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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

9月27日

2013年09月27日 | 学年だよりなど

  学年だより「浮き世離れ」

 生活費で親に負担をかけるから自宅を出ることは想定していない、と考える場合も多いだろう。
 しかし、なんとなくそう考えているだけで、きちっと情報を得ようとしていないという面もあるのではないだろうか。
 とくに理系の諸君は、むしろ積極的に地方の国立大学を志望校として考えてみてほしいと思う。
 ちなみに、自分が大学生活六年間を過ごした金沢大学の寮は、月の部屋代が300円だった。
 それにプラスして光熱費や食費(夕食だけ)を月に1万3000円くらい払っていた。
 さすがに今はこんな額ではすまないだろうと思いネットで検索してみたら、「泉学寮」というその寮のホームページができていて驚いた(当然、昔はなかったので)。
 今、部屋代は月額700円。倍以上になっているが、しかし7万円でも7千円でもない。
 夕食は1食390円。30年前より100円アップしている。
 昔は一日おきだった風呂に、今は毎日入れるようになっている。各部屋にLANも完備している。
 冷静に考えると、自宅から都内に通う定期代があれば、地方の国立大学で最低限の生活基盤はできるということだ。おそらく金沢大にかぎらないだろう。
 あくまでもこれは一例で、いろんな方法はあるはずだ。
 固定観念を捨てると、いろんな過ごし方の可能性がみえる。
 いちばん見ようとしないのが、親御さんだったりもするのだが。


 ~ 子どもに近くの大学に通ってほしいと願う理由は何でしょうか? 経済的なことであれば、それを子どもにきちんと説明すべきやと思います。ただ、今は奨学金も充実していますし、住むところは安い寮や下宿がありますので、たとえ東京であっても、お金に関しては何とかなるものですよ。 … 僕は灘校の生徒たちに、「高校を卒業したら親元から離れたほうがいい」と言い続けています。子どもが大人になるために必要なのは、自立心なのです。
 下宿をしたら、仕送りに範囲内で生活しなければなりませんし、病気の時などは自分で何とかしなければなりません。お金がなくなりバイトをすれば、「お金を稼ぐって大変なことなんや」と身をもって知るでしょう。病気になれば、看病してくれた母親のありがたみがわかることでしょう。 … でも、その苦しい生活を経験したことで、両親の努力や愛情を頭ではなく体で感じることができました。他人に感謝することの大切さや、一人では生きていけないのだということを実感することにもなりました。あの一人暮らしの時間がなかったとしたら、僕は不遜な人間になっていたかもしれません。 (木村達哉『大学合格キムタツ相談所』旺文社) ~


 大学生活の意味は、浮き世離れすること、仙人のような暮らしを経験してみること、これが一番ではないかと思う。俗世の価値観とは異なる世界に入り込み、そこから世の中を新たな視線で見直してみる経験だ。そういう意味で実に贅沢な経験であり、全世界の同年代の中の、ほんの数%にしか認められていない人生経験でもある。
 目先の経済的問題だけにとらわれるあまり(もちろん大切なことだけど)、大きな目標を見失ってはいけないと思う。

コメント
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