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キラキラネームは日本の漢字文化を破壊するための、カルトの工作活動です!公務員の国籍条項と外国人土地法の復活求む!

漢字の話(キラキラネームの秘密、三)

2016年05月23日 17時50分54秒 | 日記
※当ブログの「漢字の話」及びその他の記事については、許可無く転載を禁じます。何処かで全く同じ内容を発表している場合には、ご一報ください。私が、ねじ込みます。


最近、芸能や運動関係で活躍をする若者の名前が、読めない事が多くなったと思われませんか。漢字を使った二文字の名であるにも関わらず、漢字の用法からは逸脱した読み方が目につくようになりました。

彼等の生まれたのは90年代。実は、その頃、媒体を始めとして小説・映画の世界でも、漢字にデタラメなルビを振る事が流行していました。


・ジャッキー、サモハン、ユンピョウ

漢字に、耳で聞いた「音」をルビで振る事が、日本の漢字の伝統から考えて酷くいい加減な事は既に述べた通りですが、90年代に入ると、中国・朝鮮・韓国の人名・地名を耳で聞いた音を漢字のルビとして使用するという、酷く誤った用法が、テレビ・新聞・小説の世界で、大々的に行われるようになりました。

人名や地名になんちゃって外国語のルビを振るという行為は、何も90年代に始まった事ではありませんが、「ワイルドスワン」や、中韓の映画俳優・女優、映画の字幕等でも、奇妙なルビを、それも盛んに振るようになったのは90年代であったと思います。

例えば、香港の映画俳優、

ジャッキーチェン
サモハンキンポー
ユンピョウ

彼等は中国人なので、当然、漢字の名前があります。ジャッキーチェンは英名ですが、芸名は成龍、サモハンキンポーは、サモ(Sammo)は幼名、ハンキンポーは洪金宝、ユンピョウは元彪です。しかし、80年代の映画スターである彼等の漢字の名の方は、日本では殆ど知られていません。もし、この時代に成龍・洪金宝・元彪と出せば、日本語の音が普及するに決まっているからです。

ところが、90年代に入ると、媒体のみならず普通の小説の世界でも、盛んに外国語のルビが振られるようになりました。


・形声文字について

例えば、『蒼穹の昴』という、NHKでもドラマ化された、中国が舞台の小説があります。この小説は90年代半ばに出版された物ですが、漢字に大量に日本語音以外のルビが振ってあります。「日本語以外」と断るのは、この本には、何語かも分からない、ひょっとしてなんちゃって中国語のような物まで、ルビとして振られているからです。

以下は、この本の文章中に示された単語で、特に目についた物です。

例えば、最初の方に出てくる、

「大哥(ダアコオ)」「二哥(アルコオ)」「阿哥(アコ)」

ですが、

「哥」は「兄貴」「兄さん」という意味で、「大哥」とは「長兄」、「二哥」は「次兄」の意。「阿哥」は、清朝における王子の幼名のようです。

「哥」という漢字に対して、一冊の本の中に(コオ)と(コ)という音がある事になります。どちらが正しいのでしょう?

そもそも中国語では、「哥」は(ge)の音で、(e)の音は日本語の中にはありませんが(ge)は、(グ)や(ガ)の音に近くなります。(コオ)でも(コ)でもありません。(ダアコオ)(アルコオ)(アコ)と発音してみても、中国人は漢字が思い浮かばないと思います。

以前、後漢の許慎(きょしん)が著した『説文解字』を紹介したときに、漢字について、「象形・指事(しじ)・会意(かいい)・形声(けいせい)・転注・仮借(かしゃ)」の六つの分類方法があるというお話をしました。よく、アルファベットが表音文字であるのに対して、漢字は表意文字であると言われますが、この六書(りくしょ)には「形声文字」が含まれているので、漢字は表音文字でもある、という内容です。

形声文字は、文字を二つ以上組み合わせた文字のことです。半分は意味を表す意符(形)、半分は音を表す音符(声)を組み合わせて、一つの文字を構成します。例えば、意味(形)を表す部分が、木偏ならば木に関係があり、草冠なら植物に、氵(さんずい)ならば水に関係があります。そして、音符(声)を表す部分を見れば、音が分かるという具合です。

例えば、音符(声)に「可」の字がついていれば、(カ)の音になります。そこで、

河・何・苛・歌・柯

の音は、すべて「カ」になります。「哥」の音も(カ)です。

意符(形)と音符(声)を合わせて一つの文字にする、という方法は、無数の漢字を作る事が可能です。そのため、漢字は九割が「形声文字」であると言われています。ここに単に耳で聞いただけの、いい加減な「コオ」や「コ」を持ってくると、漢字全体の構造を、破壊してしまう事になりかねません。日本の漢字に、中国語の音のルビを振るというのは、漢字にとって、危険な事であると思います。


・外国語を中国語にする方法

次は

「韃靼」です。

「韃(だつ)」も「靼(たん)」も、もとは靴ひもの事ですが、「韃靼」は蒙古系の遊牧民族「タタール」の音訳です。日本語の音は(だったん)ですが、この本には「韃靼(タルタル)」と書かれています。

中国は漢字からは逃げられません。そこで、外国語を自国の言葉にする場合には幾つかの方法を用います。外国語に近い発音をもつ漢字をもって来る方法や、外国語の意味に合う漢字を用いることで、漢字の持つ意味を際立たせる方法等です。

例えば、次の漢字は全て中国語にとっての外来語です。それぞれ、物の名前・人名・新聞の名前・物の名前・スポーツ名ですが何の事だと思いますか?

*沙発(shafa)
*切格瓦拉(Qie Gewala)
*解放報(Jiefangbao)
*維他命(weitaming)
*雷達(leida)
*保齢球(baolingqiu)

*沙発はソファー*切格瓦拉はチェゲバラ、*解放報はフランスのリベラシオン、*維他命はビタミン、*雷達はレーダー、*保齢球はボーリングです。

中国語ですので、別に、覚える必要はありませんが、ソファーやチェゲバラは、外国語の発音に近い漢字をもってきた当て字、リベラシオンは翻訳です。ビタミン(維他命)は生命を維持する、レーダー(雷達)は雷の早さで伝達、ボーリング(保齢球)は年齢を保つボールで、これらは中国語の音も似ているばかりではなく、意味からも相応しい漢字を使用しています。

中国では、この様に外来語を作りますが、日本には仮名があります。ソファーもチェゲバラもリベラシオンもビタミンもレーダーもボーリングも、片仮名で書けば充分です。


さて、韃靼の中国語音は(Dada)、日本語は(だったん)です。

この作者は、何故(タルタル)を選んだのでしょうか?遊牧民族タタールの、各国の呼び名の一つに(タルタル)があったとしても、中国から入って来た「韃靼」という単語は、(だったん)と読むべきで、(タルタル)と読む必要はありません。

