳凰衛視」が宣伝し、「国防部」の発表となったのであり、また、軍に相応しく攻撃的だ。

「第二に、中国大陸解放軍の沿海・沿岸の空軍・海軍の職責を、明確にするのに有効だ。以前は設定が無かったために、海軍の航空兵部隊を含む空軍は、どのように飛び立ち、出撃するのか、各自の設定した距離・全軍の職責、どの様な反応速度と方式なのか明確ではなかった。一旦、設定されれば各部隊の、特に空軍の戦闘機部隊、海軍航空兵部隊、ミサイル部隊、岸防部隊と防空部隊、それぞれの職責と権利の及ぶ範囲を明確にする事ができる。職責が明確になる。」

◎ここでは「識別区」設定後に、職責と権利の範囲を明確にする、と述べている。設定後に、いろいろ決めよう、或いは、決まるという事なのだろう。

「第三に、責任のなすり合いと勘違いを防止する事ができる。第三の効果は、一旦、適切な防空識別区を設定した後は、有効な行動が可能となる、この行動には探査レーダーの追跡が含まれ、また、戦闘機による追跡、遮り、さらに反撃、さらに撃墜、ミサイル部隊の警告照準、さらにミサイル部隊の撃墜等々が含まれる。一旦、この防空識別区の第三段階にはいると、有効的な、段階に応じての、軍事的反撃を展開することができる。

第四は非常に重要で、一旦、防空識別区を設定すると解放軍の装備の品質向上の助けになる。以前は、中国は広大な範囲の防空識別区がなかったので、解放軍の戦闘機も度々の出撃の必要もなく、これにより大型の現代的戦闘機、重装備で長距離飛行の可能な戦闘機は多くなかった。防空識別区を設定し、戦闘機に長距離飛行の必要性が生まれると、解放軍は最新の三代、もっと最新の戦闘機が、必ず大量に配備される。その上、旧型機、作戦半径内の飛行の出来ない戦闘機は廃棄され、対岸の長距離探査レーダーもアップグレードされる。

この様に解放軍の装備を整え、四つの利点もあるが、しかし、一旦この防空識別区が設定されると、必然的に周辺、特に日本と米軍と、これらの関係の偵察機と互いに接触し摩擦が起きる機会が増大する。刮目して待て。」

「防空識別区」に関する番組の説明はここまで。

「防空識別区」の目的は、第三と第四に顕著だ。「防空識別区」を設定する事で、レーダーや戦闘機が必要となるので、ゆくゆくは装備されることになる。

少し想像を逞しくすれば、陸軍は新疆・チベットの鎮圧、国内の集団抗議行動の鎮圧のために、経費も割かれ、装備も充実しているのだろう。兵器の購入に伴う余禄もあるはずだ。

しかし、空軍と海軍は、維持費が掛かる割に、海戦が起こるわけでもない。装備は古くなる。武器の購入がなければ、売上割戻も無い。経済発展から取り残されたと不満が募るかも知れない。そこで、解放軍の装備の充実、或いは、品質向上を目的として計画されたのが、この「防空識別区」構想なのではないだろうか。

そう考えると、例えば、何故「尖閣」が含まれ、何故「識別区」の範囲が広いのか、何故計画が国際法を無視して荒っぽいのか、果ては、今年1月からの、戦闘機の出撃やイージス艦の艦隊通過等々の謎が、全て解けるように思う。1月の戦闘機やレーザー照射事件は、日本に対する挑発の意味もあるかも知れないが、新体制が発足したばかりの中央に圧力を掛け、予算を取ることが目的だったのではないだろうか。

装備の更新(それに伴う腐敗)の為とすれば、危険であればあるほど予算は取りやすくなる。「尖閣」のような外国の地域が含まれていなければ、予算は取れない。空軍と海軍で計画したので、戦闘機の出撃を強調し、べらぼうに広大な、軍事行動可能な範囲を設定したものと推測される。「防空識別区」とは、海軍・空軍の装備を充実させるための、或いは、予算をもたらすための仕組みであり、設定する事で武器の購入開始となる。発表後、B-52や日本の戦闘機に反応しなかったのも、将来の装備を目指しての事で、現在は整っていないからだ。

・設定の範囲
因みに、解放軍が計画する「防空識別区」の範囲は、排他的経済水域の10倍から12倍、或いは、領空の範囲の10倍と述べられている。黄海から北部湾までの200海里とすると、日本の尖閣諸島や、韓国の蘇岩礁は言うに及ばず、台湾などすっぽり入る計画なのではないだろうか。更に、ベトナムとも摩擦を起こす物と思われる。

以下は、「鳳凰衛視」の11月5日に公開された動画だが、この中で「防空識別区」の範囲に触れているので、参考までに、ご覧頂きたい。訳は無し。

中國軍方未否認建防空識別區或加劇與日本摩擦


もし、「防空識別区」が、空軍・海軍の装備を充実させるための、一つの仕組みであるとするならば、中共指導者の、戦前の日本軍を殊更非難する論調も、新疆やチベットでの非道を掩う以外に、同様に解放軍の装備を充実させるという目的もあるのかもしれない。そう考えると、江沢民が嘗て、日本軍に対して、「我々は永遠にこの痛ましい歴史を心に刻むべきである」と語った事も、別の響きを持ってくる。

但し、新指導部が、日米と本気で事を構えようと思っているはずはない。要するに、戦争はしたくないが敵は必要、そのための「防空識別区」だ。日本にとって重要なのは、今は無い装備も、孰れは配備される可能性が高い事だ。



衆議院議員 平沼赳夫氏「今、原発ゼロにすることは国力の低下につながる」

『日中両国のためにならない村山談話』

2013年12月08日 01時31分28秒 | 日記
『日中両国のためにならない村山談話』

・始めに
二○一三年九月二日、「人民網・国際論壇」に『日本前首相村山富市:日本は如何にして同じ過ちを回避すべきか?(「日本前首相村山富市:日本如何避免重蹈覆辙?」)』と題する記事が掲載された。※「レコードチャイナ」には、『村山富市元首相が人民日報に寄稿、「現行の日本国憲法の改変は絶対に許してはならない」―中国』という題で取り上げられていたので、読まれた方もいらっしゃると思う。※Record China、日本の中国関連の時事を報道するニュースサイト

「レコードチャイナ」は、村山氏の「寄稿」と報じているし、「人民日報」にも「日前首相村山富市」と書かれている。しかし、原文の最後には「作者は日本の前首相、本社駐日本記者 劉軍国が取材し整理した」とあり、この記事は、インタビューを「整理」した物である、と断っている。

記者の整理した文章に、どれ程「人民日報」(=中共)の見解が反映されているのか、或いは、そういう物を「寄稿」と言うのか疑問の残る所だが、先ずは、「人民日報」の記事を紹介したい。

「私は若い頃からずっと、日本はアジアの一員として、地政学的な観点からにせよ、歴史から見るにせよ、アジア諸国と密接な関係にある。日本は、アジア諸国と信頼できる強固な基礎を築く必要がある、と考えている。これも私の人生の信条である。

私は首相に当選すると、先ず、韓国・中国等アジアの国家を訪問し、身を以て、第二次大戦中の日本の植民地統治と侵略により、アジアの隣国に拭い去る事の出来ない悲しみをもたらした事を感じた。私の首相の任期中、ちょうど第二次大戦終結50周年の歴史の節目にあたり、日本は、この前に犯した戦争の犯罪行為を深く反省し、同時に全世界に向けて、今後はあくまで平和・民主主義から国際協調に及ぶ発展してゆく道を歩む事を、表明しなければならなかった。この様な背景のもと、私は“村山談話”を発表した。

