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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ザンベジアは作付け期3 (時には星の下で眠る)

2018-01-30 17:08:00 | モザンビーク

ザンベジアで慣行されている稲作は主に不安定な降雨を頼りにするものであるせいか、われわれ日本人から見るととてもプリミティブな農法です。荒く起こした圃場に種子をばらまき、その後、土を撹拌するように鍬を細かく振るって種子と混ぜてゆく。あとは天水(雨水)で育つに任せ、収穫期を待つ、と。
種子の質もさほど良いものではなく生育が不均一になりますし、化成肥料や農業機械などのサポートも期待できないので収量はとても低く、産業としても極めて低いレベルに落ち着いてしまっています。

頼りにしている雨期の雨もとても気まぐれで、例えば昨年はあまりまとまった雨が降らず、ちょこっと降った雨にその気になって発芽した種子は、その後に続いた日照りで枯れてしまいました。
逆に今年はかなりまとまった雨が安定して降っています。こんな年は畑に水たまりができる前に播種を済ませ、稲をある程度の大きさにしておかないと水没して枯れてしまうので、農家は少々焦り気味。
今までキリマネから毎朝乗り合いトラックに揺られて畑に出勤していた農家も、雨に追いかけられて忙しくなり、畑のそばに泊まり込むヒトも増えてきました。もう帰宅している暇もないんです。
広い農地のそこここに、こんなシェルターが作られるようになります。

 

これで移動の手間をかけることなく思う存分働ける。日が昇る頃に起きだして、丸一日働いて、日が暮れる頃には眠ってしまう。とても過酷な生活でありましょう。
でも、シェルターの上に広がるのはこんな青空なんです。さえぎるものが何もない、視界に入り切らない広い空。晴れた晩には満点の星空であろうと想像します。

 

北半球育ちの私には馴染みが薄い南天の星の配置です。オリオンが真上に昇り、ひときわ大きく見えるシリウスが周囲を焼き焦がし、その下方には日本ではめったに見られないカノープスが当たり前のように瞬き、さらにその下方に視界を巡らせば、ぼんやりとかすむ大マゼラン雲。その光景は生涯忘れえぬ体験となることでありましょう。

でも水田地帯の真ん中で夜を過ごしたら、群がる無数の蚊に食われて顔面デコボコになるでしょうけどね。

 

 

 

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ザンベジアは作付け期2

2018-01-24 19:35:11 | モザンビーク

 

天水田(雨水に頼る水田)の一角を苗代にするため、農家のヒトたちと一緒に作業しておりました。幅1メートルの短冊形の苗代を作るため、水の下から土を持ち上げて積み上げます。上部を均(なら)して平らにし、低い部分にはさらに周囲の土を積み上げて均します。

そよぐ風がひげに遊んで行きます。額にかく汗も乾かしてくれます。
天気の良い日の農作業は気分の良いものです。

 

突然、誰かが「コブラが出た!」と叫び、その途端、作業していたほとんどのヒトたちが放射状に逃げました。残った数名が勇敢にも鍬で叩いて攻撃しています。
水田用の長靴を履いて足元を固めている私と違い、裸足で作業している農家にとって毒蛇は大いなる脅威であります。コブラなんて大型毒蛇に咬まれちゃったら命が危ない。最寄りの病院に行くにもクルマで悪路に揺られて軽く1時間以上かかってしまう僻地でありますし、ようやく到着した病院に血清が備えてあるかどうかも疑わしい。
そのせいでしょう、どんな蛇でも見つけたら必殺!であります。農家の多くが信者であるキリスト教の教えでも「アダムとイブに悪を吹き込んだ蛇は敵」とされておりますし。 

盛大に水しぶきを上げて田面をバッシャンバッシャン叩きまくっていたツワモノどもが「もう大丈夫」と一息ついたところ、見に行きました。どんな大蛇が出たのか、興味があったんです。
そしたら、こんなにかわいいの! 手前の円は直径約2センチ半の硬貨ですから、長さはおよそ10センチくらいでしょうか。探せばミミズでももっと大きいのがいそうなほど。

 

頭が小さく、同様に口も小さく、顎の関節を外したとしてもその内径の狭さではきっと私の小指を飲み込むこともできないでしょう。

確かに形は蛇ですが、これはコブラじゃねーよ。おめーらビビりすぎだよー。
今度出たら俺に言え。捕まえて蝶結びにして見せっから。

なーんちゃって。そんなことしませんけどね。

 

 

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カショーロ・ケンテ

2018-01-02 13:57:02 | モザンビーク

あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

私が滞在している町はキリマネ(Quelimane)という、リヴィングストンがヨーロッパ人として初めてのアフリカ大陸横断を成し遂げた際のゴールとなった場所です。他にもヴァスコ・ダ・ガマが寄港したとか、おもにヨーロッパのアフリカ進出史上、重要な場所のようです。