「韃靼海峡」は(タルタルかいきょう)ではありません。
「韃靼蕎麦茶」は(タルタルそばちゃ)ではありません。

誰かが「タルタル」と発音した時に、誰の頭に「韃靼」という文字が思い浮かぶでしょう?「韃靼」の日本語音は「韃(だつ)」と「靼(たん)」で(だったん)です。もし作者がどうしても使いたいのであれば、仮名で「タルタル」かアルファベットで「Tartar」と書くべきです。外来語は、カタカナで表記するものだからです。

それにしても、靴ひもの音を当てたところに、タタールに対する、中国の感情が表れているような気がしますね。


・意味の上から漢字を当てる方法

次に、

「中国皇帝」に(チャイニーズ・エンペラー)について。

中国の「皇帝」と西洋の(エンペラー)は同じではありませんし、「中国」「皇帝」という意味を知らない日本人はいないと思います。要するに、「中国皇帝」に(チャイニーズ・エンペラー)と振るのは、無駄である以上に意味不明で、有害ですらあります。

確かに、日本でも明治以降、西洋の言葉に対して、意味の上から漢字を当てる方法を取る事があります。

例えば、

麦酒(ビール)・麺麭(パン)・煙草(タバコ)等々

がこれです。これらの漢字は、これ以外には読めませんし、もし漢字を書けと言われれば、この漢字になります。「麦酒」と書かれていれば、誰でも(ビール)と読み、(タバコ)の漢字を聞かれれば、「煙草」を思い浮かべる事でしょう。しかし、「中国皇帝」と書かれていれば、百人が百人とも(ちゅうごくこうてい)と読むはずです。態々、チャイニーズ・エンペラーとルビを振る必要性が分かりません。


この小説は、回を増す毎にルビがいい加減になって行きます。

「李鴻章(りこうしょう)」に(リイホンチャン)とルビを振りながら、別の章では、
「李鴻章」に(プレジデント・リー)

この小説家が何を目的にしているのかは分かりませんが、恐らく、人名・地名に中国語音に近いルビをふる事が、その行為の始まりであったと思われます。ですから、

西太后(シータイホウ)
李鴻章(リイホンチャン)

などのルビがあるのでしょう。しかし、幾らかでも漢字について学べば、漢字文化圏では、その国の言葉で読まれる、という事は知っているはずです。だいたい、この二つの単語の中国語音は、

西太后(xitaihou)
李鴻章(lihongzhang)

ですが、西(xi)・李(li)なのに、どうして西は(シー)で、李は(リイ)とルビを振るのでしょう。また、章は(zhang)で、これは(ジャン)の音に近いのに、何故(チャン)なのでしょう。デタラメです。

漢字に外国語音のルビを振ろうという人は、そもそも、漢字という物を知らないのだと思います。その様な人が、一見合理的な理論に基づいて漢字をいじったとしても、往々、不見識を晒す結果になります。


・中林はチョンバヤシか?

例えば、この本には、次の様な単語も出てきます、

「窓」(インヅ)

これは、現在に至るまで、何語なのかも分かりません。そもそも、中国語でもある漢字の特色として、単音節である事があげられます。子音と母音の組み合わせで音節を作るときに、一字の漢字につき、一音節以外にはあり得ないのです。「インヅ」というと「イン」「ヅ」で複音節になってしまいます。「窓」の中国語は(chuang(チュワン))です。(インヅ)を中国語に直すのであれば、例えば、「因子(yinzi、因数分解の因数)」とか、「飲子(yinzi、煎じ薬)」「影子(yingzi、影)」「蠅子(yingzi、蠅)」等々が挙げられますが、上記の(インヅ)は、何の事なのか分かりません。

「徒弟」(トウテイ)

日本語音ならば(とてい)、中国語音ならば(tudi)で(トゥディ)です。何か、日本語と中国語の混じった、出来損ないのルビです。もし、意図的にこの様な物を作ったのであるとすれば、不見識であり、完全なデタラメであると言えます。中林は(チョンバヤシ)でしょうか?

もっとも、この様なちゃんぽんルビの足下にも及ばない、異常な物があります。この本の中で、最も不見識なルビは、

「天!地!」(ティエン!チイ!)

これには正直、驚かされました。これは、中国語ではありません。日本語音は言うまでもなく(てんち)中国語音は(tiandi(ティエン ディ))です。「天!地!」(ティエン!チイ!)は、日本語を中国語風に読んだ、なんちゃって中国語です。例えば「玄関」を(グゥエン クゥワン)と発音するような物で、芸人さんの中国人の物まね芸と同じです。


・漢字とルビの意味が合わない

この本には、他にも、何を思ったのか、漢字に外国語の片仮名を当てた物が出てきます。

「植民地」(コロニー)
「双眼鏡」(スコープ)
「埠頭」(プラットホーム)
「汽笛」(ホイッスル)
「窓」(インヅ)等々…です。

そこで、試みに、colony・scope・platform・whistleを英語の辞書で引いてみました。すると、

*colony、植民地・(外国人、特定職業人の)集中居住地、~、~人町・植民団、移民団・The Colonies=英国植民地地区(独立以前の東部13州)・(アリ・ミツバチなどの)生活集団、コロニー、(植物の)群落
*scope、(理解・能力・活動などの)範囲・(活動の)機会、余地・「~を見る機械」「~鏡」の意味の結合形=telescope(望遠鏡)、microscope(顕微鏡)
*platform、(駅の)プラットフォーム・壇、演壇・教壇・(政党の)綱領、公約・the platform(客車の)デッキ、(バスの)デッキ
*whistle、口笛を吹く・(小鳥が)さえずる・(矢などが)ヒューと鳴る・(矢などが)ヒューっと飛ぶ・汽笛を鳴らす=The train whistled(列車は汽笛を鳴らした)

、と書かれていました。

これらを順に見て行くと、コロニーには「植民地」の意味もありますが、他の意味もあります。scopeに「双眼鏡」の意味はありません。「双眼鏡」ならば、binocularsとかfield glassesです。platformにも「埠頭(ふとう:はとば、船着き場)」の意味はありません。埠頭ならば、wharfなどです。「汽笛」は名詞ですが、whistleは動詞です。品詞が違います。whistleを名詞に読んだとしても、口笛・警笛等の意味しか出てきません。

上記のルビは、漢字に無理に西洋の言葉を当てはめようとしたようです。その行為自体も如何な物と思いますが、辞書を引いたとは思えないような誤った解釈です。全てが間違っていますが、漢字に外国語をくっつけたいという歪んだ情熱だけは伝わって来ます。


