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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ものの見方(2)

2020年10月19日 | 学年だよりなど
  3学年だより「ものの見方(2)」


 1935年、ホセ・ムヒカは、ウルグアイの首都モンテビデオの貧しい家庭に生まれた。
 ブラジルとアルゼンチンにはさまれたウルグアイは、国土の面積は日本の約半分、人口は340万人橋。サッカーが強いイメージを持つ人も多いだろう。埼玉県の半分以下の人口の国が、ワールドカップで過去2回優勝しているのは驚く。
 1825年にスペインから独立して以来、南米の中では比較的落ち着いた国だった。政治的にも経済的にも。しかし、第2次世界対戦以後、国の経済状況が悪化していく。
 失業者が増え所得格差が広がり、社会全体が不安を抱えた時代に、ムヒカは青春時代を過ごした。
 家畜の世話や花売りの手伝いなどをしながら高校を卒業した後は、政治運動に身を置く。
「格差のない社会にしたい、自由を手に入れたい」という純粋な願いからだった。
 極左の過激な集団と知られる「トゥパロマス」に入った。
 トゥパロマスのやり方は暴力的だったが、経済危機にあえぐ大衆の支持を受けていたのも確かだった。銀行やトラックを襲撃し、奪ったお金や食べ物を貧しい人たちに配ったりもしたという。
 若き戦士ムヒカは、祖国のより良き未来を信じて闘った。そして4度逮捕された。
 最後の逮捕は1972年、以来およそ12年間、収監される。
 獄中生活は孤独だった。何度も気が狂いそうになったと、後に回顧している。
 しかし同時に、徹底的に自分自身と会話したという。
 収監されて7年後に読書が許されるようになると、貪るように本を読んだ。
 富の無益さを知り、暴力の無意味さを反省した。いつか必ず自由になれる日がくることを信じながら、ひたすら自己とむきあった。
 「貧しさとは物がないことではなく満足出来ないことだ」という哲学は、この時期に形成された。


~ 質問させてください。
 もしドイツ人がひと家族ごとに持っているほどの車を、インド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょう? 私たちが呼吸できる酸素は残されるのでしょうか。
 もっとはっきり言いましょう。
 例えば、最も裕福な西側諸国と同じようなレベルで、70億、80億の人に消費と浪費が許されるとしたら、それを支えるだけの資源が今の世界にあるのでしょうか?
 それは可能なのでしょうか? ~


 2012年、リオで行われた国連の会議では、「世界中の国が協力し合って発展していこう」と、各国の首脳達がよびかける。誰もが、その言葉の正しさを疑わず、異を唱えない。
 しかし、本当にそれが可能なのか。みんなが幸せになるというが、幸せの中身とは何か。
 先進国の人々が思い描いているような文明的な暮らしがその形なら、それを世界中に実現しようとするのは、現実問題として無理なのではないか。
 「みんな、本気で言ってるのか」とウルグアイ大統領ホセ・ムヒカは問いかける。
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