ザンベジアで慣行されている稲作は主に不安定な降雨を頼りにするものであるせいか、われわれ日本人から見るととてもプリミティブな農法です。荒く起こした圃場に種子をばらまき、その後、土を撹拌するように鍬を細かく振るって種子と混ぜてゆく。あとは天水(雨水)で育つに任せ、収穫期を待つ、と。
種子の質もさほど良いものではなく生育が不均一になりますし、化成肥料や農業機械などのサポートも期待できないので収量はとても低く、産業としても極めて低いレベルに落ち着いてしまっています。
頼りにしている雨期の雨もとても気まぐれで、例えば昨年はあまりまとまった雨が降らず、ちょこっと降った雨にその気になって発芽した種子は、その後に続いた日照りで枯れてしまいました。
逆に今年はかなりまとまった雨が安定して降っています。こんな年は畑に水たまりができる前に播種を済ませ、稲をある程度の大きさにしておかないと水没して枯れてしまうので、農家は少々焦り気味。
今までキリマネから毎朝乗り合いトラックに揺られて畑に出勤していた農家も、雨に追いかけられて忙しくなり、畑のそばに泊まり込むヒトも増えてきました。もう帰宅している暇もないんです。
広い農地のそこここに、こんなシェルターが作られるようになります。
これで移動の手間をかけることなく思う存分働ける。日が昇る頃に起きだして、丸一日働いて、日が暮れる頃には眠ってしまう。とても過酷な生活でありましょう。
でも、シェルターの上に広がるのはこんな青空なんです。さえぎるものが何もない、視界に入り切らない広い空。晴れた晩には満点の星空であろうと想像します。
北半球育ちの私には馴染みが薄い南天の星の配置です。オリオンが真上に昇り、ひときわ大きく見えるシリウスが周囲を焼き焦がし、その下方には日本ではめったに見られないカノープスが当たり前のように瞬き、さらにその下方に視界を巡らせば、ぼんやりとかすむ大マゼラン雲。その光景は生涯忘れえぬ体験となることでありましょう。
でも水田地帯の真ん中で夜を過ごしたら、群がる無数の蚊に食われて顔面デコボコになるでしょうけどね。
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