・この部分の結論

さて、結論を言えば、この本に表現されているのは、正確な意味とはほど遠い誤った漢字の使われ方と、誤ったルビの意味と、それによって醸し出される雰囲気と、漢字に日本語以外の外国のルビを振るという政治的な目的です。しかし、漢字に外国語のルビを振る事ができるというのは殆ど誤解です。誤解から始まり、手段としての中国語の理解も西洋の言葉の理解も不充分なので、全てがデタラメに流れています。

この小説に書かれた、中国語らしきルビは、読者に対して、中国語っぽい読みを執拗に要求します。その為、非常に読みにくく、文章を見ていて気持ちが悪くなります。若い読者であれば、その言語感覚が破壊される事にも繋がると思います。若い読者を漢字嫌いにするのに、威力を発揮する小説であると言えます。

但し、本当に問題なのは、この本が90年代半ばの漢字の用法を象徴的に示しているだけであって、同様のデタラメな漢字の使われ方は、当時、広く行われていた所にあります。この本だけであるならば、別に、読まなければいいだけです。しかし、これはNHKでもドラマ化されましたし、中韓の言語に近い音のルビを漢字に振ろうとする勢力は、現在も存在しています。

また、この様な勢力が、実は、日本の漢字の伝統についても、中国語についても不勉強であるにも関わらず、日本の漢字をいじろうとする輩であり、真顔で「天!地!」(ティエン!チイ!)というような物を普及させようとする、その程度の見識しか持ち合わせていないような輩である事も、同様に知っておくべきであると思います。

この様な事をしていると、伝統ある日本の漢字文化が損なわれてしまいます。実際、日本の漢字文化が損なわれ始めているのではないかと思わせる物に、キラキラネームの普及があります。

それについては、次回です。

最近忙しいので、

2016年05月20日 01時36分10秒 | 日記
『漢字の話(キラキラネームの秘密)』が遅れがちですが、

そして、私の手が止まっていると

ゲロダニが必ずなにかを言い出すのでしょうが、

アレが喜ぶようなことにはなりません。

時間が掛かっても

仕上げますから、乞うご期待!

漢字の話(漢字文化圏について、再アップ)

2016年05月12日 03時39分42秒 | 日記
以下の文章は、2015年3月31日にアップした物で、全て私が書いています。このブログの「漢字の話」は、中国語の知識がなければ書くことはできません。何処かで、同じ物が発表されているのをご覧になった方は、それは剽窃ですので、ご一報ください。


日本は漢字文化圏に属しています。今回は、漢字文化圏について説明した後に、現状の問題点について考えてみたいと思います。

・漢字文化圏
漢字文化圏とは、漢字・漢文を共通の意思伝達手段とする地域の事です。嘗ては、日中の他に、朝鮮半島・安南(ベトナム)も、この文化圏に属していました。歴代の朝鮮の首長が、常に中国の王朝から朝鮮国王に封ずという封冊を受けていた事で、封冊と漢字文化圏を結びつける考え方がありますが、漢字の伝わり方は各国それぞれ違いがあるので、その論は間違いですし、日本は漢字文化圏ではないという意見に至っては、妄言に等しいと言わざるを得ません。だいたい、「日本は漢字文化圏ではない」と漢字で書いている事について、おかしいとは思わないのだろうかと思っています。

漢字文化圏については、次の説明が最も明解です。

「中国を中心とした日本・朝鮮・安南(ベトナム)はアジアの漢字文化圏である。漢字は中国で生まれたものであるが、周辺の国々に波及し、かつては漢字・漢文が共通の意思伝達手段であった。その漢字の読み方は日本は日本式、朝鮮は朝鮮式、安南は安南式に読んでいた。それゆえ読む字音は違っていても、書いた文書は共通の理解を持つことができていた。

日本は奈良時代に遣唐使・留学生を中国の唐の都の長安に派遣して中国文化を積極的に摂取し、奈良・平安時代には正式の文書は漢文であり、公卿(くげ)たちの日記も漢文で書いた。江戸時代にも教養人はみな漢文を書き漢詩を作り、漢文で書いた随筆も多かった。

朝鮮は殷(いん)の箕子(きし)の子孫だという伝説をもち、また戦国時代(紀元前三世紀)の燕(えん)の国の人々が朝鮮に移住したともいう。漢代(紀元前二世紀)には楽浪以下の四郡がおかれて漢の領土となり、漢式の文化が移植された。六朝時代(六~七世紀)には、朝鮮を通じて日本に中国の文化や仏典がもたらされた…。

江戸時代に朝鮮の使節が来たとき、日本の学者・文人が朝鮮使の随員たちと筆談と漢詩の応酬で交歓していた。現在の朝鮮の漢字音は北宋(十二世紀)の中国語をまねたもので、日常の言葉にも多くの漢語が入っているから、ハングルの間に漢字をまぜて書くことも行われている。その漢語の六○~七○%は中国・日本と同じである。(高等学校の教科書を見ると「漢文」という教科書が各学年にあり、内容は日本の旧制中学の漢文よりも相当に高度のものである。)

ベトナム(越南)はもと安南と称した。漢代に馬援(ばえん)がここに遠征して日南郡以下の郡治をおき、三国から六朝時代には漢人の移住者が多かった。唐代には河内(ハノイ)に安南都護府をおき中国式の文化が普及した。一九世紀にフランスの植民地となって仏領印度支那、略して仏印といわれた。仏印政府はローマ字化を強行し、今日では全くローマ字を用いている。しかし単語の多くは漢語である。安南漢字音は唐末(一○世紀)の中国語をまねたものである。」(『漢字小百科辞典』原田種成 編)

小野妹子が遣隋使として海を渡ったのが、六○七年の事です。そこから数えても、既に千四百年余の歴史があります。その間、日本の漢字文化は、日本人によって醸成され共有され、抽象的思考を可能にし、社会や文化を支えてきました。私は、漢字はできるだけ良い形で、次の世代に伝えて行くべき物であると考えています。

・僭越
3月23日にシンガポールの初代首相が亡くなり、29日には国葬が営まれ、安倍総理を始め韓国・印度・インドネシアなど10ヵ国以上の首脳が参列しました。この人物の名前と長男で現首相の名前を、日本の媒体は次の様に表記しました。

初代首相リー・クアンユー氏、
長男のリー・シェンロン首相

シンガポールは、もともと英国の植民地でしたが、首相は華僑の家柄ですので、英語の表記と漢字の名前を持っています。23日に亡くなった時から、中国では、CCTVを始め各媒体で特集が組まれ、また、習近平や李克強がお悔やみの言葉を述べた事が報じられました。中国は漢字からは逃げられません。媒体が用いたのは漢字表記の名前で、音は北京語音で読まれていました。中国での親子の名の表記と発音は、次の通りです。()は、北京語での発音を私が片仮名で表記した物です。

