・腐敗撲滅という名の権力闘争
中共指導者間の権力闘争は、伝統的に激しいと言えます。例えば、1971年9月、林彪は毛沢東の暗殺を計画し、専用列車を爆破したものの未遂に終わっています。また、06年5月には、黄海で北海艦隊の視察を行った際、胡錦涛の乗船していた駆逐艦が銃撃される事件が発生、胡錦濤は青島まで非難したと言われています。09年6月には、湖南省で、長距離列車同士の衝突事件が起こり、3人死亡、60人以上が負傷する被害を出しましたが、同列車には江沢民夫妻が乗車していたとの噂が流れました。
闘争の手段は、暗殺だけではありませんし、個人だけではなく、派閥にも影響します。現在の指導部を、大まかに分けると、だいたい次のようになります。
1.習近平(太子党)
2.李克強(共産主義青年団)
3.張徳江(江沢民派)
4.兪正声
5.劉雲山(江沢民派)
6.王岐山(太子党)
7.張高麗(江沢民派)
習近平・李克強・王岐山の三人以外は、江沢民派と言われる人々です。18期の開催が遅れた原因の一つは、江沢民が、兪正声・張高麗・劉雲山・張徳江の四人を、押し込めるために、胡錦濤ともめた事も、理由の一つと言われています。但し、現在は、少し構成が違ってきているようです。
七人の中で、習近平との関係が一番良いのは、王岐山です。腐敗運動で、習近平と共に命まで狙われていると伝えられています。
李克強は共産主義青年団出身です。彼の後ろには、胡錦濤がいます。胡錦濤は共青団(共産主義青年団)出身で、胡錦濤が自信の地位を譲りたかったのは、同じ共青団出身である李克強と言われているせいか、習近平との関係は、ときどき微妙になります。
張徳江は、香港のトップで、習近平・王岐山の二人と、激しく対立している最中です。王岐山は現在、香港の行政長官梁振英の更迭に向けて動いているようです。
兪正声は名門出身で、人間関係が豊かです。江沢民派の人物と目されていますが、2013年には、自分から習近平に握手を求めた事が、また今年8月末には、王岐山と政策について長く話し合っていたという事が話題になりました。
劉雲山は、江沢民派の大看板李長春から媒体上での情報操作を任されている人物です。香港デモの情報操作や、日本の媒体に手を入れているのも、この人物及びその周辺と思われます。
次に、張高麗です。日本の媒体はなぜか(こうれい)と読んでいますが間違っています。「高麗人参」の「高麗」と同じく(こうらい)が正しい読み方です。張高麗は苦労人で、風見鶏的な一面がありますが、習近平との関係は悪くはなさそうです。また、李克強と張高麗との関係は、時々、微妙になります。
今回の18期政権が発足して以来、習近平と江沢民の闘争が激しさを増す中、王岐山の下で紀律委員会が打った(失脚させた)“虎”の数は、省部級以上の高官で40名を越えています。その多くは江沢民集団の腹心で、正国級高官である前政治局常務委員周永康、二名の副国級高官である中共政協副主席蘇栄と軍事委員会副主席徐才厚も含まれます。
江沢民・周永康は王岐山に対して恨み骨髄、絶えず攻撃を仕掛け、中共内部の資料に依れば、王岐山は中紀委書記に就任以来、4回の暗殺未遂に遭っている、と言われています。
また、11月3日の報道で、北京当局は10月27日、軍事委員会前副主席徐才厚の調査が終了し、審査に送られ起訴される事を宣言しました。官報及び軍方の通告は、徐才厚が「直接、或いは、家族を通して賄賂を受け、金額は特別巨額」であり、徐才厚は犯罪の事実を認めたと報じ、他の媒体では、徐は、4名(江沢民・曽慶紅・周永康・賈慶林)の家族も、同案件に抵触していたと認めた、と伝えています。
実は、中共指導部内は、現在、最悪の状態であると言えます。
・利用できない日本
例えば、改革派の胡耀邦が、保守派の巻き返しに遭っているときには、中曽根総理が「靖國不参拝」で助け、天安門事件後には、村山総理が謝罪外交を行った御蔭で、江沢民はのびのびと「反日運動・愛国教育」を繰り広げ、自身の地位を確立しました。これまでは、共産党首脳が危機に直面すると、必ず日本が助けていたと言えます。
ところが、就任前から暗殺の危機に晒され、腐敗撲滅運動という名の粛清を行ない、その報復で習近平が危機に瀕している時、日本では、「靖國参拝」をし、「尖閣は紛れもなく日本の領土であり、問題は存在しない」という総理大臣が出てきました。私は、総理大臣は参拝に行くべきだと思いますし、「靖國参拝」は日本国内の事なので、中国がどうのこうのと言うのは、明らかな内政干渉であると思っています。ですが、習近平は困っただろうと思います。
また、江沢民派の劉雲山は、CCTVを始めとする媒体を牛耳っている人物です。排日路線を敷いたのは江沢民ですから、それを否定する安倍総理の事は、快く思っていないと思います。更に言えば、習近平もまた、情報操作をする人物ですので、総理にとって現在の中国は、文字通りの「虎穴」であったと思います。