私が“村山談話”を発表したのは、日本が今後もしアジア及び世界各国と平和共存を望むのであれば、必ず過去の歴史に対して徹底的に清算しなければならない。私は、まさに“村山談話”を通じて、中韓等アジアの国家が、日本は歴史問題において過去とは明確に一線を画した事を知り、並びに、次第に理解し日本を受け入れ始める、と考えたからだ。これにより、第一次安倍内閣を含む、その後の歴代内閣も、皆、明確に“村山談話”を継承すると表明した。

しかし、安倍は二度目に首相に就任すると、“‘村山談話’を手つかずで継承する事は出来ない”と公言し、並びに、“侵略の定義は国際上まだ定論はない”と述べ、明確に“村山談話”を改正すべきと表明した。
安倍がどの様に“村山談話”を改正するつもりなのかは解らないが、しかし、もし侵略を否認するのであれば、まさに関係各国は、それ以前の日本の歴代首相の発言に対して、深刻な不信感を抱くだろう。第二次大戦終結後、日本の歴史教育は近現代史を教えることが少なく、目下、大多数の日本人は過去の戦争を理解しなくなっている。

正確に過去の歴史を学習する事は、隣国との友好関係を築く助けになるばかりでなく、日本の今後の発展に対しても重大な意義を具えている。

私は、日本の政治の右傾化を非常に心配している。日本の政治家はより一層日本の近現代史を学習する必要がある、とりわけ、日本がかつてアジアの隣国に対して行った植民地統治と侵略のあの歴史を。そうして始めて同じ過ちを回避する事ができる。

日本はまさに《ポツダム宣言》、《カイロ宣言》及び東京裁判の判決を受け入れた事により、やっと国際社会に復帰することができた。もし、日本の首相と閣僚がA級戦犯を奉る靖國神社に参拝すれば、それは日本がその前に受け入れた国際条約を否認する事を意味している。私は、首相と閣僚は靖國神社に参拝すべきではないと思う。

最近、憲法改正が重大な課題となっているが、しかし、私は、基本的人権を尊重し、平和と民主主義を基調とする日本の現行憲法を改正することは、絶対に許さない。広島の原子爆弾記念館の石碑には“過ちは繰り返しません”と刻まれている。私は、これは広島県の人民の誓いだけではなく、あらゆる日本国民の誓いであるべきだと考えている。平和国家になる事は、日本国憲法の指示するところのものだ。

(作者は日本の前首相、弊社駐日本記者 劉軍国が取材して整理した(作者为日本前首相,本报驻日本记者刘军国采访整理))

(《人民日报》2013年09月02日 03 版)」

この記事の主題は、「正確に過去の歴史を学習する事は、隣国との友好関係を築く助けになるばかりでなく、日本の今後の発展に対しても重大な意義を具えている。」という部分にある。更に、記事の内容は、《ポツダム宣言》から現在の安倍政権に到るまで、中共が特に注目する歴史について触れており、その間の日中の歴史を振り返るのに簡便だ。そこで、この稿では、記事の内容を検証しながら、何故、九月二日に村山氏の名を冠した記事が掲載されたのかと言う事と、「尖閣諸島」は日本の領土であると「人民日報」も認めていた、という二点について、両国の歴史に留意しつつ論じてみたい。

・村山訪中前夜
先ず「私は首相に当選すると、先ず、韓国・中国等アジアの国家を訪問し…」の部分だが、ここには、何時、どこで、何を見た、と言うような具体的な事柄が書かれていない。だからと言って、何も無かったはずだとは言わないが、第一次村山内閣は、平成六年(一九九四年)六月三十日から平成七年(一九九五年)八月八日までなので、この頃、村山首相は中韓を始めとするアジア諸国を訪問したはずだ。

ちょうど同時期、私は中国に住んでおり、村山氏より自由に、長時間、各地を見て歩く機会に恵まれた。しかし、氏の言うような、「第二次大戦中の日本の植民地統治と侵略により、アジアの隣国に拭い去る事の出来ない悲しみをもたらした」というような場面は、見ていないし、日本人の私に文句を言ってくる中国人もいなかった。

今から約二十年前の平成四年(九二年)十月二三日~二八日、天皇陛下が中国を訪問された。天安門事件(八九年)で欧米諸国から非難を受けていた中国に、日本が手を差しのべた形での御訪中で、その前後、大陸では、NHKドラマの「おしん」や、テレビアニメの「一休さん」が放送され、ちょっとした日本ブームが起きていた。北京建国門外には、ニューオータニ系列のホテル「長富宮飯店」の列びに、高級品や日本食を扱う「ヤオハンデパート」もできて、その一角は「日中友好」の象徴のようだった。

この頃、天皇陛下の御訪中を、中国の媒体が大々的に報じた事もあり、日本人はたいていの場所で、憧れをもって迎えられた。

例えば、大学に申請して農村に入り、大晦日前後の農家の様子を見に行った時の事だ。大学側は、学内で働く女性を紹介してくれたので、彼女の休暇に合わせて農村に入った。宿泊先の農家(彼女の実家)では、私のために小さな歓迎会を開いてくれた。日本人が村に来たというので、彼女の親戚や知り合いが、次々に私の周りに集まってきて、日本はどんなだ、とか、食べ物や電気製品の話で盛り上がった。子供も、まとわりついてきた。

夕食後、私が家の様子を写真に撮り始めると、当時の農村では写真はまだ珍しかったようで、彼女が「皆を写してほしい」と言うので、三十組ほどの家族写真を撮影した(撮影した写真は、大学に帰ってから現像して彼女に渡した)。翌日には、新年を迎える街の様子を見に行き、夜中にザーサイづくりの農家に行って、新年を迎える祭を見せて貰い、皆で餃子を包んだりした。最終日、大学に帰る時には、家族で駅まで見送りにきてくれて、贈り物なども頂いたが、中に彼女のお姉さん手作りの刺繍の施された靴の中敷きが入っていて、少なからず感動した覚えがある。中国には、女性が手作りの中敷を、大切な人送る習慣があるからだ。

別に、農村に限らず、図書館や博物館で、或いは、列車やバスに乗車した時、当時中国にいた日本人は、皆、中国人から好意的な応対を受けていたはずだ。ほんの一時期ではあったが、この頃の日本と中国の関係が、「日中友好」の最善の姿ではなかったかと思う。

その後、九三年 江沢民が国家主席となり、九四年村山内閣成立。
九五年五月三日、村山首相が江沢民国家主席と中南海で会見。

日本と中国の関係が、おかしな事になるのは、村山富市氏の訪中後だ

・反日の萌芽
一九九五年五月四日の「人民日報」第一面、中央の見出しには「江主席 村山首相と会見、双方は歴史に対して正しい態度をとり、将来に目を向ける事が両国の関係を押し進め更に発展させるとの意を示した」と書かれている。江沢民は会見の中で「我々は永遠にこの痛ましい歴史を心に刻むべきである」と言っており、また、「李鵬総理 村山首相と会談、二十一世紀に向かう中日関係を更に発展させたいとの意向を示した。村山首相は中国人民英雄記念碑に花輪を捧げた」との、写真付きの記事が掲載された。

同新聞の四面にも、「日本の首相 抗日戦争記念館を参観、村山の書き置きには、歴史を直視し、日中友好と永久平和を祈る、と」、蘆溝橋を参観した時の様子を載せている。靖国神社には参拝しなくとも、中国人民英雄記念碑には花輪を捧げている新聞の写真を見て、私は、村山富市という人物に、この時、日本の首相である自覚があったのか非常に疑問に思っている。

