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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ブリッジピン

2016-06-12 22:45:38 | ギター

電動歯ブラシを使うと、鼻が痒くなることがあります。これは電動歯ブラシが上顎を振動させ、その振動が顔面突起物である鼻に伝わり、その内部に生えている鼻毛が細かく震えて触れ合う刺激が痒みとして感知されるためです。

ところで、ブリッジはギターの弦の下端をギターに固定し、演奏時の弦の振動をサドルを通じてボディ・トップ(表板)に伝えるパーツです。振動源となる弦と共鳴体であるボディをつなぐ部分であることから、ギターの音色を決定する数多い要因の中でもかなり重要視されております。

実際、ブリッジの質量(重さ)の違いは音質・音量に大きく関わってくるため、材質や寸法など、ギターの個性を語る際のこだわりポイントの一つになっています。重くなるにしたがって振動しにくくなるため、高音が伝わりにくく低音が強調されるようになり、サスティーンも増します。逆に軽くなると振動しやすくなるため、高音の輪郭がハッキリするようになり、明るい印象が強くなります。

というわけで、ブリッジを改造することでギターの音量や音色は大いに変化しますが、これは素人の手には負えない大工事になります。専門の工房に依頼してテマヒマかけたとしても理想の音が得られるとは限らない。なので誰もやりません、そんなこと。

代わりにお勧めしたいのはブリッジピンの交換・加工であります。これは割と簡単にできて効果テキメン。


上の図はアコースティックギターのブリッジ周辺の断面です。

前述したように、ブリッジピンは弦の下端(ボールエンド)をブリッジ裏に固定する役割をしています。
市販のブリッジピンのアタマを除いた部分の長さはおよそ25㎜で、これは往々にして長すぎる。ブリッジの厚さはギターによって違うので、それに対応すべく少々長めに作られているんです。

長すぎるピン先はブリッジに付属する余分な出っ張りになります。で、この出っ張りが演奏時の弦の振動に反応して、バネのように震え、本来ボディ・トップを震わせるはずのエネルギーを逃がしてしまうんです。冒頭の電動歯ブラシのエピソードで述べた鼻毛の部分に相当します。鼻の痒みを避けるためには、鼻毛を抜くか切るしかありません。

愛用のキャッツ・アイに使われていたブリッジピンは安価なプラスティック製でありました。その先端部分をおよそ5㎜切り取りました。プラスティックは軽い材質で振動の影響を受けやすく、演奏時には大いに震えます。そのぶん、切った効果は絶大でした。プラスティックを震わせていた振動エネルギーが逃げ場を失い、ボディ・トップがより振動するようになり、音量は驚くほどバカデカくなったのです。
ですが、音質は少々下品な印象。鳴り過ぎなんです。それまでは単純に「よく鳴るギターは良い楽器」と思い込んでいたのですが、鳴ればいいってもんじゃないな、と思い直しました。
この効果に大いに気を良くした私は、その後、色々な実験を繰り返すことになりました。
低音の更なる強調を狙って4~6弦のブリッジピンだけを短くしてみたり(特に低音だけが耳立つようにはなりませんでした)、振動しにくい重い材質である真鍮製のピンを装着してみたり(非常に個性的な音になりましたが、残念ながら好みじゃなかった)。
どれも楽しい実験ではありましたが、これは!と思うような結果には巡り会えませんでした。

現在採用しているのは人造象牙と言われる「Tasq」製のブリッジピンです。最初から20㎜の長さになっているモデルがあり、いいカンジです。

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春はかわいいアルトギター

2016-05-02 01:15:03 | ギター

主に中古品を商うリサイクル・ショップにも、最近は楽器を扱っているところが増えてきました。思わぬ掘り出し物があるかも、という期待(射幸心ともいう)があり、時間があるときは割と熱心に見て回ります。

先日、近所のリサイクル・ショップで見つけたのはアルトギター。普通のギターよりも高い音を奏でる小ぶりなクラシック・ギターです。
小さめのボディにレギュラーサイズの太さのネックとヘッドがついており、ちょっと頭でっかちにも見えますが、全体的にかわゆい印象。
ボディを覗き込んで見ると内部のラベルには「Yukinobu Chai」の表示がありました。茶位幸信氏は有名な手工クラシック・ギターの製作者です。この個体は1977年に作られたモデルのようです。
一般的なカッタウェイではなく、これはなんというのでしょう、ボディとのジョイント位置が6弦側は12フレットなのですが、1弦側は14フレットで、ハイ・ポジションのフレットにもアクセスしやすいようになっております。何となく洗練されていて、カッコいいデザインです。