李光耀 li guang yao (リ グゥアンヤオ) 
李顕龍 li xian long(リ シェンロン)

英語の表記は、

Lee Kuan Yew (リー・クアンユー)
Lee Hsien Loong(リー・シェンロン)

日本の媒体は、英語名を片仮名で表記したものと思われます。私は、個人的に李光耀(りこうよう)や李顕龍(りけんりゅう)の方が使いやすいのではないかと思いますが、英語名を片仮名で表記するのは、正しい方法であろうと思います。

ベトナムも漢字文化圏に属していましたので、国家主席や首相を始めとして、漢字の姓名を持っています。

国家主席は、チュオン・タン・サン(張晋創)
首相は、グエン・タン・ズン(阮晋勇)

ベトナム語の発音が、

Trương Tấn Sang(張晋創)
Nguyễn Tấn Dũng(阮晋勇)

ですので、日本の媒体の表記は、ベトナム語の発音から取って、片仮名表記にしているようです。私は、ベトナムもまた漢字表記があるのであれば、それに従って張晋創(ちょうしんそう)や阮晋勇(げんしんゆう)の方が使いやすいと思いますが、ベトナム語を片仮名で表記すると言うのは、間違っていません。

何が言いたいのかと言えば、漢字は漢字文化圏では、その国の発音で読みます。ですから、シンガポール人の名も、ベトナム人の名も、中国では漢字があるのであれば漢字を使い中国語の音で読みますし、シンガポールもベトナムも日本に対しても中国に対しても、漢字を用いて英語音で読めとかベトナム語の発音を付けろ、とは言いません。

なぜ、その様な要求をしないのかと言えば、外国がある国の国語に対して指図をする事は、僭越だからです。実は、北朝鮮や韓国も、中国に対して、朝鮮語音で読めとは言っていません。

韓国だけが日本に対してのみ、日本の漢字に自国の発音を付けろと要求しているのです。これは、漢字文化圏の漢字の使い方を逸脱した、傲慢な要求であると言わざるを得ません。

・それとなく混ぜ込まれた韓国語の発音
日本の漢字は、日本人の間で共有されています。ですから、もし、読み書きで間違いがあったとしても、「字典」を調べれば正しい内容を知る事ができますし、「字典」を通して正しい情報を共有しています。しかし、外国語は共有していませんので、それが正しいのか間違いなのか、或いは、デタラメなのかは習った事がなければ分かりません。

例えば、次の三つは、中国の有名な監督と女優の名であり、雑誌や新聞、テレビで用いられている片仮名表記です。

張芸謀(チャン・イーモウ)
章子怡(チャン・ツィイー)
鞏俐(コン・リー)

この様に書かれていると、普通は中国語の音は知りませんから、それを使っている媒体を信じて、中国ではこの様に読むのだな、と思ってしまいます。でも、これは、中国語の発音ではありません。北京語のピンインは次の通りです。

張芸謀(Zhāng Yìmóu、ジャンイーモウ)
章子怡(Zhāng Zǐyí、ジャンズイー)
鞏俐(Gǒng Lì、ゴンリー)

張・章の発音は北京語では「Zhāng(ジャン)」であるにも関わらず、日本では「チャン」と表記されています。また鞏の発音も「Gǒng(ゴン)」の発音であるにも関わらず「コン」です。私は以前から、この発音が聞きずらく疑問でもありました。例えば、香山(かやま)と田山(たやま)が違うように、「ジャン」と「チャン」も同じであるはずはありません。

これら「チャン」や「コン」が何処から出てきたかを紹介する前に、もう一つ、中国の省の名を挙げておきます。

山東(サントン)

このブログの『漢字の話』の中でもたびたび取り上げましたが、この音も中国語の音ではありません。山東の発音は「Shan dong(シャンドン)」の発音で「サントン」ではありません。

では、「チャン」「コン」「サントン」の音は何処から来たのか。始めは分かりませんでした。しかし、「朝鮮人の姓の一覧」(Wikipedia)の中に、次の様な物を見つけました。「張 , 章 , 莊 , 蔣 장(チャン)」。また、別な所で「鞏俐공리(コン・リー)」も見つけました。「東海」問題では、韓国では「東海(トンヘ)」と読むようですし、「山」は(サン)の発音であろうと思います。

要するに「チャン」「コン」「サントン」とは、全て朝鮮語でした。

すると「漢字をその国の発音で読みましょう」と言うのは、実は日本人に「漢字を朝鮮語の発音で読」ませる為に、或いは、半島出身者が使いやすいように密かに日本の漢字を変質させる為・日本の漢字を朝鮮語の影響下に置きたいが為に始められた事ではないか、という疑問が生まれます。それを証明する事が難しいとしても、現在の外国語の漢字のルビには、中国語のはずなのに朝鮮語である場合や、すっかりデタラメ・インチキである場合が多多あり、相当いい加減に作られた物である、と言う事は言えると思います。これでは、いったいどれ程の名詞に韓国語音が混ぜ込まれているのか分かったものではありません。「子」は자(ヂャ)だそうですので、「チャン・ツィイー」の「ツィ」の音に至っては、中国語でも韓国語でもありません。全くのデタラメです。

そう考えると非常に腹立たしい事ではありますが、しかし、漢字に密かに朝鮮語音を付けた人物、或いは、集団だけが悪いのではありません。これは慰安婦問題などにも共通する事ですが、そもそも、大切な日本語の構成要素である漢字に対して、韓国語音を付けさせるような、外国に引き渡すような事をした日本側が良くなかったのです。悪弊は断ち切るべきです。これらの漢字は、

張芸謀(ちょうげいぼう)
章子怡(しょうしい)
鞏俐(きょうり)
山東(さんとう)

が正しい表記であると思います。中国人の名も韓国人の名も、漢字で書かれた物は、日本では日本語の音で読んで差し支えはありません、と言うよりも当然日本語で読むべきです。また、韓国大統領の名前は、以前は、

全斗煥(ぜんとかん)大統領
朴正煕(ぼくせいき)大統領

と呼ばれていました。皆さんは「あしたのジョー」を読まれたことがあるでしょうか。そこに出てくる減量不要のボクサーは、金龍飛(きんりゅうひ)でした。

漢字は漢字文化圏では、その国の発音で読むという暗黙の了解というか決まりがあります。それを崩してしまうと、不見識でみっともない上に、漢字文化を破壊する事にもなりかねません。もし、韓国語音を優先するのであれば、シンガポールやベトナムと同様、片仮名で表記すべきであると思います。