この会見から約一ヶ月後の、「人民日報」九五年六月十二日号に、初めて大々的に排日の記事が掲載された。三面、一番上に大きく「中国人民抗日戦争勝利五十周年を記念す」と書かれ、この連載について、「…中国人民抗日戦争勝利五十周年を記念し、愛国主義を発揚し、民族の精神を奮い立たせるために、人民解放軍総政治部宣伝部と本紙国内政治部は、共同で《この歴史を忘れるな》という特集を組み、専門家の意見・レポート・インタビュー・写真等のついた一連の原稿を掲載します。本日は、中国国際戦略学会会長 徐信の著した《血まみれの歴史 偉大な貢献》の一文を掲載し、この特集の序章としたいと思います。」、と説明している。

この特集記事は、新聞のまるまる一面を使って、大々的に行われた連載だった。私は、この「人民日報」の記事が、その後十数年間続く排日運動を方向付ける記事であったと考えている。また、この記事と村山・江会談が無関係であるはずはない。

連載が始まった頃、私は中国人からよくこんな事を聞かれた、「この間まで中日友好、中日友好と言っていたのに、日本はこれでいいのか?」。この頃の「人民日報」は、一部十六面の新聞で、一面まるまる使って排日の記事を連載するのは、中国人の目にも常軌を逸した扱いに映じていた。

私は、村山内閣か、或いは、天皇陛下の御訪中をお膳立てした人々が、中国に対して抗議をするだろうと思っていた。御訪中については、多くの反対があり、反対を押し切った人々には、友好を持続させる責任があるはずだった。だいたい、この様な記事が新聞に連載されては、日本人は中国に住んではいられない。邦人の安全の為にも、何か策を講ずると思っていた。

しかし、日本政府は中国の排日運動を看過したのみならず、九八年、排日運動の首謀者である江沢民を招聘し、宮中晩餐会に呼び、日中共同宣言まで発表した。八九年には、民主化運動に理解を示して追放された趙紫陽の後任として、学生の弾圧を肯定して総書記に就任。九六年には、中華民国総統選に圧力を掛けるために、台湾海峡にミサイルを撃ち込んでいる。私は、江沢民を嫌いだと言う中国人には大勢会ったが、好きだという中国人には会ったことがない。日本のリベラルとか親中派と呼ばれる人々は、中国の排日運動をどう思っていたのか、非常に疑問だった。

更に不思議なのは、《この歴史を忘れるな》の掲載された「人民日報」は、共産党の機関紙として、発行部数一千万部を誇る中国第一の新聞だった。八九年に「天安門事件」が起こって僅か六年、当時、日本大使館や領事館に勤めていた官僚や日本の職員が、中国の新聞を読んでいないはずはない。文化大革命が上海の「文匯報(ぶんかいほう)」から始まったように、排日愛国運動も、「人民日報」から始まった。彼等はこの記事を、どう考えていたのだろう。

・毎年のように戦争をする国
さて、九月二日の報道に話を戻したい、「私の首相の任期中、ちょうど第二次大戦終結50周年の歴史の節目にあたり、日本は、この前に犯した戦争の犯罪行為を深く反省し、同時に全世界に向けて、今後はまさに、断固として平和・民主主義から国際協調に及ぶ発展してゆく道を歩む事を、表明しなければならなかった。この様な背景のもと、私は“村山談話”を発表した。」

この部分は、おかしな文章と言わざるを得ない。例えば、日本が第二次大戦終結後も、ずっと変わらず、何処かの国と戦争を続けていたのであれば、「戦争の犯罪行為を深く反省し」「今後はまさに、断固として」という言葉が生きてくる。

ところが、日本は、中国に尖閣で難癖をつけられ、韓国に自国民を殺害され竹島を侵略されているにもかかわらず、五十年間全く戦争をしていない。その上、中国に対してだけでも、一九七九年以降、有償資金協力(円借款)を約3兆1,331億円、無償資金協力を1,457億円、技術協力を1,446億円、総額約3兆円以上のODAを実施している。何も世界に向けて、改めて平和・民主主義・国際協調を表明しなくとも、日本は平和国家だ。この記事の事実認識は、そもそもおかしい。

言葉の使い方も変だ。「この前に犯した戦争の犯罪行為」と書かれているが、五十年前は「この前(原文は「此前」)」ではない。五十年前を「この前」と言うのは、中国語の感性に近い。その上、「今後はまさに、断固として平和・民主主義から国際協調に及ぶ発展してゆく道を歩む」という表現も、これまで戦争をやり続けて来た国の目線だ。

ここで少し、中国の歴史を振り返りたい。

一九三七年七月七日の蘆溝橋事件に始まる日中の戦争は、四五年のポツダム宣言受諾で終わりを告げる。日本が引き上げて後、四六年から再開した国民党との戦争を含め、中共と近隣諸国との戦いの状況は、次のような物だ。

一九四六年、国民党と共産党が内戦を再開。
一九四九年十月一日、共産党による中華人民共和国成立。
一九五○年六月二五日~五三年七月二七日、朝鮮戦争勃発。北朝鮮側に参戦。
一九五○年、チベットに侵攻、
一九五六年、中共の社会主義強要をきっかけにチベット動乱勃発。
一九五五年、五八年、台湾を攻撃
一九五九年九月、印度と中国の国境で武力衝突が起こり、
一九六二年十一月、中印国境紛争勃発、大規模な武力衝突に発展した。
一九六九年三月二日、十五日、中ソ国境紛争。ウスリー川の珍宝島の領有権をめぐって
        大規模な軍事衝突が起きた。
   同年八月、新疆ウイグルでも中ソ軍事衝突起こる。
一九七九年、中越戦争勃発、ベトナムによって倒されたカンボジアの
      ポルポト政権の敵討ちでベトナムに侵攻。一ヶ月で撤退。
一九八八年、赤瓜礁(せっかしょう)海戦、
      スプラトリー諸島の領有権をめぐって、中国海軍とベトナム海軍が衝突。

この他、中国国内での動乱として、

一九六六年~一九七六年、文化大革命
一九八九年六月四日、天安門事件

八九年の天安門事件に至るまで、毎年のように、韓国・チベット・台湾・印度・ソ連・ベトナム等アジアの近隣諸国と事を構え、中国国内では、一九六六年、文化大革命と言う名の権力闘争を開始して泥沼になり、一九七六年、周恩来が一月八日に、混乱の首謀者毛沢東が九月九日に相次いで病没し、新首相の華国鋒が十月六日、四人組を逮捕して漸く終結している。

要するに、九十年代に入るまで中国はまるで落ち着いていない。近隣諸国、或いは、自国の民に対して、「平和・民主主義から国際協調に及ぶ発展してゆく道を歩む事を、表明しなければならない」のは、中共なのだ。

・右顧左眄
一九四九年十月の建国宣言から五六年頃までに、共産党内部には経済構造を巡る二つの論争が存在したと言われている。一つは、毛沢東の論、一つは劉少奇の論。両者は共に社会主義という前提に立ちながら、毛沢東は独自の社会主義のありかたに邁進する方向を選び、劉少奇は、社会主義という前提とは別に、社会の発達する過程に資本主義的発達を設定する。この二つの考え方は、そもそも、前提である社会主義の経験的真偽が不明なので、この時点でどちらが正しいという事はない。

更に、付け加えるなら、毛沢東にせよ劉少奇にせよ、党員の特権官僚化を可能にする一党独裁体制(中国は建前上は多党制)を否定する事はできていないので、そこから生まれる権利の独占や官僚の汚職は、どちらの路線を選択したところで、体制が存続する限り残り続けると思われる。

毛沢東と劉少奇の対立は、九十年代に入ると「姓資姓社」(中国は資本主義か、社会主義か(開放路線を非難するのに使われた))論争に代表されるような、小平等改革派と陳雲等保守派の対立を生んだ。

結党以来の二つの路線は、例えば、小平の開放路線では、毛沢東の時代には排斥された「資本家(ブルジョアジー)」は、「社会主義市場経済」を牽引する存在である「企業家」に変わる。この二つは異質であり、激しく対立し、争いの元となる。

