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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

この夏にかけるみなさんへ

2022年08月07日 | 学年だよりなど
2学年だより「この夏にかけるみなさんへ」




 高校時代は大事だと多くの人が言う。
 その理由もさまざまに語られる。それを聞いて、納得できただろうか。
 自分の高校時代を思い出してみると、そんな言葉を聞いたときには「うるせぇな」と正直思っていたような気がする。
 何か、物事が自分の思うような事態に進んでいたときには、素直に「よし、がんばるぞ」と感じていたかもしれない。ということは、たぶん素直に聞けない時間の方が長かった。ほとんどか。
 当事者とって、その時点の大切は、なかなか実感できないものだ。
 大事かどうかよりも、ただただ辛かったり、楽しかったり、無為に感じたり、せつなかったりするものだから。どんなことがらも、価値評価は後になってはじめて出来る。




~ この夏にすべてをかける君へ
 暑い日が続きますが、体調など崩していないでしょうか。
 体格も投げかたも似ている、そして夢が叶うことを1ミリも疑っていない君と出会ったときから、僕はずっと、16年前の自分を重ねていました。その夢は、きっと叶うよ。とは、僕は言いません。勝負はわからないから。おなじ夢を持った人たちのぶつかりあいだから。ただ、今のまっすぐな君のまま、どうかこの夏のマウンドに立ち続けてください。これから先、グランドでもグランド以外でも、君をいろんな出来事が待ち受けています。僕のように、不安だらけの時期を過ごし、挫折を味わうこともあるかもしれません。それでもなんとか前を向くために必要なもの。それは、記憶だと思います。過去の栄光、だなんて言われることもあるけれど。最後まで闘い抜いた記憶は、未来を生きる大きな力になります。
 なんて、大舞台がすぐそこだってときに、先の話なんてされたくないか。この夏、いちばん速い球を投げるのは、君じゃない。いちばん熱い球を投げるのが、いちばん強い球を投げるのが、なんだかいちばん凄い球を投げるのが、君であってほしいと思っています。今から君の過ごす夏が、君を一生奮い立たせる夏になりますように。よし、 頑張れ。2022夏 斎藤佑樹 ~




 「いちばん速い球ではなく、いちばん凄い球を投げよ」という言葉にこめられた、斉藤氏の思いが伝わってくる。
 速いボールではなく、気持ちのこもった球こそが相手を抑えられるという経験を、斉藤氏はしてきただろうから。
 そしてそのことを、今の方がたしかな実感として語れるのではないだろうか。
 高校時代は大事だ。
 速い球を投げられたかどうかではない。速い球を投げようともがき苦しみ、その結果として、渾身の一球を投じることができた経験をするかどうか。
 たとえ空振りに終わっても、魂のこもったスイングができたかどうか。

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