ディープパープルメドレー
1968年に結成されたイギリスのロックバンド「ディープ・パープル」は、ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムスという構成で、マイナー・コードと爆音サウンドを駆使した疾走感あふれる演奏を繰り広げた。
結成当初は、クラシックと融合した幻想的な音楽路線を進もうとしていたが、イアン・ギランがボーカルとなり、ギターのリッチー・ブラックモアがバンドを主導してハードロック路線に舵を切ってから、人気は爆発的なものになった。
1972年には来日も果たし武道館でライブを行った。この時のライブ盤からシングルカットされた「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が、アメリカでも大ヒットする。
1974年のアルバム「紫の炎」は商業的に最も成功したアルバムだが、以来メンバー間の音楽に対する考え方の対立からメンバー変更が繰り返され、リッチー・ブラックモアも脱退することとなった。
1976年に一度解散したが、1984年に再結成し、現在に至るまで10期のメンバーチェンジを行いながらも活動し続け、ハードロックの先駆けとして数多くのミュージシャンからの尊敬を集めている。アルバムセールスは1億枚を突破し、日本でもきわめて人気が高い。
吹奏楽アレンジ「ディープ・パープル・メドレー」は、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの第24集(1995年)として発売された。
「バーン(紫の炎)」「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」という代表的な名曲をメドレーにしたもので、洋楽に興味のない人でも一度は耳にしたことのあるような、有名なフレーズが含まれている。
現在の高校生は、「ディープ・パープル」という名前さえ知らない人がほとんどではないでしょうか。
しかし吹奏楽曲として、この楽譜を演奏したり、聞いたりすると、その魅力にとりつかれるようです。若者の感覚をまっすぐに刺激する基本的なロックのリズムがその要因の一つでしょう。
テンポは速いものの基本的な8(エイト)ビートをベースにしたリズムはノリノリになりやすく、吹奏楽独特の振り付けもつけやすいのです。本校も、吹奏楽っぽいスタンドプレーを入れながら楽しく演奏してみたいと思います。
聖者の行進
~ 数あるアメリカの歌の中でも「聖者の行進」は子供から大人まで、誰もが知っているメロディーと言ってよいでしょう。特にサッチモの愛称で親しまれるルイ・アームストロングの歌とトランペット演奏が有名で、デキシーランド・ジャズを代表する曲となっています。一般的にはただ陽気な曲と思われていますが、20 世紀初頭のアメリカ南部では、黒人奴隷のお葬式で演奏される事が多かった曲です。墓地まで棺を運ぶ時には「Free As A Bird」つまり「鳥のように自由に」という、日本では「追憶」というタイトルで知られるスペイン民謡を演奏しながら行進し、埋葬が終わると「聖者の行進」を陽気に演奏して、死者が神のもとに帰ったことを祝ったのです。つまり、黒人奴隷達は死んでやっと自由になれるのだという悲しい話でもあります。このアレンジでは、その様式を再現しています。
最初、ニューオルリンズ・ジャズの編成と演奏で「Free As A Bird」が悲しげに演奏され、やがて「聖者の行進」のメロディーが聞こえてきます。そして突然アップ・テンポのデキシーランド・ジャズ・スタイルとなり、各楽器がアドリブを演奏します。そして最後はビッグバンド風へと盛り上がっていきます。つまり、ニューオルリンズ・ジャズ、デキシーランド・ジャズ、ビッグ・バンド・スタイルの全ての要素を含んでいるので、ジャズの歴史の勉強にもなるでしょう。そして、サッチモの有名なフレーズで曲を閉じます。(真島俊夫「スコア解説」より) ~
ハードロックよりもさらに古い時代の音楽になります。真島俊夫先生は、さまざまな吹奏楽作品を作曲、編曲し、吹奏楽というジャンルの可能性を広めることに最も貢献された方といっても過言ではありません。
真島先生が総監督を務める「シンフォニックジャズ&ポップス」コンテスト用に、昨年新たに書かれた楽譜で演奏いたします。3年生たちが交代でソロをとります。
青春の輝き