右顧左眄(うこさべん:右を見たり左を見たり様子を窺ってばかりで決断できない)と揶揄された江沢民は、国家主席に就任すると、「中国共産党は依然として中国労働者階級の前衛部隊である」という立場を取り、九三年、毛沢東生誕百周年を祝うための記念行事を盛大に行い、それまで、大躍進や文革で地に落ちていた毛沢東の評価を変化させた。

また、九二年に小平が改革開放路線を推進するために、深玔などを視察して「南巡講話」を発表すると、「一部の地域と一部の人が先に豊かになる事を奨励し」、九三年の十四期三中全会以降、経済政策における基本方針とし、「最終目標は共産主義の実現」という目標を掲げた。政権を執るに当たって、保守左派の江沢民が、小平を始めとする改革右派を気遣った形だ。

・寝た子を起こした村山訪中
一九八九年の「天安門事件」は、学生を中心に民主化の要求から起こったと言われている。それは、一党独裁に対する不満や、自由への渇望、経済が好調であった日本や欧米に対する憧れの過激な発露であり、中国共産党の終焉を、国内外に知らせる事件であった。その為、九二年以後も、人民の憧れが、相変わらず資本主義陣営にある事を示す日本ブームは、共産党にとって、必ずしも歓迎すべき状態ではなかったはずだ。特に、保守派の江沢民にとっては、天安門事件の頃から国家主席に就任した後も、依然として厄介な状態に変わりはなかったのではないだろうか。

九五年当時、中共は大々的に排日運動を展開したが、人民は、相変わらず民主化を望んでおり、経済大国である日本や米国は、一般の中国人の憧れだった。それに対して、共産党に対しては、開放政策の恩恵も一般の人民には届いておらず、また、文革で下放されたり、従軍した世代が現役で、共産党に対する不満も高かった。それで、ある種、事実を公平に見ていて、「俺は、人民解放軍の腐敗の方が問題だと思うね。」そんな話しをしていた。日本人に対して、戦争責任など追及する状況ではなかったのだ。

村山氏は、「ちょうど第二次大戦終結50周年の歴史の節目にあた」ったので表明しなければならなかったと述べているが、全く必要のない、寝た子を起こす「談話」であったと言わざる得ない。歴史的に見ても変だ。共産党による中華人民共和国成立は四九年の事で、四五年の大東亜戦争終結の時には誕生しておらず、当時、国際連合に加盟していたのは中華民国だ。更に、中華人民共和国とは七二年の国交回復まで、書類上は戦争状態にあったはずだ。すると、「50周年」の「アジア」とは、何処の国を言っているのだろう。

だいたい、談話を発表する根拠として、「50周年目」だからと言うのは、希薄だし唐突だ。出したかったから出したと言うのに等しい。ならば、今年は大東亜戦争終結六八周年目なので「談話」を廃棄する、という論も成り立つのではないだろうか。

日本は「悪」、共産党は「善」という構図の下で、日中関係が良くなるはずはない。日本は、隣国の内政問題に対して、その解決のために理想を述べる事をせず、“村山談話”という形で関与した。一方、中共は「打倒帝国主義(=日本軍国主義)」を旗印にしながら、実際には、帝国主義的外交政策を正当化する根拠として、“村山談話”を用いている。実に不健全な関係であると思う。

例えば、私のこの様な物言いが、正鵠を射ていないとしても、村山氏の訪中前に比較して、日中関係が極端に悪くなり、中国国内での集団抗議行動も激増している事は明らかだ。私は、現在中国の抱える問題の、その責任の一端は“村山談話”にあると思っている。一日も早く、「談話」を撤廃すべきだ。

・「平和共存」の意味する物
次に、記事の「私が“村山談話”を発表したのは、日本が今後もしアジア及び世界各国と平和共存を望むのであれば、必ず過去の歴史に対して徹底的に清算しなければならない。」の部分だが、ここには耳慣れない「平和共存」という言葉が使われている。

「平和共存」とは、そもそも冷戦時代に、ソ連のフルシチョフが称えた物で、資本主義陣営と共産主義陣営は共存しうると言う物。社会制度を異にする国が共存することを指す。この頃、東西冷戦に伴い核開発競争が盛んで、ソ連が「共存」を称えた背景には、軍事費の問題があったと言われているが、これによって米ソが接近した。

同時期、中国は印度に接近し、一九五四年、周恩来首相と印度のネルー首相の会談で「平和共存五原則」が締結された。五原則とは(1)主権と領土保全の相互尊重(2)相互不可侵(3)相互内政不干渉(4)平等互恵(5)平和共存。

「人民網日本語版」によれば、二○○四年六月二八日、当時、国務院総理であった温家宝は、北京で開かれた「平和共存五原則提起50周年記念大会」で、次の様に演説している。

「…平和共存五原則は長い歳月がたっても堅固で、強い生命力を持っている。なぜならそれが「国連憲章」の趣旨と原則、国際関係発展の本質的要求、世界各国人民の根本的利益に合致しているからである…新しい歴史条件の下で、五原則は真剣に遵守され、適切に履行されるべきである。五原則を強力に発揚し、世界の平和と発展を促進するため、中国政府は次の点で各国と共に努力することを望んでいる。

(1)国家主権の平等を揺るぐことなく断固として守る。
(2)世界文明の多様性を維持、尊重する。
(3)平等互恵を基礎として各国経済の共同発展を促進する。
(4)対話と協力を通して世界の平和と安全を守る。
(5)国連とその他の多国間システムの重要な役割を十分に発揮する。

中国はこれからも引き続き独立自主の平和外交政策を遂行し、平和共存五原則を揺るぐことなく断固として遂行し、すべての国と友好協力関係を発展させ、世界の平和と発展のために新たな貢献をしていく。」「人民網日本語版」2004年6月29日

要するに、「平和共存」とは、日本人にとっては馴染みのない言葉だが、中国人にとっては、「国連憲章」に合致した、中共主導で進められる外交戦略の事だ。

だからこそ、中共お得意の歴史問題を持ち出して、「必ず過去の歴史に対して徹底的に清算しなければならない」と続く。日中双方の条件や思惑が絡み合う「補償」と言う場で、「徹底的に清算:原文は「彻底清算」」など、実現不可能な稚拙な表現と思えるが、この一文を中国人民が読めば、日本の首相経験者の語る中共礼賛と映る事だろう。

因みに、五十年前「平和共存」の動きは、ソ連が台湾を承認している米国に接近した事で、中ソの対立を生み、その後、中ソ国境紛争に発展した。また、中国がチベットに侵攻した事で、一九五九年からは中印国境紛争に突入している。領土的野心から関係が悪化し戦闘に発展しているので、日本は「平和共存」には、関わらない方が良い。

・周恩来も認めた尖閣の領有権
さて、九月二日の記事には、唐突に《ポツダム宣言》と《カイロ宣言》が登場する。その理由は、この二つが尖閣諸島の領有に関係しているからだ。

日中間で最初に交わされた、一九七二年の「日中共同声明」には、「三、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」という一文がある。
この中の「ポツダム宣言第八項」に、「八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」と、日本の主権は、本州、北海道、九州、四国及び「我らが決定する諸小島」に限定する、と書かれている。これを根拠に、中国側は、尖閣諸島を中国の領土と主張する。

しかし、敗戦後の日本に対する方針を決定した条約には、カイロ宣言(一九四三年十二月)・ポツダム宣言(一九四五年七月)の他に、サンフランシスコ講話条約(一九五二年四月)がある。その第三条には、

「日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」

として、これらの地域は、一時、合衆国の信託統治下に置かれ、一九七二年五月発効の琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(沖縄返還協定)により、我が国に返還された。