漢字の話(キラキラネームの秘密、四)

2016年05月10日 14時13分41秒 | 日記
※当ブログの「漢字の話」及びその他の記事については、許可無く転載を禁じます。何処かで全く同じ内容を発表している場合には、ご一報ください。私が、ねじ込みます。


漢字に外国語の音のルビを振ろうと言う人々が、実は、「天!地!」に(ティエン!チイ!)と振って憚らない見識の持ち主である点は、注意すべきであると思います。漢字を使って、何をするか分からないからです。


・名乗訓(なのりくん)

数年前のこと、親戚に子供が生まれました。生まれた子の親が電話を掛けてきて、名前を考えたので、意見を聞きたいと言います。彼女の考えた名前は、

稔司(ねんじ)

自信満々で「好い名前でしょう。」と。

名前は、戸籍簿に登録されます。戸籍簿は法務省の管轄で、国籍と出生,婚姻,離婚その他の事項を記載する公文書です。国民の国籍に関わり、親族の身分関係(夫婦,親子,兄弟姉妹等)を登録し,人の身分関係の形成(婚姻,離婚,縁組,離縁等)にも関係している物です。

公文書に記録される上に、その子が生きている百年の間、使い続ける物です。親の好みもあるとは思いますが、流行廃れが無く、誰が見ても奇異ではなく、覚えやすい、運の良い名前が良いと思いました。

そこで、少し考えてから、

「やめた方がいいと思う」と答えました。

「えっ、何で」と聞くので、

「稔りという字は、ネンとは読まない。ジンとかニンの音だから。」

と言うと、彼女は、

「え?ネンって音はあったけど…。」

「いや、無いと思う。『大漢和辞典』とか『新字源』で引いてみて。ネンの音はありません。何に、ネンって書いてあったの?」

「姓名判断とか、子供の名前をつける本に、ネンって載っているんだけど。」

「デタラメに書いてあるんじゃないの。きちんとした辞書を引いた方がいいと思う。」


『大漢和辞典』で引くと「稔」は、

[集韻]忍甚切

「忍甚の切」です。

「忍」は、漢音が「ジン」で呉音が「ニン」、「甚」は漢音が「シン」で呉音が「ジン」です。それで「稔」の音も、漢音が「ジン」、呉音が「ニン」になります。訓は「みのる」。この他に『大漢和辞典』には、「名乗(なのり)」という訓が挙げられています。

「名乗」とは、名前に使われる特種な読み方です。名乗訓(なのりくん)とも言われています。漢字の意味に符合するものと、符合しないものがありますが、例えば、経の「つね」、之の「ゆき」、素の「もと」、忠の「ただ」、孝の「たか」等がこれにあたります。(『漢字小百科辞典』原田種成 著より)

「稔」の字には、「ニン」「ジン」の音、「みのる」の訓の他に、

名乗訓「とし」

があります。正確には「司」も「シ」の音ですが音便変化と取るとしても、

「ニンジとかジンジとか、トシジという名前ならあり得るけど、ネンジとつけると、将来、親子で馬鹿にされないとも限らないので、やめた方がいいと思う。」

と言って電話を切りました。後日、彼女から連絡があり別の名前にしたとの事。その名については、ここには書きませんが、好い名前だと伝えました。


ところで、子に名前を付ける場合には、どの様な物を使うでしょうか。『姓名判断』や『子供の命名』に関する本でしょうか。それとも、ネットやスマートホンのアプリで調べるでしょうか。残念ながら、これらの方法は、あまりお勧めできません。情報として間違っているだけではなく、意図的に異常な物が含まれている場合が多いからです。

そもそも、子供の名前に使われる漢字は、常用漢字と人名用漢字の中から選ぶことになっています。


・文字の発見

ここで少し古いお話を。光緒二十五年(1899年)の事、清朝の国子監祭酒の地位にあった王懿栄(おういえい)は、マラリヤに苦しんでいました。国子監は、大学を統括し科挙の試験を司る役所で、祭酒とは国子監の最高責任の役職です。今で言えば東京大学の総長と同程度の地位です。博学で、金石学(青銅器などに刻まれた古代文字の研究)にも造詣の深い人物でした。

王懿栄は、医術の心得もありましたので、マラリヤの薬も、「達仁堂」という薬屋に使いの物を行かせ、服用前には自分で薬を調べていました。あるとき、偶然、「龍骨」と呼ばれるマラリヤの骨片に、文字が書かれているのを見つけました。そこで、王懿栄は、薬屋や他から千五百個以上の「龍骨」を集め、詳しく調べてみる事にしました。龍の骨として売るからには、文字が削られていたり、少ない部分が扱われていましたが、収集して調べてみると、それが、占卜に用いられた亀甲獣骨であり、上部に刻まれているのが、古代の文字である事を発見しました。これが、「甲骨文字」の発見の始まりです。

時は清末、義和団による大々的な排外運動が起こり、翌、光緒二十六年(1900年)朝廷がこれを支持して列強に宣戦布告。同年七月二十日(1900年8月14日)、八か国連合軍(義和団討伐のために派兵した列強八ヶ国。イギリス・アメリカ・ロシア・フランス・ドイツ・オーストリア=ハンガリー・イタリア・日本)が北京攻略を開始すると、王懿栄も衆を率いて東便門で応戦。しかし翌日、北京はあっけなく陥落。王懿栄は自宅に帰ると、「私は義として、いたずらに生きながらえる事はできない」と、家人の止めるのも聞かず服毒し、井戸に身を投げて果てました。

王懿栄が亡くなると、収蔵していた甲骨は全て、王懿栄の息子によって劉鉄雲に譲られました。劉鉄雲は、その中から資料として有用な物を拓本に取り、光緒二十九年(1903年)『鉄雲蔵亀』として出版。

マラリヤの薬として売られていた「龍骨」は、実は、河南省安陽の小屯付近の農民が掘り出した物でした。小屯は、それまで伝説だと思われていた殷王朝があったと伝えられている場所です。

殷というのは、紀元前1700年頃~前1100年頃まで存在した王朝です。河南省安陽小屯付近の殷墟は、殷王朝の中期以降から最後の紂王(ちゅうおう)までの300年間に都があった場所です。この発見によって、それまで伝説時代と思われていた「殷王朝」が、実在したという事が立証され、古代の文字の情況が明らかになってきました。

甲骨文字には、およそ4500前後の文字があり、その中には、象形を始め指事・会意・形声等の文字が含まれ、相当進んだ段階にあったと言われています。要するに、漢字の歴史は、更に古い時代にまで遡ることができるのです。


もう少し続きます。

岐路に立つ日中台関係(台湾の不満)