店員さんに頼んで、試奏させてもらいました。

小さいボディ。でもボディに厚みがあるので抱き心地はしっかりしています。ちっちゃいけどグラマー。
フレット間が狭いのでオジサンの太い指先には少々窮屈です。また、ネックが短いので、普通に抱えて構えると腕が余ってしまいます。クラギ弾きみたいに左足の腿にギターを置くと、左腕が伸びてポジションがゆったりして弾きやすくなりました。
アルトギター本来の高い音を奏でるためには、専用の細めの弦を使用する必要があるのですが、残念ながらお店の方の勘違いでしょう、このギターには普通のギターの弦が張ってあるんです。
専用弦を張るとどんな音がするのか、聴いてみたくなり、買っちゃいました。新品定価よりだいぶお安くなっておりましたし。

帰宅して、専用弦をネットで注文。翌日、届いた弦を張り、通常のギターより5度高いB・E・A・D・F#・Bにチューニング。
爪弾いてみると、明るくまろやかな音色が出てきました。コロコロリンと耳に軽やかに響きます。

かわいい音です。

やはり高音に独特の響きがあります。じゅうぶん高い音でありながら甲高くはなく、何となく和菓子の穏やかな甘みを連想させる音がします。変な例えですが。
低音弦は聞き取りやすい音域にあるのか、明瞭な音像です。明るくハッキリしていますが、厚みのあるボディのおかげか軽々しくはなく、しっかりと存在感のある低音です。
似た音域をもつモデルにヤマハのギタレレがありますが、音質はまるで違います。ギタレレはウクレレの音ですが、アルトギターはやはり立派なギターの音がします。 

春の風は穏やか。時に強く吹くこともありますが、それ以外は桜の花びらを優しく運んだりして、その印象はあくまで暖かい。
木陰では私のアルトギターがコロコロコロリとやさしく鳴っています。

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ジェイソンのピック

2015-06-27 11:48:59 | ギター

ギターのピックには色々な形がありますが、最もオーソドックスなのはオニギリ型。三辺が緩やかなカーブを描いている三角形のタイプでしょう。私も力強くストロークする時によく使用します。
オニギリ型はストローク奏法に向いていますが、単音弾きをする場合はもっと細身のピックが好まれるようです。細身で、角が更に鋭角化しているタイプ。
角の部分がシャープであれば、そのぶん弦をはじく精度も増して、輪郭のハッキリした音像が得られるんです。単音弾きを多用するエレキギターの、特にソロでは、音のクオリティを高めるためでしょう、二等辺三角形に近い形を採用したピックが使われるようです。

クラシック・ギターでは、なんと裁縫用の針を使って弦を弾くこともあるそうです。主に親指と人差し指、中指に、粘着テープで指先に固定するそうですが、音の輪郭を際立たせるためにこれ以上のピックはないでありましょう。

さて、これはある楽器店で見つけたキャラクター・ピック。ご存知ホラー映画「13日の金曜日」に登場する不死身の怪人ジェイソンのマスクを模した商品です。

私がケニヤで愛用していたピックであります。いえ、演奏時ではないんです。
このピックはちょっと凝っていて、夜光塗料が練りこんであり、暗いところでボンヤリと発光するんです。ホラー映画のキャラクターにぴったりの演出。
だから携帯電話とか家の鍵とか、大事なものにこのピックを付けておくと便利ですよ。停電の時にどこにあるかすぐ分かって安心。日本でもスマホはもちろんクルマのキーなど、大事な小物にはすべて付けてあります。

でも日本では停電が無いんですよね。もちろん無い方がいいに決まっているんですが、なんか物足りないんだよな…。

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初めてのギター (ヤマハFG-200F)

2015-06-02 21:11:54 | ギター

私がギターを始めたのは1975年6月2日。中学3年生の時でした。

年月日を明確に記憶しているのは何故かというと、6月2日は横浜の開港記念日で市内の公立学校は休校なんです。その休日にギターを買いに出かけたので、よく覚えているんです。
記念日で賑わう伊勢崎町にある楽器店「ハマヤ」の店頭で、かねてよりカタログを眺めて目星をつけておいた機種である、ヤマハFG-200Fが欲しい、と告げました。なんだか役人風の威厳をもった中年の店員はウム、と一つうなづいて、大きな段ボール箱をガラスケースの上に出してくれました。
箱のふたを開けると、新鮮な木製楽器の匂いがしました。

FG-200Fは他の多くのFGモデルが持つドレッドノート・タイプに比較して、かなり細身のボディが特徴的でした。当時の私が何故わざわざ小さめのボディを選んだのか? きっと、いかにも「FG」的なシルエットではなく、少し違う形のものが欲しかったんだろうと思います。
しかし、いま考えても初心者用としてはとても良い選択だったと思います。
小ぶりのボディは抱えやすく、また出音も容易にコントロールできる感じでした。そしてアフリカン・マホガニーの丸く柔らかい響きは歌の伴奏にはちょうど良い音色だったのです(あくまで「いま考えるとそう思える」だけで、当時の私にはそんな知識はありません)。

定価19000円。当時、自分で購入した物の中では確実に最も高価なアイテムとなりました。
財布の中に収めてあったお金は、交通費を除けばカッキリ19000円で、ギターの代金を支払ったらソフトケースも買えない。しかたなく新しいギターを段ボール箱に入れたまま担いで、電車に乗って帰宅したのでした。

 帰宅して早速チューニング。ギター雑誌「ガッツ」に載っていたコード表を見ながら左手の指三本でAのコードを押さえ、右手で弦を弾くと、自分が抱えている楽器から見事な和音が出て来ました。

すげえ!