更に、昨年八月、ネット上では、尖閣の領有権に関して、二つの記事が話題となった。一つは「人民日報」一九五三年一月八日の『琉球群島人民の米国占領に反対する闘争』(原題「琉球群島人民反對美國佔領的鬥爭」)という記事だ。これは人民出版社から出版された『新華月報』一九五三年(2)に納められている。

記事は「サンフランシスコ講話条約」の翌年に書かれた物で、米国の沖縄占領を「侵略」と決めつけ、同条約に異議を唱え、並びに、沖縄人民の、米国の占領に反対する闘争を賞賛する内容となっている。

「…「カイロ宣言」「ポツダム宣言」等の各項目、国際協議の中に琉球群島の信託統治を決定する規定がないのも顧みず、ソ連政府と中華人民共和国政府の度々の声明も顧みず、一百万琉球人民のきっぱりとした反対も顧みず、(「サンフランシスコ講話条約」を日本政府と勝手に結び)、…米国はこの様な卑怯な手段で、勝手に無期限に琉球群島を占領するという侵略行為に「合法」の外套を着せた後、昨年四月一日に、島に比嘉秀平を党首とする琉球傀儡政府を誕生させた…。」

ここに記されている「琉球群島」について、この記事の始めに、次のように書かれている、

「琉球群島は、我が国台湾の東北と日本の九州島西南との間の海面上に散在し、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、土噶喇諸島、大隅諸島等七組の島嶼が含まれ、合計、五十島以上の名称のある島嶼と四百数島の無名の小島があり、全ての陸地面積は、四千六百七十平方キロメートルである。群島中最大の島は沖縄諸島中の沖縄島(即ち大琉球島)で、面積一千二百十一平方キロメートル、その次は大島諸島中の奄美大島で、面積七百三十平方キロメートル。琉球群島は遠く一千キロメートルにわたって広がり、その内側は我が国の東海、外側は太平洋の公海である。」

と、琉球群島に尖閣諸島が含まれている事が、明記されている。

もう一つは、「人民日報」評論員が一九五八年三月二六日に書いた『無知の捏造』(原題「無恥的捏造」)と言う記事だ。これは、一九九六年に中国社会科学出版社から出版された『戦後中日関係文献集1945-1970』(原題、「戰後中日關係文獻集1945-1970」)に納められている。

この記事には、一九五八年三月十六日に、沖縄で行われた立法院議員総選挙で、民主主義擁護連絡協議会が五名を当選させた時の事が書かれている。その時に、米国の選挙妨害があったらしく、三月十四日の晩、北京放送局の名義を騙り、沖縄に対して、中国外交部報道官が「中国は絶対に琉球に対する主権を手放さない。」と放送したという物だ。中国側は、沖縄の日本への返還を阻止するための、米国側の「無恥の捏造」であると抗議している。そして、周恩来の発言を引用して、中共の沖縄に対する立場を説明する場面があり、

「我が国の周恩来総理も以前、一九五一年八月十五日の《米英対日講和条約草案及びサンフランシスコ会議に関する声明》の中で、米国が琉球群島・小笠原群島等に対して"信託統治権"を保有する、という話を却下した時に、「これらの島嶼は、過去の如何なる国際協定の中でも、未だ嘗て日本を離れたと規定された事はない」と指摘した。」と書かれている。

この二つの記事は、「大躍進」や「文化大革命」より以前、毛沢東も周恩来も小平も存命であった頃に書かれた物であり、その中で、五一年には周恩来が「琉球群島」は日本の領土であると言い、五三年の「人民日報」の記事には、「琉球群島」の中に「尖閣諸島」が含まれると述べられている。

「尖閣諸島」の問題を論ずる場合に、必ず「七十年に国連が行った海洋調査でイラクに匹敵する石油埋蔵量の可能性が報告されると、中国が領有権を主張し始めた」と言う事が言われるが、誠にその通りで、上記の記述からは、五十年代には中共指導者の間で、「尖閣諸島」が確実に日本の領土であると考えられていた事が分かる。当時、小平が「人民日報」を読んでいないはずはない。「棚上げ論」など無かったのだ。

・九月二日の謎
それにしても何故、九月二日に、日本の元首相 村山富市の名を冠した文章が、「人民日報」に発表されたのだろう。
ここ数ヶ月の、中国の情勢を振り返ると、例えば、七月八日、元鉄道部部長 劉志軍が収賄・職権濫用の罪で、一審、執行猶予二年の死刑判決、及び、個人財産没収の判決を受けた。八月二二日からは、山東省(さんとうしょう)の省都済南市(さいなんし)で、薄煕来の裁判が始まり、九月二日に、中国共産党の機関紙「人民日報」に、村山富市の名を冠した文章が掲載された。また、八月末からは、石油閥の逮捕が相継ぎ、九月二二日に、薄煕来の一審の判決が言い渡された。

昨年、二○一二年十一月十五日、新体制が発足し、習近平が総書記に就任した。習は、13億の頂点に立ったが、現在、中国が抱える問題は、それぞれ深刻な状況にあり、日本を含めた海外では、バブルの崩壊のみならず体制の崩壊も囁かれている。

さて、六八年前、東京湾上に停泊した戦艦ミズーリ号甲板で、日本は降伏文書に調印した、まさにその九月二日に、記念日にうるさい「人民日報」が、村山富市氏の名を冠した文章を掲載した。掲載された時期を含めて、逮捕や裁判がこの時期に集中しているのには理由がある。

・十八期三中全会
改革開放以来、一期五年の中央委員会(党の最高指導機関、中共中央・党中央とも言われる)は、およそ七回の全体会議を開くことになっている。中央委員会全体会議(中全会)は中央政治局によって召集され、毎年少なくとも一回は開かれる。会議の議題はだいたい決まっていて、一中全会と二中全会は、国家機構の“人事”を取り上げ、三中全会では通常、今期の中央と政府の“大目標”を掲げる。七中全会は“引き継ぎ”だ。

一中全会はたいてい、党の代表大会の直後に開かれる。主題は“人事”で、政治局常務委員、中央軍事委員会委員等を決定する。昨年、十一月十五日、十八期一中全会では、習近平が政治局常務委員に再選され、総書記と党中央軍事委員会主席に選出された。二中全会は、国家機構の人事で、今年の二月二六日から二八日まで開かれた十八期二中全会では、国務院の改革方案、及び、国家機構と全国政治協商会議の人選が議題となった。

中共は、政策の一大転換が、三中全会でなされることが多い。十一期三中全会(一九七八年)では、文化大革命を清算し、“階級闘争を以って綱領と為す“(文革は階級闘争と捉えられていた)事から改革開放路線への転換がなされた。十二期三中全会(一九八四年)では、農村から都市への改革が掲げられ、十四期三中全会(一九九三年十一月)では、社会主義市場経済体制が、採択されている。

八月二七日、中央政治局は会議を開き、十一月、北京において、中国共産党第十八期中央委員会第三次全体会議を開くことを決定した。今回の「三中全会」は、十一月九日から十二日まで開かれた。

・二つの歴史は否定できない(两个不能否定)
二○一三年一月五日、新たに決まった中央委員会委員、及び、候補委員の、十八期精神学習研修班が中央党学校で開かれた。習近平は講話を発表し、改革開放前後の歴史について、次の様な事を語った。

「改革開放後の歴史時期を以て、改革開放前の歴史時期を否定する事はできない。改革開放前の歴史時期を以て、改革開放後の歴史時期を否定する事もできない。」「二つの歴史は否定できない」。発言の目的は、中国の特色ある社会主義の堅持と発展、党の政権基盤の強化にある。

一九四九年に新中国が誕生してから、一九七八年の十一期三中全会までを、改革開放前の歴史とし、それ以後を改革開放の時代とする。この二つの歴史は、開放前は「大躍進」・「文化大革命」に代表される大失敗があり、開放政策からは、「汚職」「公害」を始め様々な問題が噴出している。