~ 切ない歌詞と美しすぎるメロディーを持つカーペンターズのヒット曲です。カレン・カーペンター自身が、一番好きな歌だと語っていました。可憐な歌声と切ない歌詞が時代を超えて、心に響いてきます。一度、歌詞を調べてみてください。カレンの気持ちがじわじわっと伝わってきます。この楽譜は、感動的にシンフォニックな演奏が展開され、心に染みいる美しいメロディーに心を洗われる思いがします。この青春のスタンダード曲が、吹奏楽の定番曲になるのは間違いないでしょう。(スコア「楽曲解説」より) ~
原題は「I Need to Be in Love」。直訳すると「私は愛の中にいる必要がある」となりますが、軽く訳すと「恋をしなくちゃ」とでもなるでしょうか。
さびの部分の歌詞は、次のとおりです。
I know I need to be in love
I know I've wasted too much time
I know I ask perfection of a quite imperfect world
And fool enough to think that's what I'll find
( わかってるわ、恋をすべきだって
わかってる、ずいぶん時間を無駄にしてきたこと
わかってるの、こんなに不完全な世界に、完全なものを求めているって
でも、ばかね。あたしは本当の恋は見つかるって信じてる )
歌われているのは、「本当の恋」「自分だけを愛してくれる人が存在すること」を信じていられる気持ち…、でしょうか。一見すると原題とかけ離れたようにも見える邦題ですが、こうやって歌詞を見つめてみると、青春時代の本質を言い当てているようにも感じます。
この歌詞のように輝いている若者達の姿を、ご覧いただけたらと思います。
リトルマーメイドメドレー
~ ディズニー・アニメ映画の名作Fリトル・マーメイド』(1989年)から、代表的なナンバー3曲のメドレーです。
海の底には人魚や魚たちの王国があります。王様は人魚のトリトン。彼には7人の娘がいますが、心配の種は末娘のアリエル。というのも、彼女は海底王国のおきてに反して人間の世界に興味を持っいるからです。そこでトリトンは、宮廷音楽家であるカニのセバチャンに末娘を監視させます。しかし、その程度のことでおとなしくなるアリエルではありません。ある日、嵐で遭難した人間の王エリックを助けたアリエル。エリックに恋してしまった彼女は、海底の魔女アースラの魔法で人間に姿を変え、エリックのもとへ向います。ただし、3日目の日が沈むまでに王子にキスされなければ、アリエルは永遠にアースラの奴隷になるという条件です。それは、トリトンから海底の王の座を奪おうというアースラの罠だったです……。
ディズニー長編アニメーションの第28作にあたるこの映画は、アンデルセンの悲劇的な童話『人魚姫』を原作としながらも、原作はまったく違う明るいファンタジーを展開して大成功をおさめました。特に、現代的でノリのよい音楽が成功の要因のひとつでした。音楽を担当したアラン・メンケンは、1949年にニューヨーク州に生まれ、ミュージカルの作曲家として活躍した後、1989年にディズニーと契約、『リトル・マーメイド』の音楽でアカデミー賞のオリジナル作曲賞と主題歌裳を獲得して、一躍人気作曲家となります。以来、『美女と野獣』(1991年)、『アラジン』(1992年)、『ポカホンタス』(1994年)の音楽を手がけ、これらの作品ではいずれもアカデミー賞作曲賞と主題歌賞を受賞し、ディズニー・アニメ映画の黄金時代を築く大きな力となったのでした。
1曲目の「アンダー・ザ・シー」は、地上の世界のことばかり思っているアリエルに向かって、お目付け役のセバスチャンが、海底の世界の楽しさを歌って聞かせるナンバー。セバスチャンのひょうきんなキャラクターが、にじみでています。アカデミーの主題歌賞受賞曲です。
2曲目の「キス・ザ・ガール」は、ボートでデートするアリエルとエリックを、音楽家のセバスチャンがロマンティックに盛り上げようとするシーンのナンバー。くすぐるような音楽が、ためらう王子エリックの唇を動かします。
3曲目の「パート・オブ・ユア・ワールド」は、物語の前半で、人間の世界にあこがれるアリエルの思いを歌ったナンバーです。アリエルの秘密の隠れ家は、地上の食器や家具のコレクションでいっぱい。海底に沈んだ難破船などから拾い集めたのです。それら、人間の世界の一部分に囲まれて、アリエルはそこに暮らす自分を空想するのでした。(星出尚志「曲目解説」より) ~
卒部する三年生たちのソロで曲を進め、演奏会の幕を閉じます。最後までお楽しみください。
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