「キリトリ」という番組で、松井秀喜選手の「5連続敬遠」の検証を観た。
検証はおおげさかな、そのとき当事者たちがどんなことをつぶやいていたかという内容だった。
高校生の大会で五打席連続敬遠という、例をみない作戦だったが、試合の状況を鑑みたならば、そして彼我の戦力を考えて本気で勝ちに行こうとしたなら、なんの不思議もない、というかむしろ当然とも思える策だったではないか。
当時、全打席敬遠はおかしいとか、高校生らしくないとか、卑怯とか、いろんな批判はあったが、今思うとそれらがいかに非論理的なものであったか、まざまざとわかる。
無責任か、おばかか、どちらかなのだろう、そういう人々は。
そして驚いたのは、敬遠した側、つまり明徳高校の投手の心の強さだ。
監督の指示にいやいや従っていたのではない。勝つために何をすべきか、あの怒号がとびかう満員の甲子園で、確信をもって自分のやるべきことをきっちりこなしている。
「うちで働かないか」と声をかけたくなるような凜としたたたずまい。いいものを観た。