しかし、習近平は、開放政策によって多くの矛盾と問題が生みだされていても、西方国家が二、三百年掛けて発展する所を、中国は数十年で発展した。同時に、中国は13億の人口を擁する大国であり、その工業化、現代化の規模は、如何なる西方の発展した国々も比較する事ができないほど大きい。また、開放前の時代は、毛沢東と深い関係があるが、毛は社会主義制度と党と国家を作った人物だ。毛を否定する事は、社会主義制度と党と共和国の歴史の否定につながる。それは、天下の大乱を招く事になる、と危機感を募らせる。

そこで、「二つの歴史」を肯定し、改革開放前を、社会主義革命と建設・発展の基礎を築いた時代と位置づけた。中国の特色ある社会主義は、十一期三中全会以後の開放路線に始まるが、その源流は改革開放以前の歴史にある。もし、開放政策を行わなかったら、ソ連や東欧の様な亡党亡国の危機に晒されたであろう。「大躍進」「文化大革命」の失敗はあるにしても、毛沢東がいなかったら現在の繁栄はない、と言うのである。

実際には、毛沢東路線と小平の改革路線は全く違う。だからこそ、十一期三中全会の前後で、保守左派・改革右派に分断された路線と政策を、この様に説明することで、習近平は指導者として、歴史的に二つの時代をまとめて見せた。改革開放を続けるか否かの問題は、取りも直さず、社会主義を続けるか否かの問題に通じているが、二○一二年末で党員数8512万7000人を擁する共産党の頂点に立ち、国家主席でもある習近平が、党と国家を否定できるはずもない。

・“二つのすべて”
一月のこの話を、「人民日報」は十一月八日の三中全会直前に、第六面に掲載した。「二つの(两个)」と聞けば、思い出される事がある。

一九七六年十月六日、文化大革命の主導者であった江青や張春橋等四人組が逮捕され、文化大革命が事実上終結し、十月七日、華国鋒が党主席・中央軍事委員会主席に就任した。十月二六日、華国鋒は中央宣伝部の報告を受けているときに、”およそ、毛主席が話した事は、全て賛成だ、批判の余地は無い”などと言い“二つのすべて”について述べた。

“二つのすべて”とは、「およそ、毛主席が出した政策は、我々はすべて断固として守る、およそ毛主席の指示は、我々はすべて終始変わらず従う(凡是毛主席作出的决策,我们都坚决维护,凡是毛主席的指示,我们都始终不渝地遵循)」と言う物。

この様な発言が出た背景としては、当時は、「四人組」等の問題が解決した直後で、まだ中国全土に左派的風潮が残っており、「文化大革命」の御蔭で国務院総理となった華国鋒も、「文革」を肯定する左派的人物だった。更に、当時、中共内部には、毛沢東を神聖化し、毛の一言一句を真理と崇める集団がおり、“二つのすべて”という一種の政治宣言をする事で、自身が毛沢東の正統な後継者である事を示す事が目的だった。

この話が一九七七年二月七日の《人民日報》等の社説で発表された事で、中共内に騒動が持ち上がった。断固として反対したのは、小平と陳雲で、特に小平は、まだ復権していないにもかかわらず、旗幟鮮明に反対を表明した。四月十日、彼は党中央に“我々は必ず、代々、正確で完全な毛沢東思想を以て、我々の全党・全軍・全人民を指導しなければならない”と書かれた手紙を送りつけた。毛沢東を肯定しつつも、言外に「大躍進の失敗」「文化大革命の失敗」を述べていることは明らかだった。その内容を党中央が公表すると、党内での“二つのすべて”の影響力は消滅した。これ以降、中国は改革開放路線へと進んで行く。

この話には、後日談がある。

二○一二年十一月八日、中国共産党第十八期全国代表大会が北京で開かれた。総書記胡錦濤は十七期中央委員会を代表して、大会で報告を行ったが、その中で“およそ、大衆の身近な利益に関する決定には、すべて充分に大衆の意見に耳を傾けなければならない。およそ、大衆の利益を損なう方法は、すべて断固として防止し矯正しなければならない。”改革開放前夜の古い“二つのすべて”の言い回しを使って、現代化への方向転換を述べた。これが、新たな“二つのすべて”と言われている。

さて、習近平の「二つの歴史は否定できない(两个不能否定)」は、華国鋒から小平・胡錦濤に続く路線を意識して発言された物だ。それは、改革開放路線へ、そしてその先の民主化を示唆してはいるが、その中心にあるのは、「大躍進」「文革」の失敗を除いた毛沢東の執政だ。国内の危機的状況に直面して、開放路線を内包した独裁体制に力を入れているところは江沢民に似ている。だからこそ、党内宥和を目指した標語を掲げ、一方で、薄煕来や鉄道省幹部の裁判(保守派の負の側面)で反対勢力の力を削ぎ、一方で、中共の正統性を演出するのに有効であり、江沢民の業績とも言える「村山談話」に関わりのある記事(保守派の正の側面)が、「人民日報」に登場したのではないだろうか。

・結び
天安門事件から数年後、中国共産党は、日本の戦争責任を追及し、日本は「村山談話」を発表するが、こうした、謝罪で中共の政権基盤を支えるような外交を行うような事をすると、中共の政権が危うくなる度に、日本が支払った賠償金や謝罪に関係なく、排日運動が起こり、しかも、中共の政権基盤が揺らげば揺らぐほど、排日は酷くなる可能性を孕むことになる。謝罪外交を続ける限り、日中の関係は悪化する事になる。

しかも、中共にとって「歴史問題」や対日政策は、問題の先送りにすぎず、中国の種々の不安定な要素、例えば、経済成長の減速、不動産バブルの崩壊、社会の不平等、腐敗の横行、環境の悪化、官僚が土地を強奪し、下層階級は不安定で、中産階級は失望し、上流階級は制御不能に陥り、民族問題が多発する等々の根本的な問題の解決にはならない。

習近平に求められるのは、これらの不満に対する妥当な処置、改革を行い、社会の混乱を招く事のないようにする事で、「村山談話」に象徴されるような、「邪悪な日本軍」対「正義の味方の共産党」という勧善懲悪の物語で、共産党にとって都合の悪い歴史を覆い隠す事ではないはずだ。まして、「歴史を学べ」と言いながら、日本の歴史を奪うことでも無い。

「村山談話」は日中両国に何ももたらさなかった。それどころか中共の圧政に苦しむ人々を生みだし、中共自身をも蝕んでいる。日本側としても、海外の意見に耳を傾ける事は必要だが、筋の通らない事にまで耳を貸す必要は無い。中国に新しい政権が誕生した今こそ、「村山談話」を撤回し、環境問題や技術的な問題には協力し、民族問題や人権問題には抗議をするような、当たり前の外交を回復すべきであると思う。

                                      (終)

東シナ海防空識別区(貳)

2013年12月04日 18時16分15秒 | 日記
2013年11月23日10時に、中共国防部から「防空識別区(中国語)」の設定を伝える二つの法令が発表された。それは、「CCTV13」でも国防部の発表として放送され、また、国防部のホームページ上でも見取り図付で掲載された。

・党が鉄砲を指揮する?
毛沢東は嘗て、中共と人民解放軍の関係を「党が鉄砲を指揮する」と述べた。それで、中華人民共和国国防法にも「中華人民共和国の武装力は中国共産党の指導を受ける」と定められている。

中国の軍部は複雑だ。現在の国防部長(国防大臣に相当)は、陸軍出身の常万全(じょうばんぜん)。国防部は国務院(日本の国会に相当)の中にあるので、国務院総理 李克強の配下と言う事になるが、また、中国共産党の軍事組織である人民解放軍を指導するのは、中央軍事委員会で主席は習近平。「武装力を建設する仕事は国務院の職務であり、全国人民代表大会が戦争と平和の問題を解決し、国家主席が戦争状態を宣言し、動員令・戒厳令を公布する」平松茂雄 著『中国人民解放軍』より。

