これこそ今年の落合采配 ２度泣いた短期決戦を制するために、考えられることはすべてやった

日本シリーズ：これこそ今年の落合采配＝冨重圭以子

　中日・落合監督が最後に見せた継投に驚きつつ、これこそが今年の落合采配（さいはい）だ、と感じた。

　短期決戦では一瞬でもスキを見せてはいけない。１点差で勝つために、最も確実な戦法が、山井に
完全試合を望むことではなく、プレッシャーがかかる場面を数多く経験している岩瀬に任せることだった。

　日本シリーズ開幕前の記者会見で、クライマックスシリーズでの強さについてきかれた監督は
「監督が一番成長したんでしょう」と答えた。２度泣いた短期決戦を制するために、考えられることはすべてやった。

　０４年に監督に就任した際には「現有戦力の底上げで十分」と語って補強はしなかったのに、
日本シリーズで西武の本塁打攻勢に敗れると、そのオフにはすぐにウッズ獲得に走った。

　昨年の２度目のシリーズには自信を持って臨んだが、日本ハムの若い勢いに飲まれた。３度目の今年、
同じ相手の弱点を徹底的に研究した。打者によって守備位置を大きく変えた。１番を出さないことが
鍵と見て、森本には徹底的に内角高めを攻めた。攻撃でも先、先に仕掛けた。第２、３戦の一回の
荒木の盗塁で、流れを強引に引き寄せた。

　中日の５３年ぶりの日本一は、弱点を素早く修正できる、学習能力の高いコンピューターのような
監督の能力がもたらしたものだと思う。（専門編集委員）

毎日新聞　2007年11月1日　21時46分
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/pro/news/20071102k0000m050111000c.html

山井の降板については賛否両論。とはいえ、この短期決戦、あそこで山井を変えずに打たれていれば間違いなく流れは変わってくる。確かに山井の完全試合のチャンスはこの先あるかはわからない。とはいえ、５３年ぶりの日本一を達成する前に個人記録は二の次ではないか？