2016年05月10日 13時34分16秒 | 日記
日本が自国の領土・領海を守る事は当然です。しかし、惜しむらくは、台湾の漁船を拿捕した事で、熊本地震以降、良好な関係を築いていたかに見えた両国の関係が、俄に怪しくなりました。台湾の海岸巡防署は1日、周辺海域での台湾漁船の操業保護を目的として、巡視船を同島周辺に派遣する騒ぎとなっています。何故、この様な事になってしまったのでしょう。

・台湾の現状

事件の話しの前に、台湾と中国の現状について少し触れておきたいと思います。

1、1月16日の台湾総統選で独立志向の民進党 蔡英文氏が、国民党を破って当選しました。八年ぶりの政権交代です。現在、訪日台湾人も増えて、日本との関係は非常に良好です。先月の熊本地震でも、多くの義捐金や物資、暖かい励ましの言葉が寄せられました。

2、日台のこの様な状況は、既に台湾側に対して圧力をかけ始めていた中共にとっては、看過できない物であったと思われます。

台湾への圧力と思われる事件については、例えば、次の様な例を挙げる事ができます。

○「高雄港の国際クルーズ客船寄港数が、2015年には過去最多の46便だったが、今年は20便前後と半減する見通し。主な理由は、昨年23便が寄港した香港拠点のスタークルーズが、今年は高雄港に寄港しない方針を明らかにした。

旅行関係業者によると、スタークルーズだけでなく中国・渤海輪渡の「中華泰山号」と海航郵輪の「海娜号」も、今年は高雄港に寄港する予定がないという。クルーズ路線の人気が低下し、中国人旅客が日本路線などを希望していることが背景にあるとみられ、スタークルーズも、日本や中国、韓国などを結ぶ路線の運航に注力する方針だ。

台湾の主要港湾業務を統括する公営企業の台湾港務によると、今年、高雄港への寄港を申請したクルーズ客船の寄港数は現時点で14便。観光局の許伝盛局長は「蔡英文新政権が5月20日に発足することに絡み、中国政府が訪台ツアー客数を制限していることもクルーズ船寄港回数激減の背景にある」と分析している。(「NNA.ASIA」『高雄港のクルーズ船寄港数、中国客減で半減も』2016/04/28より)

気に入らないと、政治的・経済的に圧力を掛けてくる。中共の手口をよく示しています。また、台湾で起きた事は、日本でも起こり得る事でもあります。私は個人的に、中国に対するビザの緩和は、時期尚早なのではないかと思っています。

もう一つ、「NEWS WEEK」の記事です。

○「蔡英文氏の新台湾総統就任を約1カ月後に控え、中国は同国に対する圧力を強めている。反中感情の波に乗って当選した独立派の蔡氏にとって、前途多難なスタートになりそうだ。

中国はこの数週間で、かつて台湾と外交関係のあったガンビアと国交を回復。一方、ケニアで通信詐欺に関与したとみられる台湾人を中国に送致させた。犯罪として扱われるよりも政治的に対処されたとして、台湾側はこれを非難している。

台湾はまた、中国と台湾の高官をつなぐホットラインにおいて、中国が最近の緊急時に2度返事をしなかったことを明らかにした。

「中華民国」としての台湾を認めているのはわずか22カ国で、ケニアを含む大半は北京に指導者がいる「中華人民共和国」と外交関係を結んでいる。

台湾は中国にとって、最も神経質な政治問題の一つであり、共産党の懸案事項の中核をなしている。南シナ海の領有権問題よりも大きい。

今年1月に行われた選挙で蔡英文氏と同氏率いる民主進歩党(民進党)が圧勝してから、中国政府は同氏の動向を注視していくと繰り返し警告している。蔡氏は5月20日に総統に就任する。

08年に国民党の馬英九氏が総統になって以降、ハイレベル協議が定期的に行われてきたが、清華大学の台湾専門家は、もし蔡氏が対中政策を説明しないなら、中国と台湾の対話が断たれるリスクがあると指摘する。

一方、中国との平和を望み、体制を維持したいとする蔡氏だが、「(ケニアからの)台湾人の国外退去に関する問題で、われわれを代表する権利など北京にはない」と、蔡氏は先週フェイスブックにこう記した。

国務院台湾事務弁公室主任の張志軍氏は、ホットラインで台湾側がガンビアの件で同氏と連絡を取ろうと躍起になっていたとき、オフィスにはいなかった。また、台湾の中国政策を主管する行政院大陸委員会によると、ケニアの件で連絡が取れるようになるまでに少なくとも2日かかったという。

中国政府は、蔡氏が中国政策を明確にすることを望んでいるが、同氏は口を閉ざしたままだ。その背景には、中国軍の存在がある。

中央軍事委員会副主席の許其亮氏は先週、台湾の対岸に位置する福建省の部隊を訪れ、軍事力強化に励むよう激励した。

中国軍は先月、1949年に内戦で国民党が台湾に逃れたのに続き国民党軍に勝利した、重要だがあまり知られていない記念日を祝ったが、このことは中国軍が今なお台湾を中国の戦略的優先事項の一つと考えていることを思い起こさせる。

「われわれは『台湾を再統合せよ』と大声で叫ばなくてはならない」と、南京軍区副司令官を務めた王洪光中将は先月、インターネット上でこのように記した。」(「NEWS WEEK」『蔡英文の新台湾総統就任まで1カ月、圧力強める中国ーー独立派の蔡英文は対中関係をどうしていくのか?』 2016年4月25日 10時24分より)

要するに、今回の拿捕は、台湾の蔡英文氏にとっては船出直前の、しかも中共に厳しく監視をされている情況下で起きた事であり、中国側にとっては、何か手を打とうと機会を伺っていた時に起きた事件でした。

3、習近平政権は、情報の統制を強めています。例えば、昨年10月から12月にかけて、香港で中国政府に批判的な書籍を出版、販売する書店「銅鑼湾書店」の関係者5人が相次ぎ失踪し、中国当局による拉致の可能性が噂されました。また、今年3月中旬には、北京と香港を中心に活動するメディア関係者5人が相次いで失踪。当局に連行された可能性が取り沙汰されました。

例えば、報道の自由に関する調査でも、

○「香港記者協会(HKJA)が3月22日に発表した調査による「報道の自由度指数」で、2015年は香港における報道の自由度が2年連続で悪化した。

調査は、1000人超の市民と記者数百人を対象に実施。その結果、一般市民の54%、記者の85%が昨年は報道の自由が縮小したと考えていた。特に、政府批判への懸念が最も強く、意見表明を差し控える「自己検閲」の雰囲気が一段と広まったとみられている。」(「NEWS WEEK」『香港記者協会、2年連続で「報道の自由度指数」が悪化と発表ーー体制批判の本を扱った書店関係者の失踪などで、「自己検閲」の雰囲気が広まる』2016年3月24日(木)20時25分より)