モザンビーク国内で4番目に大きく、人口およそ20万人を擁する町だそうですが、通りにクルマの数はさほど多くなく、以前お知らせしたとおり行き来するのはチャリタクばかりでのんびりしています。クルマの通行が少ないぶん空気はきれいで、どの通りにも並木が植えられ、街の中心地にも広々とした印象があります。
町はクアクア川(ボンスシスナイス川)という大きな川に面しております。河口から20キロほど距離がありますがインド洋の干満の影響が大きく、およそ6時間ごとに水位が4m近く上下します。

その川沿いに店を出しているのがカショーロ・ケンテ。カショーロが「犬」で、ケンテが「熱い」を表すポルトガル語。ホットドッグの直訳です。
職場から川沿いを歩いて5分ほどの距離にあり、仕事に夢中になってランチをうっかり食べ損ねたときなどに空きっ腹を抱えて駆け込む場所になっております。

使われているトマトケチャップが安っぽくて薄っぺらい味しかしないのですが、一緒にかけられている全然辛味のないコケオドシ的なカラシにマッチしていて、なぜか許せる。軽くトーストされているパンは乾いた歯触りの後にしっかりした噛み応えが感じられ、これも皮つきソーセージの歯応えにマッチしているようです。
咀嚼するたびにザクザクと楽しい音がするのは、ソーセージの下にザウアークラウト(みたいな野菜)とともに細切りポテトチップスが敷き詰められているせいです。

常夏のキリマネで食べる少々乾き気味のクリスピーな食感を持つカショーロ・ケンテ。
遅めのランチを腹に収める頃には、終業までの時間は残りわずか。

でももう一本食べちゃおうかな。

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ザンベジアは作付け期。

2017-12-26 12:47:02 | モザンビーク

雨期が始まり、雨を待っていた農家は種子を播きはじめました。

作付け準備は、早い農家だと10月から始めるようです。

雨が降ると土が湿って軟らかくなるので、畑の低い部分から鍬を入れて耕していきます。機械化が進んでいないので、頼るのは鍬1本。時間をかけて地面を起こし、均(なら)していくんです。一日にできる作業は限られているため、農家の畑はどこもこんな風にモザイク状に耕されていきます。

 

街に住む兼業農家も多くいて、郊外にある田畑には毎朝「出勤」します。そして午後の早い時間には仕事をやめて帰路につきます。暑くなる時間に肉体労働は酷なんです。

通勤に利用されるのは乗り合いトラック。たぶん、普段は資材などを運ぶ普通のトラックが、農繁期には農家の働き手を載せるようになるのでしょう。
定員は決まっておらず、何人乗せてもOKです。ただし、乗るヒトの足は全部荷台に入っていなくちゃなりません。車体後部のバンパーに立つとか、荷台から垂らすなどして足を外に出していたら定員オーバーとなり、ポリスに大目玉食います。罰金も徴収されます。

だからホラ、すし詰め状態なのに割とお行儀よく乗っているように見えるでしょう?

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チャリタク

2017-12-10 13:47:37 | モザンビーク

三度目のモザンビーク赴任中であります。

 

こちらの日常の足は自転車タクシー。日本人間では「チャリタク」と呼んでいます。
荷台に薄いスポンジ入りのシートを設えて二人乗りしやすくした自転車で、基本料金10メティカシュ(20円くらい)を払えば、市内どこでも運んでくれます。もともとそれほど大きな街ではないので移動距離はたかが知れてますし、自転車というのは雨さえ降っていなければノンビリしていて気持ちの良い移動手段であります。

このチャリタク、深夜以外はやたらと多いので、どこでもすぐに拾うことができます。
外国の自動車タクシー利用時にはたいてい乗る前に料金の交渉が必要ですが、体重がすごく重そうとか、目的地が遠いとかの理由がなければ、ほとんど基本料金で済むので気軽に乗れます。

しかし、どんなものにもアタリハズレがあるもので、いかにも健脚タイプの漕ぎ手が乗っているタクシーをつかまえたものの、走り始めたらとんだヘナチョコですごく遅かったり、タイヤの空気が抜けていて路面の凸凹がオケツに直接感じられてすごく乗り心地が悪い自転車だったり。ま、そういう小さなガッカリも海外生活の味だと思えば気になりませんが。

 

目的地に着いて料金を払うときに、景気はどう? と尋ねてみたら、

「毎日、自転車操業です」

と答えた、

というのはウソだって誰でもわかりますよね。

コメント (2)
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