恐らく、今回のような「防空識別区」の設定に関する判断は、中央軍事委員会の承認が必要で、解放軍内部の装備については、国務院の管轄と言う事になろう。

*海洋強国の夢
「東シナ海防空識別区」の設定以前、海洋に関して大きな話題となったのは、2012年11月8日から14日まで開かれた、「中国共産党第十八次全国代表大会(十八大)」での事。会議に出席した胡錦濤は、8日の報告で「海洋強国の実現」について語った。これは、海により国を富ませ・海による強国を実現すると言う物だ。

"十八大の報告"の中の"海洋強国"とは、海洋を探索して承認し、海洋を開発して利用し、海洋方面を総合的に管理制御する事のできる、実力のある国家の事で、発達した海洋経済と、科学の強靭な技術革新・優美な生態環境・強大な沿岸防衛力等を通して実現される。海洋経済は既に国民経済の発展を促すエンジンとなっており、2015年までに、海洋生産の総額が国内総生産の10%以上を占める見通し、と報告された。

胡錦濤は、海中の豊富な天然ガス・鉱物と生物資源の利用を目指す「海洋強国」について語り、それは強大な沿岸防衛力を通して実現される。「海洋強国」とは、海防に着目する事でもある。

*中国機領空侵犯時の報道
1937年12月13日、日本軍が南京に入城したまさにその12月13日、国家海洋局所属の航空機1機が、尖閣諸島周辺の領空を侵犯した。それについて、北京の時事評論員 黄忠清は、BBC中国語ネットの取材を受けて、「中国機が南京の記念日を選んで釣魚島の領空に進入したのは、中国の戦略構想が、十八大の後から一定の調子で戦略の転換を迎えていると言う事だ」と語った。彼によれば、習近平は政権の座に就いてから民族の復興を強調し、中国の夢を強調している。

もし、強国の夢を実現するのであれば、身辺から、南海・東海からはじめるべきだ。南海・東海の権益すら守る事ができないのであれば、何が強国の夢、海洋強国などすべて空論と言う事になる。習近平は、中共総書記・中共中央軍事委員会主席に就任後、度々"民族の復興"を強調しており、その上、広州"戦区"を視察した折り、部隊に"軍事闘争の準備"をするよう要求した。黄忠清はBBC中国語ネットに対して、習近平の一連の発言によれば、中国は二度と以前のように、周辺国家との領土争議に対して、"争議を棚上げにして、共同開発"という立場は取らない、と語っている。中国の発展は、現在一つの転換点に到達しており、全ての戦略に変化が起こっているのだ、と述べた。「BBC中文ネット」『釣魚島空域の対立は 中国の戦略の転換を示している』2012年12月13日

*オバマ・習近平会談
更に、2013年6月7日・8日、米大統領オバマと中国国家主席習近平が、カリフォルニア州で首脳会談を行った。新体制の発足後、米中の指導者が顔を合わせるのは、9月のG20での事と見られていた。しかし、5月20日、米側は、オバマが6月初旬に、習近平と会見すると発表した。しかも、会見の場所は、ホワイトハウスでもなく、ワシントンでもなく、故ウォルター・アネンバーグの旧邸宅「サニーランド」だった。習近平がオバマと会見するのは、昨年2月14日に続いて、二回目。

2013年6月8日の「中国網・日本語版」『習近平主席、サニーランドでオバマ大統領と会談』によれば、次のように伝えている、「中国の習近平国家主席は7日、米カリフォルニア州にある故ウォルター・アネンバーグ氏夫妻の旧邸宅サニーランドで、オバマ米大統領と首脳会談を行った。新華網が伝えた。習主席は会談の冒頭でオバマ大統領の招待に感謝を述べ、「『陽光の里(サニーランド)』で大統領と会談することができてうれしい。ここは太平洋に近く、海の向こう側に中国がある。昨年米国を訪問した際、広々とした太平洋には中米2つの大国がすっぽり収まるという話をしたが、今もそう思っている」と語った。その上で今回の会談の目的について「両国関係の青写真を描き、『太平洋を跨ぐ協力』を展開することだ」と説明した。

*核心的利益
オバマ・習近平会談の翌月7月には、次のように報じられている。中国の国営新華社通信は7月31日、習近平共産党総書記(国家主席)が主宰して30日に開催された党政治局の集団学習会で「海洋強国」建設をめぐり討議が行われたと伝えた。習氏はこの中で海洋権益について「決して放棄できず、国家の核心的利益も犠牲にできない」と述べ、海洋強国に向けて国家主権を守り抜く決意を強調した。

新華社電は、沖縄県・尖閣諸島や南シナ海などの問題には触れていないが、これらについて妥協しないことを政治局全体で意思統一する狙いがあるとみられる。習主席は「各種の複雑な局面に対処する準備を整えるため、海洋主権への維持能力を高め、断固としてわが国の海洋権益を守る」と強調。ただ摩擦については「交渉で解決し、平和・安定の維持に努力する」とするとともに「争いを棚上げし共同開発を行う」方針を堅持すると訴えた。「時事ドットコム」『「核心的利益犠牲にせず」=習主席、海洋強国へ決意-中国』(2013/07/31-21:48)

「海洋強国」への歩みは、胡錦濤が、国民経済の発展を促すエンジンとして、2015年までに海洋生産の総額が国内総生産の10%以上を占めるための計画として発表された。習近平の構想は、米中二極の世界戦略の中核を為す物であると言える。しかし、世界戦略を支えられるような経済状況ではない事は、習・李が最もよく分かっているはずだ。更に言えば、今回は「中国共産党」でも「中華人民共和国」でもなく、「中国国防部」が発表をしており軍部の主導で行われている。これは、どういう事なのだろう。

*国民の望む物
11月9日から12日まで「三中全会」が開かれていたが、それ以前にポータルサイト「捜狐経済」が、ユーザーからの一万件以上のメールその他を分析し、民衆の注目点や改革を望んでいる物について分析したところ、次のような結果が出た。

1.年金                19%
2.住宅問題              16%
3.貧富の格差(派遣と正規の格差を含む)13%
4.戸籍制度改革            11%
5.都市化に伴う立ち退き等の問題    10%
6.国有企業改革             8%
7.反腐敗                8%
8.税収
(ホワイトカラーとブルーカラーの不平等)
9.法制度改革(冤罪の抑止)       5%
10.その他               4%

多少の変動はあるかも知れないが、何処の組織が統計を取っても上記の様な結果になるのではないだろうか。当然と言えば当然だが、民衆の関心は「年金問題」や「住宅問題」「格差」と言うような生活に密着した問題にあり、例えば、「反腐敗」などは七位と意外にも低い。

要するに、これらの問題解決が習近平・李克強に課せられた最大の責務であるはずで、外国との摩擦を生む「防空識別区」の設定には、最も不向きな状況にあると思われる。更に、今年一月の状況を考えれば、習近平と軍、特に空軍と海軍の関係が、あまり良い状態にあるとは思われない。


・「防空識別区」設定の発端
今年の1月、日中間で象徴的な事件が幾つか起こった。その一つは、昨年12月13日、海洋局所属の航空機1機(Y-12)が領空を侵犯して以降、度々、我が国の領空に接近しており、そのたびにF-15を緊急発進した。 今年1月10日には、遂に2種類の戦闘機(殲-7、殲-10)、10数機が尖閣諸島に飛来した。同じ頃、三組の日本要人が中国を訪問し、訪問中の19日と30日にはレーダー照射事件が起こっている。

