水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「ネットが崩す公私の境」の授業(4)

2021年10月16日 | 国語のお勉強(評論)
第三段落後半(12~14)


12 従来のメディアでは、個人が公に対して発言するには、さまざまな困難や編集者らによるチェックなどが伴っていた。良くも悪くも、〈 この距離 〉こそ、思いを思考に、一面的な思念を十分吟味された意見へと練り上げる。
13 しかし、インターネットにおいては、気楽に書き連ねた文章を、自分のコンピューターに保存することと、ネット上に公開することの差は、二、三のキー操作の差にすぎない。従来のいかなるメディアとも異なり、インターネットでは、〈 「発想」と「発表」との間の落差がほとんど存在しない 〉。あるいは、「自我境界」があいまい化、拡大化し、自己と世界が、いわば「短絡」してしまうのである。〈 ここでは、プライベートとパブリックの境が溶け落ちる 〉。
14 さまざまな情報とともに、何億もの個人のとりとめもない思いや理解や誤解が、ネット上にあふれる。これらは、呼び出されなければ無言のままにとどまっているが、ひとたび検索の網にかかれば、強大な力を発揮することになる。


Q17「陶冶」と意味の近い言葉を指摘せよ。
A17 チェック 吟味

「この距離」について、

Q18何と何の「距離」か。
A18 個人と公

Q19 「距離」を隔てているのは何か。21字で抜き出せ。
A19 さまざまな困難や編集者らによるチェックなど

Q20「『発想』と『発表』との間の落差がほとんど存在しない」のはなぜか。その理由を述べた一文の最初から5字を記せ。
A20 しかし、イ

「ここでは、プライベートとパブリックの境が溶け落ちる。」について、

Q21「ここ」とはどこか。 
A21 ネット上

Q22「プライベート」「パブリック」を漢字一字の語に言い換えよ。
A22  プライベート … 私   パブリック … 公

Q23「溶け落ちる」とは、どういうことの比喩か。
A23 気がつかないうちに、ゆっくりとなくなっていくこと。

Q24 この結果どのような事態を招いたと述べられているか。14段落のことばを用いて40字以内で記せ。
A24 何億もの個人のとりとめもない思いや理解や誤解が、ネット上にあふれる事態。


〈個人の公に対する発言〉

従来のメディア (新聞・テレビ・ラジオetc)
        チェック
 思い      →  思考
 一面的な思念  →  十分吟味された意見
        ↑
        ↓
インターネット
 気楽に書き連ねた文章 → 公開
 発想                  → 発表
 個人のとりとめもない思いや理解や誤解  → あふれる
     ∥
 自己と世界が「短絡」
     ∥
「自我境界」があいまい化・拡大化


Q25「プライベートとパブリックの境が溶け落ちる」とあるが、どのような問題意識が述べられているのか。100字以内で説明せよ。

A25インターネットが出現して以来、
  誰もが自分の考えを簡単に公開できるようになり、
  公と私の境界線が無意識のうちに失われてきた結果、
  人々の肥大化した自己が
  世界中にさらけだされる事態に陥っているということ。

〈傍線部説明〉
 ①傍線部そのものを分析する
 ②傍線部前後を確認する
 ③傍線部を含む意味段落をふまえる

〈こたえの基本形〉
 S    V
 何が(☆)どうする ということ
 S    C
 何が(☆)どんなだ ということ

 ☆の部分に、理由(~ので・~のために)、対比(~ではなく)
手段(~によって)、限定(~のとき)
              といった要素を字数に応じて補う
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