香港だけではなく、台湾の媒体も同様に、報道内容が規制されてきています。以下に紹介するのも、中共の影響を色濃く受けている媒体です。報道内容を通して、中共の注目している点を伺うことができます。

4.中国は対外政策として、「夷を以て夷を制す」と言う戦略をとります。自分達は表に出ずに、同士討ちをさせる方法です。例えば、新疆ウイグルで暴動が起きる場合、人民解放軍や武装警察を投入して鎮圧しますが、その解放軍や武警にはウイグル人が投入されています。台湾と日本が、互いに反目しあえば、中国にとってこれほど好い事はありません。

5.この出来事が、日中外相会談の直前に起きた事も重要です。現在、南シナ海問題は世界的な懸案事項となっていますが、中国は「沖ノ鳥島」を埋め立ての元祖と吹聴しているからです。


・事件のあらまし

NHK他の報道によれば、先月25日、東京の沖ノ鳥島沖の排他的経済水域で違法に操業したとして、海上保安庁は台湾の漁船を拿捕し、船長は担保金を支払った事で釈放になりました。これに対して、馬英九総統は、沖ノ鳥島について「島ではなく岩であり日本が排他的経済水域を主張することはできない」と批判し、外交部が台湾での日本政府の窓口となっている「交流協会」の代表を呼んで抗議をしました。

台湾の当局は、巡視船と、漁業訓練船を沖ノ鳥島近くの海域に派遣することを決め、1日、台湾南部の高雄の港を出ました。巡視船を派遣した台湾の海上警備当局の担当者は、「台湾の漁船が操業する権利を全力で守る」と強調しました。日本側は「沖ノ鳥島は、国連海洋法条約で島としての地位が確立している」と反論するとともに、冷静な対応を呼びかけていますが、台湾側は日本への反発をさらに強めています。(「NHK NEWS WEB」『日本最南端の沖ノ鳥島沖 台湾が巡視船など派遣』5月1日19時10分より)

以下は、台湾で報じられた内容です。

「世界新聞網」

『日本に拿捕された漁船の船主は170万を調達 26日午前に送金(被日扣漁船主籌170萬 26日上午匯款)』

April 25, 2016, 10:18 am

「屛東(へいとう、地名、屛東県琉球郷)琉球籍の漁船「東聖吉16号」が公海上で日本に拿捕され、船主は既に保証金170万台湾元を準備した。もし、本日、外交部と日本側との協議で成果が出ない場合には、明日の午前中に、保証金を中華民国駐日本代表所に送金する。

琉球区漁会総幹事 蔡宝興は、それでも外交部が本日努力して、人物と漁船が釈放されることを望む。もし、保証金を日本に納めることになると、それは話し合いで罪を認めた事なる。つまり、「東聖吉16号」が漁をしていた「沖ノ鳥」礁の海域は、日本の領海であると承認することになり、この様な判例があると、今後「台湾漁民は悲惨だ、あそこで漁ができなくなる。」、と述べた。

目下、日本の保安庁公務船上に拘留されている「東聖吉16号」船長 潘建鵬は、午後に父親であり、また船主でもある潘忠秋に電話を掛けて、日本側が、明日の午前中に170万台湾元(1 台湾元=3.3119円)の保証金を日本側に納めるよう要求しており、さもなければ、ヘリコプターで小島に送られ、小島で飛行機に乗り換えて日本に送られ、漁船も同時に日本に向けて牽引される。

人と船が一旦日本側に差し押さえられ、法律で漁船が日本領海に侵入したという判決を受けると、その時は、必ず800万台湾元の罰金を支払わなければならなくなるので、潘忠秋は急いで170万元の保証金を工面した。しかし、その様な大金は俄に工面することはできないので、蔡宝興が先に潘家に貸す事になった。

蔡宝興は、潘忠秋の立場からすると、主権の問題は政府が解決すべきで、彼は必ず、人と船を一刻も早く釈放し、日本に押送されて法律で裁かれる事が無いようにしてもらいたい。もし、外交部が、本日、日本側との協議で成果を上げられなければ、明日(26日)午前8時、潘忠秋は、金を中華民国駐日本代表所に支払い、代表所から日本に納める、と発表した。

潘忠秋は、漁船が漁に出る時には、漁業署の指示を仰ぎ、漁業署が公海での漁の許可を公表する、だから、政府には必ず責任がある。万一、保証金を日本に支払い、政府がその金を取り戻さないなら、その保証金は、政府が「賠償」すべきだ、と述べた。

「東聖吉16号」は昨晩7時頃、「沖ノ鳥」礁の海域で漁をし、日本の保安庁公務船に追跡され、本日早朝5時頃、北緯19度47分、東経138度38分の、「沖ノ鳥」礁の東南東方150海里の海域(鵝鑾鼻(がらんび、台湾島最南端の岬)の東方1007海里)で、日本の海上保安庁公務船に拿捕された。」(「世界新聞網」『日本に拿捕された漁船の船主は170万を調達 26日午前に送金(被日扣漁船主籌170萬 26日上午匯款)』April 25, 2016, 10:18 am)

この記事を読むと、漁民にとってより重要なのは、「沖ノ鳥島」を含む領海の問題よりも、賠償金の問題である事が分かります。

・台湾の不満

以下は、中国よりの「東森新聞」4月28日の『關鍵時刻』(テレビ番組)の内容を要約した物です。かなり扇情的な内容となっています。

「熊本で大地震が発生すると、我々台湾は非常に心配して、義捐金や物資を調達し、桃園と台中・台南・高雄の三都市の市長は、日本の被災者を救済しようと一ヶ月分の給与を寄付した。当時、日本は非常に感謝し、台湾と日本の二国間の国交は、強固であるように思えた。

しかし、思いもよらず、日本は掌を返したように、我々の「東聖吉16号」が沖ノ鳥礁を通過すると、ここは岩礁で島などではないが、日本は船を拿捕し、船長は今日、釈放された。

日本人がどう彼を扱ったかと言えば、船長の潘建鵬(はんけんほう)によれば、彼は全て脱がされ、素っ裸で極めて侮辱的に検査をされ、その上手錠を掛けられ、横浜に連行された。

もし、日本が主権を微塵も譲歩しないと言うのであれば、あらゆる国家に対してこの様に対処すべきだ。それならば、台湾も何も言うことはない。しかし、日本の周辺の国家に対する態度を見てみると、日本は中共を拿捕しただろうか、朝鮮を拿捕しただろうか、韓国を拿捕しただろうか、していない。日本は毎回、台湾だけを拿捕している。

