水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

基本力(1)

2023年10月16日 | 学年だよりなど
3学年だより「基本力(1)」




 昔、センター試験の漢文で次のような出題があった。本文中の「易」と同じ意味で用いられている熟語はどれかと問われ、以下の選択肢がならんでいる。
 「 ① 簡易  ② 交易  ③ 容易  ④ 難易  ⑤ 平易 」(1996年本試験より)
 一目して気づくように、本文を読まなくても選択肢だけ見れば解ける設問だ。
 「 ① みかん  ② バナナ  ③ りんご  ④ ぶどう  ⑤ たまねぎ 」
から⑤を選ぶのと同じだと言える。では、次の選択肢なら正解はどれか。
 「 ① 親子丼  ② カツ煮御膳刺身付き  ③ カツライス  ④ カツ丼  ⑤ 壁ドン 」
 現代文でありがちな選択肢だが、これも本文を読まなくても④である可能性は高い。
 正解に必要な要素は「カツ」と「卵とじ」であり①・③は「不足」、②は「イイスギ」、⑤は「無関係」で誤答になるからだ。
 選択肢で解く以上、このような観点で選択肢を絞ることもできるという感覚は必要だろう。
 もちろん、本文を全く読まずにすべてを解ききることはできない。
 あくまでも一つのテクニックであり、選択肢比較をする前に、正解の方向性が見えるようになっている力が必要だ。
 残された時間が少なくなってくると、テクニック的なものに心惹かれ、「簡単に~」「一週間で~」「~はこれだけ」的な参考書や動画に向かってしまうこともある。
 「簡単にお金儲けできる」が1000%詐欺であるように、「三日で偏差値10上がる」はウソだ。
 ただし、逆も危険だ。
 必要な情報を手に入れずにひたすら勉強すること。
 志望大学の入試科目を知らない人はいないと思うが、どんな傾向なのかを把握していない人は意外に多いように感じる。
 解き時も同じで、間違った解き方のまま繰り返していると、マイナスがより強化される。
 「正しい方向の努力」を、「たくさんする」ということ以外に、やるべきことはない。
 それが基本だ。
 木村達也先生は、こう言う。




~ 高3の生徒諸君は受験本番まで間がありませんが、
 ① 今こそ基本を大切にし、
 ② 誰よりもたくさん問題数をこなし、
 ③ 先を見据えて勉強をする、
 という姿勢でラストスパートに臨んでほしいなと願っています。(木村達哉「成績向上のための基本三原則」)~




 基本を大切にする勉強を積み重ねて力をつけ続けること。
 その力を本番で発揮できるメンタルとあわさって「基本力」になる。
 受験に必要なメンタルは、極悪非道の強大な敵に立ち向かっていくような勇気ではない。
 想定外の状況におかれても、精神的にアウェイの現場に行っても、(外見では)平然といつもどおりのことを行えるようになる力だ。

コメント
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