ちゃんとチューニングして、マニュアル通りにコードを押さえて弦を弾いたのですから、その通りの音が出て当たり前だったわけですが、そんな単純なことにも新鮮にビックリしてしまう、我ながらかわいい少年でありました。
それにそれまで楽器と言えば学校の音楽の授業で使用したリコーダー(縦笛)ぐらいしか経験したことが無かったので、楽器で和音を出すということは私にとってとても画期的な出来事だったのです。

その感動から今日で丸40年。

大して上達していないにもかかわらず息の長い趣味として楽しんでいられるのは、やはりギターが持つ和音の響きに私が未だに新鮮な心地良さを感じているからだろうと思います。

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プレイテックのリゾネイター(PTRS-WOOD)

2014-01-01 16:36:07 | ギター

あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

リゾネイターはギターの種類の一つです。リゾネイト(resonate)は「共鳴する」とか「鳴り響く」という意味。
スピーカー・コーンの共鳴板がブリッジの下に仕込まれており、そのため独特の響き方をします。主にブルーズで使われ、特にスライド・ギターとして伸びやかなフレーズを響かせることが多いギターです。
以前から興味があったのですが、この手のギターは市場でも珍しく、しかもアメリカのナショナルやドブロなど、いわゆる老舗専門メーカーによる製品しかなくて、そのため値段が少々お高くなる場合が多いんです。

ところで千葉県の成田市にあるサウンドハウスという楽器店はとてもユニークで、自社製作したいろんなギターを比較的安価で販売しています。プレイテックという自社ブランドのラインナップには三台のリゾネイターが含まれており、私が注目したのは木製ボディの最も安価なモデル。

数年前に帰国した際、ショールームまで出向いて試奏させてもらいました。

12フレット・ジョイントのコンパクトなボディ。でも内蔵されている共鳴板とそのステンレス製カバーのせいでしょうか、かなり持ち重りがします。そしてその重さから、頑丈そうな印象も感じます。
弾いてみるとすごく大きい音がします。軽く爪弾いただけなのに大音響。アルミ製の共鳴板を震わせるポコンというような、バンジョーにも似たクリスピー感とともに、ひび割れたような独特のサウンドがビヨーン。ボディの頑丈そうな印象とはちょっと違う、悪く言えば軽々しい音です。材料に振動しにくい堅く重いマホガニーの合板を用い、そのぶん共鳴板を賑やかに振動させているようです。構造上、サステインが効くので残響も激しく、いったん弾いた弦はミュートしない限り、かなり長く尾を引きます。
ブリッジが共鳴板の上にあるせいでしょう、弾いた弦から他の弦にも振動が伝わり、弾いてない弦も勝手に響いちゃう。とても賑やかです。ベンチで待機中だったはずなのに、いつの間にか乱闘に加わっていた野球選手みたい。直接の当事者じゃないのに暴れまくり。
なので、ピックを使ってストローク、という弾き方はできません。音が散らかっちゃって全然まとまらない。
抱えているギターから振動がほとんど感じられず、フロント面から「突然!」というカンジで音が出てくるので、一般的なギターと勝手が違います。そのへんが新鮮でなんだか面白い。
リゾネイターを弾くこと自体が初めてなので他のモデルを知らず、比較検討はできなかったのですが、でも面白い音で弾き易くて十分楽しいギター。しかも、どういうタイミングだったのか3割引きの衝撃価格。購入しました。

やはり出音が大きいのは楽に弾けます。あまり力まずに弾いても大きめの音が出る。それに合板ギターなので湿度・温度の変化にも神経質にならずに済みます。手元において頻繁に弾ける。
私個人の感覚で言えば、弾き語りには向いていないような気がします。音質がヒトの声に近い気がするんです。かぶりすぎてる。間奏中のソロに使うと良いかも知れません。
テンションを高くしたわけでもないのに、プラスティック製のナットは購入後1年で1弦下が割れてしまいました。このあたり、やはり低価格の特徴が出てしまうようです。ですが行きつけの楽器店で牛骨のものに交換してもらいましたら、他弦へ共振しやすくなったようで、音がさらに響くようになりました。オリジナルのナットが割れたことで取り換える機会となり、かえって良かったかもしれません。

今年はスライド・ギターを練習して、うまくなろう。


ケースは同じサウンドハウス社・ZENNのクラシックギター用のソフトケース(CGG)が、ぴったりサイズでおすすめです。

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