台湾は日本に対してこれほど好くしているのに、それなのに、日本は毎回、国家の力を誇示するときには、他の国にはお構いなしで台湾だけ相手にする。

潘建鵬「彼等は、着ている物を全て脱いで検査をする、何か持っていないかと。彼等の留置場では、食事は下にある小さな穴から差し入れられるんだ。」

彼は非人道的な扱いを受け、裸にされ手錠をはめられた。これでは犯人と同じ扱いだ。

政権交代の狭間に、漁民を捕らえ、罰金を取り、沖ノ鳥礁の国際上の島嶼の地位を認めさせた。第一に、犯人として扱い、素っ裸にして取り調べ、留置場に送った。犯罪事実がないのにも関わらずだ。しかも、彼に対して始めのうちは、170万台湾元を支払え、もし、横浜に連れて行かれると800万台湾元が必要となるぞ、と言っていた。漁民の家族もこの言葉を信用したが、しかし、翌日、日本の海上保安庁は、この海域から硫黄島に行き、横浜に連行すると言って、ヘリコプターで国際社会に示すようにして連行した。つまり、台湾の船長を捕まえた事を公表した。

更に重要なのは、日本は過去に、だいたい十数回も台湾の漁民を捕まえている。それは、毎回、主権に争議が持ち上がっている時、国際上に争議が持ち上がっている時に限って、台湾漁民が捕まっている。そうして、日本の海域であると主張する。

最も重要な事は、日本の主権の争議は、相手によって変化する事だ。

2008年の時には、※台湾の聯合号が日本の駆逐艦と衝突して沈没したが、中華民国政府が戦闘の覚悟を決めると、日本側は漸く船長をかえした。

しかし、日本はロシアに対しては全く違う顔を見せる。北方四島には争議がある。それで、ロシアの外相は、日本の外相に対して、先ず、第二次大戦の結果を認めろ、戦争で失敗しているのだから領土は我が国の物だ、ロシアの占領を認めろ、と。それに対して日本が何を言ったのかというと、我々は友好関係に立って、積極的・建設的な会談を行いたい、と柔和に答えた。

ところが、台湾の馬英九総統が、あれは岩礁で島ではないというと、日本の外相は厳重に抗議し、台湾のこの様な発言は日本は受け入れられない、と答えた。北方四島を占領されても、ロシア外相とは笑顔で笑って握手をするくせに、台湾には厳しい表情をしている。

※08年6月10日午前3時23分、尖閣諸島・魚釣島の南約10キロの日本領海内で、第10管区鹿児島海上保安部の巡視船「こしき」(966トン・乗組員32人)と台湾船籍の遊漁船「聯合號(レンゴウゴウ)」(16人乗り)が接触、漁船が沈没した。海上保安部によれば、午前2時すぎに領海内で航行する船影を確認。接近しようとしたところ、漁船がジグザグ航行を開始。船名を確認中、漁船が急に右側に方向転換したため、巡視船左舷船首部と接触した。遊漁船は約1時間15分後に沈没、船客らは全員救助された。全員が台湾人男性で、釣りが目的だったという。石垣海上保安部で事情聴取を受けたあと、同日夕、巡視艇で石垣島北方の領海外へ向かい、待機していた台湾巡視船に乗り移った。(「八重山毎日新聞」『巡視船と接触、沈没 遊漁船乗客ら台湾へ』2008年06月11日より)日本側は海上保安庁側も過失を認めた上で、事故被害に対する賠償を約束して事態を収集した。

「沖ノ鳥礁」は三畳ほどの場所だ。波が来ると沈む。北小島・東小島が水上に浮いているだけの珊瑚礁だ。台湾元で300億を使って埋め立てた、埋め立ての元祖だ。台湾の少数派と日本人だけが島だと言っている。

ロシアの漁船が、あそこで操業して捕まるだろうか?朝鮮の漁船が操業して捕まるだろうか?中共の漁船が操業して捕まるだろうか?では、どうして、台湾の漁船だけが捕まるのだろう?(ロシアも朝鮮も中共も核を持っている)台湾だけが持っていないから、馬鹿にされているんだ…。」


さて、漁民にとっての金銭問題を、政治的な問題に引き上げたのは、馬英九総統と中共だと思われますが、日本側にも幾つかの考える点はあると思います。主権を守ることは大切ですし、私も、「沖ノ鳥島」は「島」だと思っています。しかし、少なくとも、日中外相会談を前にして、親日派の多い台湾に対して、もう少し穏便に事を運ぶことはできなかったものかと思います。

今回の「沖ノ鳥島」での拿捕に関する騒動は、南シナ海問題を抱える中共にとって、非常に都合がよい物であったろうと思われます。苦境に立たされている蔡英文氏に力を貸し、台湾との関係を良好に保つためにも、中共につけいる隙を与えないためにも、「東森新聞」の指摘する、台湾だけが拿捕されるという、ある種の不公平が、もし存在するのであれば是正されるべきですし、寧ろ、台湾にこそ、ある種の優遇があってしかるべきだとすら思うのです。

ヘイトスピーチ規制法は違法では?(ケーセッキって何?)

2016年05月09日 16時48分25秒 | 日記
ヘイトスピーチ規制法に反対です。

日本で日本人が何を言おうが、それは日本人の自由です。

日本人には、

個人が直接にも間接にも抑圧を受けることなく

自己の思想・信条・意見を公に発表できる自由があるはずです。


日本国憲法では、『言論の自由』『表現の自由』は保障されています。

「第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
・検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

これは、当たり前の権利です。

何処かの誰かが盗聴をし、

それを仲間と共に聞いていたりしたら、

それは、違法行為です。


中国や韓国で「日本製品不買だー」とか

「小日本」「東洋鬼」「独島は我が領土」とか「チョッパリ」とか言っても、

中国や韓国が法律で規制するなど、聞いたことがありません。


外国人に対して、過剰に悪口を言う事、

それが好い事とは思いませんが、

日本人が日本でどの様な言語活動をしようとも、

それは個人の自由です。


上品・下品があったとしても、

法律で規制するなど、

日本人の権利を侵害する物だと思いますし、

それこそ法律違反です。


あの白犬のケーセッキとか言われているCMは何でしょう?

311の時に各局がCMを自粛する中、

真っ先に流れたCMは、マッコリでした。

外国人が日本で、日本人に対してする侮辱を放置し、

日本人の外国人に対する悪口のみを取り締まるというのは、

本末転倒であると思います。


日本で外国人が日本人と同等の権利をよこせというのは、

日本人にとっては不平等です。

日本の法律は、先ず、日本人が守られるべきです。


寧ろ、国旗・国歌に対する侮辱を規制する法案や、

天皇陛下に対する不敬罪を復活させるべきだと思います。