空軍・海軍の日本に対する意味不明の威圧的攻撃

2012年
10月4日・16日、中国海軍の駆逐艦やフリゲート艦、補給艦など計7隻が航行
12月13日、海洋局所属の航空機1機(Y-12)が領空を侵犯  

2013年
1月10日、2種類の戦闘機(殲-7、殲-10)10数機が尖閣諸島に飛来
1月19日、中国フリゲート艦が海自ヘリに対して火器管制レーダーを照射
1月30日10時頃、中国海軍「ジャンウェイ2級」フリゲート艦が東シナ海公海上で
     日中中間点の日本側(尖閣諸島北方百数十キロ)において
     護衛艦「ゆうだち」に火器管制レーダーを照射

また、三組の要人と、滞在の日程は、

1月15日(火)~18日(金) 鳩山由紀夫元首相
22日(火)~25日(金) 公明党 山口那津男代表
28日(月)~31日(木) 日中友好協会名誉顧問 村山富市元首相
              加藤紘一 元自民党幹事長

19日の照射事件は、鳩山氏の帰国の翌日で、30日は、村山・加藤両氏の帰国前日だ。この三名は、事の善悪はともかく、中国側の主張である「歴史」を肯定する立場を取って、恭順の意を示している。しかも、鳩山氏が会見したのは李克強氏、山口氏は待たされはしたものの習近平氏と会見している。にもかかわらず、レーダー照射を行うというのは、日本に対しても無礼であるし、習・李の面目も丸潰れだ。

この事から、中共内部及び軍部は、日本に対しては同じ事を言っているものの、習・李と人民解放軍内部の特に海軍(空軍も)と、意思の疎通が上手くいっていないのではないか、という疑問が浮かんでくる。

しかも、昨年10月の駆逐艦やフリゲート艦等7隻の、沖縄与那国島の接続水域航行を含めて、戦闘機やフリゲート艦の海自ヘリに対するレーダー照射は、何故この時期、何の為に行われたのか不明。但し、海軍と空軍が、日本に対して挑発行為を行っているという点では、今回の「防空識別区」設定とよく似ている。

*「海洋強国」の真の意味
習近平・李克強と人民解放軍の関係があまり良くないと仮定して、上述の習氏の発言を考えてみると、別の意味が浮かんでくる。

例えば、「中国は二度と以前のように、周辺国家との領土争議に対して、"争議を棚上げにして、共同開発"という立場は取らない」

「ここは太平洋に近く、海の向こう側に中国がある。昨年米国を訪問した際、広々とした太平洋には中米2つの大国がすっぽり収まるという話をしたが、今もそう思っている」

「習氏はこの中で海洋権益について、決して放棄できず国家の核心的利益も犠牲にできないと述べ、海洋強国に向けて国家主権を守り抜く決意を強調した。」

「習主席は、各種の複雑な局面に対処する準備を整えるため、海洋主権への維持能力を高め、断固としてわが国の海洋権益を守る、と強調。」

「ただ摩擦については、交渉で解決し、平和・安定の維持に努力する、とするとともに争いを棚上げし共同開発を行う方針を堅持する」

こうして習氏の発言を並べると、「争議を棚上げにして、共同開発という立場は取らない」「争いを棚上げし共同開発を行う方針を堅持する」などは正反対だし、「広々とした太平洋には中米2つの大国がすっぽり収まる」という状況でもない。

しかし、「周辺国家との領土争議」「海洋強国に向けて国家主権を守り抜く」「各種の複雑な局面に対処する準備を整えるため、海洋主権への維持能力を高め、断固としてわが国の海洋権益を守る」これらは、すべて軍事的な意味合いを含んでおり、軍部へのメッセージと推察できる。但し、まさか、国家主席に就任して直ぐに、経済が破綻しそうな国を率いて、戦争の事を考えるはずはない。

胡錦濤によれば、「海洋強国」とは、国民経済の発展を促すエンジンであり、資源の開発・確保・領土の保全を目指す明るい話題だ。領土の防衛が含まれているので、軍部にとっても無関係ではない。習近平の話は勇ましいが、戦争をしたいわけでもない。では、習近平は何を言っているのか?

海防が現実味を帯びれば、軍事基地や軍港の建設、武器の購入が決まる。胡錦濤の時代には、東シナ海の防衛(公式にはガス田のために建設)として「水門飛行場」、遼寧用軍港として「大連」・「青島」・「舟山群島(しゅうざんぐんとう)」の整備、射程距離1000Kmと豪語する中距離弾道ミサイル「東風-16」の研究開発等々が行われている。



要するに、習近平の元気の良い発言には、軍部を潤す含みはあるものの、国家の財政は、軍部の要求を満たせるような状態にはない。その様な状況で、軍部が出してきたのが、今回の「防空識別区」構想ではないかと思うのだ。

まあ、これだけでは妄想の域を出ないので、もう少し続きます。

東シナ海防空識別区(壱)

2013年12月04日 13時17分07秒 | 日記
中国が11月23日に、東シナ海防空識別区を設定した。中共は何故、各国を刺激するような事を始めたのか、中国語圏の媒体を通して、解放軍内部の意見について、少し考えてみたい。尚、日本は「防空識別圏」と言っているが、中国の物は、日本の場合と性格が異なる部分が多いので、原文通り「防空識別区」とした。

先ずは「BBC中文ネット」から。

『中国が東シナ海防空識別区域を設定したと発表した』

更新時間 2013年11月23日、10:43

「中国が東シナ海防空識別区域を設定したと発表した、その中には領有権紛争のある釣魚島(日本名 尖閣諸島)があり、日本の防空識別圏と重なっている。官報 新華社通信は土曜(11月23日)、国防部の文書を公表し、防空識別区域は当日10時(グリニッジ標準時間2時)より効力を生ずると明記した。

文書によれば、東シナ海防空識別区域内を飛行する飛行機は、中国側の指令に従う必要がある、さもなければ中国側の武装部隊が「防御的な緊急措置を取るであろう」と宣言している。

日本の共同通信社の以前の分析では、中国が防空識別区を設立すると、当該海域上空の日中戦闘機の対峙する局面が増加し、緊張状態が激増する可能性がある、と称している。

中国国防部のウェブサイトは「記者の質問に答える」という方式で、報道官楊宇軍(よううぐん)大佐の声明を公表している。彼は、防空識別区を設立したのは「国際的慣行」で「如何なる特定の国家や目標に対する物ではなく、関係空域の飛行の自由に影響する物ではない」と強調した。

楊宇軍は、「中国側は一貫して、各国が国際法によって享受する飛行の自由を尊重しており、東シナ海防空識別区の設立で関係空域の法的性質が変化する事はない。国際便については東シナ海防空識別区域内で正常な飛行活動に、如何なる影響も受ける事はない。」と述べた。

「中国は準備作業が完了した後、時期を選んで他の防空識別区を設立する。」

前日、中国の四艘の海警船が釣魚島海域に進入し、共同通信社の報道によれば、日本の外務省アジア大洋州局局長伊原純一は電話で、駐日公使韓志強に対して厳正に抗議した。」


中国が今回発表した「防空識別区」が、どの様な物であるかについて、この記事の中で、重複して述べられているのは、「中国側は一貫して、各国が国際法によって享受する飛行の自由を尊重しており、東シナ海防空識別区の設立で関係空域の法的性質が変化する事はない。国際便については東シナ海防空識別区域内で正常な飛行活動に、如何なる影響も受ける事はない。」と言う事だ。つまり、中国の「防空識別区」は、民間機に対して、設定された物ではないと言える。また、今回の設定に続いて、更に、広範囲に設定される計画がある、と言う事も押さえておきたい。

もう少し続きます。

衆議院議員 平沼赳夫氏「資源豊富な日本の領海を守るために軍備を整えよ」