中共指導者間の権力闘争は、伝統的に激しいと言えます。例えば、1971年9月、林彪は毛沢東の暗殺を計画し、専用列車を爆破したものの未遂に終わっています。また、06年5月には、黄海で北海艦隊の視察を行った際、胡錦涛の乗船していた駆逐艦が銃撃される事件が発生、胡錦濤は青島まで非難したと言われています。09年6月には、湖南省で、長距離列車同士の衝突事件が起こり、3人死亡、60人以上が負傷する被害を出しましたが、同列車には江沢民夫妻が乗車していたとの噂が流れました。
闘争の手段は、暗殺だけではありませんし、個人だけではなく、派閥にも影響します。現在の指導部を、大まかに分けると、だいたい次のようになります。
1.習近平(太子党)
2.李克強(共産主義青年団)
3.張徳江(江沢民派)
4.兪正声
5.劉雲山(江沢民派)
6.王岐山(太子党)
7.張高麗(江沢民派)
習近平・李克強・王岐山の三人以外は、江沢民派と言われる人々です。18期の開催が遅れた原因の一つは、江沢民が、兪正声・張高麗・劉雲山・張徳江の四人を、押し込めるために、胡錦濤ともめた事も、理由の一つと言われています。但し、現在は、少し構成が違ってきているようです。
七人の中で、習近平との関係が一番良いのは、王岐山です。腐敗運動で、習近平と共に命まで狙われていると伝えられています。
李克強は共産主義青年団出身です。彼の後ろには、胡錦濤がいます。胡錦濤は共青団(共産主義青年団)出身で、胡錦濤が自信の地位を譲りたかったのは、同じ共青団出身である李克強と言われているせいか、習近平との関係は、ときどき微妙になります。
張徳江は、香港のトップで、習近平・王岐山の二人と、激しく対立している最中です。王岐山は現在、香港の行政長官梁振英の更迭に向けて動いているようです。
兪正声は名門出身で、人間関係が豊かです。江沢民派の人物と目されていますが、2013年には、自分から習近平に握手を求めた事が、また今年8月末には、王岐山と政策について長く話し合っていたという事が話題になりました。
劉雲山は、江沢民派の大看板李長春から媒体上での情報操作を任されている人物です。香港デモの情報操作や、日本の媒体に手を入れているのも、この人物及びその周辺と思われます。
次に、張高麗です。日本の媒体はなぜか(こうれい)と読んでいますが間違っています。「高麗人参」の「高麗」と同じく(こうらい)が正しい読み方です。張高麗は苦労人で、風見鶏的な一面がありますが、習近平との関係は悪くはなさそうです。また、李克強と張高麗との関係は、時々、微妙になります。
今回の18期政権が発足して以来、習近平と江沢民の闘争が激しさを増す中、王岐山の下で紀律委員会が打った(失脚させた)“虎”の数は、省部級以上の高官で40名を越えています。その多くは江沢民集団の腹心で、正国級高官である前政治局常務委員周永康、二名の副国級高官である中共政協副主席蘇栄と軍事委員会副主席徐才厚も含まれます。
江沢民・周永康は王岐山に対して恨み骨髄、絶えず攻撃を仕掛け、中共内部の資料に依れば、王岐山は中紀委書記に就任以来、4回の暗殺未遂に遭っている、と言われています。
また、11月3日の報道で、北京当局は10月27日、軍事委員会前副主席徐才厚の調査が終了し、審査に送られ起訴される事を宣言しました。官報及び軍方の通告は、徐才厚が「直接、或いは、家族を通して賄賂を受け、金額は特別巨額」であり、徐才厚は犯罪の事実を認めたと報じ、他の媒体では、徐は、4名(江沢民・曽慶紅・周永康・賈慶林)の家族も、同案件に抵触していたと認めた、と伝えています。
実は、中共指導部内は、現在、最悪の状態であると言えます。
・利用できない日本
例えば、改革派の胡耀邦が、保守派の巻き返しに遭っているときには、中曽根総理が「靖國不参拝」で助け、天安門事件後には、村山総理が謝罪外交を行った御蔭で、江沢民はのびのびと「反日運動・愛国教育」を繰り広げ、自身の地位を確立しました。これまでは、共産党首脳が危機に直面すると、必ず日本が助けていたと言えます。
ところが、就任前から暗殺の危機に晒され、腐敗撲滅運動という名の粛清を行ない、その報復で習近平が危機に瀕している時、日本では、「靖國参拝」をし、「尖閣は紛れもなく日本の領土であり、問題は存在しない」という総理大臣が出てきました。私は、総理大臣は参拝に行くべきだと思いますし、「靖國参拝」は日本国内の事なので、中国がどうのこうのと言うのは、明らかな内政干渉であると思っています。ですが、習近平は困っただろうと思います。
また、江沢民派の劉雲山は、CCTVを始めとする媒体を牛耳っている人物です。排日路線を敷いたのは江沢民ですから、それを否定する安倍総理の事は、快く思っていないと思います。更に言えば、習近平もまた、情報操作をする人物ですので、総理にとって現在の中国は、文字通りの「虎穴」であったと思います。